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透明天狗

  • posted at:2015-06-01
  • written by:砂月(すなつき)
とうめいてんぐ
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1960年
公開日:1960年3月1日 併映「銭形平次捕物控 美人蜘蛛」
監督:弘津三男
製作:三浦信夫
企画:浅井昭三郎
脚本:吉田哲郎
撮影:牧浦地志
録音:奥村雅弘
照明:斉藤良彰
美術:上里義三
音楽:渡辺岳夫
編集:伊藤嘉英
装置:本島陽三
技闘:宮内昌平
助監督:多田英憲
特殊撮影:森田富士郎
製作主任:田辺満
出演:中村豊 近藤美恵子 島田竜三 真城千都世 綾英美子
シネマスコープ モノクロ 73分

浪人松平新八郎が住む町の番所に佐々木昌之助と妹の八重が越してきて十日が経っていた。新八郎と昌之助は半年前に御徒町の道場で知り合って以来、親友で好敵手となった。にも拘らず今頃になって二人が顔を合わせたのは新八郎が留守にすることが多かったからだ。そんな手の焼ける彼の面倒を見ているのは目明し清吉の娘お仙だった。新八郎に恋心を抱くお仙は、美人で器量の良い八重が近くに越してきたことで余計な気をもんだ。

その夜、清吉が下っ引の金六と銀八を引き連れて見廻りに出掛けると、お仙は巻き寿司を詰めた重箱を持って隣に住む新八郎を訪ねた。だが留守だったため番所に向かうと新八郎は昌之助たちと談笑していた。昌之助は一緒に遊んで行きなさいと引き留めるが、お仙は気を遣って帰って行った。新八郎は差し入れを食べようと重箱を開けるが、昌之助は時間だからと見廻りに出掛けて行った。その同じ頃、人気のない木場の辺りを清吉たちが見廻っていたところ、何処からか清吉の名を呼ぶ声が聞こえた。だが声はすれどもその姿は見えなかった。聞きたいことがあると男の声は問い掛けるが、突然襟元を掴まれ恐怖に怯える清吉は逃げることしか考えることが出来ず、体が当たった拍子に立て掛けてあった材木が倒れてその下敷きになった。大変なことになったと金六たちはお仙を呼びに行き、番所に帰ってきた昌之助たちと事故があった場所へ向かった。すると清吉の亡骸の傍に新八郎がいた。

それから数日後、北町奉行与力権堂兵之進が大目付松平備中守を訪ねて千代田城にやってきた。城番はその兵之進が口を動かさずにしゃべり足を動かさずに進んで行く様を見て茫然とした。城内が騒然となり備中守が何事かと出てくると、姿のない声はこの死体を引出物として持参したから受け取れと言った。そして自身を透明天狗と名乗り、兵之進の死は身に覚えのある方々にやがてわかるはずだと言って去った。

伯父である備中守の屋敷を訪ねた新八郎は透明天狗から殺害予告が届いていることを知り驚いた。備中守は一年前に一万両もの公金費消の咎で勘定奉行の青江武太夫に切腹を申しつけた。その根拠となったのは勘定吟味役根来重四郎の検めにより年貢取立帳に不正が見受けられたことだった。交易船が南蛮に向けて出帆する際に武太夫は関係筋に働きかけて子息の数馬を強引に随行の一人に加えさせたが、その際に相手の業者と何度も会議を重ねていた。しかも数馬が旅先で行方不明になったことから、密貿易の相手の手に一万両が渡ったのではないかという疑いを掛けられたのだ。新八郎が裁きに拘った人物について尋ねると、備中守は兵之進と重四郎の他に勘定奉行阿部山城守がいると言った。そして兵之進の手下である清吉は武太夫が南蛮業者と繋がりのあった人物の聞き込みに当たっていた。その裁きに間違いはなかったのかと新八郎が尋ねるが備中守は正しい裁きだったと胸を張った。

屋台的映画館
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飛び出す立体映画 イナズマン

  • posted at:2015-05-05
  • written by:砂月(すなつき)
とびだすりったいえいがいなずまん
東映
配給:東映
製作年:1974年
公開日:1974年3月16日 併映「きかんしゃやえもん D51の大冒険」「マジンガーZ対ドクターヘル」「仮面ライダーX」「ミラクル少女リミットちゃん」「キューティーハニー」
監督:山田稔
企画:平山亨 加藤貢
原作:石森章太郎
脚本:高久進
音楽:渡辺宙明
演奏:あんだんて
主題歌:「戦えイナズマン」子門真人
・・・:「チェスト!チェスト!イナズマン」水木一郎
撮影:原秀夫
録音:太田克己
照明:竹山隆
美術:山上豊
編集:武中昭世
効果:秋山実
記録:西村達子
美粧:佐々木亮子
助監督:前川洋之
進行主任:古泉雅
技斗:高橋一俊
トランポリン:佐藤巧
装置:阿部幸夫
制作担当:伊藤暉雄
特撮:田中丈之助 篠原征夫 佐藤浩 八木功
立体技術指導:小西昌三
協力:東京映像企画 プロダクション・ショット
キャラクター制作:エキスプロダクション
仕上制作:映広音響
衣裳:東京衣裳
現像:東映化学
出演:伴直弥 斉藤浩子 長沢大 永谷悟一 松本初代
アメリカンビスタ カラー 33分

新人類帝国ファントム軍団の帝王バンバは最後の決斗を行うべく渡五郎に挑戦状を送りつけた。帝王バンバは超能力を持つ者(ミュータント)を新人類と定め、超能力を持たない旧人類を一掃して新たな世界を創造しようと試みた。だがそれに抵抗する彼や少年同盟、そしてその協力者たちの活躍により組織は弱体化していた。そこで帝王バンバは三浦海岸に五郎を呼び出し一気にケリをつけようと考えたのだった。人類の平和と幸せのために五郎は挑戦に応じることにした。午後零時、岩場に立つ彼の背後に現れたのはかつて倒したミュータンロボット軍団だった。14体のミュータンロボットに取り囲まれた五郎は「ゴーリキショーライ!」の掛け声とともにサナギマンに変身した。怪力と頑丈な体躯を持つサナギマンはミュータンロボットに取り囲まれるとひたすら耐えた。だがそれは次なる進化への準備段階だった。エネルギーを充填しイナズマンへと変身すると必殺技を繰り出し次々と倒して行ったが、そこへ予期せぬミサイルが飛来し辺りは火の海と化した。生き残ったイシバンバラ、カゼバンバラ、キリバンバラの3体はイナズマンの仲間による援護射撃だと思って逃げたが、五郎には心当たりがなかった。

万能戦闘車・ライジン号で走行していた五郎は道路の真ん中で立ち尽くすミチルという不思議な少女と出会った。危ないよと注意すると、空を見上げていた彼女は飛行機が落ちると呟いた。驚いた五郎が詳しく尋ねると、ミチルは九州の仕事から帰ってくる父親が乗った飛行機が墜落すると言った。その直後、上空を飛ぶ旅客機から突然炎が上がり墜落した機体は山に激突した。その情報は帝王バンバにも伝わっていたが、そのような命令を出した覚えはなかった。基地に戻ってきたイシバンバラを問い詰めるが彼にもその理由はわからなかった。すると反乱を起こしたファントム兵士によって拉致され廃墟へ連れて行かれたが、そこで待っていたのは新たに結成された新人類組織・デスパー軍団のミサイルデスパーだった。彼は内蔵されたミサイルを見せつけ、命が欲しければ必ずイナズマンを倒せと命じた。するとプライドが許さない帝王バンバはお前の指図など受けんと怒って去ったが、それは漁夫の利を狙うミサイルデスパーの作戦だった。

屋台的映画館

トラック野郎 天下御免

  • posted at:2014-09-03
  • written by:砂月(すなつき)
とらっくやろうてんかごめん
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1976年
公開日:1976年12月25日 併映「河内のオッサンの唄 よう来たのワレ」
監督:鈴木則文
企画:天尾完次 高村賢治
脚本:鈴木則文 中島信昭
撮影:仲沢半次郎
録音:広上益弘
照明:梅谷茂
美術:桑名忠之
編集:鈴木宏始
助監督:深町秀熙 澤井信一郎
記録:山内康代
擬斗:日尾孝司
スチール:加藤光男
製作進行:東和杜
装置:安沢重治
装飾:田島俊英
美粧:住吉久良蔵
美容:花沢久子
衣裳:河合啓一
演技事務:石川通生
現像:東映化学
音楽:木下忠司
主題歌:「一番星ブルース」菅原文太 愛川欽也
挿入歌:「夜のひとりごと」由美かおる
企画協力:(株)カントリー
協力:ホテル奥道後 愛媛阪神フェリー 哥麿会 (有)由加丸 MOT・BOULE(株式会社モ・ブル) 
出演:菅原文太 愛川欽也 由美かおる 松原智恵子 春川ますみ
シネマスコープ カラー 105分

ハマチの餌になる冷凍ホッケを北海道・釧路から愛媛・宇和島まで運んだ一番星こと星桃次郎とやもめのジョナサンこと松下金造。二人は伊予みかんに荷を積み替ると家路を急いだが、桃次郎はその途中で高松へ行くという二人の女子大生を拾ったことでルートを変更した。やましいことを考えていた桃次郎は、用を足したくなった大塚いく子と四国霊場の巡礼所のトイレに駆け込んだが、そこで偶然出会ったお遍路さんに一目惚れした。だがいく子とドタバタしているうちに見失ってしまった。彼女は我妻和歌子といい、母・久江とともに巡礼の旅をしていた。そんなことがあったとは知らない金造は、和歌子たちをトラックに乗せて巡礼の手伝いをした。

倉敷にある馴染みのドライブイン・かざぐるまに金造が立ち寄ると、そこの主人の亀頭黒光と妻の姫代が今日こそ返事を聞かせて欲しいと言った。二人には子供がないことから、金造の三女・サヤ子を養子として迎えたいというのだ。だがその申し出を彼は頑として断わった。生活が苦しい金造には10人の子供がいるが、サヤ子はその中でもおっとりしていることが気掛かりでならなかった。川崎の自宅に帰ると、姫代が電話で泣きついてきたことを妻・君江の話で知った。子供はいつか親の手を離れて行くものだし早くお嫁に出したと思えばいいと君江は説得した。それを聞いて一度は考え直したものの、金造はやはりダメだと反対した。ある日、金造が桃次郎とかざぐるまに立ち寄ると、豪勢な鯛の御頭付き定食が無料で振舞われた。黒光にお祝いの言葉を促され戸惑う金造。視線の先には君代ときれいに着飾ったサヤ子の姿があり、彼は唖然とした。我を忘れて怒鳴り散らす金造に君代はやさしく語り掛けた。悔しさはあるが、サヤ子の幸せを考えるともう同意するしかなかった。

宇和島のコリーダと呼ばれる須田勘太は、目をつけたデコトラに勝負を仕掛け、負けた相手の名行灯を情け容赦なくぶんどるという荒くれ者だった。その彼が次に目をつけたのが一番星号だった。コースは水島三号埋立地間の往復50キロ、そこは警察のマークが甘い幹線道路だった。レースは激しいデッドヒートとなり、やがて地獄止ドクロ標識が近づいてきた。そこを折り返すと桃次郎が先頭に立ったが、道路脇から妊婦が飛び出し慌ててブレーキを掛けた。陣痛が始まった彼女を手助けするために産婆を呼んだ桃次郎は湯を沸かして新しい命の誕生を待った。しばらくしてトラックの運転席からは元気な赤ん坊の声が響いた。かざぐるまに彼女を連れて行くと、どんな事情があるかは知らないが気兼ねせずにうちにいなさいと姫代は言った。桃次郎は妊婦を助けた代償として名行灯を失った。

屋台的映画館

トラック野郎 望郷一番星

  • posted at:2014-06-02
  • written by:砂月(すなつき)
とらっくやろうぼうきょういちばんぼし
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1976年
公開日:1976年8月7日 併映「武闘拳 猛虎激殺!」
監督:鈴木則文
企画:天尾完次 高村賢治
脚本:野上龍雄 澤井信一郎
撮影:飯村雅彦
録音:井上賢三
照明:小林芳雄
美術:桑名忠之
編集:鈴木宏始
助監督:澤井信一郎 馬場昭格
記録:勝原繁子
擬斗:日尾孝司
スチール:遠藤努
進行主任:東一盛
装置:小早川一
装飾:酒井喬二
美粧:住吉久良蔵
美容:花沢久子
衣裳:福崎精吾
演技事務:山田光男
運転指導:梅沢英泰 小原隆夫
現像:東映化学
音楽:菊池俊輔
主題歌:「一番星ブルース」菅原文太 愛川欽也
挿入歌:「トラック音頭」菅原文太 愛川欽也
企画協力:(株)カントリー
協力:郵船フェリー 近海郵船(株) (株)ローヤル・ペップボーイオートセンター宇都宮店 ニットータイヤ 松川運輸(株) 阿寒・ホテル市川 デコレーション・トラックグループ哥麿会 稗田牧場 伊藤牧場
出演:菅原文太 愛川欽也 島田陽子 春川ますみ 土田早苗
アメリカンビスタ カラー 100分

九州からの積荷を自慢の愛車で北海道へ運ぶ一番星こと星桃次郎とやもめのジョナサンこと松下金造。二人はカーフェリーの出航までの時間を潰すために、川崎にある金造の自宅で昼食をとることにした。お土産のメロンに大喜びして飛びつく子供たちに金造が目を細めていると、長男の幸之助が下宿したいと言っていることを妻の君江が明かした。高校受験が来年に迫っているため、落ち着いて勉強をしたいというのだ。それもそのはず、松下家では八畳一間に妻と9人の子供たちが暮らしていた。ついでとばかりに君江がこんなのどうかしらと不動産の新聞広告を金造の前で広げると、彼はまじまじと眺め考え込んだ。

釧路へ向かうカーフェリーの中で、桃次郎は今にも海に飛び込もうとしている美女を助けた。3万円の入った財布を落としたという彼女に、桃次郎は礼はいらねえから取っとけよと同額を渡した。すると美女は命の洗濯をさせて欲しいと言った。その頃、金造はフェリーのラウンジでボーイのアルバイトをしていた。マイホーム購入という目標を立てたことで、少しの時間も惜しんで働くことに決めたのだ。その夜、桃次郎はラウンジで美女を今か今かと待っていたが、一向に現れる気配はなかった。それもそのはず、詐欺師の加山と組んだ美女に金を騙し取られていたのだ。そうとは知らない桃次郎は焦りから冷静さを失っていたが、そこへ現れた三上亜希子という女性に一目惚れした。それ以来、彼女のことが頭から離れなくなると、網走の市場に着いてからも亜希子がいる霞ヶ関に戻ろうと言い出す始末だった。涼しい北海道で稼ごうと言い出したのは桃次郎の方だったため、金造はなんとか思い止まらせて釧路の漁港へ向かった。そこでは大量のスケトウダラが陸揚げされており、これは荷がありそうだと二人は喜んだ。そのときダンプから下ろされた魚によって桃次郎たちは頭から埋もれてしまった。頭に来た彼らが運転手に悪態をつくと、運転席から降りてきたのは浜村涼子という男勝りの女性だった。この事件はたちまち漁港中に広がり皆震え上がった。その夜、稚内から帰って来たカムチャッカ丸こと大熊田太郎次郎左衛門が港食堂・はきだめの鶴に乗り込んできた。大熊田は涼子に心底惚れ込んでおり、彼女に関わった者は大ケガでは済まなくなるのだ。食事をしていた桃次郎たちはそれどころではなくなり、ケンカを買った。だがそこに水産会社の社長が現れたことで中断した。遅れて入港した漁船の鮮魚40トンを札幌での競りに間に合わせないと会社が倒産してしまうというのだ。礼金を弾むというが、誰も首を縦に振ろうとはしなかった。何故なら札幌まで8時間かかるにもかかわらず競りの開始まで6時間しかなかったのだ。黙って聞いていた桃次郎は、俺がやると言った。すると大熊田も話に乗った。勝負は20トンずつ荷を受け持ち、運賃は勝者のものになる。大熊田は、負けたらきれいさっぱり北海道から出て行けと桃次郎に言った。

屋台的映画館

ドカベン(1977年 鈴木則文監督)

  • posted at:2014-05-10
  • written by:砂月(すなつき)
どかべん
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1977年
公開日:1977年4月29日 併映「恐竜怪鳥の伝説」「池沢さとしと世界のスーパーカー」
監督:鈴木則文
企画:太田浩児
原作:水島新司
脚本:掛札昌祐
撮影:出先哲也
録音:宗方弘好
照明:川崎保之丞
美術:藤田博
編集:田中修
助監督:森光正
記録:宮本衣子
擬斗:日尾孝司
柔道指導:池内憲二
スチール:加藤光男
進行主任:志村一治
装置:五十嵐靖治
装飾:住吉久良蔵
美粧:宮島孝子
美容:福原精吾
衣裳:石原啓二
演技事務:
現像:東映化学
音楽:菊池俊輔
主題歌:「がんばれドカベン」こおろぎ'73
・・・:「ああ青春よいつまでも」こおろぎ'73
協力:ナイル野球用品 株式会社鷺宮製作所 週刊少年チャンピオン
出演:橋本三智弘 永島敏行 高品正広 山本由香利 渡辺麻由美
シネマスコープ カラー 84分

私立明訓高校の校門付近では早朝から騒動が起きていた。まともに勝負しては太刀打ち出来ない運動部が一致団結して、2メートルはあろうかという大柄な男子生徒の岩鬼正美を叩きのめそうとしていたのだ。そんなことも知らずにそこへ駆け込んで来たのはずんぐりむっくりな転校生で、岩鬼とぶつかったにも関わらずビクともしなかった。転校生は、はずみで落とした鞄が岩鬼に踏んづけられているのを見て「あっ、弁当」と思わず漏らしてしまった。それを聞いた岩鬼は、自分がコケにされていると思い込み殴りかかった。だが転校生はひょいと交わすと、失礼しますと挨拶して立ち去った。転校生の名は山田太郎といい、岩鬼と同じクラスだった。昼休みの時間となり、山田が弁当を広げるのを見て岩鬼は驚愕した。30センチ四方はありそうな自分の弁当箱より一回り大きいのだ。何でも自分が一番でなければ気が済まない岩鬼は、帰りにグランドへ来いと怒鳴りつけた。

岩鬼が山田との決闘の場所に選んだのは、野球の練習場だった。部員たちが練習出来ずに困っているところへやってきたキャプテンでエースの長島徹は、岩鬼がピッチャーズプレートを下駄で踏んでいることに怒り、出て行けとぶん殴った。騒ぎを知って走ってきた山田は、脱いだ制服の上着でプレートを丁寧に拭き、決闘騒ぎを起こしたのは自分のせいだから許してくださいと頭を下げた。一方、怒りの収まらない岩鬼は拳で勝負をつけようとしたが、そばで見ていたソフトボール部キャプテンの朝日奈麗子は野球で勝負をつけるのがいいのではないかと提案した。そんな馬鹿馬鹿しい球遊びにつきあってられるかと呆れる岩鬼だったが、大好きな夏子が麗子に賛同したことであっさりと了承した。ルールは長島が岩鬼と山田に3球ずつ投げ1球でも打てた方か勝ち、というものだった。岩鬼、山田ともに空振りの三振だったが、長島は山田のスイングに異様さを感じていた。全ての球種をストレートで投げ込んだのだが、ボールは山田のスイング後にドロップのような変化をした。しかも彼は木のバットではなく、鉛入りのマスコットバットを使っていたのだ。後日、山田に不意打ちをかけてボールを投げた。そのときに見せた野球で培われたとしか思えない身体能力を見抜いた長島は、俺の球を受けてくれと言ってキャッチャーミットを渡した。現在の野球部には長島の変化球を捕ることが出来るキャッチャーがいないのだ。だが山田は野球は出来ないと断わった。

長島から野球部への勧誘を受けた山田だったが、彼はそれどころではなかった。明訓高校には弱小の柔道部があり、主将のわびすけから部の立て直しを先に頼まれていたのだ。山田は部員にならない代わりに、レスリング部からスカウトを受けた丹下を連れ戻すと約束したが、そのことを知った岩鬼が先回りしたことで話がややこしくなり、丹下は重傷を負った。責任を感じた山田は、まず他の運動部の物置と化している部室の片づけから始め、破れた畳を長屋に持ち帰った。山田の実家は畳屋で、畳職人の祖父と妹のサチ子との三人暮しだった。祖父譲りの技術で畳の修復を終えると柔道部に入部した。

屋台的映画館

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