ひきにげふぁみりー
サントリー=キティ・フィルム
配給:アルゴプロジェクト
製作年:1992年
公開日:1992年12月19日
監督:水谷俊之
製作:伊地智啓
プロデューサー:椋樹弘尚
脚本:砂本量 水谷俊之
撮影:長田勇市
音楽プロデューサー:土屋正樹
音楽:佐原一哉
エンディングテーマ:「テーゲー」ネーネーズ
美術:及川一
照明:豊見山明長
録音:横溝正俊
編集:菊池純一
助監督:早川喜貴
製作担当者:広瀬昌弘
提携:日本テレビ
出演:長塚京三 中尾ミエ ちはる 仲谷昇 橋本光成
アメリカンビスタ カラー 104分
休日の夜、接待ゴルフで疲れていた元村祐史は襲ってくる睡魔と闘いながら車を運転していた。祐史の注意力は突然の豪雨やCDプレーヤーの音飛びと度重なるアクシデントに見舞われ散漫になり、再び視線を前方に向けたときにはすでに遅かった。自転車に乗った女性を撥ねた祐史は慌てて車外に飛び出したが、女性は目を見開いたまま動かなかった。彼は急いで車に乗り込むとその場を走り去った。
帰宅したのにいつまでも車から降りようとしない祐史を見た妻・葉子は、心配になり車に乗り込んだ。そして何があった尋ねると、彼は人を轢いたと呟いた。しかも警察に連絡せずに逃げたのだ。動揺する祐史に葉子は家族を粗末にするからバチが当たったんだと言った。祐史は父・義一郎の介護や子供たちの世話を葉子に押し付け、休日になると接待だゴルフだと言って家を空けた。義一郎は痴呆が始まり、公園に死んだ妻の姿を求めて恋愛をしに行った。長女のあずさは結婚式場の上司と不倫関係にあり、長男の陸王は登校拒否になっていた。祐史は無理に葉子を降ろすとエンジンを掛けた。自首することに決めたのだ。車を走らせようとしたそのとき、体を張って止めたのは葉子だった。
葉子は家族を集めて会議を開きこれまでの経緯を説明した。祐史が自首すれば家族全員の人生が破滅することは目に見えていた。彼女は、起きたことは仕方がないしこれ以上不幸な人間を増やしちゃダメだと言った。葉子が家族を繋ぎ止めるために選んだ方法とは、事故の証拠を隠滅することだった。深夜遅く、彼らは車を庭に回すと工事現場で使用する足場を使ってリビングルームに押し込んだ。夜が明けると祐史たちは何事もなく生活するように心掛けたが、何処かギクシャクしていた。祐史とあずさを送り出した葉子は中古車センターで事故車と同じ車種を購入し、その足でホームセンターに向かい車両解体のための工具などを買い漁った。夕方、勤め先から帰ったあずさは、ガレージに車があることに驚いた。葉子が今後の計画をあずさに話していたとき、家の中から大きな物音が聞こえた。部屋の中にある車を義一郎が急発進させたのだ。父親が起こした事故で苦労する羽目になり、さらに祖父が起こした事故の片付けまで手伝わされることに嫌気がさしたあずさは、荷物をまとめて出て行った。一方、祐史は会社が終わると事故死した東堂鈴子の通夜に顔を出した。鈴子と何の共通点も無い祐史が顔を出したことで、父親の孟紀からは彼女との不倫関係を疑われた。
元村家の異変に気付いていたのはお向かいに住む原沢サダだった。いつも車で出勤する祐史が今日に限って電車を使い、夕方の義一郎が食器棚を倒したという大きな物音は何かを隠そうとしている様子だった。カーテンが一日中閉めっぱなしになっていることにも気になっていた。その夜、近所から鳴り響く連続した車のクラクション音に驚いた彼女は気になって外を覗いた。
屋台的映画館
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