はつこい
ギャガ・コミュニケーションズ
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
製作年:2006年
公開日:2006年6月10日
監督:塙幸成
製作:宇野康秀
エグゼクティブプロデューサー:河合信哉 星野有香
Co.エグゼクティブプロデューサー:三宅澄二
プロデューサー:水上繁雄 松岡周作
アソシエイトプロデューサー:朴木浩美 梅川治男
製作エグゼクティブ:依田巽
原作:中原みすず
脚本:塙幸成 市川はるみ 鴨川哲郎
撮影:藤澤順一
音楽:COIL
音楽プロデューサー:穂苅太郎
主題歌:「青のレクイエム」元ちとせ
挿入歌:「ブルー・シャトウ」 ジャッキー吉川とブルー・コメッツ
・・・:「スワンの涙」 オックス
・・・:「白い色は恋人の色」 ベッツィ&クリス
美術:斎藤岩男
録音:山方浩
照明:上田なりゆき
編集:冨田伸子
出演:宮﨑あおい 小出恵介 宮﨑将 小嶺麗奈 青木崇高
アメリカンビスタ カラー 114分
1966年。高校生一年生のみすずは、入学してからしばらくの間は学校が終わると新宿御苑で門限までの時間を潰す日々を送っていた。ある日、みすずは話しかけてきた見知らぬ男に突然仰向けに押し倒された。駆けつけた警察官が男を引き剥がし愚考は未遂に終わったが、彼女はその間抵抗することが出来なかった。警察署で事情を聞いた警官は家の者に連絡しようとしたが、みすずは頑なに拒み「いないから、そんなの」と言った。家に帰ってもみすずの居場所はなかった。彼女の父親は幼い頃に亡くなり、母親も兄だけを連れて家を出たため、一人残されたみすずは親戚の家に引き取られた。しかし新しい生活に馴染めないみすずは家族の誰とも口を利かなかった。家の中で彼女は孤立していった。
あの事件以降、彼女の足は新宿御苑から遠ざかり、繁華街をあてもなく歩いた。6月のある日、授業を終えたみすずは何度となく立ち止まったことのあるジャズ喫茶の前に立っていた。彼女の手には「B」と赤い字で書かれたマッチが握られていた。「この間も来てただろう?店の前でうろうろしていると補導員に捕まるよ」。声を掛けてきたのは、アングラ劇団に所属する女優・ユカだった。みすずはユカの言葉に導かれるように店内に入っていった。ユカが向かった先は入り口から見えない一番奥の席だった。「可愛い女子高生をナンパしてきたよ」とユカがたむろする男たちにみすずを引き合わせた。そこにいたのは、人望が厚く年齢性別関係なくモテる亮、浪人中にも関わらず学生運動に熱心な作家志望のタケシ、腕力が自慢のテツ、お調子者の高校生・ヤス、そして亮の親友というだけで「B」に入り浸る岸の五人だった。岸がみすずに子供が何の用だと冷たく言うと、戸惑うみすずは大人になんかなりたくないと言い放って店を出て行こうとした。すると岸はみすずの左腕を掴み、合格だと言った。その日以来、みすずは授業が終わると「B」に通い続けた。社会から阻害されていると感じて生きてきた彼女はついに居場所を見つけたのだ。そして他の仲間とは違うクールな岸に自分と同じ孤独という匂いを感じ、次第に惹かれていった。みすずが「B」へ来るきっかけを作ったのは亮だった。帰宅途中のみすずの前に現れた亮は、唐突に「俺、覚えてないか…」と言った。彼はみすずが小さいときに離ればなれになった兄だった。別れ際に亮は、何かあったら連絡しろよとマッチを渡した。
1968年。学生運動は熾烈を窮め、介入する機動隊も過激さを増していった。時代の波は「B」の仲間たちをも飲み込み、小競り合いに巻き込まれたヤスは隊員から歩行が困難になる程の暴行を受けた。ヤスを助けようとして負傷した亮とテツは、岸から泣き寝入りするのかと言われ憤慨した。翌日、みすずは人に聞かれたくない話があるという岸とラブホテルに入った。岸はこれからの話は他言無用だと切り出し、「B」の連中にもだと続けた。守れるかと聞かれたみすずは黙ってうなずいた。彼は他の連中と同様に権力を憎んでいるが、暴力で訴えても権力にとっては痛くも痒くもないと言った。頭で勝負をしたいという岸は、みすずに「おまえが必要なんだ」と言った。誰からも必要とされたことがなかったみすずにとって岸の言葉は何よりもうれしかった。彼女は岸の頭の中にある無謀な計画に参加することにした。
屋台的映画館
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