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コント55号 人類の大弱点

  • posted at:2013-07-05
  • written by:砂月(すなつき)
こんとごじゅうごごうじんるいのだいじゃくてん
東宝
配給:東宝
製作年:1969年
公開日:1969年8月13日 併映「日本海大海戦」
監督:福田純
製作:寺本忠弘 安達英三朗
企画:浅井良二
原作:町田浩二
脚本:江古武郎 平戸延介
音楽:小野崎孝輔
撮影:宇野晋作
美術:育野重一
録音:小沼渡
照明:下村一夫
整音:エコースタジオ
監督助手:根本順善
編集:大橋冨美子
現像:東京現像所
製作担当者:村上久之
製作協力:株式会社エコー
出演:萩本欽一 坂上二郎 白川由美 岡田可愛 大辻伺郎
アメリカンビスタ カラー 77分

競輪を生き甲斐としている大垂欽一は、身包み質に入れて作った虎の子の二万円を何十倍にもしてやろうと夢を見たが、現実は甘くなかった。残金はわずか三十円。腹が減ったと嘆きながら秋葉原の電気街を歩いていると、女性客から店員と間違えられた。彼が着ていたジャンパーが前を通り掛った店のものとそっくりなのだ。客から金を騙し取れるかもしれない。そう考えた欽一は店員に化けることにした。すると早速カモがやってきた。その客はジューサーを買いに来た人が良さそうな中年男で、欽一に言われるがままに商品代の五千円を支払った。そしてレジに用意してあった商品を持ち出そうとしたが、支払いがまだだと止められた。払った払ってないの押し問答となったが、外にいる欽一の姿をみつけ男は箱を持ったまま店を飛び出した。大胆な行動に驚いた店員たちは万引きだと叫びながら追い掛け、ついに男を取り押さえたのだった。男の名は駒形二郎。隅田署の詐欺係を任命されたばかりの刑事だった。逃げ延びた欽一は知り合いの大門幸子と出会った。キョロキョロと落ち着かない欽一の様子にどうしたの尋ねると、彼は財布を掏られてここまで追い掛けて来たが逃げられてしまったと嘘をついた。掏られた一万二千円は集金してきた金で、会社に納めなければ公金横領になると泣き言を言うと、幸子は私が貸してあげると言った。欽一は亡くなった幸子の兄の親友だったこともあり、彼女は信頼し切っていたが、欽一は手に入れた一万七千円を競輪に使うつもりでいた。

万引きの疑いは晴れたが、詐欺係配属初日にカモにされた屈辱は晴れなかった。そこで二郎は再び現れるであろう秋葉原に狙いを定めパトロールを始めた。すると予想どおり競輪で有り金を摩った欽一が通り掛ったのだ。二郎は逮捕寸前まで追い込んだが、まんまとしてやられた。タバコを騙し取ることを思いついた欽一は、大日本福祉協会で贈答用のタバコが不足しているため直ちに千個欲しいと向かいのタバコ屋に駆け込んだ。タバコ屋は用意したタバコと小さな息子に運ばせたため、欽一は簡単に手に入るぞとほくそ笑んだ。だがその子供はしっかり者で、現金との引き換えでなければ渡さないというのだ。困った欽一が受け取りの判子を持っているかと尋ねると、子供はそんなもの持っていないと答えた。すると、役所のようなところでは絶対に必要だと説明して取りに帰らせたのだった。こうして欽一はまんまとタバコをせしめたのだが、待ち伏せていた二郎に逮捕された。子供が通り掛った二郎に通報したことで逮捕に至ったのだ。留置場に送られた欽一は四日間で十二件の犯行を行い、手に入れた七十万円を全て競輪につぎ込んだ。数日後、面通しが行われ欽一は被害者に対する謝罪を述べる一方で断続的に咳き込んだ。その結果、同情を買うことに成功しまたもや金をせしめたのだった。巧妙な言葉で弁護士までも抱き込んだ欽一は、前科一犯の刑期をまじめに勤めて六ヵ月で仮出所した。実社会での再スタートを切った彼の最初の仕事は洋服店でスーツを拝借することだった。新しいスーツに身を固めた欽一の行く先は幸子が勤める旭光産業だったが、彼女は既に退職した後だった。その夜、幸子が会社を辞めた理由を知った欽一が彼女のために次の計画を頭の中で巡らせていると、腕に手錠が掛かった。二郎の第六感で逮捕された欽一は、再び半年間の別荘暮らしとなった。

屋台的映画館
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メッセンジャー

  • posted at:2013-06-27
  • written by:砂月(すなつき)
めっせんじゃー
フジテレビ=小学館=ポニーキャニオン
配給:東宝
製作年:1999年
公開日:1999年8月21日
監督:馬場康夫
製作:村上光一 中村滋 石崎邦彦
エグゼクティブプロデューサー:北林由孝 河村雄太郎 山下暉人 武政克彦
プロデューサー:小牧次郎 石原隆 倉持太一 河井真也 増田久雄
キャスティングプロデューサー:空閑由美子
アソシエイトプロデューサー:重岡由美子 前田久閑 杉原典子
ラインプロデューサー:和田康作
原案:ホイチョイ・プロダクションズ
脚本:戸田山雅司
音楽:本間勇輔
オープニングテーマ:「No Lights...Candle Light」久保田利伸
エンディングテーマ:「Messengers’ Rhyme」久保田利伸
撮影:長谷川元吉
照明:森谷清彦
美術:小川富美夫
録音:中村淳
助監督:河原圭敬
スクリプター:津崎昭子
編集:田口拓也
音響効果:柴崎憲治
製作担当:堀井健一
製作協力:プルミエ・インターナショナル
出演:飯島直子 草彅剛 矢部浩之 京野ことみ 加山雄三
アメリカンビスタ カラー 118分

イタリアの服飾ブランド「エンリコ・ダンドロ」のプレスをしている清水尚実。プレスと言えば人も羨む華やかな職業だが、彼女の場合は恋人である岡野博のコネを利用してその座を射止めた。岡野が勤める安宅物産はエンリコ・ダンドロのスポンサーで、尚美はブランドの広告塔を口実にしてマンションや車、カードなどありとあらゆる費用を安宅物産に肩代わりさせていた。ある日、雑誌編集者の前川万美子から安宅物産がスポンサーを降りるという噂を聞いたが、そんなことはあるわけないと笑い飛ばした。その数時間後、エンリコ・ダンドロは倒産した。都内に展開する店舗の商品は全て差し押さえられ、自宅にも紙が貼られていた。彼女は唯一残っていた駐車場のアルファロメオでマンションを後にしたのだった。一度にたくさんの出来事が起きたことで尚美は混乱していた。考え事をしていた彼女は前方を横切った自転車に気付くのが遅れた。撥ねられたのは「Tokyo Express」という自転車便の横田重一だった。横田は自分のケガよりも早く封書を届けて欲しいと願い出た。困惑する尚美は言うとおりに銀行へ封書を届けたのだが、そこで安宅物産審査部の太田量久にみつかり、カードや携帯電話などを没収されてしまった。太田たちから放り出された尚美は、今度はひき逃げの容疑で警官に逮捕された。

自転車便は横田と同じ大学の鈴木宏法が卒業後に始めた事業だった。鈴木はバイク便を敵対視し、都内では自転車の方が速いという揺るぎない信念を持っているが、当初8人いたメンバーも今は鈴木と横田の二人だけになっていた。おまけに横田は全治2ヶ月の骨折である。「楽勝!」。鈴木は笑顔を作るもののお先真っ暗だった。現住所不定、職業なし、任意保険なし、そしてお金なしの尚美を取り調べした島野真は、被害者が横田であることを知ると、あいつなら示談に応じてくれるかもしれないと行った。その言葉を聞いた尚美は早速横田が入院をしている病院へ行き、お金よりももっと大事な心の支えで示談したいと言った。横田は、どんなことでもしてくれるのなら自分の代わりに自転車に乗って欲しいと言ったが、尚美はそんなダサいことなんて出来るわけないと腹を立てた。島野は尚美に俺のところに泊まるか?と言った。

留置所に一晩泊まった直美は横田の言葉に従い自転車便を手伝うことにした。だが汗を流して働くことに無縁の彼女がこの仕事を続けられるはずがなかった。おまけに鈴木との相性も最悪だった。示談を白紙にしてもらおうと考えた尚美は再び病院を訪れたが、そこで横田が恋人の由美子とケンカしているところに出くわし、話の一部始終を聞いてしまった。由美子は思い出の携帯電話を置くと病室を飛び出した。何も言い出せずに病院を出た尚美は、バイク便メンバーの行きつけであるP’sダイナでシャンパンを飲みながら考え事をしていた。そこに鈴木が入ってくると彼女は一方的に思いをぶちまけたのだった。すっきりして下宿に戻ると、入り口で由美子が待っていた。尚美は横田の部屋を間借りしているが、そこに置いてあるカメラを取りに来たのだ。大学卒業時、鈴木に説得された横田は既に決まっていた就職先を蹴って自転車便を選んだ。事業を始めた頃は順調だった自転車便もバイク便の出現で得意先を次々と奪われて行った。仲間たちが次々と離脱する中、由美子が心配すると横田は決まって心配ないと強がった。そして最後はいつもケンカになるのだ。彼女はカメラマンを目指して専門学校に入ったが、その夢は東京に出るための口実だったためこれを機会に長野へ帰ることにした。翌日、尚美は横田から配達の依頼をされた。病室に置いて行った携帯電話を午後3時発の特急バスに乗った由美子に届けて欲しいというのだ。これを最後の仕事にしようと考えた尚美は東京駅バスのりばに向かった。ところがバスは発車した後だった。

屋台的映画館

コント55号 世紀の大弱点

  • posted at:2013-06-13
  • written by:砂月(すなつき)
こんとごじゅうごごうせいきのだいじゃくてん
東宝
配給:東宝
製作年:1968年
公開日:1968年11月2日 併映「日本一の裏切り男」
監督:和田嘉訓
製作:安達英三朗
企画:浅井良二
脚本:松木ひろし
音楽:山本直純
主題歌:「そいつに一番弱いんだ」坂上二郎
撮影:中井朝一
美術:加藤雅俊
録音:吉沢昭一
照明:山口虎男
整音:小沼渡
監督助手:合月勇
編集:岩下広一
合成:三瓶一信
現像:東洋現像所
協力:ニッカウ井スキー株式会社
製作担当者:坂井靖史
製作協力:株式会社エコー
出演:萩本欽一 坂上二郎 三浦恭子 水垣洋子 真理アンヌ
シネマスコープ カラー 87分

週刊誌「ウイークポイント」の記者・矢島周作とカメラマンの北川洋太は、年がら年中遅刻ばかり。遅刻の理由も底をつき覚悟して出勤したところ、編集長の沢田から朝駆けとは感心だと褒められた。彼らの仕事は自称流行作家の竹村直彦から依頼した原稿を受け取ることだったが、締め切りがその日の午前中であるにも関わらず、未だに入手出来ていなかった。それを知った沢田は「直ちに出動だ!」と怒鳴りつけたのだった。売れっ子となる最後のチャンスだと考えた竹村は、今までの作品とは違う性愛小説に挑戦しようとしていた。だが試みとは裏腹に、筆の方は一向に進まなかった。困った矢島と北川は特訓と称したキャバレー、アルバイトサロン、ヌードスタジオ、泡風呂の梯子に竹村を強引に参加させた。三人が最後にやって来たのは矢島たちがいつも接待に使っている行きつけのクラブ・RIC-Uだった。ママのご機嫌をとって竹村に近付かせ、原稿のネタにさせようと考えた矢島だったが、竹村はいつの間にかホステスの君子と交渉を成立させて雲がくれしてしまった。二人は自宅の前で待つことにしたが帰ってくる様子はなく、夜が明けてしまった。

先日持ち込んだ原稿の感想を聞こうとウイークポイント社を訪れた赤石銅幹だったが、素人が書いた小説など端から読む気のない沢田はつき返したのだった。赤石が肩を落として歩いていると、怖くて怖くてたまらない女房の直子と出くわした。慌てる赤石は通り掛ったタクシーに乗り込み、直子もその後に来たタクシーを停めた。竹村の行方は一向にわからず、矢島と北川は公園でしょんぼりとしていた。北川は三年三ヶ月前まで街頭カメラマンをやっていたが、矢島の紹介で今の仕事にありついた。その仕事が絶望となった今、彼は再び街頭カメラマンとしてやっていくことに決めたのだ。そうと決まればと沿道のタクシーを停めようとしたところ、降りてきたややこしい二人の騒動に巻き込まれてしまった。矢島は足下に落ちていた封筒に気付き拾い上げると、中から作者名のない原稿が出て来た。思わぬところで手に入った原稿に、矢島は「山吹咲代」と署名した。「燃える雌芯」を一通り読み上げた沢田は興奮し、急遽この小説を載せることにした。すると評判が評判を呼び売り上げは倍増、読者からも熱狂的な支持を受けた。これに気を良くした沢田は次の作品を期待していたが、いないものはどうしようもなかった。写真だけでも何とかしなければと考えた矢島は、手っ取り早く有名になりたいと願う人物を口説いて山吹咲代に仕立てあげることにした。その人物とは北川の彼女でRIC-Uのホステスの須永糸美だった。糸美は二つ返事で了承したが、問題は作家本人の行方だった。封筒に書かれた住所を手掛かりにして居所を捜すと、古びたバスにたどり着いた。恐妻家の赤石は身を潜めて小説を書いていたが、住所が公になることを恐れていたため出版社に売り込むことが出来ないでいた。自分の作品が架空名で発表されたことを彼は心から喜び、これからも山吹咲代として執筆することを約束した。その後、山吹咲代は新人文学賞を受賞し、人気はさらに高まったが、それをつまらなく感じていたのは週刊ロマンの記者・小森麻子だった。

屋台的映画館

新宿純愛物語

  • posted at:2013-06-03
  • written by:砂月(すなつき)
しんじゅくじゅんあいものがたり
東映
配給:東映
製作年:1987年
公開日:1987年7月4日 併映「恐怖のヤッちゃん」
監督:那須博之
企画:長谷川安弘
プロデューサー:黒澤満 青木勝彦
原作:桑原譲太郎
脚本:那須真知子
音楽:都志見隆 埜邑紀見男
音楽:プロデューサー:高桑忠男 石川光
主題歌:「新宿純愛物語」仲村トオル 一条寺美奈
挿入歌:「哀しみ無宿」仲村トオル
挿入歌:「傷だらけのHAPPINESS」仲村トオル
撮影:浜田毅
録音:橋本文雄
照明:安河内央之
美術:菊川芳江
編集:山田真司
技斗:高瀬将嗣
キャスティング:飯塚滋
助監督:鹿島勤
製作担当:川崎隆
製作協力:セントラルアーツ
出演:仲村トオル 一条寺美奈 五十嵐いづみ 松井哲也 大地康雄
アメリカンビスタ カラー 96分

学校をサボって親友の原田ユミと新宿にやって来た17歳の尾花マリは、愛猫のチャコをペット美容室に預けるとユミの買い物に付き合った。用事を終え店員から受け取ったチャコを抱きかかえようとしたマリだったが、ユミの掛けた声に驚いて逃げてしまった。逃げ込んだ路地の先で男の叫び声。マリがそっと覗くと、大の字になった男の上にチャコが乗っかっていた。男の名は一条寺文麿。空腹でさまよっていたところ、突然飛び出してきたチャコに驚いて倒れたのだった。マリはお詫びの気持ちをこめてランチをごちそうすることにした。文麿の貪り食う姿にユミはゲンナリしたが、マリはそこに男らしさを感じ、彼が放つ危険な雰囲気に惚れこんだのだった。会計するときになりマリは何処かで財布を落としたことに気付いた。ユミは買い物で小遣いを使い果たし、文麿も2千円しか持ち合わせていなかった。青ざめるマリの顔を見た文麿は「俺が何とかする」と言った。二人が店を出たことを確認すると、彼は事務所に乗り込みお宅のスパゲティーは高い割りにまずかったから600円負けろと言った。だがそんな理由が通るわけがなく、警察に通報しようとするサボイの支配人に文麿はまずいと感じた。一方、文麿が店から出てくるのをマリは信じて待っていた。警察沙汰になったら大変だから帰ろうとユミは促したが、マリは彼のことを放っておけなかったのだ。店から飛び出してきた文麿と再会し喜び合ったのもつかの間、支配人たちの怒号で現実に引き戻されたのだった。逃げる文麿たちに支配人は皿を投げたが、それが尋問中の刑事・田崎に当たった。顔を真っ赤にした田崎と相棒の森下はサボイの店員たちと取っ組み合いを始め、二人はその隙に逃げたのだった。マリと文麿は遠くまで逃げて来たが、ケージの中にチャコがいないことに気付いた。走っているうちに扉が開いたのだ。やっとのことでチャコを見つけて掴まえたとき、車を横付けしたのは真実を知った田崎たちだった。田崎は逮捕のドサクサに紛れてマリの制服を剥ぎ取ろうとしたが、それを見て頭に来た文麿は森下とともに伸したのだった。面子を潰された田崎は怒りに燃えた。

文麿たちは路地裏に逃げ込み、開店前のスナックに身を潜めた。店のレジから金を盗み出そうとしたことをマリに叱られた文麿は、サラ金から資金を調達しようと考えた。だが身分を証明するものを持っていなかったため金を貸して貰えなかった。そこで彼はジャンパーで1万円を用立てて欲しいと願い出たが、それが店員・田代の逆鱗に触れた。サラ金「ワイルドローン」は暴力団・白井組が経営する店なのだ。事務所へ連れて行かれた文麿は組員たちに暴行を受けたが、反撃したときに拳銃を手に入れた。そのワルサーPPKは、関西連合会幹部の勝間田が新米組長の白井寿一に始末させるために送った曰く付きの代物だった。

屋台的映画館

皇帝のいない八月

  • posted at:2013-05-30
  • written by:砂月(すなつき)
こうていのいないはちがつ
松竹
配給:松竹
製作年:1978年
公開日:1978年9月23日
監督:山本薩夫
製作:杉崎重美 宮古とく子 中川完治
原作:小林久三
脚本:山田信夫 渋谷正行 山本薩夫
撮影:坂本典隆
音楽:佐藤勝
美術:芳野尹孝
照明:八亀実
録音:田中俊夫
調音:松本隆司
効果:伊藤亮行
編集:杉原よ志
スチール:金田正
監督助手:福田幸平
装置:森勇
装飾:宮崎琢郎
衣裳:松竹衣裳
現像:東洋現像所
進行:早川喜康
製作主任:沼尾鈞 福山正幸
監督補:熊谷勲
撮影補:長沼六男
製作補:小倉洋一
ナレーター:鈴木智
協力:逗子マリーナ
出演:渡瀬恒彦 吉永小百合 高橋悦史 山本圭 山崎努
アメリカンビスタ カラー 140分

8月14日午前1時、盛岡市好摩で車の接触事故が発生した。国道4号線を巡回していたパトカーは現場に向かおうとしたが、車線をはみ出して走行するトラックに遭遇し追跡を行った。接近して車輌のナンバーを確認しようと試みたが、貨物を覆ったシートの隙間から覗いた銃口がパトカーを狙っていた。機関銃の乱射を受けたパトカーは蜂の巣になって炎上し、トラックは何事もなかったように東京方面へ走り去った。午前10時半。陸上自衛隊警務部長・江見為一郎は、亡き妻の墓参りのため来ていた鹿児島で内閣調査室室長・利倉保久からの第一報を聞いた。首相直属の情報機関である内閣調査室は、国の内外に亘って広く情報の網の目を張り巡らしており、その活動内容は極秘にされていた。仙台の警務課部隊が現場を立ち入り禁止にして検証を行った結果、機関銃の弾痕が発見された。政府は事件を隠すために、濃霧による事故として処理せよと命じたのだった。彼らがマークしていたA種特定退役者には複数の所在不明者がおり、その中にある人物が入っていることを知った江見は東京に直帰することを止め、福岡へ向かった。

防衛庁技術研究本部職員・松谷は利倉を招いて事故の説明を行った。パトカーは10メートル以内の至近距離で被弾したが、車輌には5.56ミリNATO弾による弾痕が残されていた。通常、自衛隊は7.62ミリ弱装弾を使用しているが、NATO弾は装備していなかったのだ。この情報は総理大臣・佐橋光永内と閣官房長官・黒須忠雄にも伝えられ、東京・首相官邸に呼び出された山村貞徳防衛庁長官は、5.56ミリ機関銃はアメリカがK国に武器援助したものであると説明した。佐橋は度重なる経済政策の失敗や強引なK国汚職隠しなどによって急速に支持率を失い、4ヵ月後に行われる総選挙では民政党分裂の危機が噂されていた。更なる頭痛の種を抱え込んだ佐橋は緊急閣僚会議を開くことにした。

江見が訪ねたのは、博多で暮らす彼の一人娘・杏子だった。杏子とは5年前に絶縁したが、その理由は藤崎顕正を愛したからだった。藤崎は退役後、運送業を営んでいたが、8月になると同業者の寄り合いで県外に出向くことが多くなっていた。そこで近況を把握すべく娘に接触したのだった。杏子が台所に立つ隙を見計らって江見はメモなどを探したが、手掛かりを見つけることは出来なかった。午後6時過ぎ、博多駅のみどりの窓口を訪れた雑誌レザー旬報の記者・石森宏明は、キャンセル待ちだった寝台特急さくら号のチケットを手に入れた。だが彼を待ち伏せていたのは特殊な革靴を履く二人の男たちだった。男たちはチケットを譲るように言ったが、石森は隙をみて逃げ出し午後6時59分発のさくら号に乗り込んだのだった。静かに走り出したさくら号の車内で石森は杏子と再会した。江見が去った後、矢島一曹から受け取った手紙で藤崎が東京に行くことを知った杏子は慌てて仕度をしたのだ。石森は五井物産の南米駐在員時代に右翼の起こしたクーデターに巻き込まれ、そのときに旅行中だった女子大生の杏子と出会った。市民を撃ち殺した武器が自分の売ったものであることを考えると苦しくてたまらず、愛を求めた石森は無事日本へ帰れたら結婚しようと約束した。だが待ち合わせ場所である銀座の喫茶店に杏子は現れなかった。その後、石森はあの日に何があったのかを江見から聞き出そうとしたが、勘当したから忘れてくれの一点張りで答えようとはしなかった。そして今日、同じ質問を杏子にしたが、彼女はやはり答えを口にしようとはしなかった。やがて列車が門司駅に到着すると、杏子は何も言わずにこの列車を降りて欲しいと懇願した。それと同じ頃、数人の乗客が車輌の下に潜り込んだ。

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