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1999年の夏休み

  • posted at:2015-03-22
  • written by:砂月(すなつき)
せんきゅうひゃくきゅうじゅうきゅうねんのなつやすみ
ニュー・センチュリー・プロデューサーズ=SME=ビジュアルワークス
配給:松竹
製作年:1988年
公開日:1988年3月26日
監督:金子修介
製作:岡田裕 岸栄司
プロデューサー:成田尚哉 肥田光久
脚本:岸田理生
撮影:高間賢治
照明:安河内央之
録音:神保小四郎
美術:山口修
編集:冨田功
助監督:栃原広昭
製作主任:瀬田素
キャスティング:碓井義徳
出演:宮島依里 大寶智子 中野みゆき 水原里絵
アメリカンビスタ カラー 90分

自然に囲まれた小高い丘に建つ全寮制の学院では美しい少年たちが共同生活を送っている。春の満月の夜、悠という名の少年は寮を抜け出すと湖に身を投げた。

夏休みに入るとほとんどの生徒は家に帰って行ったが、和彦、直人、則夫の帰るところのない三人はガランとした学院に残った。食事当番の則夫は和彦が卵を苦手にしているのを知っていたが、作れる料理がオムレツしかないため朝食にそれを出した。彼が不機嫌そうな顔をしているのはきっとそのせいだと則夫は思っていたが、和彦は以前から悠のことばかり考えていたのだ。そのことを直人には打ち明けていたが則夫には黙っていた。教室で自習をしていると窓から蜂が入ってきた。則夫が怖いと言ってしゃがみ込むと和彦は本で叩き落とし靴で踏みつけた。それを見た則夫は可哀想じゃないかと言った。それは彼を心配しての行動だったが、嫌いだからといって殺さなくてもいいだろうと言われショックを受けた。「君が殺したんだ」。その言葉は蜂だけのことを意味しているわけではなかった。

和彦は悠ととても仲が良かった。悠の和彦に対する友情はいつしかほのかな愛情に変化しており、心が苦しいと打ち明けたところもう話したりしない方がいいと言われた。その後手紙を出したが気持ちが変わらないことがわかったため気持ちを固めたのだった。和彦は大事にしまっておいた悠からの手紙を机の引き出しから取り出すと、これが僕の返事だと言って湖に投げ込んだ。すると彼の後ろに悠が立っていた。

和彦は悠が生き返ったのかと思ったがそうではなかった。彼は薫という名の転入生で、家庭の事情で追いやられ夏休みにも拘らずやってきたのだという。容姿が悠と瓜二つの薫を見て驚いたのは他の二人も同じだった。薫は空いている部屋の中から人の気配のない雰囲気を好んで選んだが、そこは偶然にも悠が住んでいた部屋だった。

屋台的映画館
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青春ばかちん料理塾

  • posted at:2013-08-28
  • written by:砂月(すなつき)
せいしゅんばかちんりょうりじゅく
「青春ばかちん料理塾」「17才」製作委員会(東映=アップフロントエージェンシー=テレビ東京=テレビ東京ミュージック=講談社)
配給:東映
製作年:2003年
公開日:2003年9月13日 併映「17才」
監督:斎藤郁宏
製作:山崎直樹
エグゼクティブプロデューサー:横溝重雄 川口勇吉 山本茂之 木綿克己 沼部俊夫 工冨保
プロデューサー:せんのともつぐ
企画:黒木照美 瀬戸由紀夫
企画協力:POP CREATES 寺井禎浩 飯田寛 高橋じゅん 木村ことり友宣
原案:つんく♂
脚本:安藤理恵 大原豊
音楽:原田末秋
主題歌:「スクランブル」後藤真希
劇中歌:「ラップ・クッキングレシピ」グッチ裕三
・・・:「ザ・試食タイム」グッチ裕三
技術プロデューサー:岡本隆嗣
美術プロデューサー:永田勝明
ラインプロデューサー:斎藤英一
宣伝プロデューサー:稲本千香
編集プロデューサー:鈴木仁行
撮影:鈴木富夫
映像:松田年世
照明:海保栄吉
録音:和久井良治
編集:本郷禎一
オフライン編集:伊野重幸
選曲:辻田昇司
音響効果:下城義行
美術:吉見邦弘
装飾:日塔章
操演:中山信男
衣裳:金子光浩
メイク:上村祐子
持道具:毛塚早苗
助監督:白根敬造 遠藤健一
スクリプター:中村恵津子
製作担当:坂口智久
製作主任:咲山翔
製作協力:せいさく者
出演:後藤真希 谷啓 斉藤慶子 茅島成美 黄川田将也
ヨーロピアンビスタ カラー 68分

女子高生の小暮瞳は、テストの答案用紙を全て白紙で出したことで担任の内田聡子に呼び出された。その理由を問われた瞳は、授業でここが出ると範囲を指定した問題がテストで出題され、それで優劣を決めることに意味はないと指摘した。するとそれを聞いた聡子は、決められたことに従えないのなら学校を辞めてもらうしかないと教師の常套手段である脅しに出たのだった。瞳がわかりましたと答えたため、聡子は彼女が反省したのだと思い安堵したが、次の言葉を聞いて唖然とした。「それじゃあ、あたし学校を辞めます」。お世話になりましたと言い残すと瞳はスタスタと学校を後にしたのだった。晴れやかに帰って来た瞳に、総菜屋を営む母・久美子はこれからどうするつもりなのと聞いた。娘のハッとした顔を見て久美子はあきれた。またいつものように後先考えずに暴走したのだ。考え直させようとした久美子は、友達と話が合わなくなって一人ぼっちになると脅したが、瞳は友達なら学校だけでなく別にいるから心配ないと笑った。瞳にはあゆみという同じ世代のメル友がいた。天真爛漫な彼女も本心を打ち明けられるのは、顔も本名も知らないあゆみだけなのだ。メールを送信するとしばらくして返事があり、将来のことで悩んでいるあゆみが料理教室に通うことを知った。楽しそうだし友達がたくさん出来そうだというその話に興味を持った瞳は何処の料理教室なのかと尋ねた。するとあゆみは池袋にある武蔵野調理師専門学校の料理教室の和食コースだと答えた。「あゆみちゃんと同じ空気を吸うのもいいかも」。瞳も料理教室に通うことに決めた。

警備会社の主任・関根銀三は元女子高生からのメールに戸惑っていた。メル友が欲しかっただけの中年九州男児は、そのままでは相手にされないことがわかっていたため女子高生になりすましていたのだ。唯一のメル友が同じ料理教室に通いたいと思っていることを知った銀三は、メル友の関係を続けるために会わないでいようと動揺しながらメールを送信した。何も知らない瞳は、お互いのイメージを壊さないためだと思い彼女の考えを理解した。翌日、銀三は料理教室の申し込みに行った。ところが希望していた和食コースの募集が定員に達したことで締め切られたのだ。動物性の脂が苦手な銀三は何とかして欲しいと受付の女性に泣きついたが、イタリアンコースならお腹に優しいオリーブオイルだし若い女の子にも持てると言われあっさり変更した。その後に来た瞳はフレンチコースを希望していたが、定員に達していたことでイタリアンコースを勧められた。あゆみが通う和食コース以外なら何処でもいいと考えていた瞳はイタリアンに変更した。歌って踊れる名物講師・ドルチェ坂井が教えるイタリアンコースが始まり、課題の料理を作るためのグループ分けが行われた。瞳のグループは、元国際線客室乗務員の千葉清美、穏やかな老紳士・中条英太郎、そして銀三だった。

屋台的映画館

セックス・チェック 第二の性

  • posted at:2011-09-17
  • written by:砂月(すなつき)
せっくすちぇっくだいにのせい
大映
配給:大映
製作年:1968年
公開日:1968年6月1日
監督:増村保造
原作:寺内大吉
脚本:池田一朗
企画:関幸輔
撮影:喜多崎晃
音楽:山内正
美術:下河原友雄
照明:伊藤幸夫
録音:飛田喜美雄
編集:中静達治
助監督:崎山周
製作主任:渡辺俊策
現像:東京現像所
出演:安田道代 緒形拳 小川真由美 内田朝雄 滝田裕介
シネマスコープ カラー 89分

木下電気では女子工員の選考に原専務が関わり、陸上競技に参加できる人を優先的に採用した。もしも陸上部の中からオリンピック選手が誕生すれば、必然的に木下の名が世界中に知れ渡ることになるからだ。ただ、そうなるためには優秀なコーチが必要だった。そこで原は日本スポーツ連盟に顔が利く元陸上選手で社内医の峰重正雄にコーチの選任を任せた。峰重は選手時代の同期で名スプリンターの宮路司郎を推薦した。

宮路はすっかり落ちぶれていたが、彼の人生を狂わせたのは昭和14年の春に行われたアメリカ遠征の際、カーターというコーチに言われた言葉だった。「記録の壁は人間の力では破れない。破りたければ獣になれ。狼になれ」。宮路がその言葉を実行した矢先に日本は戦争に突入した。獣となった宮路は大陸の戦場を駆け抜け、銃剣で敵を刺し殺し、女を犯した。復員してからは先輩や仲間に嫌われ、連盟から除名された。その後は本能の赴くままに生き、今ではホステスのヒモとなっていた。宮路は峰重にとって大学時代以来の憧れの存在だった。そこで峰重は彼を救いたいという一心でコーチに誘ったのだ。しかし宮路は屑を指導するのは嫌だと突っぱねた。それでも諦めきれない峰重は、自宅へ招き入れて接待した。

翌日、診療所に現れた宮路の姿を見て峰重は喜んだ。ところが宮路の口から出た言葉に峰重は驚きを隠せなかった。彼は峰重の幸せを妬み、妻・彰子を強姦したというのだ。峰重はもう二度と顔を見たくないと静かに言った。部屋から追い出された宮路は、体育館でコーチに反抗的な態度を取るバスケットボール部の選手が目に留まった。男勝りの気の強さに惚れ込んだ宮路は、退部処分を受けた南雲ひろ子を陸上部にスカウトし、コーチを引き受ける決心をした。ひろ子にスプリンターの資質を見出した宮路は診療所に駆け込んで峰重に意気込みを力説したが、彼の心はもうそこに無かった。代わりに俺がここを辞めると言って部屋を出て行った。その夜、宮路はひろ子を家に連れて帰り祝杯をあげた。そして彼女に髭を剃るカミソリをプレゼントした。宮路は彼女の中に潜む男の能力を揺すり起こさなければ限界は超えられないと考えていた。そこでこれまでの生活環境を一新し、ひろ子を男に作り変えようとした。

宮路はひろ子に付ききりで指導したが、それが他の部員たちの不評を買った。その噂は社内中に広がり原の耳にまで届いていた。しかしひろ子以外の部員は屑同然だと考えていた宮路は、トレーニングに集中するためには彼女を女子寮から出した方がいいと原に提案した。猛特訓の結果、ひろ子はついにオリンピック標準記録に迫る11秒7の好記録を何度も出せるようになった。そこで宮路は売り込みを掛けるために連盟に乗り込んだ。協会の幹部である笹沼は大学時代のライバルだったが、宮路は強引に押し切って短距離強化記録会の出場権を手に入れた。記録会当日、宮路の狙い通りひろ子は100メートルを11秒7で走り抜けた。ホラだと思っていた話が現実となり笹沼は驚きを隠せなかったが、ある疑問が湧いた。本当に女なのか?宮路は絶対に女だと主張したが、公約どおり彼女とは男女の関係を絶って練習に集中したため、裸体を一度も見たことが無かったのだ。選手登録には女性証明書が必要になるため笹沼はセックス・チェックをひろ子に受けさせるよう宮路に指示した。その話を聞いたひろ子は、社宅のベランダで泣いた。彼女には人に話せない悩みがあった。

屋台的映画館

宣戦布告

  • posted at:2011-05-09
  • written by:砂月(すなつき)
せんせんふこく
ウィル
配給:東映
製作年:2002年
公開日:2002年10月5日
監督:石侍露堂
製作:石侍露堂
プロデューサー:増田久雄 和田康作
原作:麻生幾
脚本:小松與志子 石侍露堂
撮影:阪本善尚
音楽プロデューサー:石川光
音楽スーパーバイザー:米村武
音楽:礒金俊一 岩渕一真 二本柳一明
キャスティングプロデューサー:空閑由美子
アソシエイト・プロデューサー:徳山雅也
美術:福澤勝広
装飾:湯澤幸夫
照明:大久保武志
録音:中村淳
編集:川島章正
製作協力:プルミエ・インターナショナル
出演:古谷一行 夏八木勲 杉本哲太 佐藤慶 夏木マリ
アメリカンビスタ カラー 106分

福井県敦賀半島で国籍不明の潜水艦が座礁しているのが発見された。寺崎秀一首席秘書官から一報を聞いた諸橋揆一郎内閣総理大臣は関連大臣を集め緊急会議を開いた。福井県警は潜水艦の周辺を封鎖して民間人の侵入を禁止し、機動隊に内部を調査させた。艦内に重火器と死体が残されていることから、複数の特殊武装した工作員が上陸している可能性が高まった。現地対策本部は驚きを隠せなかった。座礁した敦賀半島には美ヶ浜など三つの原子力発電所があるからだ。

首相官邸には篠塚義章内閣官房長官や、山ノ内二郎防衛庁長官、宇佐美一也警察庁長官らが集まり、熱い議論を展開していた。某国の特殊部隊による原発へのテロという可能性が考えられたが、事態が把握できていない上に必要以上に混乱を招くという理由から住民に対する避難勧告案は却下された。自衛隊を出動させるためには総理大臣の命令が必要となるが、諸橋は現段階では警察力で十分に対処できると考えていた。その頃、潜水艦の乗務員が県警によって身柄を保護された。取り調べの結果、侵入したのは北東人民共和国の偵察局員であることが判明した。

宇佐美は総理大臣の意見を尊重し、特殊部隊SATを配備した。しかし第六機動隊SAT隊長・葉山克則が懸念していたのは射殺命令だった。ロケット砲を装備した正体不明の敵と戦うには、射殺命令がなければ不利であることは明らかだった。沢口誠一県警本部長は政府の許可なく独断で射殺許可命令を出したが、この話を聞いて驚いたのは諸橋だった。彼は国民に危害が及ばない限り安易に「人殺し」をするつもりはなかった。すぐさま命令の撤回を命じた。その頃、福井県の山中ではSATによる工作員の捜索が行われていた。前方に人影を発見した隊員・陣内はそれが工作員であることを確認した。そのとき、SAT第一小隊長・堤孝保の無線に沢口から連絡が入った。それは射殺許可命令解除だった。陣内は銃の照準を工作員に合わせ発砲許可を待っていたが、その様子に気付いた工作員が先にロケット砲を発射した。この攻撃により二人の隊員が命を落とした。

首相官邸は重苦しい空気に包まれていた。警察力では手に負えない状況になっていたため、宇佐美は自衛隊の出動要請をした。ところが諸橋は国民の合意ができていないという理由を持ち出し宇佐美の要請を却下した。その意見を次いで防衛庁事務次官・土橋修三が自衛隊の国内における立場を説明した。自衛隊の治安出動の場合、有事法制が成立していないため自衛隊の部隊展開に必要となる公共施設等を借りる権限がなく、武器使用に関しても攻撃命令がない限り発砲することができなかった。防衛出動の場合、道路交通法を始めとする様々なハードルをクリアしなければならないため、200項目以上の特例措置と法の改正が必要となった。仮に今の状況で自衛隊が出動しても軍事活動ができないというのが実情だった。山ノ内は出動命令さえあればいつでも自衛隊を派遣させる気でいたが、小池政明外務大臣はその意見に真っ向から反対した。小池は、日本海側に自衛隊が集結することで「北」ばかりでなく周辺諸国に日本が「宣戦布告」したと誤解される可能性があることを危惧していた。

屋台的映画館

戦国自衛隊1549

  • posted at:2010-10-11
  • written by:砂月(すなつき)
せんごくじえいたいいちごうよんきゅう
「戦国自衛隊1549」製作委員会(角川映画=日本映画ファンド=日本テレビ放送網)
配給:東宝
製作年:2005年
公開日:2005年6月11日
監督:手塚昌明
製作:黒井和男
製作補:佐藤直樹 秋葉千晴
プロデューサー:鍋島壽夫 土川勉 貝原正行
原案:半村良
原作:福井晴敏
脚本:竹内清人 松浦靖
撮影:藤石修
音楽:shezoo
主題歌:「涙の数だけ」Full Of Harmony
美術:清水剛
照明:渡辺三雄
整音:中村淳
録音:湯脇房雄
編集:普嶋信一
特撮監督:尾上克郎
VFX:道木伸隆 大屋哲男
音響効果:柴崎憲治
殺陣:深作覚
馬術指導:田中光法
助監督:兼重淳
キャスティング:杉野剛
製作担当:芳川透
出演:江口洋介 鈴木京香 鹿賀丈史 北村一輝 綾瀬はるか
アメリカンビスタ カラー 119分

2003年10月13日、東富士駐屯地で行われた陸上自衛隊による実験で事故が発生した。太陽の活動は十一年周期で活発化し、その際にフレアと呼ばれる爆発が起こる。爆発によって発生したプラズマは、地球上の電子機器に障害を与える可能性が高い。それが有事に起これば自衛隊は無力になってしまうのだ。そこで人工磁場を使ってプラズマの方向性を変え、障害を排除するシステムの開発に着手した。実験は秘密裏に行われ、的場毅一佐率いる第三特別実験中隊が参加した。その日はプラズマが地球に到達するという好条件だったが、その大きさは磁場シールドの耐久測値を上回っていた。しかし指揮官は作戦を強行した。すると実験場は嵐に包まれ、静まったときには第三特別実験中隊を囲んだ一帯が消滅していた。代わりにそこに出現したのは、叢だった。

事故から2年後のある日、居酒屋の雇われ店長・鹿島勇祐の前に二人の自衛官が現れた。一人は森彰彦3等陸佐、そしてもう一人は、あの実験の指揮官、神崎怜2等陸尉だった。二人は勇祐にこれまで起こった経緯を話し始めた。調査をした結果、実験場に出現した叢は約500年前のものであることが判明した。その3日後、叢は消え再び元の地面が現れた。それと同時に騎馬武者も運ばれてきたのだ。このことから一時的に過去と現代の空間が転移し、再生したのではないかと考えられた。そこで防衛庁はこの転移を利用して的場一佐たちを救うべく二度目のタイムスリップを行う計画を進めていたのだ。オペレーション・ロメオという名の救出作戦は、観測衛星で再びフレアが観測されたことで現実味を帯びてきていた。勇祐は的場が創設した特殊部隊・Fユニットの一員であり、彼が作製した攻略不能といわれる演習シナリオ・D-3を制圧した唯一の人間だった。勇祐なら的場の行動パターンが読めるかもしれないということで指名されたのだ。

彼らを救出する目的はもう一つあった。日本各地では「ホール」と名付けられた虚数空間が発生し、成長をし続けていた。この「ホール」の存在は、過去へ飛ばされた第三特別実験中隊がその時代で何らかの過剰な干渉をしたのではないかと考えられていた。本来なら彼らが過去へ飛ばされた時点で消滅したかもしれない現在が存在するということは、小さな傷であれば歴史には修復する能力があり、もしそれが本当であれば早めに手を打つ必要があった。過去での彼らの行動が現代社会を消滅させかねないからだ。話を聞き終えた勇祐は二人にこう言い放った。「消えちまえばいいんだ、こんな世界」。政治的な事情でFユニットが解散に追い込まれてから、彼は生きる熱意を失っていた。

翌日、勇祐の店に一人の男が現れた。奇妙な言葉を使うその男は、「美濃の国、斎藤山城守道三が家臣、飯沼七兵衛」と名乗った。2年前の事故のときに戦国時代から飛ばされてきたあの侍だったのだ。平和で自由な世の中が消えてしまうかもしれないという火急時に身勝手な態度をとる勇祐を腹立たしく感じていた。彼は最後にこう言い残して歩き去った。「そのような腰抜けならば、おぬしこそこの世から消えてしまえば良いのだ」。勇祐は、退官するときの的場からかけられた「己の信念をに従い、未来に対する責任を持って生きろ」という言葉を思い出した。その責任を全うするため、彼はロメオ隊への入隊を志願した。

屋台的映画館

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