しのびのものいがやしき
大映
配給:大映
製作年:1965年
公開日:1965年6月12日 併映「狸穴町0番地」
監督:森一生
脚本:直居欽哉 服部佳
企画:伊藤武郎
撮影:今井ひろし
美術:太田誠一
音楽:渡辺宙明
照明:伊藤貞一
録音:林土太郎
編集:谷口登司夫
装置:高地汗
擬斗:楠本栄一
音響効果:倉島暢
助監督:大洲斉
製作主任:大菅実
出演:市川雷蔵 八千草薫 山形勲 鈴木瑞穂 今井健二
シネマスコープ モノクロ 89分
寛永十四年、関ヶ原以来の豊臣の残党は島原の乱に多数参加し死力を尽くして戦ったが、衆寡敵せず、遂に潰滅した。勝ち誇った徳川軍は、総大将松平伊豆守信綱を先頭に意気揚々、江戸に向かって凱旋した。だがここにあくまで徳川を仇敵と狙う最後の一人がいた。霧隠才蔵は亡き殿の無念を晴らすために単身で徳川軍に斬り込む覚悟を決めた。そこで子息である才助にこれまでのいきさつを話すことにした。才助とともに育てた妹の小百合は、真田幸村が最後の合戦に出陣する際、才蔵に預けた百合姫だった。才蔵は、才助に姫の命を守るように言うと霧隠家に代々伝わる諸刃の剣を渡した。才助に別れの言葉を告げた才蔵は、木陰から伊豆守が街道を通る頃合いを見計らっていた。そして隊列が差し掛かったとき、才蔵は勢い良く飛び出し斬りかかった。しかしいくら才蔵と言えども多勢が相手では分が悪かった。追い詰められた才蔵は自害して果てた。
慶安三年。柳営三代の穏やかな天下は、一門親族の確執や上下相尅を根絶するために儲けられた切腹、家名断絶、領地没収等峻烈非情な政策の上に築かれていた。一門の岡崎三郎信康を始め大名小名の取り潰しは、総高七百二十二万八千五百三十余石に上った。その結果陋巷にさ迷う浪人の数はおよそ二十万に達し、生計の道を断たれた彼らの鬱積した不満は不気味な暗雲となって天下にたれこめていた。丸橋忠弥と金井半兵衛は江戸城内の絵図面を挟んで顔をつき合わせ、幕府転覆の計略を練っていた。二人はそこに現れた忍者たちに襲われたが、新たに現れた忍者に助けられ事なきを得た。その男は、伊豆守配下の甲賀忍者にくれぐれもご注意を、と言い残し去って行った。
道場にやってきた男は、丸橋を通じて由井正雪と話し合う場を得た。男の正体は才蔵の最後を遠くから見届けた才助だった。才助はあの日から父の意志を受け継ぎ、同時に名も受け継いでいたのだ。天下にあまねき微動だにしない徳川の権勢を打ち破るには、志を同じくするものが力を合わせる必要があった。しかし正雪はあくまで中立の立場を守ろうとした。才蔵は一騎当千の門弟たちを京、大阪の要所に配していることを例に挙げ、無関心を装っている正雪が決起の機会を窺っていることを指摘した。
才蔵は敵の内情を知るために伊豆守の邸に小物として忍び込んだが、そこで思わぬ人物と再会した。それは、子供のときに生き別れた百合姫だった。
屋台的映画館
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