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修羅雪姫 怨み恋歌

  • posted at:2011-08-21
  • written by:砂月(すなつき)
しゅらゆきひめうらみこいうた
東京映画
配給:東宝
製作年:1974年
公開日:1974年6月15日 併映「野獣死すべし 復讐のメカニック」
監督:藤田敏八
製作:奥田喜久丸
原作:小池一雄 上村一夫
脚本:長田紀生 大原清秀
撮影:鈴木達夫
音楽:広瀬健次郎
美術:樋口幸男
編集:井上治
照明:石井長四郎
録音:神蔵昇
整音:西尾曻
監督助手:松沢一男
殺陣:林邦史朗
アームズテクニカルアドバイザー:トビー門口
スチール:橋山直己
現像:東京現像所
製作担当者:丹野弘章
出演:梶芽衣子 原田芳雄 吉行和子 岸田森 安部徹
シネマスコープ カラー 89分

明治三十八年九月、日露戦争は終戦を迎え、これを契機に大日本帝国は強固な基盤を確立した。しかし戦後のインフレは凄まじく、国民の憤懣は限界に達していた。一方その頃、殺人請負を生業としていた鹿島雪は、道海和尚から修羅の子として厳しく育てられた寺に戻り、母親の墓参りをしていた。そのとき、彼女の周りを数人の男たちが取り囲んだ。男たちは刀を構えるやいなや次々に斬りかかって行ったが、誰も雪の腕に敵う者はなく皆屍と化した。刺客に命を狙われ、警察に追われ、雪は身も心も疲れ果てていた。凶悪殺人犯として全国に指名手配されていた雪は、海辺にいたところを警察隊に取り囲まれた。観念した彼女は、持っていた刀を放り投げると大人しく縛に就いた。裁判では絞首の極刑が言い渡され、雪は素直に受け入れた。

雪は生まれ故郷である女囚房へ入れられた。死刑執行の日、処刑場へ向かう馬車がお多福面を被った男たちに襲撃され、雪は屋敷へ連れて行かれた。そこで待っていた菊井精四郎は、雪に命を助けた貸しをその腕で返してもらうと言った。そして無政府主義を唱える徳永亂水を一ヶ月間見張り、屋敷から機密書類を盗み出すように命じた。雪は女中として徳永邸に潜入した。雪が徳永家の生活に馴染んだころ、亂水は張り込む警察の目を掻い潜って彼女をある場所へ連れて行った。そこは逆賊の汚名を着せられて死んでいった亂水の同志たちが眠る墓場だった。亂水は雪が修羅雪姫であることを知った上で事件の真相を語り始めた。

昨年の二月、吉沢という名の職工が神楽坂の交番に仕掛けた爆弾を破裂させ、逮捕された。秘密警察はこの若者を利用し、事件は主義者たちとの共同謀議のよるもので天皇暗殺の予行演習だったと嘘の供述をさせた。その首謀者は特警の菊井と彼の大親友である検事総長・寺内謙道だった。亂水の同志たちは検挙、投獄され、弁護士さえ付けられない暗黒裁判の結果、たちまち処刑された。そして唯一真実を知っていた吉沢も抹殺された。菊井はこのときの功績で長官の地位を得、寺内も司法大臣となった。亂水の手には彼らを引き摺り下ろすための武器=吉沢が二人の密談を克明に書き残し母親へ送った手紙が握られていた。真実を悟った雪は、亂水に協力することにした。

屋台的映画館
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修羅雪姫(1973年)

  • posted at:2011-08-11
  • written by:砂月(すなつき)
しゅらゆきひめ
東京映画
配給:東宝
製作年:1973年
公開日:1973年12月1日 併映「ザ・ゴキブリ」
監督:藤田敏八
製作:奥田喜久丸
原作:小池一雄 上村一夫
脚本:長田紀生
撮影:田村正毅
音楽:平尾昌晃
主題歌:「修羅の花」梶芽衣子
美術:薩谷和夫
編集:井上治
照明:石井長四郎
録音:神蔵昇
整音:西尾曻
監督助手:瀬川淑
殺陣:林邦史朗
スチール:橋山直己
現像:東京現像所
製作担当者:丹野弘章
出演:梶芽衣子 黒沢年男 大門正明 岡田英次 西村晃
アメリカンビスタ カラー 97分

明治七年、神奈川県・東京監獄八王子分監で一人の子供が生を享けた。恨みを背負って生きていく不憫な我が子に、女囚である母親は雪と名付けた。

雪の降る日、浅草浅両会元締・柴山源蔵の前に一人の女が現れた。雪のように白い着物に身を包んだ女は、傘の柄に仕込んだ刃を抜くと源蔵を瞬く間に葬った。女=鹿島雪はある集落に立ち寄り、全国の最下層の人々が作る組織を束ねる松右衛門を訪ねた。そして金の力で村を潰そうとした源蔵を殺害したことを交換条件にして、仇敵の三人を探し出すように頼んだ。雪は一年を掛けて三人が松右衛門と同郷であることを調べ上げたのだ。松右衛門は雪の願いを聞き入れ、手下を総動員して探索に協力した。

明治六年三月、明治維新政府は日本初の徴兵令を太政官布告した。富国強兵を計り欧米列強と比肩すべき近代国家の礎を築こうとする新政府の意図は明白だった。ところが百姓たちはこの法令に断固として反対し、全国で叛乱が相次いだ。略奪、焼き討ちは止まることを知らず、この機に乗じた流言飛語も相俟った。その中の一つに白装束の男というのがあった。新政府の尖兵である白装束の男が現れると、人々から血税を絞り取り、徴兵には非道な振る舞いをするというものだった。この噂が後に悲劇を招いた。

明治六年六月、島根県会見郡古市村に足を踏み入れた鹿島一家は、徒事ではない事態に気付いた。白いスーツを着た小学校教師・鹿島剛は政府の徴兵官だと決め付けられ、塚本儀四郎、竹村伴蔵、正景徳市に殺害された。息子の司郎は撲殺され、妻の小夜は男たちに犯された。北浜おこのはその様子を楽しげに見ていた。四人は、徴兵を免れるためには規定にある二百七十円を自分たちに払えばいいと言いくるめ、生活が苦しい村人から大金を騙し取った。その金を山分けした儀四郎たちは計画通りに村から逃げ出したが、徳市は小夜の体に惚れ込んでいたため彼女を連れて東京へ行った。小料理屋を開いた徳市の言いなりになっていた小夜は静かに時を待った。そしてある晩、彼女は徳市の体に包丁を突き刺し、息の根を止めた。小夜は、残りの三人に復讐する前に逮捕されてしまった。無期徒刑人となった小夜にとって残る希望は生まれてくる子供だった。教悔師や看守を誘ってまぐわいを重ね、小夜は妊娠した。そして雪を出産すると、彼女に怨念を託した。難産で憔悴した小夜は、仲間に見守られながら息を引き取った。小夜を看取った三日月お寅は、刑期が終わると乳飲み子を引き取り、元旗本の僧侶・道海和尚のもとへ身を寄せた。道海は雪を修羅の子として育てるために厳しい剣術の修行を積ませた。修行を終えた雪は、墓前で復讐を誓った。その年は小夜の二十回忌だった。

屋台的映画館

  • posted at:2011-08-02
  • written by:砂月(すなつき)
じゅん
工藝舎
配給:東映セントラルフィルム
製作年:1978年
公開日:1980年12月20日 先行公開 1980年9月14日
監督:横山博人
製作:手嶋茂喜
プロデューサー:中島貞夫 呉徳寿 松本廣
脚本:横山博人
撮影:高田昭 近藤峻 篠田昇
音楽:一柳慧
美術:今村力
編集:浦岡敬一 津本悦子
照明:山田和夫 井上幸男
録音:本田孜
効果:小森護雄
助監督:荒井俊明 杉田一豊 佐々木精一(装飾)
記録:吉田栄子
美粧:境厚子
製作主任:中村賢一
進行:飯島茂
デスク:野沢直子
作画:佐々木精一
衣裳協力:東京衣裳 (株)やまもと寛斎
現像協力:東洋現像所
協力:エステーローダーK・K 勝馬 東亜国内航空K・K (株)ナック アオイスタジオ
出演:江藤潤 朝加真由美 大滝秀治 江波杏子 小松方正
スタンダード カラー 88分

数年前に漫画家をめざして上京した松岡純は、応募した漫画が新人賞の予選選考に残ったことがわかり、うれしさを抑えきれずに母親に掲載された雑誌を送ることにした。しかし正式に受賞が発表される水曜日に投函した方が良かったのかとポストの前で悩み続けた。その横には純を気遣う木島洋子の姿があった。洋子は純の恋人だったが、彼は手を握ることさえ出来なかった。彼女とは旅行に行くことになっていたが、二人きりになることが怖かったのだ。

純はまだ漫画では生計が立てられないため、遊園地の遊具を管理する仕事をしていた。洋子も同じ遊園地で働いていた。月曜日の朝、彼は通勤時間になると駅へ向かい、獲物を捜し求めた。そして満員電車に乗り込むと、純の手は教師風の女の下半身に伸びていった。彼は洋子への欲求を痴漢行為で紛らしていた。

火曜日、純は職場の大先輩である村田一郎から昇降機検査士の資格を取るように言われた。彼は村田から絶対に受かるというお墨付きを貰っていたが、純にとって明日はそれどころではなかった。

水曜日の純は朝からついていなかった。駅では月曜日の教師風の女に出くわし、女のヒモに追いかけられた。通勤途中に会った洋子には前日交わした買い物の約束をすっぽかしたことで口を聞いてもらえなかった。そして昼休みに買った雑誌の受賞欄には彼の名前が載っていなかった。それどころか最終候補にも残っていないことがわかったのだ。食事に誘った洋子は、純を気遣って何も聞かなかった。

木曜日、旅行に行きたくない純は断わる理由ばかり考えていた。夕方、純は朝の女と同じ匂いがする黒ブーツの女に狙いを定め、電車に乗り込むと女の背後に回り込んだ。何事もないふりをして列車から降りた純だったが、刑事に痴漢の現行犯として逮捕された。その様子を洋子は目撃していたのだ。ショックを受けた洋子は、純の前から姿を消した。

屋台的映画館

SPACE ADVENTURE コブラ

  • posted at:2011-07-30
  • written by:砂月(すなつき)
すぺーすあどべんちゃーこぶら
東京ムービー新社
配給:東宝東和
製作年:1982年
公開日:1982年7月3日 併映「メガフォース」(7月10日より)
監督:出崎統
製作:藤岡豊 片山哲生
プロデューサー:池内辰夫
原作:寺沢武一
脚本:寺沢武一 山崎晴哉
作画監督:杉野昭夫
撮影:高橋宏固
音楽:東海林修
主題歌:「ディドリームロマンス」松崎しげる
・・・:「ステイ」EVE
美術監督:小林七郎
録音:加藤臭
編集:鶴渕允寿
助監督:竹内啓雄
製作担当:池田陽一
企画協力:光和インターナショナル
声の出演:松崎しげる 中村晃子 風吹ジュン 榊原良子 睦五郎
アメリカンビスタ カラー 99分

惑星ダグザードで宣教師ダゴバの首を獲った重犯罪者捕獲人のジェーン・フラワーは、古ぼけた酒場である男と出会った。男を無視したジェーンは、店を出るとエア・カーで保安官事務所に向かったが、エア・バイクに乗った男はその後をしつこく追いかけてきた。男はジェーンに700万ビートルの賞金首の居場所を知っていると言った。「俺の名はコブラ!史上最高の賞金首!!」。ジェーンのレーザー銃が火を噴いた。冗談にも程がある。噂では宇宙海賊コブラは2年前に死んだはずだった。もし生きていたとしても、男とは顔が違いすぎた。しかし何処か憎めないその男の魅力にジェーンは魅かれて行った。

ジェーンは男を街まで送り届け、ダゴバの首を保安官に届けた。その夜、ホテルのベッドに横たわっていたジェーンは、窓の外にいた男を見つけると部屋に招き入れた。そのとき、窓ガラスを破って入ってきたのはダゴバの首だった。首はジェーンに向かって飛んできたが、銃で撃たれると動かなくなった。彼女は、海賊ギルドが保安官に手を回し、ダゴバを利用したのではないかと考えていた。海賊ギルドとは、第七銀河最大のマフィアで、その幹部は特殊偏光ガラスの肉体を持つクリスタル・ボーイだった。部屋には、ギルドの殺人部隊が次々と侵入してきた。二人は何とかホテルを逃げ出したが、今度はエア・カーをギルドの戦闘機が追い掛けてきた。男はエア・カーの天窓を開け、その方向に仁王立ちなると左腕を向けた。左腕は銃に変化し、光線がほとばしると戦闘機は一撃で沈んだ。

左腕にサイコガンを持つ全宇宙で唯一の男、彼は本物のコブラだった。ギルドにたった一人で抵抗した男は追跡を逃れるために顔立ちだけではなく、声紋や指紋、脳波の固有サイクルに至るまで変更し、別人として潜伏していた。ジェーンはコブラの出現を待ち望んでいた。ジェーンがある星に連れて行ってほしいと頼むとコブラは断る理由が見つからないということで了承した。二人は共同墓地に足を踏み入れた。そこには彼の死を偽装した墓があった。その地下は、コブラの愛機・タートル号の秘密基地になっていたのだ。操縦席ではコブラのパートナー、アーマロイド・レディが待っていた。三人を乗せたタートル号は惑星シドへ飛び立った。刑務所として利用されている惑星シドには、ジェーンの妹・キャサリンがギルドによって捕らえられていた。

屋台的映画館

哀しい気分でジョーク

  • posted at:2011-07-18
  • written by:砂月(すなつき)
かなしいきぶんでじょーく
松竹
配給:松竹
製作年:1985年
公開日:1985年4月26日 併映「時代屋の女房2」
監督:瀬川昌治
プロデューサー:佐々木孟
脚本:吉田剛
撮影:坂本典隆
音楽:いずみたく
主題歌:「哀しい気分でジョーク」ビートたけし&たけし軍団
美術:猪俣邦弘
録音:青木左吉
照明:八亀実
調音:小尾幸魚
技術:沼上精一
効果:高橋正雄
編集:太田和夫
助監督:福島孔道
製作担当:中沢宣明
製作主任:大堀誠
出演:ビートたけし 中井貴恵 柳沢慎吾 石倉三郎 川辺太一朗 
アメリカンビスタ カラー 108分

テレビやラジオで活躍するコメディアン・五十嵐洋は多忙な毎日を送っていた。連日朝帰りの生活を送り、家族を顧みない洋に愛想を尽かした妻は息子・健を残して逃げてしまった。現在は東京・麻布の高級マンションで息子と二人暮らしをしていたが、多忙なことを理由に面倒なことは全てマネージャーの谷善平に押し付けていた。そんな彼でも健に何かしてあげたいという気持ちはあった。いつものように朝帰りをすると健が食事の支度をしてくれたことで気を使い、洋は今日行われる父兄参観に出ると言った。善平との生活に慣れていた健が来なくていいよと言って学校に出かけようとしたそのとき、ふらついて壁にもたれたのだった。夜遊びするからだよと注意する洋に、健はパパとは違うよと言って元気に駆け出した。本来なら善平が参加する授業参観だったが、たまには父親らしさを見せようと洋はスケジュールを調整して出席した。何故なら授業のあとに親子コーラスがあるからだった。だが健には気掛かりなことがあった。いつも知らない歌を知ったかぶりして歌うからだ。いいところ見せようとしたが空回り。洋はこっそりと教室を抜け出すと次の仕事へ向かった。仕事を終えた洋に駆け寄った善平は、健が学校で倒れたことを伝えた。洋はコーラスの指揮棒を振ったことで疲れたんじゃないかと考えていたが、度々頭痛とめまいを訴えていたことで校医が病院で診察した方がいいと勧めたのだ。善平は事務所の紹介で病院へ行き脳の検査を行ったのだが、その結果について担当の医師が洋と話がしたいというのだ。

医師の診断によると健の病気は脳幹部脳腫瘍で、脳が圧迫されることで頭痛やめまいが起こるのだ。メスやレーザーを入れ辛い脳幹部の手術はとても困難であり命にかかわることから、洋は別の病院を当たるようにと言われた。そこで彼は撮影現場にプロダクションの佐川六助社長を呼び出すと、収録後に手早く話した。その内容とは、世界一うまい脳外科医を捜すこと、100万円の前借り、そして請け負う仕事は都内だけで地方と夜の仕事は一切お断りというものだった。事情を察した善平がもしやと詰め寄ると、洋は健が脳腫瘍で何もしなければ死んでしまうことを説明した。そして絶句するふたりに、健には絶対に知られないように演技しろと命じた。翌日、洋は健とともに城東大学附属病院を訪れ検査を行ったが、いい返事をもらうことが出来なかった。そこで診断書を手に伊坂脳クリニックで検査を行ったが、伊坂はここに書いてある通りだったと冷たい回答をした。そして治ることはないが薬物治療と塩分やストレスを下げることで現状維持の可能性があることを説明すると、洋は頭を下げて手術をしてくださいとお願いした。だが伊坂は成功の見込みがない手術は出来ないと断った。残された時間を親のあなたは黙って耐え、最後まで希望を失わずに充実した生活を与えてあげてくださいと言うと洋は怒って出て行ったが、伊坂はその背中に希望を失わないようにと言った。

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