はせんのまりす
「破線のマリス」製作委員会(環境アート研究所=フォワード・グループ)
配給:アスミック・エース エンタテインメント
製作年:2000年
公開日:2000年3月11日
監督:井坂聡
製作:岩下孝広
企画:稲垣しず枝
エグゼクティブプロデューサー:大平義之
プロデューサー:八木欣也 井口喜一
原作:野沢尚
脚本:野沢尚
音楽:多和田吏
撮影:佐野哲郎
照明:渡部嘉
録音:今井善孝
美術:斎藤岩男
編集:菊池純一
スクリプター:中田秀子
助監督:瀧本智行
製作担当:木次谷良助
出演:黒木瞳 陣内孝則 山下徹大 筧利夫 白井晃
アメリカンビスタ カラー 108分
首都テレビの看板報道番組「ナイン・トゥ・テン」。遠藤瑤子は名物コーナーである「事件検証」のビデオ編集を担当していた。彼女は検証ビデオを作る際、放送倫理の境目で視聴者の興味を引くように大胆に編集した。それがこの番組の高視聴率を生み出す理由であり反響が大きかったが、非難する声も少なくなかった。
ある日、瑤子の自宅に郵政省放送行政局の春名と名乗る男から電話が掛かった。春名は信頼できる瑤子にしか見せたくないビデオテープがあると言った。いつも「事件検証」を欠かさず観ているため、彼女なら何とかしてくれると思い込んでいたのだ。瑤子は不信感を抱いたが、興味本位で会ってみることにした。2週間前、市民オンブズマンの吉村顧問弁護士がマンションから転落し死亡した。警察は自殺と他殺の両面から捜査していたが、春名はこの事件には裏があることを話し始めた。日本一のマンモス大学・永和学園は、全国に散らばる学園の基礎教養課程を衛星とパソコンを使って行うという計画を立て、地方のあるテレビ局を買収した。ところがその動きがマスメディア集中排除の原則に抵触するとして郵政省の警戒心を煽ったのだ。そこで永和学園は郵政省に対し、認可を得るために金銭攻撃を開始した。この動きを察した吉村は、永和学園と郵政省との贈収賄疑惑の調査を始めたのだった。春名は上司の命令で吉村を監視することになった。調査方法に違法なものが含まれていた場合、証拠映像があれば有利になるからだ。監視を始めた春名は吉村を尾行する人物を目撃した。それは春名の同僚だった。つまり吉村弁護士は、自分が追求すべき人間に尾行されていたのだ。
瑤子が受け取ったビデオテープには、飲食店の物陰から吉村を監視する男、転落事故現場から立ち去る後姿の男、吉村弁護士の葬儀に参列する男、そして警察の事情聴取を受けた郵政省官僚3人が建物を後にする様子が収められていた。同僚と別れた男は立ち止まり、正面に向き直ると「笑み」を浮べた。それは無実を証明し、勝ち誇ったような表情にも見えた。瑤子は感じたままに編集し、番組で流した。
屋台的映画館
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