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ザ・スパイダースの大進撃

  • posted at:2014-03-13
  • written by:砂月(すなつき)
ざすぱいだーすのだいしんげき
日活
配給:日活
製作年:1968年
公開日:1968年1月3日 併映「花の恋人たち」
監督:中平康
企画:笹井英男
脚本:伊奈洸 倉本聰
撮影:北泉成
照明:土田守保
録音:片桐登司美
美術:松井敏行
編集:辻井正則
助監督:飯塚二郎
音楽:かまやつ・ひろし 脇野光司
主題歌:「夜明けの太陽」田辺昭知とザ・スパイダース
挿入歌:「暗闇にバラを捨てよう」田辺昭知とザ・スパイダース
挿入歌:「ヒア・カム・スパイダース」田辺昭知とザ・スパイダース
挿入歌:「ロンリーマン」田辺昭知とザ・スパイダース
挿入歌:「俺のハートはダン!ダン!」田辺昭知とザ・スパイダース
挿入歌:「バン・バン」田辺昭知とザ・スパイダース
挿入歌:「なんとなくなんとなく」田辺昭知とザ・スパイダース
挿入歌:「好きだから」ヴィレッジ・シンガーズ
挿入歌:「バラ色の雲」ヴィレッジ・シンガーズ
色彩計測:永塚各一郎
現像:東洋現像所
特殊撮影:日活特殊撮影部
製作担当者:岡田康房
協賛:キキ・デザインアトリエ 鹿児島織物KK 霧島山上ホテル 鴨池タクシー 鹿児島県畜産事業農業協同組合連合会 オリエント時計株式会社
出演:田辺昭知 堺正章 井上順 井上孝之 大野克夫
シネマスコープ カラー 82分

アメリカでの公演を終えて帰国の途に就くザ・スパイダース。東京へ向かう航空機の中でリーダの田辺昭知は楽譜の整理を行い、隣席の堺正章は現地で買ったお気に入りのタンバリンの鼓面を切り取って使いやすいように改造していた。それを見ていた井上順は宝石の飾りが女物みたいだとケチをつけるが、正章はそこを気に入っていたのだ。そんな彼らの様子をエキゾチックな顔立ちの女が微笑みながら後部座席から見ていた。空港に到着するとファンがゲートに押し寄せて身動きが取れないほどひしめき合っていたため、正章は大事なタンバリンをゲートの外にいた所属事務所「スパイ・ダクション」のスタッフ・緒方ゆり子に手渡した。すると何者かがそれを奪おうと手を伸ばしたが、ゆり子は力任せに引き寄せて守ったのだった。それと同じ頃、昭知は混雑の中で楽譜が入ったアタッシュケースを別の物と取り違えていた。何とかファンを振り切ったザ・スパイダースのメンバーは用意してあったマイクロバスに乗り込むと一息ついた。バスを物陰からサングラスの男とともに見送った女は、なるべく早くあのタンバリンを手に入れるべきだわと呟いた。

7人は事務所に戻るとすぐさまコンサート会場へ向かった。出番の時間が迫る中、控室で準備をしていると順が俺のタンバリンを知らないかとメンバーに言った。それはアメリカで二つ買った正章からそのうちの一つをプレゼントされたものだった。ゆり子も確かに見たと証言したが、その後どうなったかを誰も知らなかったため、忘れ物が趣味だと正章に笑われた。そのタンバリンは控室に忍び込んだサングラスの男の手下によって盗み出されていた。だが鑑定士の見立てで嵌められている宝石が模造品だとわかると、男は手下に電話をかけて今夜中にもう一つの方を何とかしろと怒鳴った。その頃、ザ・スパイダースは「暗闇にバラを捨てよう」を熱唱していた。順は客席に航空機の女を見つけると、正章に俺たちのファンだったんだなと間奏中に話しかけた。だが彼女の視線は正章が持っているタンバリンに注がれていた。

ステージが終わり一同が楽屋に戻ると、持ち物が何者かに荒らされ留守番をしていたバンドボーイの原田が倒れていた。ゆり子は意識を取り戻した原田に何があったのかと尋ねたが、いきなり後ろから殴られたため何も覚えていなかった。ファンにしては手荒すぎる上に何も盗られていないことから何が目的か彼らには見当も付かなかった。騒動を探って会場から出てきた女は、車で待つサングラスの男に自分たちの他にもあの連中を狙っている人物がいると話した。

屋台的映画館
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ザ・スパイダースのゴーゴー・向う見ず作戦

  • posted at:2014-03-07
  • written by:砂月(すなつき)
ざすぱいだーすのごーごーむこうみずさくせん
日活
配給:日活
製作年:1967年
公開日:1967年8月26日 併映「花と果実」
監督:斎藤武市
企画:笹井英男
脚本:倉本聰 才賀明
撮影:山崎善弘
照明:大西美津夫
録音:高橋三郎
美術:中村公彦
編集:近藤光雄
助監督:坂口喜久男
色彩計測:畠中照夫
現像:東洋現像所
製作担当者:岡田康房
協賛:東京サマーランド キキ ファンタジックアニマル
音楽:小杉太一郎
主題歌:「あの虹をつかもう」田辺昭知とザ・スパイダース
挿入歌:「フリフリ66」田辺昭知とザ・スパイダース
挿入歌:「夕陽が泣いている」田辺昭知とザ・スパイダース
挿入歌:「なんとなくなんとなく」田辺昭知とザ・スパイダース
挿入歌:「太陽の翼」田辺昭知とザ・スパイダース
挿入歌:「風が泣いている」田辺昭知とザ・スパイダース
挿入歌:「恋のドクター」田辺昭知とザ・スパイダース
挿入歌:「サマー・ガール」田辺昭知とザ・スパイダース
挿入歌:「バラ色の雲」ヴィレッジ・シンガーズ
挿入歌:「きっと何処かに」ヤング&フレッシュ
出演:田辺昭知 堺正章 井上順 井上孝之 大野克夫
シネマスコープ カラー 81分

大磯ロングビーチで行われている公開生放送のテレビ番組「素人歌謡コンクール」。この番組はチャンピオンと挑戦者が対戦する視聴者参加型の勝ち抜き戦で、10人勝ち抜いたチノに司会者は労いのインタビューを行った。ファンからの一番多い質問としてボーイフレンドはいるかと尋ねると、彼女は親しい友達は4人いると答えた。その4人とはこの番組の伴奏を行っているバンド「ヤング&フレッシュ」で、その中の健とは淡い恋愛関係にあった。だが気の弱い健がいつまで経っても告白しようとしないことから、恋人はいないとわざと聞こえるように断言したのだった。驚くメンバーとショックを受ける健。どんな恋人が欲しいかという質問に、たとえ障害物があってもそれを乗り越えて真っ直ぐ歩いて来るような人が現れれば求愛を受け入れると答えた。この番組を喫茶店で見ていた若者7人組は、あの娘のところまで真っ直ぐ歩いて行って恋人にするということで意見がまとまった。そして太平洋横断を計画したときの出発点だった横浜を新たな冒険の出発点に決めたのだった。

プールサイドに駆け寄ったチノは、飛び込み台横のステージで演奏している健に電報が届いたことを伝えた。そこには「一直線で歩き始めたから待っていてくれ」と書かれてあり、彼女がそれを読み上げたものの健は自らが弾くギターの音の掻き消されて聞き取れなかった。健は何とかして聞き取ろうと身を乗り出したが、バランスを崩してプールに落下した。その頃、7人組は公園の柵を乗り越えたり、喫茶店の窓を破って店内を横切ったり、交差点を横切ったりと周囲の迷惑を顧みずひたすら真っ直ぐ歩いていた。その結果、事故を避けようとした車が玉突き衝突を起こして大騒動になり、神奈川県警の電話は鳴りっぱなしになっていた。そして今度は銭湯の女湯を通過したという報告を受け、署長は驚きを隠せなかった。視察に来ていた警視総監は暴動だと判断し機動隊を出動させる命令を出したが、7人組は警察署に向かって歩いてきたのだ。総監は警察への挑戦と判断して署長を逮捕に向かわせようとしたが、彼らは真っ直ぐ進んで留置場に入った。総監にお前たちの目的は何だと聞かれると、順はただ真っ直ぐに歩きたかっただけで、強いて言えば自由のためだと答えた。すると続いて正章が人間の本能だと答えた。署長は馬鹿なと怒鳴ったが、総監はその考え方に共感を覚え、若者ように一度でいいからやりたいことをやってみたいと言った。それは罪のある者を逃がすことだった。総監によって釈放された7人組は再び歩き始めた。

7人組に触発された浩治、英介、光彦の3人は、健の家に集まるとお前もやれと促した。チノの家は彼の家の一件置いて隣という近さもあって、思い切って突っ切りさえすれば7人組よりも先に到着することが出来るのだ。健は勇気を出して隣家の主・三上教授に掛け合うことにしたが、理由を聞かれて尻込みをしてしまった。

屋台的映画館

電車男

  • posted at:2014-02-28
  • written by:砂月(すなつき)
でんしゃおとこ
「電車男」製作委員会(東宝=フジテレビジョン=S・D・P=博報堂DYメディアパートナーズ)
配給:東宝
製作年:2005年
公開日:2005年6月4日
監督:村上正典
製作:島谷能成 関一由 細野義朗 安永義郎
エグゼクティブプロデューサー:市川南 小岩井博悦
企画:川村元気
プロデューサー:山内章弘 仁平知世 稲田秀樹
企画協力:春名慶
アソシエイトプロデューサー:前田久閑
ラインプロデューサー:武石宏登
原作:中野独人
脚本:金子ありさ
音楽:服部隆之
主題歌:「ラヴ・パレード」ORANGE RANGE
技術プロデューサー:佐々木宣明
美術プロデューサー:津留啓亮
撮影:北山善弘 村埜茂樹
映像:吉川博文
美術:柳川和央
照明:花岡正光
録音:田中靖志
Bキャメ撮影:阿部一孝
装飾:臺勝隆
スクリプター:河野ひでみ
編集:稲垣順之助
音響効果:齊藤昌利
選曲:藤村義孝
キャスティング:前島良行
監督補:森永恭朗
助監督:村上秀晃
制作担当:高見明夫
製作プロダクション:東宝テレビ部 共同テレビジョン
出演:山田孝之 中谷美紀 国仲涼子 瑛太 佐々木蔵之介
アメリカンビスタ カラー 101分

あるインターネットの電子掲示板に「電車男」というハンドルネームの人物からの書き込みが掲載された。その人物は年齢22歳、彼女いない暦22年のアキバ系ヲタク青年で、「こんな俺に大チャンス到来!?ごめん。よく考えたらチャンスでもなんでもなかった・・・冷静になれ俺」と書き込まれるとネットの住人が一斉に注目した。大量の「気になる」という書き込みに、電車男はその日あったことを順を追って書くことにした。

秋葉原でショップ巡りをした彼は帰路の電車に乗ったが、同じ車輌に偶然乗り合わせたのは面倒臭い酔っ払いの中年男だった。男は目の前の乗客に絡みわめき散らした。他の乗客たちは見ぬふりをし電車男もなるべく視線を合わせないようにしてやり過ごそうとしたが、男は次の標的とした女性から本を取り上げると何を読んでるんですかと馴れ馴れしく声を掛けたのだった。中谷美紀似の女性がかわいそうでたまらない電車男は思わず立ち上がったが恐怖で何も出来なかった。そのとき車輌が揺れて体が男に当たり、怒りの矛先は電車男の方へと向いた。「やめろよ!」。搾り出すような声で注意する電車男に男が拳を振り上げたそのとき、車掌が仲裁に入った。最寄の駅で男は駅員に連行され、被害者たちも事情説明のために交番へ通された。帰っていいと言われた電車男が席を立つと、あの女性が名前と連絡先を教えて欲しいと願い出た。あなたのおかげで助かりましたと言われ、舞い上がった電車男は戸惑いながらもメモ帳に記入したが、肝心なことを忘れていた。彼女の連絡先を聞いていなかったのだ。

この書き込みの反響は大きかった。何百人とある男アドレスに加わっただけとか、相手がお礼を送ってくるから大丈夫だとか、単なる社交儀礼だなどという様々な意見をもらった電車男は、感謝の言葉を書き込むとパソコンの電源を落とした。

数日後、自宅に宅配便で荷物が届いた。差出人があの女性からだとわかると、電車男は掲示板に急いで書き込んだ。箱を開けると中にはペアカップが入ってあり、まずはお礼の電話を掛けるべきだというアドバイスを受けた。だが女性に電話を掛けたことがない電車男にとってそれが最初の試練だった。カップの内容次第で相手の本気度がわかるという意見を聞いた電車男は、書かれてある見慣れないブランド名を「HERMES」と入力した。高級ブランドであるエルメスのカップが送られて来たということはただ事ではないとネットの住人は狂喜した。電話をしろ、いきなりの電話は相手に引かれるから手紙で返事しろ、家に押しかけろなどと様々な意見が交錯し、電車男はパニックに陥った。そんな中、「みんな、最初は震えるんだよ」という書き込みが目に止まった。「ここで電話を掛けることで電車男の今後が変わると思う」。すると別の人物が「おい。一つだけ言っておく」と書き込んできた。「相手の女性は一人だが、おまいには、オレたちがついている」。その言葉に勇気付けられた電車男は、携帯電話を手に取った。

屋台的映画館

凶弾

  • posted at:2014-02-16
  • written by:砂月(すなつき)
きょうだん
松竹映像=富士映画
配給:富士映画
製作年:1982年
公開日:1982年9月15日
監督:村川透
製作:升本喜年 増田久雄
企画:奥山和由
原作:福田洋
脚本:石森史郎 北村彰 押川国秋
音楽:羽田健太郎
音楽監督:鈴木清司
主題歌:「LAST GOOD-BYE」山本達彦
撮影:坂本典隆
撮影助手:満井坦彦 池谷秀行 篠崎昭雄
オプチカル:石川智弘
美術:横山豊
美術助手:成沢守
録音:島田満
録音助手:近藤勲 林義昭 鈴木考史
調音:小尾幸魚
照明:八亀実
照明助手:高岩進 飯島興一 藤田繁夫 加藤実 福岡昭男
編集:池田禅
編集助手:中西正義 松浦和也
装置:石渡敬之助 田村武男 前田勝巳
装飾:町田武 奥村松太郎
衣裳:松竹衣裳 相澤登記雄
メーク:大庭礼子
スチール:金田正
記録:宮下こずゑ
監督助手:南部英夫 内田秀哉 飛河三義 羽二生茂樹
擬斗:國井正廣
カー・スタント:スリーチェイス
特殊機械:NK特機
車輌:トランスポート(有)
現像:東京現像所
宣伝プロデューサー:下川東彦
進行:田沢連二
製作主任:早川喜康
製作協力:(株)プルミエ・インターナショナル
出演:石原良純 古尾谷雅人 秋吉久美子 勝野洋 高樹澪
アメリカンビスタ カラー 112分

大学生の荒木英夫は少年院時代の仲間の沼田昭彦、内山正一と再会を果たした。正一の車で向かった先は北アルプスで、目的は英夫が手に入れた父親の形見であるベルギー製のライフル銃を試射することだった。気心の知れた三人は、白樺の木を標的にするなどして思い存分野山を駆け回った。その帰り、車中で昭彦が銀行強盗でもやるかと口にした。それを聞いた正一は乗り気だったが、英夫の顔色を察した昭彦は冗談だとすぐさま打ち消した。英夫の提案で石和温泉に行くことになり、高揚した正一は車を飛ばした。辺りが暗くなった頃、雨の中をずぶ濡れになって歩く裸足の女に昭彦が気づいた。駅なら何処でもいいという女を乗せた車は松本市の国道をひたすら走っていたが、前をノロノロと走るトラックを追い越したところを取り締まっていたパトカーに見つかった。追い越し違反、飲酒、スピード違反、そして車輌の窃盗容疑が掛けられた正一は、硬派な警官に引きずり出され若い警官に警察署へ連行された。車内からライフル銃が出てきたことで若者たちの言動に不審を抱いた硬派な警官は、英夫に制裁を加えた。それを見た昭彦は彼を守ろうとして揉み合いになり、警官が手放したライフル銃を掴むと銃床で何度も殴りつけたのだった。体を張って止めた英夫は昭彦を車に押し込むと、思い切りアクセルを踏んだ。

長野県警はパトカー28台と78人の警官を投入して幹線道路の検問など警備を強化したが、英夫たちの足取りは掴めていなかった。そのころ、署内では正一が刑事たちから執拗な取り調べを受けていたが、彼は決して余計なことをしゃべろうとはしなかった。「仲間を売るなんて絶対嫌だ!」。少年院で出会った三人は、両親がいないという境遇が似ていたことで絆が深まって行ったのだ。早朝、乗り捨てられた盗難車が県警に発見され、車内の指紋から英夫と昭彦の身元が割れた。少年院上がりということで、宮下捜査官は奴らは何を仕出かすかわからないと福本刑事部長に報告した。それを聞いた福本は、先入観で未成年者の犯罪を見誤ってはならないと釘を刺した。その頃、緑色の軽ワゴン車に乗り換えた英夫たちは交通量の少ない道路を選んで信濃坂駅を目指していた。駅に着くと、女は誰にも言わないからと手を振って去って行った。そこに巡回中のパトカーが現れたため、何事もないように車を発進させた。しばらく農道を走っていたが、英夫は考え事をしているうちに車を脱輪させてしまった。昭彦の力を借りて抜け出そうと試みていたところを警官に見つかり、二人は車を諦め走って逃げた。

正一の取り調べを行っていた刑事の中に、英夫と関わりの深い人物がいた。岩井刑事部長は松本北署時代に英夫が起こした事件を担当していたのだ。五歳のときに交通事故で両親を失った英夫は、姉・知子と寄り添うように生きてきた。それから十数年後、知子は年上の男と付き合っていたが、妊娠したことがわかると暴力を振るい始めた。暴力に耐え切れず堕胎すると、それを知った男は英夫の前で「近親相姦だったんじゃないのか」と言った。その言葉で頭に血が上った英夫は金属バットで男を撲殺したのだ。英夫と面会した岩井は妙な印象を受けた。殺人を犯した人物が澄んだ目をしていたからだ。それ以来、事件を起こした少年たちの心情をわかろうと努力していた。

保護司である森下周造の寺にたどり着いた英夫と昭彦は、一緒に警察に行って自分たちの言い分を伝えて欲しいと頭を下げた。だが既に寺の周囲は警察に包囲されていたのだ。森下に裏切られたと誤解した英夫は、警官に発砲すると昭彦と裏山に逃げ込んだ。

屋台的映画館

転がれ!たま子

  • posted at:2014-02-05
  • written by:砂月(すなつき)
ころがれたまこ
近代映画協会=シネカノン=衛星劇場=S・D・P=ハピネット・ピクチャーズ
配給:シネカノン
製作年:2005年
公開日:2006年2月4日
監督:新藤風
製作:新藤次郎 李鳳宇 石川富康 細野義朗 川島晴男
プロデューサー:新藤次郎 里中哲夫 長谷川安弘
脚本:しんどうぎんこ
音楽:磯田健一郎
撮影:佐々木原保志
照明:祷宮信
録音:白取貢
美術:中澤克巳
小道具:相田敏春
編集:渡辺行夫
スクリプター:松橋章子
助監督:森宏治
製作担当:岩谷浩
出演:山田麻衣子 岸本加世子 竹中直人 松澤傑 広田レオナ
アメリカンビスタ カラー 103分

運河に囲まれた町に住む桜井たま子は、美容室たつまきを経営する母・タツコと、高校三年生の弟・大輔と暮らしている。たま子は幼いときにプールで溺れ、人一倍用心深い娘になった。そしてかくれんぼの最中に父・平吉が家を出て行くと、ますます用心深くなった。それ以来、彼女は何処に行くにも父親手製の鉄かぶとが手放せなり、周囲から「鉄かぶとのたま子」と呼ばれた。そんなたま子の大好物は、日進月歩堂のジイチャンが作る甘食で、美容室のレジから小銭をくすねて買いに行くのが日課になっていた。生まれたときから食べている甘食を自分の部屋のベッドに寝転んでかじりつく。そしてベッドの下に住んでいる居候のネコ・タマに少しばかりおすそ分けする。それが彼女にとって至福の時だった。だが24歳になったある日、タツコに「自分の甘食は自分で買え!」と言われ、たま子に恋焦がれる金福寺の和尚・トラキチの紹介で配送所のアルバイトを始めることになった。 アルバイトから帰る途中、乳母車を押した女性に出くわしたたま子は、苦手な「人」を避けるために細い路地に入った。すると今度は苦手な「犬」に咆えられ、さらに住宅街の奥へ奥へと入り込んで行った。するとバッタリ会った不思議な少年に「気をつけて。穴に落ちるよ」と警告を受けた。その言葉に驚いたたま子は身を堅くしたが、その先からやってくる自転車の男に気づき、思わず後ずさった。そして、道路にぽっかりとあいた穴に落ちた。

5メートルはある穴からたま子が這い上がったとき、世界が変わっていた。タツコとトラキチが年の差を超えて激しい恋に落ち、日進月歩堂がジイチャンの急病で休業していたのだ。ショックを受けたたま子は、平吉が経営する鳥越メカニックに立ち寄った。平吉はたま子の数少ない理解者で、家を出てからは自動車整備士として働き、時間が空くと鉄を使ったオブジェ作りに勤しむのだった。たま子は自由気ままな平吉のことが大好きで、何事かあると必ず工場を訪ねるのだ。彼女が四六時中、鉄かぶとを被っているのは、いつも平吉が自分のことを守ってくれているように感じていたからだった。その平吉も雑誌の取材を受けたことでアーティスト魂に火がつき、ペーター鳥越としてニューヨークに旅立とうとしていたのだ。 絶望に打ちひしがれて家に帰ると、大輔がテレビの画面をぼんやりと見つめていた。映っていたのはタツコの幼なじみでバスガイドのマーブルで、彼女を尊敬する大輔は観光バスに客として乗り込み、ビデオカメラでガイドの様子を撮影した映像を見ていたのだ。彼はたま子の方に顔を向けるとこう言った。「俺、バスガイドになることにした」。何が何だかわからなくなったたま子は部屋に戻ると、どうしようとタマに声を掛けた。だが返事はなく、タマが姿を消したことを知った。

タツコとトラキチの結婚式が行われた翌日、たま子は部屋に引きこもっていた。彼女の心には、式の直前にタツコから言われた「自立しなさい」という言葉が引っ掛かっていたのだ。「甘食が食べたい」。そう思わずつぶやくと、あの少年が側らに現れ、食べればいいじゃないかと言った。その言葉に勇気付けられたたま子は、運河に囲まれた半径500メートル足らずの小さな世界から抜け出して隣町へ甘食を買いに行くことに決めた。

屋台的映画館

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