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プライド in ブルー

  • posted at:2011-11-04
  • written by:砂月(すなつき)
ぷらいどいんぶるー
バイオタイド=パンドラ
配給:パンドラ
製作年:2007年
公開日:2007年7月14日
監督:中村和彦
製作:松井建始 中野理恵
プロデューサー:太田裕輝 鈴木政信
アシスタントプロデューサー:中田真也子
製作アシスタント:中村クミ枝
音楽:HΛL
エンディングテーマ:「翼」KΛNΛ
音楽協力:スマイルカンパニー ヘキサゴン
撮影:比留川伸 中村和彦
撮影(日本のみ):遠藤一彰
撮影(ドイツのみ):月村圭
VE:玉手久也
通訳:村瀬靖昌
編集:矢船陽介 藤掛順子
整音:ヒガ・アーツ&メタル株式会社
現像:株式会社ヨコシネディアイエー
製作協力:コダイ 東京シネ・ビデオ
ナレーター:寺田農
アメリカンビスタ カラー 84分 

2006年6月、FIFAワールドカップがドイツで開催され、日本代表チームは3大会連続で出場を果たした。そして8月、同じドイツの地でもうひとつのワールドカップ「INAS-FID(国際知的障害者スポーツ連盟)サッカー世界選手権」が開催された。知的障害者のサッカー世界一を決めるこの大会は、1994年にオランダで初めて開催された。その後、第3回大会以降はワールドカップ開催国で行われることが決まり、2002年は本大会閉幕後の日本で開催された。日本チームは2002年大会から正式参加し、4回目を迎える2006年ドイツ大会では、20人の代表選手が選出された。

No.1 加藤隆生(GK)
No.2 宮原優樹 
No.3 斎藤秀平
No.4 若林弥
No.5 黒木勝
No.6 中山身強
No.7 浦川優樹
No.8 金指雅巳
No.9 邊田光夫 
No.10 野沢雄太
No.11 長島幸佑
No.12 高野孝一
No.13 斎藤友宏
No.14 出雲井恭兵
No.15 小西一義
No.16 飯室省吾
No.17 松本裕一(GK)
No.18 菱木一大
No.19 原田裕一
No.20 高橋祐貴

秋田大学教育文化学部附属養護学校に通う加藤隆生選手は、静岡県・御殿場で行われた日本代表候補のトレーニングキャンプに参加した。彼は2002年にワールドカップが日本で開催されたときにもうひとつのワールドカップがあることを知った。それまでは自分に自信が持てなかったが、夢に向かって挑戦することに決めたのだ。日本ハンディキャップサッカー連盟(JHFA)のゴールキーパーコーチ・柳沢繁は、初めて加藤選手を見たとき通常の高校生よりもレベルが高いことに驚いたのだった。足りない部分を強化し、今ある技術をより伸ばしていけば日本のゴールを安心して任せられると考えていた。

2006年8月23日から三日間、ドイツ出発前の最終調整であるJHFAの成田合宿が行われた。小澤通晴監督のもとに集まった選手たちは皆、様々な事情を抱えていた。だが彼らの心は、日本代表として誇りを持って世界と戦うという目標に向かって一つになっていた。

屋台的映画館
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ひとごろし

  • posted at:2011-10-29
  • written by:砂月(すなつき)
ひとごろし
永田プロダクション=大映映画=映像京都
配給:松竹
製作年:1976年
公開日:1976年10月16日 併映「妖婆」
監督:大洲齊
製作:永田雅一
製作協力:徳間康快
原作:山本周五郎
脚本:中村努
企画構成:細井保伯
企画:金丸益美 西岡善信
撮影:牧浦地志
音楽:渡辺宙明
美術:西岡善信
録音:渡部芳丈
音響効果:倉嶋暢
照明:美間博
編集:山田弘
監督補:小林正雄
助監督:奥家孟
俳優事務:内海透
製作担当:徳田良雄
製作助手:長谷川小夜子
計測:竹内幹雄
記録:野崎八重子
スチル:小山田幸生
擬斗:楠本榮一 美山晋八
装置:渡辺善太郎
背景:京田新治郎
装飾:藤谷辰太郎
衣裳:伊藤ナツ
美粧:湯本秀夫
結髪:石井ヱミ
美術助手:加門良一
照明助手:石原喜三
録音助手:渡部一比児
編集助手:永富勲
現像:東洋現像所
協力:高津商会 山崎かつら 劇団あすなろ
出演:松田優作 高橋洋子 五十嵐淳子 丹波哲郎 岸田森 
スタンダード カラー 82分

越前福井藩のお抱え武芸者・仁藤昂軒は、藩公が江戸で見出した剣術と半槍の名人で、毎日家中の者に稽古をつけていた。剣術と半槍の腕は紛れもなく第一級であり、稽古のつけかたも厳しくはあるが本筋だった。しかし酒癖が悪く、暇さえあれば酒を飲み、酔えば決まって乱暴した。昂軒に不満を持つ藩士たちは、暴れ馬に乗った家老の息子を助けだした件を例に上げ、今後さらに勢力を伸ばして藩公の側近として仕えるようになるのではないかと心配していた。よそ者をこれ以上のさばらせてはいけないと考えていた彼らだったが、それを封じる手段は何もなかった。

福井藩きっての臆病者といわれている双子六兵衛は、まんじゅうが大好きで犬が大嫌いだった。少し大きな犬がいれば、いつも道をよけて通った。そんな頼りない兄を持つ妹のかねは、同世代の娘たちが見合いをしたり、付け文をもらっていることをうらやましく思っていた。かねは、兄妹揃って縁談の話がないのは兄上が臆病者などと呼ばれているせいだと言った。時々そう思ったと言う六兵衛に、かねは臆病者の汚名をすすぐための何かをなさったらいかがですかと問いかけた。すると六兵衛は、道に落ちている財布を拾うようなわけにはいかないと答えた。兄の性格を知っているかねは、拾ってみられたらとやさしく言った。

城内では不穏な空気が流れていた。藩士数名が昂軒に闇討ちをかけようと画策していたのだ。事態を重くみた小姓・加納平兵衛は現場へ赴き沈静しようと努めたが、藩士とともに惨殺されてしまった。昂軒がかわいがっていた平兵衛を斬った上に断わりもなく藩を出て行ったことは、わしに刃を向けたも同然だと藩公は激怒した。そしてわが藩の面目にかけて上意討にいたせと配下の者に言い渡した。誰が討手となるかという詮議になったが、相手が昂軒だけに皆迷った。家中にこれなら確かだという者も見当たらないし、名乗り出るものもいない。かといって人数を組んで向かうのは藩の面目に関わる。どうしたものかと評議しているところに名乗り出たのは震えながらやってきた六兵衛だった。そして冷や汗をかきながら、私に討手をお命じくださいと言った。討ち死にであれば恥の上塗りだと一人が言った。しかし他の一人は同意しなかった。六兵衛が臆病者だという話は昂軒の耳に届いているかもしれない。もしその臆病者が討手に来たと知ったら昂軒はどう思い、どう行動するだろうか。彼は思わずニヤリとした。

帰宅した六兵衛は、かねに旅支度だと叫んだ。かねは世間の嘲笑に耐えかねて、いよいよ夜逃げする気になったのかと冗談まじりに言ったが、御上意の討手を仰せ付けられたという六兵衛の言葉にクスリと笑った。まさか兄上にそんな大役が務まるはずがないと思っていたかねは、「上意討之趣意」と書かれた奉書の包みを差し出されると顔色を変えた。上意討の相手がお抱え武芸者の仁藤昂軒だと知ったかねは、やめて下さいと懇願した。六兵衛は昂軒とは違い剣術の稽古もろくにしたことがなかった。その兄が名乗り出た原因は自分にあるとかねは反省した。いつも不平や泣き言ばかり言うことが六兵衛の心変わりをさせたのではないかと考えていたのだ。かねは、兄上に死なれるよりは臆病者の妹と呼ばれる方がいいと説得したが、六兵衛は何事もやってみなければわからないと励ました。

太陽の照りつける北国街道を江戸に向かって歩き続けた六兵衛は、三日目に昂軒の姿をみつけた。背丈が高く、逞しい体つきは後からみただけでわかった。恐怖は彼の心臓を高鳴らせ、全身を揺さぶった。六兵衛は気持ちを落ち着けようとして持っていた水をがぶ飲みした。六兵衛が汗を拭き拭き歩いていると、突然うしろからちょっと待てと呼びかけられた。男は、きさま福井から来た討手だなと言った。六兵衛が振り返ると、そこには昂軒が立っていた。昂軒が、おれの首が欲しいか、勝負してやるから来いと叫んで槍を構えると、六兵衛は慌てふためいて悲鳴をあげた。「ひとごろし!」。そして夢中で逃げ出しどこまでも走った。息苦しくなった六兵衛は松林の中でぶっ倒れた。これからどうしようかと思案していたとき、村人たちの話し声が聞こえてきた。人殺しってほんとかと一人が言った。すると、相手は鬼のような凄い浪人者だともう一人が言った。誰か殺されたのかと最初の声が聞くと、うまく逃げた、逃げる方が勝ちだからなと二人目が言った。そして、何しろ十人や二十人は殺したような面構えだから、往来の衆も震え上がっててんでんばらばら逃げていったとそこで起こった様子を説明した。六兵衛は考えていた。世の中には肝の座った名人上手よりも、おれやあの百姓たちのような肝の小さい臆病な人間の方が多いのだろうな、とすれば、とすれば。そして立ち上がると、よし、これだとつぶやいた。

六兵衛は茶屋に入る昂軒をみつけた。彼は、昂軒が腰掛けに腰を下ろし編笠を脱いだところを見計らって大声を張り上げた。「ひとごろし!その侍はひとごろしだぞ。越前福井で人を斬り殺して逃げてきたんだ。いつまた人を殺すかわからんぞ。危ないぞ」。茶店の老婆や客たちは、その声に驚き逃げ出した。

屋台的映画館

やじきた道中 てれすこ

  • posted at:2011-10-18
  • written by:砂月(すなつき)
やじきたどうちゅうてれすこ
「てれすこ」講中(オフィス・シロウズ=バンダイビジュアル=トータル=テレビ朝日サービス)
配給:松竹
製作年:2007年
公開日:2007年11月10日
監督:平山秀幸
製作:佐々木史朗 川城和実 皇達也
プロデューサー:渡辺敦 久保田傑 佐生哲雄
アソシエイトプロデューサー:河野聡 上山公一 仲吉治人 駒崎桂子
アシスタントプロデューサー:坂巻美千代
企画協力:田中亨
脚本:安倍照雄
撮影:柴崎幸三
音楽:安川午朗
美術:中澤克巳 中山慎
照明:上田なりゆき
録音:橋本文雄
編集:川島章正
視覚効果:橋本満明
監督補:蝶野博
助監督:山本透
俳優担当:寺野伊佐雄
制作担当:宿崎恵浩
制作プロダクション:オフィス・シロウズ
出演:中村勘三郎 柄本明 小泉今日子 ラサール石井 笑福亭松之助
アメリカンビスタ カラー 108分

時は太平。霧の掛かる不気味な夜、あの世での夫婦の誓いをした大店の女主人・おさんと使用人の与兵衛を乗せた舟は、淀川の中央へと進んで行った。二人が覚悟を決めたそのとき、舟が大きく回転した。鱶がいると慌てたおさんは、与兵衛に飛び込んで話を付ける様に言ったが、得体の知れない相手に話が通じるはずがないし、そこは川だから鱶などいるはずがないと与兵衛はためらった。おさんはうちのために死ねると言ったのはうそかと与兵衛に詰め寄ったが、そうこうするうちに舟は沈んでしまい、河岸に泳ぎ着いたおさんは生きていることの素晴らしさを実感した。陽が昇ると町中は化け物の騒ぎで持ち切りだった。しかしそれを見たものは誰もいなかったため、六尺の鯨を力士が担いで行ったという説や、魚にほくろや羽、さらには鶏冠まであるという説まで飛び出した。町人たちは、その得体の知れないものの名前を知っていたら今頃お奉行に名乗り出て褒美の十両を貰っていると笑い飛ばしたが、怪魚を羽交い絞めにしたという男が十両を目の前にしていた。奉行所に名乗り出た与兵衛は、その魚の名は「てれすこ」に間違いないと言った。

江戸・品川宿にある遊郭・島崎の売れっ子の花魁・お喜乃は、事ある毎に夫婦約束の起請文と切り指を太鼓持ちの梅八を通じて馴染みの客たちに渡し、金を騙し取っていた。お喜乃は身請け費用の二百両を自分で工面しようとしていたのだ。切り指は新粉細工職人の弥次さんこと弥次郎兵衛に作らせた本物そっくりの偽物で、すでに四十七本を数えていた。その頃、別の部屋では歌舞伎役者の喜多さんこと喜多八が舞台の大失態を悔やんで思い詰めていた。「仮名手本忠臣蔵」の塩冶判官高貞役に抜擢され張り切っていたが、一番の見せ場である足利館殿中松の間刃傷の場で誤って高師直を刺し殺してしまったのだ。庭に出た喜多さんは松の枝に縄を掛けて首を吊ろうとしていた。弥次さんが自分に好意を寄せていることを知っていたお喜乃は、遊郭からの足抜けに利用できないかと考えていた。そこで切り指の芝居と沼津で病に臥せっている父親がこの冬を越えられそうもないという作り話をすると、弥次さんは大船に乗ったつもりでまかせておけと胸を叩き、明け方に迎えに来ると約束した。その最中に二人は喜多さんの首吊り現場を目撃してしまった。命を取り留めた喜多さんは、弥次さんの幼なじみだった。弥次さんがお喜乃と旅に出ることを知った喜多さんは一緒について行きたいと申し出たが、弥次さんはそれどころじゃないと突き放した。すると喜多さんは、お喜乃にアノことを話すと煽った。アノことか、それともアノことか。しばらく思案した弥次さんは、三人で力を合わせれば道が開けるよと言った。四つ時にお喜乃を迎えに行った弥次さんと喜多さんは、弁天一家の地廻りたちの目をごまかして江戸を出立した。

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キサラギ

  • posted at:2011-10-14
  • written by:砂月(すなつき)
きさらぎ
「キサラギ」フィルムパートナーズ(ミコット・エンド・バサラ=東芝エンタテインメント=テレビ東京=キングレコード=読売広告社=東映チャンネル=東映ビデオ=YAHOO! JAPAN=PARCO)
配給:ショウゲート
製作年:2007年
公開日:2007年6月16日
監督:佐藤祐市
エグゼクティブプロデューサー:三宅澄二
Co.エグゼクティブプロデューサー:加藤鉄也
プロデューサー:野間清恵 望月泰江 井口喜一
共同プロデューサー:宮下史之
原作:古沢良太
脚本:古沢良太
原案協力:48BLUES
企画:野間清恵
撮影:川村明弘
音楽:佐藤直紀
音楽プロデューサー:平川智司
主題歌:「キサラギ」ライムライト
挿入歌:「ラブレターはそのままで」如月ミキ
技術プロデューサー:佐々木宣明
美術プロデューサー:杉川廣明
録音:島田隆雄
照明:阿部慶治
映像:高梨創
編集:田口拓也
VFXスーパーバイザー:野崎宏二
ラインプロデューサー:鈴木勇
キャスティング:杉野剛
助監督:本間利幸
出演:小栗旬 ユースケ・サンタマリア 小出恵介 塚地武雅 香川照之
アメリカンビスタ カラー 108分

永遠の清純派グラビアアイドル・如月ミキが自殺してから早一年が経っていた。1周忌追悼会は「ミキちゃんを応援する掲示板」へ書き込んだ一熱狂的ファンの提案がきっかけとなって実現化した。

2月4日、ファンサイトの管理人で追悼会の幹事を担当した家元は、まだ見ぬ掲示板の住民たちを心待ちにしながら準備に取り掛かった。会場となったその部屋は、家元が大家と交渉し快く貸してくれたビルの最上階(天国の如月ミキに一番近い場所で)だった。そこへ最初にやってきたのは、お菓子作りが趣味の安男だった。ところが彼は腕によりをかけた自慢のアップルパイを時間潰しに使ったコンビニに忘れてきたことに気付き、取りに戻った。次に現れたのは、「如月ミキを愛する気持ちは誰にも負けないつもりなんで、ヨロシク」と七回も連投したスネークだった。家元はミキへのアツさを感じていたが、それはスネークが単にパソコン操作を誤っただけだった。三番目に現れたのは、男らしい文章を書くオダ・ユージだった。理想のハンドルネームが思い浮かばず、たまたまテレビに出ていた俳優の名前を安易な気持ちで書き込んでしまったことを後悔していた。追悼会は彼の提案で始まった。オダ・ユージは家元のラフな格好を指摘した。家元は気楽なパーティを予定していたが、喪服を着たオダ・ユージの真意は違っていた。亡くなった人に対する真摯な気持ちがあるのならば、それに相応しい服装があるはずだと主張するとスネークもそれに同調した。迫力に気圧された家元は、服を着替えるために出て行った。

家元が戻ると部屋は異様な雰囲気になっていた。安男が服装のことでスネークに説教され、部屋の奥には見知らぬ中年男が立っていた。オダ・ユージたちが大家だと思い込んでいた男を家元は一度も見たことも無かった。男は言った。「いちご娘です」。参加者五人が揃い、追悼会は穏やかに始まったように見えた。ところが今度は安男が異議を唱えた。一人だけトレンディな格好をしていることに抵抗を感じていたのだ。彼は建物の近所にある洋服の青山で喪服を買う、喪服でなければ盛り上がれないんだと叫びながら出て行った。そんな安男を気にも留めず、家元のミキちゃんコレクションが公開された。デビュー前のグラビアや直筆の手紙、そしてイベントの写真に一同は盛り上がった。しかしそれは次第に涙へと変わっていった。一年前の2月4日にミキは自殺を図った。オダ・ユージはそのニュースを知ったときからミキの死に疑問を持っていた。新聞に載ったその原因は仕事上での悩みということになっていたが、自殺する間際まで見せていた笑顔を考えると納得できなかった。そこで彼はある仮定を口にした。「自殺じゃないとしたら・・・」。

屋台的映画館

キューポラのある街

  • posted at:2011-09-22
  • written by:砂月(すなつき)
きゅーぽらのあるまち
日活
配給:日活
製作年:1962年
公開日:1962年4月8日 併映「青年の椅子」
監督:浦山桐郎
原作:早船ちよ
脚本:今村昌平 浦山桐郎
企画:大塚和
撮影:姫田真佐久
音楽:黛敏郎
美術:中村公彦
録音:古山恒夫
照明:岩木保夫
編集:丹治睦夫
特殊技術:金田啓治
助監督:大木崇史
製作主任:山野井正則
出演:吉永小百合 浜田光夫 東野英治郎 市川好郎 鈴木光子 
シネマスコープ モノクロ 100分

埼玉県川口市には500を数える鋳物工場やキューポラと呼ばれる鉄の溶解炉の煙突が並び立ち、江戸の昔から鋳物職人の町として息づいている。その中の一零細企業で騒動が持ち上がっていた。松永鋳工は親方による放漫経営で会社が立ち行かなくなり、会社を丸三鉄工所に売り渡すことになった。その結果、不必要だと判断された三人の従業員が解雇されることになった。三人のうちの一人、石黒辰五郎の解雇理由は「体を壊した半端職人だから」だった。その話を聞いた塚本克巳は親方に猛烈な抗議をした。そして辰五郎の不自由になった足は整備不良のクレーンを使用したことで起こったのだから会社の責任だと指摘した。ところがそこへ割って入った辰五郎は、長年世話になった親方をかばった。そしてお前たちの気持ちはありがたいと言って話を丸く収めようとした。この好景気に路頭に迷うはずがないと明るく振舞っていたため、克巳たちは引き下がるしかなかった。その夜、辰五郎の妻・トミは自宅近くの病院で男児を出産した。にも関わらず辰五郎は酒を飲み歩いて病院へは顔も出さなかった。トミに付き添っていた長女・ジュンは見舞いに来た克巳に抱きついて泣いた。石黒家の家計はとても苦しかった。中学3年生のジュンは高校への進学を考えていたが、母親からはいい返事を貰っていなかった。そこで同級生のヨシエにパチンコ屋でアルバイトをしたいと相談を持ちかけた。

ジュンにはタカユキとテツハルの二人の弟がいた。タカユキは鳩の雛を育てて売り、小銭を稼いではテツハルやヨシエの弟・サンキチを子分に従えて遊び回っていた。ある日、洗濯物のズボンに入っていた150円の内訳を明確に答えられなかったタカユキは、両親に怒られ家出してしまった。親方の息子=ノッポの話からタカユキが嘘を言っていないことがわかり、トミはうなだれていた。弟の行き場所に心当たりがあるジュンはヨシエの家へ行ってくると母親に告げると、その話を聞いた辰五郎が怒鳴った。「野郎、朝鮮の子と付き合ってんのか。このろくでなし」。その言葉を聞いて頭にきたジュンは、頭から思い込んで変えようとしないのが一番いけないと説教した。そこへやってきた克巳は、従業員からの餞別と、丸三の労働組合の委員長と掛け合って労災や退職金について問題にしてもいいという話を持ってきた。ところが職人気質の辰五郎は、組合が嫌いだという理由で断わった。

ジュンに見つかって家に連れ戻されたタカユキに不幸が待っていた。大切に育てていた鳩の雛が猫に襲われたのだ。タカユキはすでに手付金を受け取っていたため、ノッポの命令で泥棒の片棒をかつぐしかなかった。ところがジュンには全てお見通しで、廃材置き場から出てきたノッポを問い詰めると彼の後ろにはアニキがいることがわかった。ジュンはそのアニキと直接話をつけることにした。

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