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ぼくが処刑される未来

  • posted at:2015-02-25
  • written by:砂月(すなつき)
ぼくがしょけいされるみらい
「ぼくが処刑される未来」製作委員会(東映=東映ビデオ=木下の賃貸=東映エージェンシー)
配給:東映
製作年:2012年
公開日:2012年11月23日
監督:小中和哉
製作:鈴木武幸 間宮登良松 木下直哉 松田英史
企画:白倉伸一郎 加藤和夫
プロデューサー:高橋一浩 大森敬仁 菅谷英智
脚本:長谷川圭一
音楽:遠藤浩二
撮影:志賀葉一
照明:赤津淳一
美術:室岡秀信
装飾:山本信毅
録音:赤澤靖大
整音:小林喬
特殊視覚効果:泉谷修
編集:佐藤連
音響効果:松浦大樹
ラインプロデューサー:吉崎秀一
アシスタントプロデューサー:沖拓史
助監督:高橋浩
製作管理:角田朝雄 菊池淳夫
主題歌:「脱走のシーズン」Prague
製作プロダクション:東映東京撮影所
製作統括:木次谷良助
出演:福士蒼汰 関めぐみ 吉沢亮 小西博之 中西良太
アメリカンビスタ カラー 87分

何となく生きて行ければそれで十分だと考える大学生の浅尾幸雄はある夜不思議な体験をした。食堂からの帰り道でまばゆい光が上空から降り注ぎ、気づいたときには警察の取調室にいたのだった。粕谷刑事から高圧的な尋問を受けたが、逮捕理由は殺人だと聞き驚いた。世にも残虐な手口で罪もない人を五人も殺したと言われてもそんな記憶は微塵もなく、間違いではないかと質したが粕谷は聞く耳を持たなかった。二人の会話を部屋の片隅で静かに聞いていた部下の下田刑事は確かにあなたは殺していないと言った。だが彼女が付け加えた言葉を聞いて幸雄は青ざめた。「今はまだ」と。

しばらくして面会室に弁護士の生方紗和子がやってくると彼女は幸雄が公開処刑でフォトンビームを浴び火だるまになる映像を見せた。この国では公開処刑など行われていないためフェイク映像か何かの類だと思ったが、あなたのいた時代ではそうでしたと言われ絶句した。説明によると今いるのは25年後の未来であり、処刑の様子が全国にライブ中継され関心の高い国民の間では視聴率が70パーセントを超えるのだという。この世界では全ての人間の情報が量子コンピューター・アマテラスに管理されており、集積されたデータによって裁判が行われるので絶対に冤罪が起こらない正しい判決が下るというのだ。システムが導入されて以降犯罪は減少し安心安全な社会が実現したが、全ての殺人事件がなくなったわけではなかった。激情に駆られた突発的犯罪や逮捕覚悟の犯罪までは阻止出来なかった。死刑制度が廃止されたこの世界では殺人の最高刑罰は終身刑で、凶悪な殺人犯は自らの命で償うことはなくなった。だが被害者感情の救済や犯罪抑止の観点から考案された新たな法律が「未来犯罪者消去法」だった。それはこの時代に終身刑となった殺人犯を過去(その時代に生きる20歳の人物)から高量子時空移送システムで連行し処刑するというものだった。その際、量子学におけるエヴェレットの多世界解釈で分岐した新しい世界が生まれ、殺人を未然に防ぐことが出来る。しかも過去の改変が後の世界に影響することがないため、既に起きた事件や犯人はそもそもなかったことになるのだ。幸雄は理解出来なかったが、翌日行われる裁判の結果次第で自分が無罪になる可能性があるのではないかと考えた。ところが有罪は確定となっており、紗和子の役目は罪を自覚させ反省させるだけであることを知った。幸雄の目の前には絶望しかなかった。

屋台的映画館
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暴力教室

  • posted at:2014-05-25
  • written by:砂月(すなつき)
ぼうりょくきょうしつ
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1976年
公開日:1976年7月1日 併映「暴走の季節」
監督:岡本明久
企画:安斉昭夫 坂上順
脚本:神波史男 奥山貞行 岡本明久 福湯通夫
撮影:中島芳男
音楽:菊池俊輔
挿入歌:「恋のテディーボーイ」クールス
美術:中村修一郎
録音:長井修堂
照明:川崎保之丞
編集:田中修
記録:山内康代
助監督:福湯通夫
擬斗:日尾孝司
スチール:藤井善男
進行主任:松本可則
装置:安沢重治
装飾:田島俊英
美粧:入江荘二
美容:石川靖江
衣裳:河合敬一
演技事務:石原啓二
現像:東映化学
出演:松田優作 舘ひろし 南条弘二 山本由香利 安西マリア
アメリカンビスタ カラー 85分

名門校の私立愛徳学園高校は一流大学への高い進学率を誇っていた。文武両道を掲げるこの学園では生徒たちの行動を厳しく管理していたが、それに歯向かっていたのが落ちこぼれの不良グループだった。学園側はそのような生徒を3年C組に押し込み、他の生徒に悪影響を与えないように努めていた。だが数々の事件を起こすことで大量の退学者が出ることを恐れた石黒源之助理事長は、難波周太郎校長と協議した。その結果、溝口勝利を適任者であると判断し担任として迎えることになった。学園に赴任してきた溝口が自己紹介をし黒板に名前を書いていると、顔の横にナイフが突き刺さった。彼はそのナイフを抜くと「どうもありがとう」と呟いた。そして投げ返すとグループのリーダーである喜多条仁の机に命中した。それは溝口流の挨拶だった。

保健体育の教師である溝口は、最初の授業で郊外でのランニングを行った。喜多条たちは遠回りをしてサボったが、行動を見抜いていた溝口は校門で待ち構え、彼らにグランドを十周走るように命じた。その後も喜多条たちが騒ぎを起こすと決まって溝口は現れた。溝口への怒りをバイクで晴らして帰宅した喜多条だったが、いつもは何も言わない父親に説教をされた。溝口が家にやって来て、学校で起こったことを洗いざらい喋ったというのだ。父親に殴られた喜多条は、自室に篭るとナイフを手に取ると壁に貼られた家族写真に投げつけた。切っ先は父親の喉元を貫いていた。

授業中に数学教師の坂本昭三郎から注意を受けた喜多条たちは、授業が終わると憂さ晴らしにディスコへ向かった。そこには女友達が連れてきた理事長の娘・石黒ますみの姿があった。源之助は中学から大学まで一貫教育が出来る学園を作り上げようと考え移転計画を進めていたが、その際に4億円の利鞘が発生することになっていた。その話を自宅で偶然耳にしたますみは、父親のことが信じられなくなり非行に走ったのだ。グループの辻伸吾は彼女にシンナーを覚えさせ、処女を奪った。その様子を撮影した写真が石黒邸に送りつけられたことから、学園の名誉に傷がつくことを恐れた源之助は、溝口にネガを取り戻すように命じたのだった。喜多条たちがたむろする倉庫に現れた溝口は、単刀直入にネガを渡せと言った。生徒たちに殴られながらも無抵抗を貫く溝口だったが、そのうちの一発に思わず反応してしまった。立ち尽くす溝口に、喜多条はおもしろくなってきたなと言うとネガを渡した。翌日、校舎の屋上に溝口を呼び出した喜多条は、古い新聞を突きつけた。強烈なパンチを持つ溝口は将来を有望視されたボクサーだったが、大学対抗ボクシング選手権で相手選手が死んだことをきっかけにリングを去ったのだった。

屋台的映画館

北陸代理戦争

  • posted at:2014-01-25
  • written by:砂月(すなつき)
ほくりくだいりせんそう
東映
配給:東映
製作年:1977年
公開日:1977年2月26日 併映「ピラニア軍団 ダボシャツの天」
監督:深作欣二
企画:日下部五朗 橋本慶一 奈村協
脚本:高田宏治
撮影:中島徹
照明:増田悦章
録音:溝口正義
音楽:津島利章
編集:堀池幸三
美術:井川徳道
助監督:篠塚正秀
記録:田中美佐江
装置:温井弘司
装飾:山田久司
背景:西村三郎
方言指導:片山静治
協力:輪島市名舟町御陣乗太鼓保存会
擬斗:上野隆三
衣裳:岩逧保
美粧:伊藤実
結髪:白鳥里子
スチール:木村武司
演技事務:森村英次
進行主任:野口忠志
出演:松方弘樹 野川由美子 伊吹吾郎 高橋洋子 地井武男
シネマスコープ カラー 98分

昭和43年。福井に拠点を置く富安組の若頭・川田登は、組長の安浦富蔵と競艇場の権利を譲るという約束をしたにも関わらず一向に果たそうとしないことに業を煮やしていた。そこで寒風吹きすさぶ越前海岸の砂浜に安浦を頭だけ出した状態で埋め、ジープを走らせて強引に返事を引き出したのだった。怒りに打ち震える安浦だったが川田相手では到底勝目がないため、弟分の万谷にあいつを殺せと命じた。だが詳しい事情を聞かなければ話にならないと考えた万谷は、川田が三国町で居を構える和風バー・白波亭を訪ねた。そこは彼の恋人である仲井きくが切り盛りする店だった。川田から手渡された念書は競艇場に関わるゴタゴタで山田という男を斬った五年前に交わされたもので、出所後に権利を譲渡すると確かに書かれていた。同情する万谷は、お前の気持ちはわかるがヤクザは筋目を外してはいけないと諭した。日本最大の暴力団・大阪浅田組の斬り込み隊と言われる金井組が安浦の背後で動いていることを知っていた川田は、いつか自分が殺されると思っていた。万谷もそれに噛んでいるのでないかと冗談交じりにぶつけてみると、お前を必死にかばっているばかりか破門を止めているのもわしだという答えが返ってきた。それを聞いた川田は、「破門結構!」と叫んだ。万谷は杯を返すために福井へ行こうとする川田を押さえつけ、もう一度話し合ってお前の身を立つ様にすると約束した。

安浦が金井八郎組長に相談を持ちかけたことを知った万谷は、敦賀市にある金井組の支部に出向きこれは単なる「親子」ゲンカであることを説明してこの件から手を引いてもらおうとした。だが中部山陰方面から北陸にかけて勢力を伸ばし、いずれは北陸を支配下に入れようと狙っている金井組にとってこんなにうまい話はなかった。金井が殺し屋を50人呼び寄せて川田を抹殺しようとしているらしいという噂を聞いた万谷は手下とともに先回りして白波亭に行き、指をつめて詫びろと忠告した。しかし安浦がそんな甘い人間ではないことを知っている川田は、これが自分を騙まし討ちにする罠だと疑わなかった。仲間がぶっ放した猟銃の銃声を合図に万谷を人質に取ると外へ飛び出し、用意していた車に乗り込んで逃走した。安浦からの連絡で料亭に車で乗りつけた川田は金井と差しで話をつけようとした。いきり立つ川田に調停役を買って出たという金井は、お前を殺すのならこんな回りくどいやり方はしないと言った。そして落ち着いた声で、非はお前にあるのだから侘びを入れて手打ちにしたらどうだと提案した。すると川田は、これは身内の話だから手を引いて欲しいと頭を下げたのだ。この一件で一番頭にきていたのは、川田のことを親身になって考えていた万谷だった。翌日、万谷は川田を国道沿いのタイヨウという喫茶店に呼び出して襲撃した。その結果、川田は重傷を負い一週間の危篤状態が続いた末に死んだ。だが、きくの故郷・輪島に向かう葬儀社の車内には生きている川田の姿があった。

屋台的映画館

暴風圏

  • posted at:2013-03-02
  • written by:砂月(すなつき)
ぼうふうけん
大映(東京撮影所)
配給:大映
製作年:1959年
公開日:1959年7月26日 併映「まぐろ」
監督:渡邊邦男
製作:武田一義
企画:中代冨士男
原案:手塚邦夫
脚本:松浦健郎 渡邊邦男
撮影:渡邊孝
音楽:山田栄一
録音:西井憲一
照明:米山勇
美術:高橋康一
編集:宮田味津三
助監督:石田潔
製作主任:奈良橋義雄
特殊撮影:的場徹
出演:菅原謙二 叶順子 田宮二郎 金田一敦子 小野道子
シネマスコープ モノクロ 98分

新島運輸の会議室では社長の後任人事の話し合いが行われていた。突然の交通事故で社長の新島英介を失ったのだ。外部から優秀な人材を招くことが考えられたが、事故が影響して株価が下落していることと、経営面に不安な部分を公にされることは好ましくないため今回は見送られることになった。時岡経理部長は浦野重役が順番から行くと最適任だと言って推したが、当人は前社長と比較されては困ると言って断わった。決定を見ない会議をいつまでも繰り返すことは無駄だと考えた山口専務は、前社長が独占的に経営を行っていたのだから令嬢の美沙子に任せてみてはどうかと提案した。大学院を卒業したばかりの経営の素人には到底無理だという意見が大半を占めたが、運送業の女社長となれば世間受けがいいし、週刊誌にでも取り上げられれば広告費を掛けなくても宣伝になる。ロボットとして自分たちが操作すればいいし、仮にしくじったとしても前社長の忘れ形見が起こした不祥事として片付ければいい。山口が一通り説明すると皆納得した。美沙子には自分に白羽の矢が立った理由がわかっていた。そこで彼女は社長業を引き受ける代わりに重役たちに三つの条件を出した。一つ目は全力を尽くしてサポートすること、二つ目は月給を払うこと、そして三つ目は社内で一番頭が良くて度胸があって風采の悪くない秘書を付けることだった。強情ではあるが意志がしっかりし、前社長からの経緯を知っている田代隆司が適任だと時岡重役が推薦すると、物足りないと感じたものの美沙子は承諾することにした。従業員の前で挨拶を終えた美沙子は運転手や整備士たちと話し合いの場を持ち、待遇改善の約束をする代わりに安全運転を徹底させた。もし飲酒運転等で約束を破ることがあれば馘首し、優秀な社員には規定の許す限り昇給や特別賞与を実行すると宣言した。

帰宅した美沙子は新島家の財産を目録で確認していたが、相続を担当した弁護士が思ったよりも少ないと話していたことを伯母のトキから聞き、父親に愛人がいたのではないかと勘繰った。社長の就任が決まった美沙子は父親に報告するために墓地へと向かったが、そこで見知らぬ女性が涙を流しながら手を合わせていたからだ。翌日、美沙子は社長室で田代が落とした写真を拾った。そこに写っていたのが墓地にいたあの女性だったことから、田代を呼び出すと質問攻めにした。写真の女性は彼の姉・静江だった。田代は真実を知るために藤沢の静江を訪ね、苦労を掛けて大学に進学したことを詫びた。田代と和解した美沙子は、山口から提案された話をした。岡田建設が請け負う川の建設事業で新島運輸は提携しているが、車輌の破損や運転手の疲労に問題があるため解消をした方がいいというのだ。それを聞いた田代は猛烈に反対した。ただでさえ資金繰りが悪化しているのに、そんなことをしようものなら会社は倒産してしまうからだ。美沙子は田代の助言に従って会社を運営することにした。そんな二人を不愉快に思っていたのは山口だった。彼の背後には会社乗っ取りを企む藤川の存在があった。藤川は交通運輸とともに美沙子をも手に入れようと考えていた。

屋台的映画館

ぼくたちと駐在さんの700日戦争

  • posted at:2012-04-16
  • written by:砂月(すなつき)
ぼくたちとちゅうざいさんのななひゃくにちせんそう
「ぼくちゅう」PARTNERS(ギャガ・コミュニケーションズ=TSUTAYAグループ=IMAGICA=メモリーテック=CBC=SBS)
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
製作年:2008年
公開日:2008年4月5日
監督:塚本連平
製作:宇野康秀
エクゼクティブプロデューサー:星野有香 河井信哉
プロデューサー:森谷雄
企画プロデューサー:山崎雅史 大前典子
宣伝プロデューサー:三神昌彦
アソシエイトプロデューサー:山本章
製作エグゼクティヴ:依田巽
ラインプロデューサー:須永裕之
原作:ママチャリ ブログ「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」
脚本:福田雄一
撮影:瀬川龍
音楽:Audio Highs
ストリングスアレンジ:吉川慶
音楽プロデュース:志田博英
音楽コーディネーター:長岡和弘
主題歌:「旅立ち」ファンキーモンキーベイビーズ
美術:太田喜久男
照明:原由巳
録音:南徳昭
デジタルエンジニア:笠原雄治
スクリプター:戸井田望
編集:平川正治
スタイリスト:棚橋公子
メイク:五十嵐広美
劇中イラスト:キン・シオタニ
キャスティング:原谷亜希子
企画協力:松本廣
助監督:久保田博紀
製作担当:江島進
製作プロダクション:アットムービー
出演:市原隼人 佐々木蔵之介 麻生久美子 石田卓也 加治将樹
アメリカンビスタ カラー 110分

1979年、夏。栃木県にある関東ローム層の町・からす山には、ちょいとは知られたイタズラ好きの高校生集団がいた。その高校生集団とは、リーダー格でイタズラの天才・ママチャリ、喧嘩の強いエロガッパ・西条、偏差値0?!の男・孝昭、恋する星の王子様・グレート井上、一食2000kcalの食いしん坊・千葉くんの5人だった。彼らの心を高校球児の甲子園のように熱く燃え上がらせたのは、一人の男の登場のせいだった。ママチャリたちは青春を賭けてこの男と戦った。

戦いは静かに始まった。原チャリを運転していた西条が、駐在さんが仕掛けたレーダー式速度測定器に引っ掛かり、速度超過で反則切符を切られたのだ。そのおかげで七日間の停学処分を受けていた西条は退学になる可能性が出てきたのだった。あいつの吠え面さえ拝めれば退学は本望だという彼の言葉を聞いたママチャリは、あるアイデアを口にした。「嵐のチャリンコライダー作戦」と名付けたその作戦とは、チャリンコに乗った高校生が作戦に賛同した時速50キロで走る車と並走するというものだった。免許証を持っていなければ逮捕をされないという理屈だった。何度も繰り返すことで駐在さんを困らせたが、どうしてもヤツのビビッた顔が見たいという西条の言葉に触発され全員で測定器の前を通過することになった。7人プラスアルファーは停まれと叫ぶ駐在さんに向かって行ったが、あらかじめ呼んでおいた警官たちが物陰から現れ取り締まり始めた。危険を感じた連中は次々と引き返して行ったが、ママチャリ他4人は駐在所に連れて行かれた。駐在さんは生徒を引き取りに来た寺島先生に、自転車もりっぱな軽車両だからスピード違反をしたら捕まることを説明した。

駐在さんに痛い目に遭わされたママチャリたちは新たな手段で抵抗することにした。それは「鉄の嵐作戦」だった。ディスプレイに時速4キロと表示されたことで道路に確認をしに出た駐在さんは、その様子を見て激怒した。チャリンコが軽車両としてケチをつけられるならば自分で走るしかない。しかしメガネ程度の金属ならセンサーは反応しない。そこで彼らは各々で吹奏楽部の楽器などを持ち寄ると、みんなで測定器の前を通過したのだ。駐在さんは走って追い掛けたが、皆散り散りに逃げてしまった。ただ一人を除いては。スーザフォンを担いだママチャリは重くて100万円以上する楽器を放り投げて逃げることが出来ず駐在さんに捕まってしまった。駐在所に連れて行かれた5人は音楽葬の準備だと言い訳したが、警察を舐めるなと一喝された。

キュートな後輩・ジェミーを仲間に引き入れたママチャリたちは新たな作戦を決行した。ある夜、覆面をした二人乗りの三台のチャリンコが駐在所の前を通過した。駐在さんが追い掛けると、荷台に後向きに乗った覆面たちが彼に向けてロケット花火を連続して発射したのだ。これぞ武田信玄も真っ青の「信長鉄砲隊作戦」だった。

屋台的映画館

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