さびたないふ
日活
配給:日活
製作年:1958年
公開日:1958年3月11日 併映「谷川岳の記録 遭難」
監督:舛田利雄
製作:水の江滝子
原作:石原慎太郎
脚本:石原慎太郎 舛田利雄
撮影:高村倉太郎
音楽:佐藤勝
主題歌:「錆びたナイフ」石原裕次郎
美術:松山崇
照明:大西美津男
録音:橋本文雄
編集:辻井正則
助監督:河辺和夫
製作主任:中井景
出演:石原裕次郎 北原三枝 安井昌二 白木マリ 宍戸錠
シネマスコープ カラー 90分
西日本にある新興の工業都市・宇高市は、戦争中に建設された多くの軍需工場をそのまま諸工業に転用したことで、新しいものと古いものとが奇妙に絡まりながら発展を遂げた。だが、それと同時にいくつかの暴力的な組織も街の繁栄に関わりながら繁殖していた。
検察庁は殺人事件の容疑者として勝又運輸社長・勝又清次の逮捕に踏み切ったが、狩田検事の鋭い追及にも関わらず、「お礼参り」を恐れた被疑者や目撃者たちが沈黙し続けたことで暗礁に乗り上げた。勝又は釈放されたが、このようなケースは一度や二度ではなかった。ある日、狩田検事に一通の封書が届いた。その手紙には5年前に自殺した西田市会議長が実は他殺であるという内容が書かれていたのだ。身辺の危険を感じていた西田は三島一家から三人の用心棒を雇ったが、手紙の主はそのうちの一人だった。賭博に負けた男たちが無断で金を借りようとして西田商事の事務所を訪れると、絞め殺した西田を自殺に見せ掛けて天井に吊るそうとする勝又たちを目撃したのだ。それを知った勝又は男を金で買収しようとし、彼もそれを承諾した。だが今になって証言しようと決めたのだ。狩田は加納、高石とともに三人の行方を捜し出すことにした。島原は勝又にもバラされたくなければ金をくれという手紙を送りつけていた。事件の目撃者は橘、島原、寺田の三人だったが、消印が東京になっていることと橘と寺田が市内から出ていないことから手紙の主が島原であることを確信した。勝又は東京の事務所にいる竹村に島原の尾行を命じた。郵便局の私書箱で郵便為替を手に入れた島原は、その金でいきつけのバーに飲みに行った。そして馴染みのホステスに10日経っても店に現れなければ投函して欲しいと手紙を渡した。翌朝、東京駅を出発した夜行列車は宇高駅に到着した。駅のホームに降り立った島原は身柄を保護するという刑事たちに取り囲まれて再び列車に乗り込んだが、彼らの正体は勝又の手下たちだった。島原は列車から突き落されて即死した。
バー・キャマラードの支配人である橘は、初恋の人が男に暴行されて自殺したことに怒り、復讐したことで前科者になったのだ。そんな橘を心配した親友の間野明は、彼を堅気にしようと奔走した。明は市議会の実力者・間野真吾の息子で、彼の婚約者はアナウンサーの啓子だった。ある晩、キャマラードを訪れた啓子は、狩田から西田市議会議長が自殺ではないことを聞かされ顔色が変わった。啓子の父親は西田だった。橘の店でバーテンとして働く寺田は、マスターに隠れて由利という女と遊び回っていた。勝又はそんな寺田を捉まえると事務所へ連れて行き、検事に事件のことを話せば島原のようになると脅すと金で口を封じた。勝又の手下は橘の店にも現れて金をちらつかせた。男が金を受け取った寺田ことを話すと、橘の表情は一変した。父親が勝又に殺されたことを知った啓子は、狩田たちの捜査に協力することにした。そして局も彼女に暴力をテーマにしたルポを任せることにしたのだ。キャマラードに現れた啓子は、橘が目撃した偽装殺人の証言を聞き出そうとしたが、彼は重い口を開こうとはしなかった。そこで啓子は街頭でインタビューをしたときの録音テープを聞かせた。そこには5年前に起きた暴行事件の真実が記録されていた。
屋台的映画館
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