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人形佐七捕物帖 妖艶六死美人

  • posted at:2012-07-15
  • written by:砂月(すなつき)
にんぎょうさしちとりものちょうようえんろくしびじん
新東宝
配給:新東宝
製作年:1956年
公開日:1956年12月11日
監督:中川信夫
製作:笠根壮介
企画:金田光夫
原作:横溝正史
脚本:赤坂長義
撮影:平野好美
照明:秋山清幸
録音:根岸寿夫
美術:岩武仙史
音楽:渡辺宙明
編集:後藤敏男
助監督:石川義寛
特殊技術:新東宝特殊技術
製作主任:鈴木義久
出演:若山富三郎 日比野恵子 宇治みさ子 市川小太夫 天知茂
スタンダード モノクロ 76分

江戸一番の才人と評判の高い似顔絵師・空来山人は、昔なじみの茨木屋鵬斎が開いた宴席で渾身の屏風絵を披露したが、絵の主人公である風流六歌仙の小唄師匠・花乃屋小扇、女俳諧師・葛野蝶雨、芸者・柳橋お駒、踊りの師匠・松葉家花奴、女歌舞伎・桜田春太夫の六人は不満を漏らした。そして作者本人の目の前で酷評すると絵を次々と傷つけて行った。あまりの仕打ちに空来山人は怒り狂ったが、鵬斎はその場を収めようと努め彼に酒を勧めた。自尊心を傷つけられた空来山人は、帰り道の橋に差し掛かると一人娘のお京が止めるのも聞かずに川に身を投げたのだった。

空来山人の死から一年後、鵬斎は風流六歌仙を使って江戸中をあっと言わせる趣向を思いついた。それは絵師が描いた似顔絵を六歌仙それぞれの背中に刺青させ、鳩の足につけたそれと同じ似顔絵を七日目の月見の晩までに手に入れた者には一枚につき十両、六枚全てを集めた者には百両の褒美を出すというものだった。彼はそのお披露目の場を屋形船で行い、勘定奉行・荻原備前守と娘の菊姫を屋形船に招いた。鵬斎の一人息子・世之介は空来山人が亡くなる前からお京のことを気に掛けていたが、鵬斎は菊姫との縁談を望んでいた。そこで彼は大きな催しを行うことで財力を誇示し、その場を使って披露することで両家の結びつきを深めようとした。趣向の噂を聞いて大騒ぎしていた辰五郎と豆六は、親分で八百八町切っての目明し・人形佐七にそのことを話したが、彼は関心を寄せなかった。

宴を終えた夜、春乃屋から聞こえていた三味線の音がぷっつりと途切れた。小扇が何者かに殺されたのだ。彼女の傍らには蝶雨の似顔絵が置かれ、端には「次は蝶雨」と書き込まれていた。翌日、その話は本人の耳に入った。鵬斎は句会を開き、小扇は浮気者だったから恨みを買ったのだろうが、わしがついているのだから心配ないと言って五人を慰めた。句会を抜け出した世之介は船着場でお京と会っていた。菊姫の悪い噂を聞かされたという彼女の話に世之介は本当だと答えた。菊姫の振舞に手を焼いていた世之介は、いくら親の勧めだとしても縁談を進めることが出来なかった。その度にお京のことが思い出されるのだ。その思いはお京も同じで、添い遂げることが出来なければ死ぬと言った。春太夫は用心棒に浪人の浅香啓之助を雇っていた。句会を終え屋敷から出てきた蝶雨は二人が帰る様子を羨ましげに眺めていた。恐ろしくてとても一人では帰れないという彼女の呟きを聞いたお駒は、帰り道が同じ方角だから途中まで送って行くと約束した。二人の身には何も起こらず、蝶雨は屋敷の近くでお駒と別れた。蝶雨が小路に入って行ったそのとき、辺りに悲鳴が響いた。

屋台的映画館
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花田少年史 幽霊と秘密のトンネル

  • posted at:2012-07-02
  • written by:砂月(すなつき)
はなだしょうねんしゆうれいとひみつのとんねる
映画「花田少年史」製作委員会(日本テレビ放送網=光和インターナショナル=バップ=読売テレビ=読売新聞=報知新聞=読売エージェンシー=松竹)札幌テレビ放送=宮城テレビ放送=中京テレビ放送=広島テレビ放送=福岡放送
配給:松竹
製作年:2006年
公開日:2006年8月19日
監督:水田伸生
企画製作:鈴木光
製作:高田真治 平井文宏 西垣慎一郎 中村仁 松本輝起
エグゼクティブプロデューサー:奥田誠治
プロデューサー:原田文宏 佐藤貴博
原作:一色まこと
脚本:大森寿美男
音楽:岩代太郎
音楽プロデューサー:長崎行男 高桑晶子
主題歌:「愛しさと心の壁」サンボマスター
撮影:藤石修
美術:小澤秀高
録音:小野寺修
照明:上田なりゆき
編集:田中愼二
装飾:西渕浩祐
助監督:城本俊治 相沢淳
製作担当:宿崎恵造
テクニカルスーパーバイザー:都築正文
VFXプロデューサー:篠田学 高瀬巌
VFXスーパーバイザー:進威志 稲葉貞則 小田一生
製作プロダクション:光和インターナショナル
企画製作:日本テレビ放送網 光和インターナショナル
出演:須賀健太 篠原涼子 西村雅彦 北村一輝 安藤希
アメリカンビスタ カラー 123分

ある日の小さな港町。この町に続くトンネルを通過中のトラックが急停車した。出口付近にセーラー服を着た少女が立っていたからだ。いくら怒鳴っても少女がそこを退こうとしないため、いらだった運転手はクラクションを何度も鳴らした。すると彼女はトラックに向かって走り出すと姿を消し、掌だけがフロントガラスに貼りついたのだった。驚いた運転手はアクセルを踏み込むとトンネルを脱出した。猛スピードで走るトラックの前に現れたのは道を横切ろうとした自転車だった。運転手は慌ててハンドルを切ったが間に合わなかった。

小学3年生のわんぱく坊主・花田一路は学校から帰るとおやつの種無しぶどう・デラウェアにかぶりつきながらテレビのスイッチを入れた。ところが画面は歪みっぱなしでまともに見ることが出来なかったため、怒った一路は母・寿枝の大切なギターでテレビを叩いたのだった。青春の思い出であるギターの無残な姿を見た寿枝は激怒し二人はいつものように大喧嘩を始めた。騒動から逃げ出した一路は、近所にいた親友の村上壮太を引き連れて遊びに出掛けたのだった。

道路に横たわる一路、知らせを聞いて駆けつける家族たち。彼はその様子を上空から眺めていた。一路は天国へ旅立とうとしていたのだ。光が差す方へ向かおうとしたそのとき、行っちゃダメだと足を引っ張ったのは、トンネルの少女・香取聖子だった。聖子は、一路の髪を引っ掴むと彼を下界へ投げ飛ばしたのだった。 病院に運ばれた一路の意識レベルは低く、このまま昏睡状態が続く可能性があった。医師から説明を受けうろたえる寿枝の目の前で一路はむっくりと起き上がった。

一路は陽気なタクシー運転手の父・大路郎、明るくてたくましい母・寿枝、クールな中学生の姉・徳子、冗談好きな祖父・徳路郎の四人に囲まれた賑やかな家庭に育った。その日の夕食は一路の話題で盛り上がった。そんな中、寿枝は運転手の奥さんから聞いた奇妙な話をした。運転手はトンネルの中でセーラー服を着た幽霊に遭遇したというのだ。それを聞いた大路郎はもうそんな歳になったのかと言った。トンネルには以前から小さな女の子の幽霊が出るという噂があったが、その後ランドセルを背負う姿を目撃した者がいたことや今回のセーラー服姿が確認されたことで、大路郎はこの世に未練を残した幽霊が成長しているのではないかと考えていたのだ。一路は、その娘のおかげで戻ることが出来たんだと力説したが、家族は誰も信じようとはしなかった。 その夜、一路の前に現れたのは近所でタバコ屋を営む吉川の婆ちゃんだった。彼女は最近拾った犬の面倒を見て欲しいと言った。自分ですればいいだろ一路が突き放すと、それが出来ないからこうして頼みに来たんじゃないかと言って婆ちゃんは涙を流したのだ。その頃、吉川家では婆ちゃんが急死した。一路は事故以来、幽霊の姿が見えるという不思議な能力を持つようになっていたのだ。

屋台的映画館

トラック野郎 爆走一番星

  • posted at:2012-06-25
  • written by:砂月(すなつき)
とらっくやろうばくそういちばんぼし
東映
配給:東映
製作年:1975年
公開日:1975年12月27日 併映「けんか空手 極真無頼拳」
監督:鈴木則文
脚本:鈴木則文 澤井信一郎
企画:天尾完次 高村賢治
撮影:飯村雅彦
録音:井上賢三
照明:山口利雄
美術:桑名忠之
編集:鈴木宏始
助監督:澤井信一郎 馬場昭格
記録:山内康代
擬斗:日尾孝司
スチール:藤井善男
進行主任:志村一治
装置:畠山耕一
装飾:米沢一弘
美粧:井上守
美容:花沢久子
衣裳:内山三七子
演技事務:石原啓二
現像:東映化学
音楽:木下忠司
主題歌:「一番星ブルース」菅原文太 愛川欽也
挿入歌:「トラック・ドライビングブギ」ダウン・タウン・ブギウギ・バンド
挿入歌:「残り火の恋」西来路ひろみ
企画協力:株式会社カントリー
協力:長崎・ニューホテル中央荘 長崎県真珠加工協同組合パールギャラリー ニットータイヤ デコレーション・トラックグループ哥麿会
出演:菅原文太 あべ静江 春川ますみ 加茂さくら 愛川欽也
アメリカンビスタ カラー 96分

派手な電飾で飾った二台のトラックが東京に戻ってきた。11トントラックの運転手・一番星こと星桃次郎を待ち受けていたのは、4トントラックの運転手・やもめのジョナサンこと松下金造の妻・君江だった。いつまで経っても身を固めようとしない桃次郎を気遣った君江は、見合い写真を知り合いに配っていい人を見つけてあげようと考えていた。一方、その話にまんざらではない桃次郎は男前を決め込んで写真撮影に臨んだ。星がチカチカッとするような生娘との出会いがあれば、特殊浴場通いをすっぱり止めて今にでも結婚したい。彼はそう心に決めていた。

トイレ休憩で播磨のドライブイン「おふくろ」に立ち寄った桃次郎と金造は、真っ先にトイレに駆け込んだ。だがあいにくの紙切れで、まだ用を足していない桃次郎が店に取りに行くことになった。女将の蝶子に早くしろと急かしていると、一人の女性がどうぞと紙を差し出した。その女性は高見沢瑛子という太宰治好きの女子大生で、「おふくろ」で下宿しながらウェイトレスのアルバイトをしていた。桃次郎はその人の顔を見るなり一目惚れ。鼻風邪をひいて微熱があると言ってその場をやり過ごしたが、我慢出来ずにドライブインから離れた場所で野糞した。ところがあの紙は鼻をかんで捨ててしまったため、またもや紙切れ。金造は仕方なく通行中の車輌に紙を分けてもらうことにしたが、停まったのは「おふくろ」に立ち寄る前に桃次郎が悪戯をしたバキュームカーだった。運転手の杉本千秋は、困っているときはお互い様とばかりに金造に手渡すと走り去り、金造は彼女の気風の良さに惚れ込んだ。

君江に柔順な金造は、全国各地を回っているときでも抜かりなく見合い写真を関係者に配っていた。ある日、博多の屋台でラーメンを食べているときに、桃次郎が紙をくれたあの女はどうだと突然切り出した。それを聞いた金造は驚き、彼の気持ちが本物であることを確認すると、この縁談を積極的にまとめることにした。「おふくろ」に到着すると、桃次郎の期待を背に金造は店内の入って行った。そして見合い写真を渡して出てくると、脈ありだぞと告げた。学ランの脇に太宰治全集を抱えた姿で座敷に上がり、緊張の面持ちで瑛子を待つ桃次郎。そして注文を取りにきた瑛子と噛み合わないながらも額に汗しながら話をした。瑛子がいなくなると金造はうまく行きそうだぞと桃次郎を勇気付けた。金造が手を振る先には千秋から注文を取る瑛子の姿が。二人が親しいと思い込んだ桃次郎は、千秋に仲を取り持ってもらおうと考えた。

屋台的映画館

皆月

  • posted at:2012-06-16
  • written by:砂月(すなつき)
みなづき
日活
配給:日活
製作年:1999年
公開日:1999年10月23日
監督:望月六郎
製作総指揮:中村雅哉
企画:吉田達
プロデューサー:角田豊 半沢浩
ラインプロデューサー:新津岳人
企画協力:植木実
原作:花村萬月
脚本:荒井晴彦
音楽:千住明
テーマ曲:「早く抱いて」山崎ハコ
撮影:石井浩一
照明:櫻井雅章
録音:西岡正巳
美術:山崎輝
編集:島村泰司
スクリプター:長坂由起子
助監督:中村和彦
製作担当:黛威久
キャスティング:窪田昭子
宣伝プロデューサー:堀内啓
製作主任:小林由明
製作進行:浅井洋一
製作協力:フィルム・シティ
出演:奥田瑛二 北村一輝 吉本多香美 斉藤暁 荻野目慶子
アメリカンビスタ カラー 114分

仕事を終えた橋梁設計士の諏訪憲雄が自宅に戻ると、いつもとは違う様子に気付いた。部屋には明かりがなく、洗濯物も干したままになっていたのだ。妻・沙夜子の姿を家中捜したが何処にもいなかった。そこで憲雄は警察に捜索願いを頼もうとしたが、電話機の横に置いてあるメモ用紙に気付き止めた。メモには「みんな、月でした。がまんの限界です。さようなら」と書かれていた。彼は、もしやと思い米びつの底に隠してあったバッグを開けて見たが、中身は空っぽになっていた。そこには庭付きの一軒家が欲しいという沙夜子のために酒もタバコも止めて貯めた2000万円の通帳と印鑑が入っていたのだ。全財産を失った憲雄は、彼女の弟でヤクザ者のアキラに相談した。アキラは憲雄を慰めるために組が仕切っている新宿の風俗店へ連れて行った。

翌日、アキラの部屋で朝食を取っていた憲雄は、テレビで彼が勤める大手ゼネコンが倒産したことを知った。妻も財産も仕事も退職金も失い、おまけにアキラが勝手に借家の契約を解約して家財道具まで全て処分してしまったのだ。途方に暮れる憲雄はアキラに頼み込み、組の仕事を世話してもらった。憲雄は風俗嬢の由美に想いを寄せるようになり、店に通うようになった。由美から同棲を申し込まれた憲雄はアキラに相談するが、姉貴のことはどうするのかと聞かれると返答に困った。しばらく考えた憲雄は、沙夜子が自分を捨てたことに彼女の気持ちが現れているし、持ち逃げした財産も7年間の家事労働の対価だと思えば諦められると言った。沙夜子の相手は高岡という不始末ばかり起こす芸能人崩れのすけこましの男でアキラの兄貴分だった。一年前に知り合ったことをアキラは知っていたが、沙夜子が蒸発して高岡が姿を消したことで姉貴が浮気をしていたことを確信したのだった。同棲について、アキラは由美の本心を探ろうとした。由美にはマチ金から借りた多額の借金があることがわかったからだ。7年間暮らした女房に逃げられた48歳のパソコンオタクに風俗嬢が興味を持つということは下心があるとしか考えられなかった。アキラが憲雄の会社が倒産して退職金も出ないことを話すと由美の表情が曇った。アキラに責められ風俗嬢を辞める決心をした由美は、憲雄と穏やかな生活を始めた。

アキラが再び憲雄のアパートに現れたのは、由美がこしらえた借金の理由を聞くためだった。ギャンブル好きが原因で多額の借金にまみれ、女房、子供に逃げられた養鶏場のオーナー・荻原から2000万円を騙し取られたのだった。アキラは憲雄たちと一緒に取り立てに行ったのだが、彼は勢い余って荻原を叩き殺してしまった。

屋台的映画館

東海道四谷怪談(1959年)

  • posted at:2012-06-04
  • written by:砂月(すなつき)
とうかいどうよつやかいだん
新東宝
配給:新東宝
製作年:1959年
公開日:1959年7月1日 併映「怪談鏡ケ淵」
監督:中川信夫
製作:大蔵貢
企画:小野沢寛
原作:鶴屋南北
脚本:大貫正義 石川義寛
撮影:西本正
照明:折茂重男
録音:道源勇二
美術:黒沢治安
音楽:渡辺宙明
編集:永田紳
助監督:石川義寛
製作主任:山本喜八郎
出演:天知茂 北沢典子 若杉嘉津子 江見俊太郎 中村竜三郎
シネマスコープ カラー 75分

大寒の明けたある夜、備前・岡山の屋敷町では四谷左門と彼の友・佐藤彦兵衛が家路を急いでいた。そこに現れたのは、左門の娘・岩との仲を引き裂かれた浪人の民谷伊右衛門だった。彼は岩との復縁を認めて欲しいと願い出たが、左門は身持ちの悪い者に娘はやれないと強く断わった。隣にいた彦兵衛も、待ち伏せをして無理難題を吹っかけるのは追い剥ぎも同然だと言った。馬鹿者呼ばわりされて我慢出来なくなった伊右衛門は二人を斬った。彼はそばにいた下僕の直助にまでも手を掛けようとするが、彼が発したいい考えがあるという言葉に心が揺れた。

直助は伊右衛門と口裏を合わせて、仇は顔の真ん中に大きな刀傷があったことからしても御金蔵破りをしくじった小沢宇三郎に間違いないと言った。御上に訴え出た左門たちへの逆恨みという話をでっち上げたのだ。それを聞いた岩は、本懐を遂げるまで妹の袖との縁談を待って欲しいと彦兵衛の子息である与茂七に頼み込んだ。すると与茂七も同意した。そして岩は伊右衛門にも協力を求めると、彼は「岩殿のためなら喜んで」と言った。一行は早速、江戸へ出立した。

岡山を旅立って半年後、与茂七たちは白糸の滝近くの茶屋で休んでいた。岩はそこから半里先にある曽我兄弟の墓に参るつもりでいたが、体調が思わしくなかったため与茂七と伊右衛門、そして直助が代わりを務めることになった。与茂七が音止めの滝の雄大さに感心していたそのとき、直助は背後から斬り付けると滝壷に突き落としたのだった。二人は茶屋の岩たちに、与茂七が突然現れた宇三郎に斬られ、必死の抵抗も空しく逃げられてしまったと伝えた。伊右衛門は岩を介抱し、直助は袖とともに宇三郎の後を追い掛けることになった。袖に想いをよせる直助は二人きりになる機会を窺っていたのだ。

伊右衛門と岩との間に子供が生まれ、二人の江戸での生活は順調そうに見えた。だが仕官の口はなく、伊右衛門は傘貼り、岩は仕立て物で家計を成り立たせなくてはならなかった。岩は仇の手掛かりが掴めないことと妹の消息がわからないことに焦りを感じていた。ある日、その不安が口に出てしまい、それを聞いた伊右衛門は腹を立てて家を出て行った。一方、袖も直助と所帯を持っていた。薬を売りながら仇と姉を捜す直助が要領を得ないことに袖は苛立ちを感じていた。
伊右衛門は、娘に酌をさせなければここを通さないという侍たちから伊藤喜兵衛と梅を救った。そのお礼としてもてなしを受けた伊右衛門だったが、喜兵衛が差し出した金子をいくら浪人暮らしとは言っても武士は武士であるから受け取れないと言って断わった。その様子を見ていた梅は、伊右衛門の誠実さに惹かれて行った。

屋台的映画館

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