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ひとごろし

  • posted at:2009-01-29
  • written by:砂月(すなつき)
ひとごろし
永田プロダクション=大映映画=映像京都
配給:松竹
製作年:1976年
公開日:1976年10月16日 併映「妖婆」
監督:大洲齊
製作:永田雅一
製作協力:徳間康快
原作:山本周五郎
脚本:中村努
企画構成:細井保伯
企画:金丸益美 西岡善信
撮影:牧浦地志
音楽:渡辺宙明
美術:西岡善信
録音:渡部芳丈
音響効果:倉嶋暢
照明:美間博
編集:山田弘
監督補:小林正雄
助監督:奥家孟
俳優事務:内海透
製作担当:徳田良雄
製作助手:長谷川小夜子
計測:竹内幹雄
記録:野崎八重子
スチル:小山田幸生
擬斗:楠本榮一 美山晋八
装置:渡辺善太郎
背景:京田新治郎
装飾:藤谷辰太郎
衣裳:伊藤ナツ
美粧:湯本秀夫
結髪:石井ヱミ
美術助手:加門良一
照明助手:石原喜三
録音助手:渡部一比児
編集助手:永富勲
現像:東洋現像所
協力:高津商会 山崎かつら 劇団あすなろ
出演:松田優作 高橋洋子 五十嵐淳子 丹波哲郎 岸田森 
スタンダード カラー 82分

越前福井藩のお抱え武芸者・仁藤昂軒は、藩公が江戸で見出した剣術と半槍の名人で、毎日家中の者に稽古をつけていた。剣術と半槍の腕は紛れもなく第一級であり、稽古のつけかたも厳しくはあるが本筋だった。しかし酒癖が悪く、暇さえあれば酒を飲み、酔えば決まって乱暴した。昂軒に不満を持つ藩士たちは、暴れ馬に乗った家老の息子を助けだした件を例に上げ、今後さらに勢力を伸ばして藩公の側近として仕えるようになるのではないかと心配していた。よそ者をこれ以上のさばらせてはいけないと考えていた彼らだったが、それを封じる手段は何もなかった。

福井藩きっての臆病者といわれている双子六兵衛は、まんじゅうが大好きで犬が大嫌いだった。少し大きな犬がいれば、いつも道をよけて通った。そんな頼りない兄を持つ妹のかねは、同世代の娘たちが見合いをしたり、付け文をもらっていることをうらやましく思っていた。かねは、兄妹揃って縁談の話がないのは兄上が臆病者などと呼ばれているせいだと言った。時々そう思ったと言う六兵衛に、かねは臆病者の汚名をすすぐための何かをなさったらいかがですかと問いかけた。すると六兵衛は、道に落ちている財布を拾うようなわけにはいかないと答えた。兄の性格を知っているかねは、拾ってみられたらとやさしく言った。

城内では不穏な空気が流れていた。藩士数名が昂軒に闇討ちをかけようと画策していたのだ。事態を重くみた小姓・加納平兵衛は現場へ赴き沈静しようと努めたが、藩士とともに惨殺されてしまった。昂軒がかわいがっていた平兵衛を斬った上に断わりもなく藩を出て行ったことは、わしに刃を向けたも同然だと藩公は激怒した。そしてわが藩の面目にかけて上意討にいたせと配下の者に言い渡した。誰が討手となるかという詮議になったが、相手が昂軒だけに皆迷った。家中にこれなら確かだという者も見当たらないし、名乗り出るものもいない。かといって人数を組んで向かうのは藩の面目に関わる。どうしたものかと評議しているところに名乗り出たのは震えながらやってきた六兵衛だった。そして冷や汗をかきながら、私に討手をお命じくださいと言った。討ち死にであれば恥の上塗りだと一人が言った。しかし他の一人は同意しなかった。六兵衛が臆病者だという話は昂軒の耳に届いているかもしれない。もしその臆病者が討手に来たと知ったら昂軒はどう思い、どう行動するだろうか。彼は思わずニヤリとした。

帰宅した六兵衛は、かねに旅支度だと叫んだ。かねは世間の嘲笑に耐えかねて、いよいよ夜逃げする気になったのかと冗談まじりに言ったが、御上意の討手を仰せ付けられたという六兵衛の言葉にクスリと笑った。まさか兄上にそんな大役が務まるはずがないと思っていたかねは、「上意討之趣意」と書かれた奉書の包みを差し出されると顔色を変えた。上意討の相手がお抱え武芸者の仁藤昂軒だと知ったかねは、やめて下さいと懇願した。六兵衛は昂軒とは違い剣術の稽古もろくにしたことがなかった。その兄が名乗り出た原因は自分にあるとかねは反省した。いつも不平や泣き言ばかり言うことが六兵衛の心変わりをさせたのではないかと考えていたのだ。かねは、兄上に死なれるよりは臆病者の妹と呼ばれる方がいいと説得したが、六兵衛は何事もやってみなければわからないと励ました。

太陽の照りつける北国街道を江戸に向かって歩き続けた六兵衛は、三日目に昂軒の姿をみつけた。背丈が高く、逞しい体つきは後からみただけでわかった。恐怖は彼の心臓を高鳴らせ、全身を揺さぶった。六兵衛は気持ちを落ち着けようとして持っていた水をがぶ飲みした。六兵衛が汗を拭き拭き歩いていると、突然うしろからちょっと待てと呼びかけられた。男は、きさま福井から来た討手だなと言った。六兵衛が振り返ると、そこには昂軒が立っていた。昂軒が、おれの首が欲しいか、勝負してやるから来いと叫んで槍を構えると、六兵衛は慌てふためいて悲鳴をあげた。「ひとごろし!」。そして夢中で逃げ出しどこまでも走った。息苦しくなった六兵衛は松林の中でぶっ倒れた。これからどうしようかと思案していたとき、村人たちの話し声が聞こえてきた。人殺しってほんとかと一人が言った。すると、相手は鬼のような凄い浪人者だともう一人が言った。誰か殺されたのかと最初の声が聞くと、うまく逃げた、逃げる方が勝ちだからなと二人目が言った。そして、何しろ十人や二十人は殺したような面構えだから、往来の衆も震え上がっててんでんばらばら逃げていったとそこで起こった様子を説明した。六兵衛は考えていた。世の中には肝の座った名人上手よりも、おれやあの百姓たちのような肝の小さい臆病な人間の方が多いのだろうな、とすれば、とすれば。そして立ち上がると、よし、これだとつぶやいた。

六兵衛は茶屋に入る昂軒をみつけた。彼は、昂軒が腰掛けに腰を下ろし編笠を脱いだところを見計らって大声を張り上げた。「ひとごろし!その侍はひとごろしだぞ。越前福井で人を斬り殺して逃げてきたんだ。いつまた人を殺すかわからんぞ。危ないぞ」。茶店の老婆や客たちは、その声に驚き逃げ出した。

屋台的映画館
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