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無宿者

  • posted at:2008-09-05
  • written by:砂月(すなつき)
むしゅくもの
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1964年
公開日:1964年8月8日 併映「悪名太鼓」
監督:三隅研次
企画:財前定生
脚本:星川清司
音楽:池野成
撮影:牧浦地志
録音:大谷巌
照明:古谷賢次
美術:内藤昭
編集:菅沼完二
装置:山本佐一郎
擬斗:宮内昌平
音響効果:倉嶋暢
助監督:西沢鋭治
製作主任:今村喬
現像:東洋現像所
出演:市川雷蔵 滝瑛子 坪内ミキ子 藤巻潤 安部徹
シネマスコープ カラー 88分

父の形見である赤鞘のドスを脇に差した一本松は黒木弥一郎のせいで貧乏くじを引いた。かつて武士だった弥一郎は食わんがために賭場を荒らし、一本松はそれに巻き込まれたのだ。二人は禿山の頂上に追い詰められ、弥一郎は怖さに震えた。それを見た一本松は、こうなりゃ暴れる以外に道はねえなと覚悟を決めた。だが漁師の娘・はるのおかげで命拾いをした一本松たちは、借りた馬を返すために矢切村の伍平を捜して北陸路を旅した。やがて村境にたどり着いた二人は何もない海を見つめ続ける少年に気付いた。一本松が話し掛けると、少年は三州屋にさらわれた父親が帰ってくるのを待っているんだと言った。その少年の案内で伍平に馬を届けた一本松は、なおもついて来ようとする弥一郎に「大方、疫病神の生まれ変わりだろう。叩き斬るぞ」と脅して追い払った。一本松は寂れた宿場にやってきたが、一文無しではどうしようもなかった。その様子を見て近付いてきたお勢以は、人足問屋の三州屋波蔵に世話になるように言った。彼女は波蔵の妹だった。客人として迎えられた一本松の最初の仕事は人足狩りだった。三州屋は佐渡金山の人足を世話していたが、重労働ということもあり中々人が集まらなかった。そこで借金をしているものから連れて行こうとしたが、波蔵の動きを察知した住民たちが村から逃げ出そうとしたのだ。その中にいたはるの父・儀十の話で、波蔵が二年前から急に羽振りが良くなり金山にまで関わるようになったことを知った一本松は、はるへの恩義を優先して三州屋に盾突くことにした。波蔵はお勢以を船問屋・島屋十兵衛の妾として差し出したことで権力を手に入れたのだった。

宿場役人に追われる弥一郎と鉢合わせした一本松は「疫病神め、今度は何をやらかしたんだ?」と吐き捨てた。五年前に笹子峠で御用金護送役六人のうち五人が惨殺された。黒木半兵衛の死体が見つからなかったことから、半兵衛に御用金四千両略奪の嫌疑を掛けた、そしてその半兵衛の行方を知っているとみて、子息の弥一郎を捕らえようとしたのだった。父の無実を訴える弥一郎の姿を見た一本松の顔が怒りで歪んだ。一本松は弥一郎を取り囲む役人たちの中に飛び込むと混乱に乗じて彼を連れ出したのだった。一本松の父赤鞘の源七は渡世仲間の間でも売れての名だった。御用金が略奪された日と同じ日に行方がわからなくなり、半年後に笹子峠で骨が見つかった。男を磨くための旅に出て二年ぶりに故郷の信州熊平に戻った一本松はそのとき初めて父の死を知った。それからは形見の赤鞘のドスを身につけ旅から旅の長い日々を送ったのだった。弥一郎を連れ出した一本松は源七の仇を取るために半兵衛の居場所を聞き出そうとしたが、何処にいるかわからないの一点張りだった。もしそれが本当ならば父を捜し出して汚名を濯ぎたいと弥一郎が言ったため、一本松はひとまず剣を納めることにしたが、疑いが晴れたわけではなかった。三州屋波蔵が威勢づくようになったのは、二年程前に島屋十兵衛が来てからだった。それが半兵衛の仮の姿であれば説明がつくと一本松は考えていた。そこで彼は弥一郎と島屋へ行き、十兵衛の顔を確認することにした。

屋台的映画館
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霧笛が俺を呼んでいる

  • posted at:2007-12-29
  • written by:砂月(すなつき)
むてきがおれをよんでいる
日活
配給:日活
製作年:1960年
公開日:1960年7月9日
監督:山崎徳次郎
脚本:熊井啓
企画:水の江滝子
撮影:姫田真佐久
音楽:山本直純
主題歌:「霧笛が俺を呼んでいる」赤木圭一郎
美術:木村威夫
照明:岩木保夫
録音:橋本文雄
編集:鈴木晄
助監督:鍛冶昇
色彩計測:安藤庄平
現像:東洋現像所
製作主任:亀井欽一
技斗:峰三平
出演:赤木圭一郎 芦川いづみ 葉山良二 西村晃 吉永小百合
シネマスコープ カラー 80分

横浜港に停泊しているすずらん丸がエンジンの故障で出航を一週間延期したため、二等航海士の杉敬一は陸へ上ることにした。通りがかったトラックを停めた敬一は、運転手から船乗り相手に商売をするバー・35ノットという店を紹介された。おとなしく飲んでいた敬一だったが、店のマダム・サリーを巡って始まった乱闘騒ぎに巻き込まれてしまった。彼らは駆けつけた警官に取り押さえられ、警察に連行された。事情聴取を受けた敬一が氏名と保証人の名前を告げると、立ち会っていた刑事の態度が変わった。その様子に気付いた敬一は何か知っているのではないかと尋ねたが、彼は話を逸らした。

この街には敬一の保証人で友人でもある浜崎守雄が住んでいるはずだったが、最近になって手紙を出しても戻って来るようになった。新しい住所へ越した可能性があることから、彼は寄港したついでにその友人を探そうと考えていた。翌日、横浜荘を訪ねた敬一は管理人から守雄が半年ほど前に自殺したと聞かされてショックを受けた。警察が発表した死因は神経衰弱による自殺だった。敬一は、守雄が浮いていたという東防波堤の端へ行ってみることにした。防波堤で物思いに耽る敬一のところへやってきたのは、守雄の妻・美也子だった。守雄が死んだ突堤に行って若い男に会ってみるようにという電話が宿泊しているホテルに掛かり、美也子は不審に思いながらも指示に従ったのだ。電話の主はわからなかったが、美也子は誰かに追われている気がしていた。

美也子の話で守雄の妹・ゆき子が横浜の病院に入院していることを知った敬一は、早速見舞うことにした。ゆき子は兄の死についてどうしても腑に落ちないことがあると敬一に言った。守雄は死ぬ二日前に見舞いに来たが、経過が良好だからあと二週間くらいで立てるだろうという話を担当の医師から聞くと涙を流して喜んだ。その兄が黙って死ぬはずがなく、誰かに殺されたのではないかとゆき子は言った。

屋台的映画館

無能の人

  • posted at:2005-01-31
  • written by:砂月(すなつき)
むのうのひと
ケイエスエス=松竹第一興行
配給:松竹富士
製作年:1991年
公開日:1991年11月2日
監督:竹中直人
総合プロデュース:奥山和由
製作:中沢敏明 関根正明
企画:中川好久
プロデューサー:市山尚三 吉田浩二
原作:つげ義春
脚本:丸内敏治
撮影:佐々木原保志
音楽:GONTITI
照明:安河内央之
録音:北村峰晴
美術:斎藤岩男
編集:奥原好幸
助監督:松本泰生
製作担当:高橋憲行
出演:竹中直人 風吹ジュン 三東康太郎 山口美也子 マルセ太郎
アメリカンビスタ カラー 107分

雨の降る夜、助川助三は妻・モモ子に散髪して貰いながらあることを思い巡らせていた。無限に生えてくる髪の毛を捨ててしまうのはもったいない。全人類の髪を有効に生かし、ガンや痔の特効薬となるような発見をしたら大金持ちになれるのに。そう考えるとむやみに髪を捨てることが出来ず、助三はいつものようにポリ袋の中に入れて大事に保管した。彼はいつも散歩に行く川原の石も同様に考えていた。この石くれを金にすることが出来たら。だが名案は浮かばなかった。近所の古本屋・暗原書店を訪れた助三は、石を扱った専門書に目が釘付けになった。初めて石が美術品並に売買されていることを知った助三は、モモ子とすったもんだした挙句、河原に石屋を開店させたのだ。

かつて漫画家として名を成した助三は人気の低下を危惧して古物業、中古カメラ業など数々の商売に手を出した。だが時流に乗れずに失敗したのだ。今では翌年小学校に入る一人息子の三助を連れて団地を回るモモ子のチラシ配りだけが唯一の収入源だった。そこで新たに事業を起こそうとした助三だったが、河原で拾った石を口上を付けて売ってみても、河原の石でしかなかった。石ブームは既に過ぎ去っていたこともあり、書店の主人・暗原は石よりも漫画を売った方がいいと助言するが、助三は石商売にこだわった。数日後、専門誌に石のオークションが近々開かれることを知り、助三は早速主催者の石山石雲と連絡を取った。そのことをモモ子に話したが、場所代が1万円も掛かるイベントへの出席を許すはずがなかった。

翌日、石雲宅を訪れた助三は、多摩川下流で見つかった水溜石に10万円の高値が付いた話を聞き益々興味が湧いた。その帰り道、石雲の弟子・山川軽石は助三に愚痴を漏らした。実はあの家にある石は全て業者から委託されたものばかりで、預かった石を石雲の顔で金持ちに販売していたのだが、ピンハネした上に支払いはルーズ。業者は倒産の一歩手前を歩いていた。だが石雲が業界の草分け的存在だったため、文句を言うことが出来なかったのだ。助三は怖くなって逃げ出したが、軽石に捕まり話の続きを聞くことになった。

熱い眼差しで助三を見ていた石雲の妻・たつ子の尻の軽さは業界でも有名で、しくじって追放された者が数多くいた。その原因は酒の飲み過ぎで不能になった石雲にあった。たつ子は甲州にある湯屋の女房だったが、探石に現れた石雲がかっさらって行ったのだ。そしてそのかっさらわれた方の亭主が軽石だった。妻を取り返すために石雲宅を訪れた軽石は石の指導をされた。湯屋を悪徳業者に乗っ取られて収入源を失った軽石は、石で食えるようになるまではと我慢して言い成りになっていたのだ。

オークションまで半月を切ったある日、久しぶりに漫画の仕事が舞い込んで来たがそれどころではないと助三は断わってしまった。その様子を見ていたモモ子は、同じ貧乏なら漫画を描いている方がよかったと冷たく言い放った。思い悩む助三は仕事で使っていた机を見つめ、昔の二人の姿を懐かしく思い出していた。

屋台的映画館

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