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陰日向に咲く

  • posted at:2013-02-22
  • written by:砂月(すなつき)
かげひなたにさく
「陰日向に咲く」製作委員会(東宝=日本テレビ放送網=幻冬舎=ジェイ・ストーム=讀賣テレビ放送=太田プロダクション=日本出版販売=博報堂DYメディアパートナーズ)
配給:東宝
製作年:2008
公開日:2008年1月26日
監督:平川雄一朗
製作:島谷能成 小杉善信 見城徹 藤島ジュリーK. 西垣慎一郎 磯野久美子 古屋文明 安永義郎
エグゼクティブプロデューサー:市川南 奥田誠治 塚田泰浩
企画・プロデュース:川村元気 佐藤貴博
プロデューサー:樋口優香
協力プロデューサー:神蔵克 小玉圭太 原藤一輝
原作:劇団ひとり
脚本:金子ありさ
音楽:澤野弘之
主題歌:「出会いのかけら」ケツメイシ
挿入歌:「ふりむキッス」武田みやこ
撮影:中山光一
照明:中須岳士
編集:宮島竜治
特機:横山聖 赤澤大介
ビデオエンジニア:石上正治
VFXスーパーバイザー:小坂一順
美術:磯田典宏
装飾:松木良二
衣裳:高橋さやか
ヘアメイク:染矢誠
録音:深田晃
スクリプター:鈴木一美
編集:今井剛
助監督:井上雄介
製作担当:阿久根裕行 山本礼二
製作主任:岡田拓也
ラインプロデューサー:鈴木嘉弘
製作プロダクション:東宝映像製作部
東宝・日本テレビ放送網提携作品
出演:岡田准一 宮﨑あおい 伊藤淳史 平山あや 緒川たまき
アメリカンビスタ カラー 129分

都心を巡る観光バスの運転手・沢渡伸也(シンヤ)は重度のギャンブル依存症だった。バス会社の所長・富田は、多額の借金を背負うシンヤに400万円を貸すことにしたが、その条件として誓約書(ギャンブルをしない。借金をしない。毎月、貸金業者に返金する。仕事を一生懸命、頑張る。)を書かせ、もらった給料の流れがわかるように小遣い帳をつけさせた。

8月6日、月曜日晴れ。立ち直ろうと努力するシンヤは、その日も懸命に働いた。その日は借金の返済日でもあり、仕事を終えたシンヤは富田に小遣い帳とお金の入った封筒を差し出した。一通りページに目を通した富田は、パチンコの未練はないという彼の言葉を信じ、小遣い帳と封筒を手渡した。家路を急ぐシンヤの視界に入ったのはパチンコ店の幟だった。店の前に立ち止まった彼はしばらく考えた後、中に入った。久しぶりの音響、久しぶりの明滅するネオン、そして久しぶりのツキ。神がかりのような大当たりの連続でドル箱は忽ち積み上がって行った。だが引き際を間違え、有り玉は全て台に飲み込まれた。さらに封筒や財布の中にあった札も消えて行った。我に返ったシンヤはサラ金に駆け込んだが、ブラックリストに載った者に金を貸すはずがなかった。落ち込んで帰る彼の目に止まったのは、浅草ゴールデンホールの客引きに半ば強引に店内へ誘い込まれる一人の女性の姿だった。その女性には見覚えがあった。確か浅草で休憩を取っていたときに、転がってきた100円玉を拾ってあげたのだ。シンヤは慌てて駆け寄り、知り合いを装って彼女と中に入った。彼女は池田寿子といい、ある人物を捜していた。寿子の母・鳴子はかつて相方の雷太とコンビを組み、芸人としてこのステージに立っていたのだ。35年前にこの場所で撮ったという写真にシンヤは目を奪われた。母と娘は瓜二つだった。

寿子が捜していたのは鳴子ではなく雷太の方だった。亡くなった母の荷物を整理していたときに、ふと日記を読んだ寿子は衝撃を受けた。寿子の知らない鳴子の別の一面が赤裸々に綴られていたのだ。昭和47年4月。鳥取製薬の研修旅行で浅草を訪れた鳴子は、お土産の「開運の小槌」を買うと大事そうにそれを見ながら時間を過ごしていた。するとそこに一人の男が現れ、「屁をすると金を貰う犬は?プードル!」と言った。それが雷太との初めての出会いだった。呆気にとられる鳴子。だがそれに構わず雷太は続けた。「プードル!」。彼は駆け出しの芸人で、お笑いのネタを試したのだった。「屁」をテーマにしたネタを次々と披露したが、わざと無反応を貫く鳴子に頭を抱え、これが本当のガス欠だと彼女の顔に尻を近づけたのだった。その嫌がらせに近くにいた男はいち早く反応し、雷太を力でねじ伏せた。だがそれでも懲りずにネタを続ける彼の一途さに思わず笑った鳴子は、駆け寄ってハンカチで鼻血を拭いてあげた。そして鼻の頭にキスをしたのだった。その後、上京した鳴子は雷太の姿を求めて劇場を訪ね歩いた。そしてついに浅草ゴールデンホールにたどり着いたのだった。ステージを終えて下がる雷太に、鳴子は「お笑いのコンビになってぐしない」と告白した。こうして日本一の笑いを目指すコンビ「ゴールデン鳴子・雷太」が誕生した。だがそれも長くは続かず二人は離ればなれになった。寿子は雷太を見つけ出し、届かなかった母の思いを代わりに届けようと考えていた。その話にシンヤは感銘を受け、手伝うことにした。

屋台的映画館
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ガラスの脳

  • posted at:2013-02-06
  • written by:砂月(すなつき)
がらすののう
「ガラスの脳」製作委員会(日活=毎日放送)
配給:日活
製作年:2000年
公開日:2000年1月29日
監督:中田秀夫
製作総指揮:中村雅哉
企画:明石知幸
プロデューサー:椋樹弘尚 大澤茂樹
原作:手塚治虫
脚本:小中千昭
撮影:林淳一郎
音楽プロデューサー:長岡和弘
音楽:川井憲次
主題歌:「DOOR」石井聖子
挿入歌:「ひとつぶの涙」シモンズ
美術:斎藤岩男
照明:豊見山明長
録音:北村峰晴
ビジュアルエフェクト:松本肇
衣裳デザイン:宮本まさ江
記録:竹田宏子
助監督:久保朝洋
製作担当:金子哲男
企画協力:手塚プロダクション
製作協力:日活撮影所
出演:小原裕貴 後藤理沙 榎本孝明 林知花 河合美智子
アメリカンビスタ カラー 100分

1954年3月13日、富士ノ原に旅客機・りゅうせい号が墜落した。この惨劇で多数の乗客たちが命を落とす中、妊娠9ヶ月の身重な体だった飯田昌子だけが生存していた。彼女は直ちに救助され市立武蔵原病院に搬送されたが、お腹の子供を出産すると息を引き取った。家族はこの奇跡を不幸中の幸いと喜んでいたが、女の子は生まれてから2週間が過ぎても目を覚まさなかった。父親の肇は懸賞金を出して治療法を募集し娘の意識を回復させようと試みたが、願いは叶わなかった。

1961年3月25日、喘息が悪化して入院していた長沢雄一は興味本位に院内を歩き回っていた。彼はやがて突き当たりの部屋にたどり着いた。そこは開かずの部屋と呼ばれる特別室だった。ベッドの上には、自分と同じくらいの年の女の子が天使のような優しい表情で眠り続けていた。そこへやってきた若い看護師の福原みつは、その女の子=由美が生まれたときからねむり姫のように眠り続けていることを話した。雄一は院内にある児童遊戯室へ行き、シャルル・ペローの童話「ねむりひめ」を読んで見ることにした。「王子様のくちづけで、お姫様は目を覚ましました」。再び開かずの部屋へ向かった雄一は、ベッドの脇に立つと由美の顔を覗き込んだ。そして「目を覚まして。僕が王子様だよ」とつぶやくと彼女の唇にキスした。だが何も起きなかった。「僕が王子様じゃないから?」。雄一はガッカリした。退院の日を迎えたが、雄一の頭の中は由美のことでいっぱいだった。その後も彼は学校が終わると毎日のように病院を訪れては由美にキスした。ある日、いつものようにキスをして帰ろうとした雄一に声を掛けたのは、担当医の斐川広明だった。彼は由美が生まれた頃から担当を受け持ち、現在まで治療のためにあらゆる手段を尽くしてきたのだ。「君は誰に祈ってくちづけをしていたんだ」と斐川は言った。そして「残酷な運命をこの子に与えた神に祈るのか」と強い口調で言うと、口篭っていた雄一は部屋を飛び出して行った。それ以来、彼は病院に近付かなくなった。

1972年2月14日、代表委員会をさぼって帰宅した雄一はテレビのスイッチを入れた。ワイドショーでは昭和のニュースを取り上げていたが、それは1954年に起きた旅客機墜落事故だった。自分が高校生になった今でも由美が眠り続けていることを知った雄一は、居ても立ってもいられず病院に向かった。病室の前に立った雄一は気持ちを落ち着かせてから扉を開けた。目の前には、あのときのよう眠っているが美しく成長した由美の姿があった。顔を近づけようとすると、大きな声で怒鳴ったのは看護師長だった。いくら説明しようとしても彼女は耳を貸さなかった。雄一がガッカリして病院を後にしようとしたとき、病室から出てきた斐川と目が合った。彼は院長になっていた。その日以来、雄一は由美のことが忘れられなくなり、授業が終わると彼女のもとに掛け付けた。そして「目を覚まして。僕は王子様だよ」とキスをした。再び病院通いを始めて2ヶ月が過ぎようとしていた4月13日、友人たちのいたずらで雄一は初めて恋愛を意識した相手である溝口恵子とキスをした。その夜、雄一は様々なことで思い悩み、嵐にも関わらず家を飛び出したのだった。病院に辿りついた午前0時前、雄一は由美に長い、長いキスをした。だがそれでも彼女はいつもと変わらなかった。雄一が肩を落として病室を去ろうとしたそのとき、由美の口から小さな声が漏れた。

屋台的映画館

兜王ビートル

  • posted at:2012-03-25
  • written by:砂月(すなつき)
かぶとおうびーとる
ビートル倶楽部=リバティプラネット=IMAGICA=エースデュースエンタテインメント=関西テレビ放送=ツイン
配給:IMAGICA=ツイン
製作年:2005年
公開日:2005年7月16日
監督:河崎実
製作総指揮:小林広和
企画:福井政文 小林洋一 西田正 吉鶴義光
プロデューサー:安斎レオ 河崎実 杉本亮 山田宏幸 阿部祐督
ラインプロデューサー:旭正嗣
宣伝協力プロデューサー:叶井俊太郎
原作:永井豪
脚本:中野貴雄
撮影監督:長野泰隆
音楽:石井雅子
主題歌:「いざ行け!ビートル」サイキックラバー
録音:梅原淑行
助監督:佐高美智代
製作担当:星野秀樹
サブキャラクターデザイン協力:海老原優
特殊造形:坪井浩一
VFX:東海林毅
美術:門倉淳
ヘア&メイク:鷲野早苗
擬闘:破李拳竜
スチール・プロレス指導:金子博
企画協力:ダイナミック企画
出演:兜王ビートル 斎藤工 桧山慎太朗 後藤公太 中川翔子
アメリカンビスタ カラー 70分

大阪のリバティプラネットホールで行われているプロレス会場に突如現れたのは、外宇宙軍前線司令官・ゴキアブラーを始めとするインセクター・サイボーグだった。彼らは最近あちこちのプロレス団体を荒らしまわってる何かと話題の厄介者なのだ。ゴキアブラーたちが会場を恐怖のどん底に陥れようとしていると、そこへ週刊スープレックス社の新米記者・星川百合が取材を申し込んだ。気分を良くしたゴキアブラーは自分たちの主張を気持ちよくしゃべり始めたが、百合が外宇宙を害虫と聞き間違えたことで激怒した。百合が襲われそうになったそのとき、場内にギターの音色とともに現れたのは兜王ビートルだった、ゴキアブラーはビートルを見るなり裏切り者と吐き捨てた。勝負は必殺技のボンバーヘッドが炸裂したことでビートルの勝利に終わった。彼のマスクの下のやさしい瞳に一目ぼれした百合だったが、取材のことをすっかり忘れていたことで肝心の写真を一枚も撮ることが出来なかった。編集長は怒り心頭だったが、彼女が入社一ヶ月だったことを思い出すと態度を改めた。発行部数が落ち込んだことで編集部員が全員アルバイトになっていたのだ。ひと月でも実績のある彼女に辞められてはたまらないと、編集長は可能性を感じるとおだてて退職を思い止まらせた。宇宙からの怪人軍団とそれに立ち向かう仮面のヒーロー。この最近見かけないシチュエーションに編集長はロマンを感じていた。だが最大の欠点は、女性層が食いついてこないことだった。唯一ビートルに心を奪われた百合に目をつけた編集長は、彼女を局長班のリーダーに任命しビートルの正体を突き止めろと命じた。

百合がどこをどう捜していいかわからず街をうろうろしていたころ、外宇宙軍の宇宙船内では魔蟲王デビルワームがゴキアブラーたちを叱責していた。デビルワームはビートルをおびき出すために各地のプロレス会場へ彼らを派遣していたのだが、尻尾を掴んだにも関わらずあっさりと負けて帰ってきたことにおかんむりだった。デビルワームの目的とは、捕まえたビートルを再改造して外宇宙軍の主力メンバーとし、銀河中のちびっこたちに向けて商品展開することだった。クリスマス、正月商戦に間に合わせるために製造を急がせたことでコストが嵩んだ上に販売中止。さらにビートルが行方不明とあってはお手上げだった。そこに現れたのは、宇宙軍のエース・破滅王ディザスターだった。実力は自分の方が上だと豪語するディザスターにデビルワームは、お前はあくまで主人公のライバルキャラだと言った。光がなければ影も差さん。その言葉に憤慨したディザスターは、俺がビートルを見つけ出しどちらが強いかを全宇宙にさらけ出してやると言った。

屋台的映画館

鏡の中の野心

  • posted at:2012-01-12
  • written by:砂月(すなつき)
かがみのなかのやしん
東活プロダクション
配給:松竹
製作年:1972年
公開日:1972年7月1日 併映「罠にはまった男」
監督:小林悟
原作:戸川昌子
脚本:松浦健郎
撮影:門口友也
音楽:白井多美雄
美術:松井敏行
照明:磯貝一
編集:中島照雄
助監督:高橋伴
監督助手:日留川雄二 斉藤高一
撮影助手:小島功
照明助手:福井通夫
効果:創音社
録音:目黒スタジオ
現像:東洋現像所
出演:荒木一郎 堤杏子 白石奈緒美 野村明治 今泉洋
アメリカンビスタ カラー 96分

パリ美容組合の機関誌「フォア・ヒュール・ド・パリ」の特派員と名乗る瀬木山雄二は、美容連合会が主宰するリゾート温泉ホテルでの慰安旅行に取材という形で飛び入り参加した。宴会場で彼は男嫌いで通っている田代圭子を口説いていたが、正面の女が自分を直視していることに気付いた。「俺は何処かであの女に会ったことがある。あの女の目は俺の過去を知っている目だ」。

美容連合会会長・喜多川女史の部屋に忍び込んだ瀬木山は、室戸事務局長と密会する現場に出くわした。そこで彼はその様子をカメラに収め、会話をテープレコーダーに録音することにした。
建設中である新都心ビルのフロアには東京一モダンな美容室が開設することになっていたが、室戸はその情報を大学の後輩であるビルの責任者・滝川総務部長から逸早く手に入れ、すでに工作の準備を始めていた。室戸は勝利を確信していたが、喜多川は昔からのライバルである谷本美容学院の院長・谷本香子の動きを心配していた。美容室の目玉が必要だという喜多川の意見に、室戸はフランス帰りの若い美容師・筒見杏子を推薦した。

翌日、瀬木山はルビー美容室の杏子を訪ね、美容連合会と谷本美容学院が看板として彼女を必要としていることを明かした。杏子はその学院を卒業していなかったが、院長が彼女の美貌と若さに目をつけ、内密の命令を受けてやってきたというのだ。ところが杏子はその話を信用しなかった。彼女は瀬木山が詐欺師だと見抜いていたのだ。5年前、瀬木山はパリ美容師協会の免状をエサにして美容観光団を募り、旅の途中で資金を持ち逃げしたのだ。その後、杏子は単独でパリに渡って修行を積み、今では店を経営するまでになっていた。

瀬木山はアポなしで谷本美容学院に乗り込み、この学校がパリの美容界で注目されていることを院長室の香子に明かした。そして彼は、特派員としてではなく香子の一ファンとして新都心ビルへの進出を手助けしたいと切り出したのだ。ビルの責任者である滝川総務部長は大学時代に空手部で一緒に稽古した仲で、奴の弱みを握っているから頭を縦に振らせることは難しくないと胸を張った。すると香子の心は揺れた。たとえ新店舗を展開できたとしても、現場から10年程離れていた自分が腕を振るうことにためらいを感じていたのだ。そこで瀬木山は、フランス仕込の美容師がいたらどうするかと聞いた。そこへ入ってきたのは杏子だった。

学院の理事長である香子の夫は、杏子の父親だった。彼は杏子が生まれると妻を捨て、大金持ちの令嬢と再婚した。杏子は財産目当てだと言われることが嫌で誰にもこの話をしなかったが、学院を乗っ取るつもりでいる瀬木山の悪魔ぶりに魅かれて打ち明けたのだった。

屋台的映画館

哀しい気分でジョーク

  • posted at:2011-07-18
  • written by:砂月(すなつき)
かなしいきぶんでじょーく
松竹
配給:松竹
製作年:1985年
公開日:1985年4月26日 併映「時代屋の女房2」
監督:瀬川昌治
プロデューサー:佐々木孟
脚本:吉田剛
撮影:坂本典隆
音楽:いずみたく
主題歌:「哀しい気分でジョーク」ビートたけし&たけし軍団
美術:猪俣邦弘
録音:青木左吉
照明:八亀実
調音:小尾幸魚
技術:沼上精一
効果:高橋正雄
編集:太田和夫
助監督:福島孔道
製作担当:中沢宣明
製作主任:大堀誠
出演:ビートたけし 中井貴恵 柳沢慎吾 石倉三郎 川辺太一朗 
アメリカンビスタ カラー 108分

テレビやラジオで活躍するコメディアン・五十嵐洋は多忙な毎日を送っていた。連日朝帰りの生活を送り、家族を顧みない洋に愛想を尽かした妻は息子・健を残して逃げてしまった。現在は東京・麻布の高級マンションで息子と二人暮らしをしていたが、多忙なことを理由に面倒なことは全てマネージャーの谷善平に押し付けていた。そんな彼でも健に何かしてあげたいという気持ちはあった。いつものように朝帰りをすると健が食事の支度をしてくれたことで気を使い、洋は今日行われる父兄参観に出ると言った。善平との生活に慣れていた健が来なくていいよと言って学校に出かけようとしたそのとき、ふらついて壁にもたれたのだった。夜遊びするからだよと注意する洋に、健はパパとは違うよと言って元気に駆け出した。本来なら善平が参加する授業参観だったが、たまには父親らしさを見せようと洋はスケジュールを調整して出席した。何故なら授業のあとに親子コーラスがあるからだった。だが健には気掛かりなことがあった。いつも知らない歌を知ったかぶりして歌うからだ。いいところ見せようとしたが空回り。洋はこっそりと教室を抜け出すと次の仕事へ向かった。仕事を終えた洋に駆け寄った善平は、健が学校で倒れたことを伝えた。洋はコーラスの指揮棒を振ったことで疲れたんじゃないかと考えていたが、度々頭痛とめまいを訴えていたことで校医が病院で診察した方がいいと勧めたのだ。善平は事務所の紹介で病院へ行き脳の検査を行ったのだが、その結果について担当の医師が洋と話がしたいというのだ。

医師の診断によると健の病気は脳幹部脳腫瘍で、脳が圧迫されることで頭痛やめまいが起こるのだ。メスやレーザーを入れ辛い脳幹部の手術はとても困難であり命にかかわることから、洋は別の病院を当たるようにと言われた。そこで彼は撮影現場にプロダクションの佐川六助社長を呼び出すと、収録後に手早く話した。その内容とは、世界一うまい脳外科医を捜すこと、100万円の前借り、そして請け負う仕事は都内だけで地方と夜の仕事は一切お断りというものだった。事情を察した善平がもしやと詰め寄ると、洋は健が脳腫瘍で何もしなければ死んでしまうことを説明した。そして絶句するふたりに、健には絶対に知られないように演技しろと命じた。翌日、洋は健とともに城東大学附属病院を訪れ検査を行ったが、いい返事をもらうことが出来なかった。そこで診断書を手に伊坂脳クリニックで検査を行ったが、伊坂はここに書いてある通りだったと冷たい回答をした。そして治ることはないが薬物治療と塩分やストレスを下げることで現状維持の可能性があることを説明すると、洋は頭を下げて手術をしてくださいとお願いした。だが伊坂は成功の見込みがない手術は出来ないと断った。残された時間を親のあなたは黙って耐え、最後まで希望を失わずに充実した生活を与えてあげてくださいと言うと洋は怒って出て行ったが、伊坂はその背中に希望を失わないようにと言った。

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