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地獄(1960年)

  • posted at:2006-03-02
  • written by:砂月(すなつき)
じごく
新東宝
配給:新東宝
製作年:1960年
公開日:1960年7月30日
総指揮:中川信夫
製作:大蔵貢
企画:笠根壮介
脚本:中川信夫 宮川一郎
撮影:森田守
音楽:渡辺宙明
美術:黒沢治安
照明:石森浩
録音:中井喜八郎
編集:後藤敏男
助監督:土屋啓之助
製作主任:高橋松雄
監督助手:根田忠廣
撮影助手:中溝勇雄
照明助手:原信明
録音助手:三室明
撮影整備:佐藤幸助
音響効果:栗原嘉男
美術助手:大塚実
記録:奈良井玲子
スチール:式田俊一
演技事務:今井雄幸
製作係:平木稔
現像:東洋五反田現像所
出演:天知茂 沼田曜一 中村虎彦 宮田文子 三ツ矢歌子
シネマスコープ カラー 101分

大学生の清水四郎は恩師である矢島教授の娘・幸子と婚約していた。彼はまさに幸せの絶頂期にいたが、気がかりだったのは同級生・田村の存在だった。矢島邸に招かれた四郎は幸子たちと談笑していたが、部屋の入り口にはいつの間にか上がり込んだ田村が立っていた。彼はこれをお返しに上がったんですと言って矢島から借りていた本と一枚の写真をテーブルに置いたが、それを見た矢島は青ざめた。その写真には戦線で水筒を奪い合う若き日の矢島が写っていたのだ。田村はさらに追い討ちを掛けた。止まっている時計に気付くと矢島の妻・芙美に嫌なことが起こる前兆だと言った。部屋の雰囲気は冷めてしまい、四郎はその責任が自分にあるかのように頭を下げると田村とともに家を出た。四郎は田村のことを嫌っていたが、学費や生活費の援助を受けていたため離れることが出来なかった。田村が運転する車に乗った四郎は、寄るところがあるから角を曲がって欲しいと言った。彼はその指示に従って路地に入ったが、暗闇から飛び出してきた男を撥ねてしまった。四郎は車を停めろと叫んだが、田村は誰も見ていないし酔っ払いが向こうから飛び込んで来たのだから停めないと言った。そして無理に道を変えるように言ったおまえが悪いんだと四郎に責任を転嫁した。

翌日、四郎は教室であの男が死んだと田村から聞かされた。思い悩んだ四郎は一緒に警察へ出頭するように田村を説得してみたが、彼は聞く耳を持たなかった。そこで幸子に真実を打ち明けることにした。幸子は父親に相談するように言ったが、強迫観念に駆られた田村の頭の中には一刻も早く警察に出頭したいという思いが先走り、車に乗りたくないと言う幸子を気遣う余裕すらなかった。二人はタクシーに乗って警察署に向かったが、運転手がハンドル操作を誤り路側帯の街路樹に激突した。幸子はお腹にいる赤ん坊とともに死んだ。矢島は皆運命だと言って落ち込む四郎を慰めたが、芙美は最愛の娘を失ったショックで気が狂ってしまった。

田村の車に轢かれて死んだ男は権藤組のやくざ・志賀恭一だった。恭一の母・やすは息子の死を悲しんだが、事故現場で走り去る車のナンバープレートを見ていたのも関わらず警察にはそのことを話さなかった。やすの夫は十年前にトラックに轢かれて死んだが、被告は懲役にならなかった。それ以来、警察は当てにならないと考えていた彼女は、恭一の恋人・洋子と敵討ちをする相談をした。

屋台的映画館
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死びとの恋わずらい

  • posted at:2005-10-22
  • written by:砂月(すなつき)
しびとのこいわずらい
松下エージェンシー映像製作部=アートポート=テレビ東京メディアネット
配給:アートポート=アースライズ
製作年:2001年
公開日:2001年3月24日
監督:渋谷和行
製作:松下順一 柳沢隆行
プロデューサー:米山紳 伊藤直克
原作:伊藤潤二
脚本:友松直之
企画:加藤東司 並木俊治
撮影:喜久村徳章
音楽:遠藤浩二
エンディングテーマ:「海のしずく ~ALL of me~」Adya
美術:丸尾知行
録音:湯脇房雄
照明:才木勝
編集:菊池純一
効果:柴崎憲治 北田雅也
スクリプター:高橋たつ子
助監督:小貫英樹
製作担当:堀井健一
出演:後藤理沙 松田龍平 秋吉久美子 三輪明日美 三輪ひとみ
アメリカンビスタ カラー 95分

墓地の裏手にあるケヤキの木のそばのお堂。そこはみんなが辻占をするときに使う場所だった。お堂の脇に立ち初めて通り掛かった人に占ってもらった。私の恋は実るでしょうか、と。夕方にその場所に立っていると、辺りが薄暗くなり始めた頃に黒い服の男が近づいてきた。恐怖が彼女を襲い、うなされるといつものように目を覚ました。高校生2年生の深田みどりは子供の頃から何度も同じ夢を見ていた。

幼いころに住んでいた街に母・和子と戻ってきたみどりは新しい学校に通うことになったが、登校途中にある光景を目撃して足が止まった。それは夢で見たケヤキの木のそばにあるお堂だった。一瞬夢のことが頭をよぎり、全身から力が抜けたみどりはその場に座り込んだ。すると偶然居合わせた田中鈴枝が気遣って話し掛けてきたのだ。二人が同じクラスになることがわかるとみどりはこの道を通らずに学校へ行く手段はないかと尋ねた。その場合は遠回りになり確実に遅刻することになるが、鈴枝は彼女の気持ちを汲んでつき合うことにした。

授業が終わり昼休みに入ると、みどりは教室を出て行った男子生徒を追い掛けた。何故なら幼い時に一緒に遊んだ柴山龍介ではないかと思ったからだ。屋上にいる彼に声を掛けると龍介は微笑み、君がこの街に帰ってくるのをずっと待ってたんだよと言った。

クラスの女子の間では恋占いが流行っていた。鈴木珠代は同じクラスの手島光太郎に片思いをしていたが、友人にタロット占いをしてもらったところ成就しないと言われた。異端者によって妨害されるという結果に、それがみどりではないかと考えた珠代は嫉妬心を燃やした。鈴枝は席が隣ということもあって光太郎とよく話すが、彼女はそれを恋愛だと思っていた。だが光太郎にとっては友達でしかなく、心は一目惚れしたみどりの方に向いていた。

学校が終わると鈴枝の家にクラスメイトが集まったが、遅くなると母が心配すると言ってみどりは先に帰ろうとした。すると帰る方向が同じだからと光太郎も一緒に帰ることにした。その様子に嫉妬した珠代は、辻占を行うと二人がいなくなってから仲間たちに打ち明けた。変な人にいい加減なことを言われたらどうするのよと友人は止めたが、鈴枝は由緒ある占いだからそれもいいんじゃないと言った。彼女がお堂の謂れを話すと珠代は怖くなり決心が鈍った。

翌朝、また辻占の夢にうなされて起きたみどりは、昨夜遅くに体調を崩した和子を心配して家の中を捜した。すると何かに取り憑かれたように風呂場の壁に出来たカビを落とそうとしていた。

屋台的映画館

地震列島

  • posted at:2005-09-21
  • written by:砂月(すなつき)
じしんれっとう
東宝映画
配給:東宝
製作年:1980年
公開日:1980年8月30日
監督:大森健次郎
製作:田中友幸
製作補:高井英幸
脚本:新藤兼人
特別スタッフ:竹内均 大崎順彦 諏訪彰
撮影:西垣六郎
音楽:津島利章
主題歌:「アメジスト・サンレイ」しばたはつみ
美術:阿久根巖
照明:小島真二
録音:林頴四郎
編集:小川信夫
監督助手:奈良正博
スチール:石月美徳
アクション・アドバイザー:風間健
協力:三立製菓 マツダ
協力:「大地震」(プレジデント社・刊)の著者=グループ915 小板橋次郎 真鍋繁樹 千葉仁
整音:東宝録音センター
効果:東宝効果集団
現像:東京現像所
水中協力:オセアノフィルムセンター
資料協力:NHK
製作担当者:森知貴秀
特殊技術・ 撮影:山本武 長谷川光広
特殊技術・美術:井上泰幸
特殊技術・照明:森本正邦
特殊技術・作画:塚田猛昭
特殊技術・監督助手:浅田英一
特殊技術・光学撮影:宮西武史
特殊技術・特殊効果:渡辺忠昭
特殊技術・製作担当者:篠田啓助
出演:勝野洋 松尾嘉代 永島敏行 多岐川裕美 大滝秀治
アメリカンビスタ カラー 126分

地震学者で川津研究所の所長・川津陽一は三原山で溶岩の観測を行い、表面が一ヶ月に3.1メートル上昇していることがわかった。気象庁では地震防災対策強化地域予知会月例会が開かれ、観測現場から駆けつけた陽一は、林課長から埼玉県岩槻の深井戸に設置された傾斜計が午前四時に気になる数値を示したと知らされた。会議で陽一は地盤の盛り上がり方が異常なのではないかと発言したが、委員たちは一つの傾斜計のデータだけでは判断の基準にならないと問題にしなかった。陽一は東京の直下型地震を注意すべき状態だと言ったが、彼らは傾斜計の一データを東京の大地震に結びつけるのは乱暴だと言った。そこで陽一は最も危険が迫っている東海地域にだけ目を向けるのではなく、関東にも目を配り防災対策を強化すべきだと主張したが、防災は政府がやることで学者が口出しすることではないと渡辺教授は言った。地震予知会会長の丸茂教授は政府をその気にさせるのは容易ではないと怒りを抑えるように言った。そして東京に地震が来るのかねと聞いた。何時だと問い詰められた陽一は30日以内に来ると言い切った。気象庁観測部長は陽一を予知会から外すべきかと気象庁長官に相談したが、無尽蔵に増えていく建築物を憂いを感じていた彼は陽一の考えに共感し、内閣官房長官に連絡した。研究所にやってきた丸茂は、予知会で傾斜計のデータを再検討した結果、あの発言が暴言だったことを結論付けたと陽一に報告した。それに対し彼は、本気でそう思っているわけではなくあえて暴言を吐かなければ政府が防災に本腰を上げないからだと言った。ルールを踏んでいては誰も聞き入れてくれないという陽一の発言に憤った丸茂は今すぐ取り消すように強制したが、陽一は覚悟の上だと言った。

陽一と妻・裕子との関係は冷え切っていた。彼女の父は地震学の権威である故・川津宗近だったが、陽一が予知会に所属していられるのは宗近の威光だと言っても過言ではなかった。そんな陽一の心を癒してくれるのは、研究所の所員・芦田富子の存在だった。富子の幼なじみだった橋詰雅之は彼女のマンションを訪れ、夕食をごちそうになった。そこで富子はジャーナリストの命を賭けるという条件付きで東京地震のことを話した。ルポライターの雅之は、その日カメラマンの梅島一枝とともに助川象三宅を取材で訪れた。地震の前触れを知らせる雉を飼っている象三は、最近雉が不気味な鳴き声を発すると言うのだ。そのこともあり雅之は興味を持った。その頃、陽一は所員たちと一丸になって防災の研究を始めた。燃えない車の開発から始まった研究は、トンネル内での消火活動や避難経路の実験にまで至ったが、その様子を遠くから窺う一台の車があった。

屋台的映画館

Shall we ダンス?

  • posted at:2005-02-11
  • written by:砂月(すなつき)
しゃるうぃだんす
「Shall we ダンス?」製作委員会(大映=日本テレビ放送網=博報堂=日本出版販売)
配給:東宝
製作年:1996年
公開日:1996年1月27日
監督:周防正行
製作総指揮:徳間康快
製作:加藤博之 漆戸靖治 大野茂 五十嵐一弘
チーフプロデューサー:池田哲也
プロデューサー:桝井省志 小形雄二
原案:周防正行
脚本:周防正行
撮影:栢野直樹
音楽:周防義和
音楽プロデューサー:和田亨
主題歌:「シャル・ウィ・ダンス?」大貫妙子
挿入歌:「ラストダンスを私に」大貫妙子
美術:部谷京子
照明:長田達也
録音:米山靖
編集:菊池純一
監督補:山川元
俳優担当:前田哲
製作担当:渡井敏之
プロダクションマネージャー:佐々木芳野
プロデューサー補:有重陽一
宣伝プロデューサー:嵐智史 芝裕子
企画制作:アルタミラピクチャーズ
出演:役所広司 草刈民代 竹中直人 渡辺えり子 草村礼子
アメリカンビスタ カラー 136分

株式会社アイリスに勤める経理課長の杉山正平は、42歳の何処にでもいるような普通のサラリーマンだった。彼は庭付き一戸建てのマイホームを手に入れ、ローンを抱えながらも妻の昌子や娘の千景と一緒に暮らすことが一番の幸せだと考えていた。あの日までは・・・。

杉山は帰りの電車である光景を目にした。ふと窓の外に目をやると、愁いを帯びた美しい女性が雑居ビルの窓から遠くをぼんやりと眺めていたのだ。窓の並びには赤いビニールテープで「岸川ダンス教室」と貼られていた。その表情に心を奪われた杉山は、帰りの電車がビルの前を通るたび女性の姿を目で追うことが日課となっていた。そして一瞬でも姿が見えるだけで心が安らかになった。何とか彼女に近づきたいと思い、雑誌コーナーで目にしたダンス関連の雑誌を購入すると、ついに教室へと向かった。ところが入り口の前に立つと自責の念のようなものが押し寄せ、足が動かなくなった。そこへやってきたふくよかな高橋豊子に突き飛ばされて教室の中に転がり込んだ杉山は、どうしていいかわからずただ突っ立っていた。そんな彼に声を掛けてきたのは、憧れの女性=岸川舞だった。舞はレッスンチケットの説明をしたが、個人レッスンだと一時間で6千円も掛かることがわかり、うなだれた。その様子に気付いた田村たま子が割安のグループレッスンに空きがあることを説明すると、しばらく思案しグループの方を選択した。舞から連絡先を聞かれたが、家族にばれると馬鹿にされると思い明かさなかった。

水曜日の夜8時、シューズを揃えて教室にやってきた杉山は初めてのレッスンに心躍らせた。だが担当は奥から出てきた舞ではなく、たま子であることがわかるとがっかりした。レッスンは杉山の他に、同じく初心者の田中正浩と少しだけかじった程度の服部藤吉の三人で行われた。糖尿病の田中は医者の勧めで、服部はダンスサークルで嫁を見返すためにダンスを習うことになった。そんな正当な理由がある二人に杉山は本音を言うことは出来なかった。

舞は昨年、ダンス大会の最高峰であるイギリス・ブラックプールで行われた全英ダンス選手権に出場した。セミ・ファイナルまで残ったが、その後パートナーと別れてしまった。その彼女といつか踊ることを夢見て杉山は練習に励んだ。社交ダンスという生きがいを見つけたことで彼は変わった。仕事や家庭などあらゆることが楽しくてたまらなかったのだ。その変化にいち早く気付いていたのは昌子と千景だった。杉山は毎週水曜日に決まって帰りが遅くなり、土日も家を空けることが多くなった。遅くなるときは必ずワイシャツから香水の匂いがし、水曜日は同じ匂いだが土日は特定できなかった。そして部屋で一人で身をくねらせているのを娘が目撃していることから、昌子は夫が浮気をしているのではないかと思うようになった。そこで彼女は三輪探偵事務所に調査を依頼することにした。

屋台的映画館

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