かいびょうごじゅうさんつぎ
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1956年
公開日:1956年7月19日
監督:加戸敏
製作:武田一義
脚本:八尋不二
企画:税田武生
撮影:牧田行正
音楽:鈴木静一
和楽:中本利生
美術:神田孝一郎
録音:奥村雅弘
照明:加藤庄之亟
編集:西田重雄
製作主任:白井祥雄
出演:勝新太郎 三田登喜子 林成年 若松和子 入江たか子
スタンダード モノクロ 87分
江戸岡崎藩邸では藩主本多三河守が老中に任ぜられたことで、慣例として将軍家への御礼として何かを献上しなければならなかった。そこで墨染の茶碗を国許から取り寄せる提案すると、家老鳴海十兵衛は御家の宝として将軍家もご存じなのでこの上ない献上品となるでしょうと言った。今の地位は十兵衛の尽力あったればこそと考えていた三河守は、娘の顔が見たいであろうと日頃の労いを込めて娘の浪路に御勤めを申し付けることにした。心許ないと心配する十兵衛の気持ちを察した三河守は、警護として南三次郎をつけることにした。三次郎は藩切っての剣の使い手であり、浪路の婚約者でもあったのだ。若い二人の五十三次の旅は一生の思い出になるに違いないと三河守は考えていた。だがそれに待ったを掛けたのは留守居役大高伝蔵だった。十兵衛への寵愛を妬む伝蔵は、そのようなことは当家の格式にはなく、もし間違いがあった場合はいかがなされますかと尋ねた。すると三河守は、国許の領民が納めた血税を伝蔵が横領したことを大勢の前で咎め、留守居役の任を解かれ謹慎を言い渡されたのだった。怒りに打ち震える伝蔵はある計略を巡らせた。将軍家へ献上の茶碗墨染が途中で紛失すれば鳴海家が断絶になることは間違いない。そこで剣客の原小平太を呼び寄せると伝蔵の昔の女である岡崎藩の局藤波に手紙を渡すように言った。
岡崎から江戸まで往復でひと月余り。寂しくはないかと案ずる三次郎の気持ちを知ってか知らずか浪路は浮かれていた。そんな姉を弟の源一郎は冷やかし母に叱られた。やがて茶碗は藤波によって届けられたが、奥方の指図で墨染献上の遣いに添役として彼女も同道するのだという。それを知った源一郎は余計なババアめがと毒づいた。その夜、寝ずの番をしていた三次郎に浪路が声を掛けた。愛猫のすずが落ち着かない様子だったことで異変を感じていたのだ。翌朝早立ちということもあり心配は無用だと落ち着かせようとしたが、すずが何処かへ消えたことで気が気ではなかった。その頃、屋敷の外では刺客の一団が待ち伏せていたが、すずが威嚇を続けたことで不吉を感じ退散したのだった。
支度を終えた三次郎と浪路だったが、藤波が用心のためにと供を四人も召し連れてきたことで面食らった。すると藤波が用意した駕篭からすずが現れ、浪路が旅立つのを止めるように甘えるのだった。おとなしく留守番するのですよと諭して母に預けると、一行は危険を孕んだ旅に出た。
屋台的映画館
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