きげきいっぱつだいひっしょう
松竹
配給:松竹
製作年:1969年
公開日:1969年3月15日
監督:山田洋次
製作:島津清 上村力
原作:藤原審爾
脚本:森崎東 山田洋次
撮影:高羽哲夫
美術:梅田千代夫
音楽:佐藤勝
照明:戸井田康国
録音:小尾幸魚
調音:松本隆司
編集:石井巌
監督助手:大嶺俊順
装置:小島勝男
進行:萩原辰雄
製作主任:吉岡博史
現像:東京現像所
協力:名古屋観光自動車株式会社 知多乗合株式会社
出演: ハナ肇 倍賞千恵子 谷啓 佐山俊二 田武謙三
シネマスコープ カラー 92分
荒木つる代は市内を巡回する路線バスに新人ガイドの指導員として乗り込んでいた。ある日、彼女の父・定吉が同じ長屋に住む杉野源三郎、石川誠、野田松吉の三人とともにカラーテレビの箱を抱えてそのバスに乗って来た。つる代は必死に止めたが、定吉たちは強引に乗り込んでしまったのだ。箱を物珍しそうに見る乗客が何インチかと尋ねると、定吉は確か60インチだったかなと答えた。やがてバスは停留所の焼き場前に到着し、四人は箱をバスから降ろそうとしたが、路肩に足を取られた松吉が滑り落ちてしまった。すると箱も一緒に転がり、中から人の足が飛び出した。
乱暴者のウマは長屋の住民にとって厄介な存在だったが、フグの毒にあたって突然死んだ。身寄りのないウマを不憫に思った日永市保健所の職員・左門泰照は棺桶代を寄付したのだが、四人はうれしさのあまりその金を使って祝杯を挙げたのだ。そこへやってきたのは、顔中にヒゲを蓄えたウマの友人だった。事情を知ったヒゲ男は「お前ら、ウマを殺しやがったな」と凄んだ。彼は一生懸命言い訳する四人をうるさい黙れと一喝し、骨壷の骨をすり鉢で粉にし始めた。そしてそれに水と醤油を加え、ウマの仕返しだと言って男たちに無理やり飲ませたのだ。おかわりはいるか?というヒゲ男の言葉に恐れをなした四人は家を飛び出し、長屋はパニックに陥った。
翌日、嘔吐と下痢で苦しむ定吉たち四人の姿を見た左門はコレラを疑い、ボルネオ帰りで不潔の塊のヒゲ男が感染源だとして対策を考えていた。その頃、御大と呼ばれることを好んでいたヒゲ男は、長屋を出て行く気になっていた。その話を聞いた杉野たちが御大のもとへ行くと、彼はウマの持ち物を処分してその代金は適当に使って欲しいと言った。すると互助組合・白菊会の会長を務める杉野は、喜んでその代金を寄付金として会計に繰り入れると答えた。住民から冠婚葬祭や旅行の積立などのために会費を徴収していることを知った御大は、ウマのために御影石の墓を立ててやりたいと切り出した。そして俺が全額出してもいいんだが、それじゃあ長い間親戚付き合いしていたあんたらの気が済まねえよなあと猫なで声を出した。杉野たちがグズグズしていると、ウマ殺しの件を警察に垂れ込むぞと凄んだ。 御大の部屋にやってきた左門は医者のいうことを聞いて欲しいと頼んだが、彼は出て行くといって聞く耳を持たなかった。そこで左門は表から封鎖するという強硬手段に出たのだ。だが御大は家を破壊して外に出ると大暴れした。そして杉野から手切金の会費全額を受け取ると、骨がひとかけらもねえんだから墓は立てられねえわな言って出て行った。
一年後、白菊会では一泊二日の温泉旅行が行われることになった。バスは旅館に向けて出発したが、その途中の観光地で御大と遭遇してしまい、ガイドを務めるつる代はそれが悪名高い男だと知らずにバスに乗せてしまった。旅行は始終御大に振り回され、皆疲れ果ててしまった。そしてつる代もバスの中で眠り込んでしまい、大阪で降りるはずだった御大をまた長屋に連れて来てしまった。
屋台的映画館
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