こうけいむ
第三プロダクション
配給:松竹
製作年:1964年
公開日:1964年8月12日
監督:武智鉄二
企画:武智鉄二
製作:長島豊次郎 池俊行
脚本:武智鉄二
撮影:稲葉直
照明:大住慶次郎
美術:平高主計
作曲:芝祐久
挿入曲:宅孝二 豊中駿
編集:金子半三郎
化粧:大橋太郎
結髪:宇佐美豊次 大橋貞子
記録:前田有行
効果:栗原嘉男
助監督:小川益生
技術監督:芥川和敏
振付:川口秀子
美術参與:今井直次
スチール:武智俊郎
進行:石井重三
録音:アオイ・スタヂオ
現像:東京現像所
衣裳提供:銀座 世喜祢
出演:柳美那 葵千代 茂山千之丞 後藤陽吉 奈良真養
シネマスコープ カラー 74分
暑さがぶり返した八月八日、持病の高血圧が快方に向かった小説家の作家民野は妻政子と妻の妹珠子を連れて熱海から上京した。その主な目的は京都と熱海の家、東京の親戚とにバラバラに保管していた娘の悦子の結婚衣裳や箪笥などを取りまとめて委託した京橋倉庫に運び込むことだった。政子たちが以前からストリップショウを見たいが女だけでは入りにくいから一度連れて行って欲しいと言っていたため、その日の午後に日劇小劇場ミュウジックホールへ行くことにした。一番後列の一番目につかない指定席に座った民野たちは第一景のマンボくらべから第二十景のグランフィナーレまで数々の女の姿態が舞う2時間たっぷりのショウを観賞したが特に印象に残らなかった。それだけに第十六景の晶子抄という演目に出演した胸部と臀部と脚部の発達した晶子という踊子が気に入った。
ストリップ観賞後、三人は中華第一楼で油っこい料理をつついた。レッドビーツを箸でつまみ上げた民野はふとあることを思い出し口にした。それはレッドビーツを食べ過ぎると便に混じって赤い色が出るという話だった。この間から便通の度に水洗便所の水が真赤に染まるので胃潰瘍ではないかと疑い大阪大学の布施先生に相談したところ、胃潰瘍の血便であれば黒色をしていると言われた。そこで排泄物から実に美しい紅色の線がにじみ出て周囲の水がまるで過酸化マンガン水に染まると民野が説明すると、先生はおそらく食べ物のせいだと言った。それでいろいろ考えサラダの野菜が原因だと気がついたのだった。政子は話を止めさせようとするが、それでも続けようとするため珠子が気を遣って姉が見たという映画の感想を聞いた。それは「浴槽の魔女」という谷崎潤一郎の原作の映画で、主演の柳美那が豊満な裸体を見せるという話題の映画だった。ストーリーはサスペンス仕立てで、結末が雑誌などに掲載されないこともヒットの要因だった。食事が終わると民野は二人を演舞場に行かせ、自分は映画館に向かった。
屋台的映画館
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