おれはまってるぜ
日活
配給:日活
製作年:1957年
公開日:1957年10月20日
監督:蔵原惟繕
製作:水の江滝子
脚本:石原慎太郎
撮影:高村倉太郎
音楽:佐藤勝
主題歌:「俺は待ってるぜ」石原裕次郎
美術:松山崇
照明:大西美津男
録音:橋本文雄
助監督:松尾昭典
編集:鈴木晄
製作主任:中井景
出演:石原裕次郎 北原三枝 二谷英明 波多野憲 小杉勇
スタンダード モノクロ 91分
レストラン「リーフ」のマスター・島木譲次は閉店の作業を終えてから外国行きの手紙をポストに投函した。並木道を抜けた彼は波止場を彷徨うレインコートの女の様子が気になり声を掛けた。女はかまわないでと言ったが、雨に濡れて震えている彼女を放っておくことは出来ず店で温まってから何をするか何処へ行くかを決めればいいと言った。女の名前は早枝子、キャバレーの歌手だった。彼女は譲次が作ったスープをおいしそうに飲んだが、一日中いろいろなことがありすぎて疲れ果て、物音がするとひどく怯えた。譲次は自分の心情を隠さずにしゃべり、早枝子に心配事を他人に打ち明けてみると案外薄らぐかも知れないと言った。すると彼女は思い悩んだ末に重い口を開いた。「私、人を殺してしまったかもしれない」。キャバレー「地中海」のオーナー・柴田に強引に言い寄られた早枝子は、身を守ろうとして近くにあった花瓶を引っ掴むと投げつけた。すると花瓶は柴田の頭に当たり、ソファーに横たわったまま動かなくなったのだ。それを見た早枝子は怖くなって逃げ出したのだった。早枝子は、これ以上譲次に迷惑を掛けてはいけないとリーフから出て行こうとしたが、落ち着くまで居たっていいという彼の言葉に甘え、しばらくそこで働くことにした。
映画館から帰った譲次は、店の郵便受けに三通の手紙が入っていることに気付いた。それは全て彼が兄に宛てて書いた手紙だった。譲次の兄は一年前にブラジルへ渡り、目鼻が付いたら連絡をくれることになっていたが、待ち切れなくなった譲次はこれまでに三度手紙を書いた。しかしいずれも返事はなく、宛先不明で返却されて来たのだった。譲次は同じ番地に住む戸崎明に問い合わせることにした。それからしばらく経ち、戸崎から返事が届いた。その手紙を読んだ譲次は愕然とした。兄はブラジルに渡っていなかったのだ。譲次は無敵のボクサーとして活躍していたが、売られた喧嘩で相手を殴り殺し、ライセンスを剥奪されてしまった。ブラジルへ行くことは彼の夢であり、過去と決別することでもあった。信頼していた兄にまで裏切られたという思いは譲次の心を熱くたぎらせた。
屋台的映画館
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