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濡れ髪三度笠

  • posted at:2011-02-17
  • written by:砂月(すなつき)
ぬれがみさんどがさ
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1959年
公開日:1959年8月1日
監督:田中徳三
制作:三浦信夫
企画:浅井昭三郎
脚本:八尋不二
撮影:武田千吉郎
録音:林土太郎
照明:岡本健一
美術:内藤昭
音楽:飯田三郎
色彩技術:青柳寿博
編集:菅沼完二
装置:梶谷輝夫
擬斗:宮内昌平
邦楽:中本敏生
助監督:池広一夫
制作主任:田辺満
出演:市川雷蔵 本郷功次郎 淡路恵子 中村玉緒 楠トシエ
シネマスコープ カラー 98分

十一代将軍家斉の四十人目の妾の子長之助は老臣久保寺平左衛門とともに幼少から三州岡崎藩に預けられ、居候的な生活を送っていた。時が来れば一国一城の主となるべき身だと平左衛門はいうものの、そんな日がくることはないと信じている長之助は気楽に考えていた。例えその日が世子元服の佳日であっても自分には関係ないこと。日陰者は顔を出すべきではないと言いながらこっそりと城を抜け出して神社の縁日に顔を出した。日に二十文の小遣いで八本の団子と二本の飴を買い手持ちがなくなった長之助は、回転円盤遊戯という賭け事が気になり足が止まった。香具師からいかがと声を掛けられたため頭に乗せた手拭いを賭けたのだが、これが揉め事の始まりだった。いくら言っても長之助が銭を払わないためついに痺れを切らした親分が出てきたのだ。すると偶然通りかかった濡れ髪の半次郎が仲裁に入ったが、一度火がついた親分の怒りが収まることはなかった。観衆を味方につけて大立ち回りを演じた旅鴉は見事に子分たちを追い払うことに成功したが、何度呼びかけても長之助は姿を現さなかった。その声を聞きつけてやってきたのは彼を慕って長旅を続ける鉄火肌の姐御お蔦だった。女に滅法弱い半次郎は早足でその場を立ち去った。

長之助が戻ると城は大騒ぎになっていた。彼の姿を見つけた平左衛門は涙ながらに将軍家の使者が待っていることを告げた。五万一千石甲州鷹取藩の藩侯が逝去したが世継ぎがいなかった。御家断絶となれば更に浪人の数が増えることから、家斉は三十八人いる部屋住みの我が子の中から抜擢することにした。老中堀尾備前守は自分の娘が生んだ家斉の若君を推薦するが、七歳と聞いて落胆した。他に誰もいないならまだしも他に三十七人も職のない倅がいるのだ。松平伊豆守に相談した結果、後腐れのない籤引きで決めることになった。目隠しをした家斉が箱の中の碁石を取るとそこには長之助の名が書いてあったのだ。その話を使者から聞き感泣する平左衛門とは裏腹に長之助はひとつため息をついた。早速一行は江戸へ向けて出立したが、道中で長之助が銃撃を受けたため平左衛門は若君の身を守るべく急遽間宿に泊まることした。その夜は三河の花火大会でもっと近くで見たい長之助は外へ行こうとしたが、平左衛門に咎められ拗ねた。その頃、一行のせいで半次郎はおさきとその父親との相部屋になった。島田宿に身を沈めるおさきの思い出作りをしてくださいと父親に言われ花火を見に川原へ連れて行くが、そこにいたのはお蔦だった。おさきにやきもちを焼いたお蔦が半次郎を引っ張って行くと彼女はひとり残された。お守りを落としたことに気づき辺りを見回すおさき。するとそのお守りをそっと差し出したのは宿を抜け出した長之助だった。その時、彼の命を狙う刺客の群れが現れ、おさきの悲鳴を聞いた半次郎が駆けつけた。

屋台的映画館
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