にちろせんそうしょうりのひしてきちゅうおうだんさんびゃくり
大映(東京撮影所)
配給:大映
製作年:1957年
公開日:1957年12月28日 併映「赤胴鈴之助 一本足の魔人」
監督:森一生
製作:永田雅一
原作:山中峯太郎
脚本:黒澤明 小国英雄
企画:米田治
撮影:高橋通夫
音楽:鈴木静一
美術:下河原友雄
録音:渡辺利一
照明:伊藤幸夫
編集:鈴木東陽
特技撮影:的場徹
助監督:中村倍也
製作主任:熊田朝男
出演:菅原謙二 北原義郎 高松英郎 浜口喜博 石井竜一
シネマスコープ モノクロ 83分
明治三十八年一月一日、ロシア軍司令官アナトーリイ・ステッセリ陸軍中将の降伏により旅順要塞は陥落した。大本営では御前会議が開かれ、長岡参謀本部次長は膠着状態に陥っている沙河に方々から新兵団を増強することを発表した。旅順攻略の指揮を取った乃木希典第三軍司令官をこの作戦に加えることで他の将兵の士気は高まるが、乃木軍は旅順陥落に至るまでに多くの兵士を失っていた。その影響で再編制される新兵団は二万八千人になり一兵の余力もない状態だった。さらに戦力も底を尽きかけ、砲一門につき弾丸三発の発射も許されない状況になっていた。外務省からアメリカに派遣されている特使・金子堅太郎伯爵は、旅順陥落を好機として講和談判の斡旋をルーズベルト大統領に依頼したが、大統領は話し合いを日本側に有利に導くためには今一度、大会戦の勝利が望ましいと発言した。
一月二日、満州軍総司令部田中参謀は、受信した暗号電文を解読したと総参謀長・児玉源太郎大将に報告した。それはアメリカ筋の情報で、ニコライ皇帝とその側近はロシア満州軍総司令官アレクセイ・クロパトキンの連敗に対する責任を追求する気配が濃厚になったという内容だった。追い込まれたクロパトキン総司令官は、従来の後退作戦を翻意して乾坤一擲の決戦を敢行する公算が大きくなったが、それが奉天なのか、それとも鉄嶺なのか。次の決戦で敵の止めを刺すことが我が軍に残された道だと考えていた児玉総参謀長は、大山巌総司令官に支持を仰ぐことにした。児玉総参謀長が騎兵斥候隊を敵中深くに送りこむ提案をすると、大山総司令官はあなたの思うとおりにやったらいいと言った。
平佐聯隊本部では騎兵第九聯隊の建川中尉が平佐聯隊長から任務を言い渡された。それは五名の斥候兵を率いて敵陣の背後へ挺進し、次の決戦場を探り出すことだった。斥候隊の全滅は日本国の死を意味していた。平佐聯隊長は、ただ一人でも敵情を掴んで生還するよう斥候長たるおまえの最大の努力を全日本国民に代わって改めて頼むと言って頭を下げた。
九日早朝、建川騎兵斥候隊は日本の命運を背負って出発した。
屋台的映画館
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