ひぼたんばくと
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1968年
公開日:1968年9月14日
監督:山下耕作
企画:俊藤浩滋 日下部五朗 佐藤雅夫
脚本:鈴木則文
撮影:古谷伸
音楽:渡辺岳夫
美術:雨森義允
照明:和多田弘
録音:溝口正義
編集:宮本信太郎
助監督:本田達男
記録:矢部はつ子
装置:温井弘司
装飾:宮川俊夫
美粧:中野進明
結髪:妹尾茂子
衣裳:森護
擬斗:谷明憲
古武道:中島正義
進行主任:西村哲男
出演:藤純子 若山富三郎 高倉健 大木実 待田京介
シネマスコープ カラー 98分
時は明治の中頃、岩国の武花一家の賭場は不死身の富士松が胴師・蛇政の札に細工があると因縁を付けたことで騒動が起きていた。しかし証拠は見つからず、富士松は落とし前を付ける事になったが、そこに口を挟んだのは熊本人吉で一家を構える矢野仙蔵の一人娘・竜子だった。蛇政の仕掛けを見抜いた竜子は、証拠を差し出すと渡世のしきたり通りきっぱり形を付けて貰いましょうと言った。引っ込みが付かなくなった組長の武井花太郎は、蛇政に小指を詰めさせその場を収めた。 四国道後温泉に一家を構える熊坂虎吉の身内である富士松は、親分の使いで下関へ行った帰りに騒動に巻き込まれた。彼は命を助けてくれたお礼がしたいから道後に寄って欲しいと頭を下げたが、竜子は流れ流れの一人旅が性に合っているからと丁重に断わった。富士松と別れてしばらく経った夕方、竜子を取り囲んだのは蛇政とその一派だった。さっきの礼をさせて貰うぜと短刀を抜いた蛇政たちは竜子に斬り掛かり、彼女は手傷を負った。そのとき助けに入ったのは駆け出しの渡世人・片桐直治だった。竜子の傷の手当を終えた片桐は、彼女の懐から落ちた財布を拾い上げると顔色が変わった。その様子に気付いた竜子が持ち主に心当たりがあるのですかと尋ねると片桐は口ごもった。そこで彼女は、財布の経緯を話すのであなたも知っていることを話してくださいと言った。
仙蔵は妻の遺言に従い、竜子を堅気の家へ嫁に出してもおかしくないように育てた。そして望みどおり堅気の呉服問屋との縁組が整ったある日、仙蔵は辻斬りに遭って命を落とした。この騒動に怖気付いた先方は縁談を断わってきたのだった。乾分たちに渡世は男稼業だから女には任せられないと言われた竜子は矢野組を畳む決心をし、父親の敵討ちの旅に出たのだった。あの日、号泣する竜子は父親の亡骸に落ちていた財布を拾った。それが犯人のものに間違いないと確信した彼女は全国の賭場を尋ね歩き、五年の歳月が流れた。竜子はどうしても財布の持ち主が知りたいと言ったが、片桐は何も知らないと白を切った。そこへ再び蛇政たちがやってくると彼は竜子を匿い、一派の後を追って行った。片桐の人柄に惹かれる竜子だったが、懐の財布が無いことに気付き唇を噛んだ。
熊虎一家に草鞋を脱いだ矢野組のフグ新が酒の上でのいざこざを起こし、岩津一家と熊虎一家の間で騒動になっていた。フグ新は火種である自分が命を差し出せば事が丸く収まると考えていたが、虎吉は富士松が竜子に助けられたことから義理を義理で返すのが侠客の筋だと言って行かせようとはしなかった。そこへやってきたのは噂を聞きつけた竜子だった。虎吉は竜子に一目惚れした。フグ新は仙蔵が殺害されたときの唯一の目撃者だった。竜子から堅気になるように言われたフグ新は、女の細腕で一家の金看板を守り抜こうと苦労する彼女の姿に感銘を受け三年前に修行の旅に出た。彼は世話になった熊虎一家に迷惑を掛けたことを反省していた。そこで竜子は、私はフグ新という子分を持った矢野組二代目矢野竜子、私に任せて置きなさいと力強い言葉を掛けた。
屋台的映画館
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