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紅の拳銃

  • posted at:2008-02-07
  • written by:砂月(すなつき)
くれないのけんじゅう
日活
配給:日活
製作年:1961年
公開日:1961年2月11日 併映「破れかぶれ」
監督:牛原陽一
原作:田村泰次郎
脚本:松浦健郎
企画:高木雅行
撮影:姫田真佐久
音楽:小杉太一郎
主題歌:「追憶」赤木圭一郎
美術:木村威夫
照明:岩木保夫
録音:沼倉範夫
編集:辻井正則
助監督:斎藤和三郎
現像:東洋現像所
色彩計測:安藤庄平
製作主任:武藤良夫
出演:赤木圭一郎 垂水悟郎 笹森礼子 白木マリ 吉行和子
シネマスコープ カラー 87分

石岡国四郎は小寺久から腕の立つフリーの殺し屋探しを依頼されたが、彼は法律に縛られた今の日本ではそう簡単にいかないから諦めて欲しいと言った。すると小寺は、いなかったらおまえが作るんだなと石岡に拳銃を渡した。小寺がフリーの殺し屋にこだわったのは、身内の人間がしくじって泥を吐かされた場合、自分の身に危険が及ぶからだった。石岡はかつて連隊一の射撃の名手と呼ばれていたが、戦争で右腕を失った。彼は以前、小寺から同じ依頼を受けたことがあった。銃の構造や特徴に詳しいことを利用して命知らずの男をスカウトし殺し屋に仕立て上げたが、男は返り討ちに遭って命を落としてしまった。後悔した石岡はこの稼業から身を引いていたが、金の話をされると断わることができなかった。

クラブ・銀の城でグラスを傾けていた石岡はろくでもない人間を探していたが、そこには人生を謳歌する顔しか見当たらなかった。諦めて帰ろうとしたとき、彼の目が一人の男に釘付けになった。石岡はろくでもない目をしたその男を第一候補に挙げ、早速声を掛けた。男=中田克巳は失業中で店の勘定をどうしようかと考えていたのだ。石岡が酒をおごる代わりに仕事の世話をすると言うと、中田はそんなことだろうと思ったと納得した。彼はろくな仕事じゃないことはわかっていたが引き受けるつもりでいた。それがたとえ人殺しだったとしても。石岡が中田を自宅に連れて帰ろうとしたとき、店のホステス=牧野千加子が助けて欲しいと駆け寄ってきた。石岡は断わったが、中田は彼女を踊りながら出口まで導くことにした。ところが店の外には二人の男が待っていた。中田は男たちを殴り倒すと千加子をタクシーに乗せて一緒に逃げた。千加子は神戸にある暗黒街のボスの女だった。表面は紳士だが、人を虫けら同然に扱う冷酷非道な振舞に千加子は恐ろしくなって逃げたのだ。彼女は知り過ぎているために命を狙われていた。

翌日から石岡による講義が始まった。彼は中田にコルト45の特徴を頭の中に叩き込むように言った。返り討ちに遭った男=中島はワルサーP38を使用したが、故障を起こして一発も撃たないまま命を落としたからだ。石岡は連日、中田に付きっ切りで指導した。石岡の家には妹の菊代が同居していたが、視神経萎縮で視力が低下していた。同情した中田は石岡に黙って彼女を東京の大学病院へ連れて行った。その結果、神戸の大学病院に勤める八十島博士が手術に成功し、治る可能性があるということがわかった。

石岡の特訓は実践に移った。木と木の間を移動する人型の的に中田は初めて銃を撃ったが、それは石岡の想像を超えていた。うますぎるのだ。中田が拳銃を撃つために生まれてきた男だと確信すると免許皆伝を言い渡した。実践の様子を見ていた小寺は、石岡に小手調べとして仕事をさせようと言った。神戸のボスから依頼された仕事とは、千加子を消すことだった。

屋台的映画館
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くろいきずあとのぶるーす
日活
配給:日活
製作年:1961年
公開日:1961年12月10日
監督:野村孝
監作:山野良夫
脚本:山崎巌 吉田憲二
企画:児井英生
撮影:岩佐一泉
音楽:大森盛太郎
主題歌:「黒い傷あとのブルース」小林旭
挿入歌:「女の素肌」牧村旬子
THEME MUSIC ”BROKEN PROMISES” MUSIC By John Schachatel
美術:木村威夫
照明:岩木保夫
録音:福島信雅
編集:鈴木晄
助監督:吉田憲二
色彩計測:小栗準之助
現像:東洋現像所
製作主任:武藤良夫
技斗:渡井喜久雄
出演:小林旭 吉永小百合 大坂志郎 稲葉義男 神山繁
シネマスコープ カラー 86分

横浜の盛り場を取り仕切る堤組は、組長・堤の病気と多額の借金が原因で勢力の衰えを見せていた。夏のある日、堤は若頭の渡三郎を相談があると言って呼び出した。堤組の窮状を知った古い仲間の小牧が取引の紹介をしてくれたというのだが、渡はその内容を聞いて驚いた。堤は禁じ手としていた拳銃の密輸に手を出そうとしていたのだ。渡は組の名前に傷が付く様なことには賛成できないと主張したが、新興ヤクザの台頭に怯える堤は組の再建にすぐにでも金が必要だと訴えたのだ。組長の熱意に渡は首を縦に振るしかなかった。堤の名代として神戸に向かった渡は、初めて会った小牧と取引場所の埠頭に出掛けた。暗闇の中で小牧がタバコに火をつけると車のヘッドライトが灯り、それと同時に銃声が鳴り響いた。罠にはまったと気付いた渡は、薄れゆく記憶の中で逃げていく小牧の姿をはっきりと見た。幸い軽症だった渡は、武器密売と殺人傷害の容疑で逮捕された。連日、厳しい取調べが行われたが、彼は組長に罪が及ぶことを恐れて一度も小牧の名前を口にしなかった。渡は自分の手で巧みに仕組まれた罠を解明し小牧に復讐しようと考えていた。それからまもなく組長は死に、組が解散したことを渡は刑務所の中で聞いた。彼は毎日、小牧への復讐のことばかり考えて出所の日を待ち続けていた。そして五年後、堤の灰色の日々は終わった。

出所した堤は五年前の苦い思い出と復讐の思いを胸に抱いて神戸の街を歩き回った。しかし彼は小牧が洋酒ブローカーだったという情報しか持ち合わせていなかったため、疲労と苛立ちが募るばかりで足取りは一向に掴めなかった。それから二十日ほど経ったある日、ついに小牧が横浜へ行ったという噂を聞き出した。横浜に戻った滝は堤組を訪れたが、かつての子分たちは組が解散すると恩を忘れて逃げだし、今では白タクの運転手をする丈二だけが一家の面倒を見るという状態だった。丈二は、組長に寿命を縮めた原因が渡にあると信じて疑わなかったが、真実を知らされたことで謎の解明に一役買うことにした。

屋台的映画館

黒い乳房

  • posted at:2006-07-04
  • written by:砂月(すなつき)
くろいちぶさ
新東宝
配給:新東宝
製作年:1960年
公開日:1960年6月4日
監督:土居通芳
製作:大蔵貢
脚本:杉本彰
企画:島村達芳
撮影:森田守
音楽:松村禎三
美術:加藤雅俊
録音:沼田春雄
照明:秋山清幸
編集:笠間秀敏
助監督:大貫正義
製作主任:川口倫二
出演:小畑絹子 池内淳子 高宮敬二 菅原文太 川喜多雄二
シネマスコープ カラー 78分

塚本によって仲間に引き込まれた村田桂子は、昼は闇ドル買い、夜はキャバレー勤めという生活を強いられていた。桂子は塚本に常に監視されていたため、逃げ出すことは出来なかった。ある日、彼女の母・まさ江が交通事故に遭い、知らせを聞いた桂子は病院に駆けつけた。重体のまさ江は心の奥にしまっておいた秘密を桂子に告白した。行方不明ということになっている桂子の父親は殺人の罪で網走刑務所に服役中で、妹・芳子の父親は小野重工業の社長だというのだ。まさ江は後から病室に入ってきた芳子の顔を見ると安心したように息を引き取った。

桂子の悩みはいつも付きまとう塚本の存在だった。そこで彼女はドル買いの現場を警察に密告した。自由の身となった桂子は、芳子に母親の遺言を伝えた。二人は異父姉妹で、桂子の父親は大会社の社長、そして芳子の父親は殺人犯だと。財産の横領を画策する桂子は、興信所を使って社長・小野正憲の身辺を調べ上げた。戸籍は戦災で焼け、親戚や知人が他にいないなど彼女にとって都合が良いことばかりが揃っていた。正憲の夫人はすでに亡くなり、子供がいないことから常務で甥の早川隆彦が相続人として予定されていた。そして正憲自身は心臓病を患って入院していた。

桂子は正憲が不在の会社を訪れた。応対した社長秘書・谷口弘は、後日連絡すると言って自ら調査に乗り出した。いくつもの不審な点が見受けられたが、証拠となる指輪と生命保険の証書を差し出されると実子である可能性を否定できなかった。谷口は芳子と会って話を聞くことにした。そして彼は芳子の人柄を信用し、桂子を正憲に会わせても良いと判断した。手術当日、谷口は正憲にこれまでに起こった出来事を報告した。そして早く会いたいという社長の希望を叶え、桂子を病室に招き入れた。正憲は娘との会話を楽しみ、やがて来る手術への覚悟を決めた。手術が始まり、成功を願う桂子と失敗を願う早川との思惑が交差した。

屋台的映画館

口笛が流れる港町

  • posted at:2005-06-24
  • written by:砂月(すなつき)
くちぶえがながれるみなとまち
日活
配給:日活
製作年:1960年
公開日:1960年1月3日 併映「刑事物語 東京の迷路」「男が命を賭ける時」
監督:斎藤武市
原作:山崎巌
脚本:松浦健郎
企画:児井英生
撮影:高村倉太郎
音楽:小杉太一郎
主題歌:「口笛が流れる港町」小林旭
美術:坂口武玄
編集:近藤光雄
録音:福島信雅
照明:大西美津男
助監督:神代辰巳
色彩計測:幸田守雄
現像:東洋現像所
製作主任:野村耕祐
協賛:宮崎県観光協会 宮崎市観光協会
出演:小林旭 浅丘ルリ子 宍戸錠 小高雄二 白木マリ
シネマスコープ カラー 84分

はぐれ馬にまたがった滝伸次は気ままな旅をしていたが、寂れた相良鉱山の門に辿りつくと馬は歩みを止めた。いななく声を聞いて事務所を飛び出した管理人・杉山は喜びを隠せなかった。気性の荒いその馬は金時といい、見知らぬ者が乗りこなすことは困難なことから戻ってくることはないと考えていたのだ。感謝した杉山は伸次に食事を振舞い、鉱山が今置かれている状況を話した。相良鉱山は、以前は鉱夫を30人雇えるほどの活気があったが、気のいい若旦那の相良信夫が的場組に騙された。その結果、相良家の財産をむしり取られ鉱山も閉鎖に追い込まれていた。

歓楽街へ下りた伸次は目の前で起きている喧嘩の仲裁に入り、その中の一人が信夫を連れ戻しに来た瀬川であることを知った。伸次は瀬川に帰るように言うと、的場組が経営するキャバレー・マラッカに入って行った。美声を聞いた社長の的場は、伸次にマラッカで働かないかと誘うが、「そっちの目矩にかなっても、こっちの目矩にかなうかな」と断わった。それならばと的場は伸次をおもしろいところへ連れて行くと言った。地下にはダイスの賭博場があり、そこには殺し屋の太刀岡や泥酔した信夫の姿もあった。勝負は伸次の一人勝ちとなり、賭けるものが無くなった太刀岡は懐から拳銃を取り出しサシでの勝負を申し出た。しかし結果は伸次の勝ちだった。伸次は勝ったチップを信夫に全て預けたが、彼が抱えた借金の額には到底及ばなかった。

アメリカから2年ぶりに帰国した信夫の妹・杏子は、家庭内がおかしなことになっていることに気付き瀬川に説明を求めた。的場は酒が入ると前後の見境がなくなる信夫を利用し、博打の道へ引き込んだ。そして借金の額が膨らむと今度は鉱山の権利書をよこせと強引に催促してきたのだ。ところが権利書は杏子名義になっていたため信夫にはどうすることも出来なかった。翌日、杉山に相談をしに行った杏子は鉱山で伸次と出会った。そこへ息を切らしながらやってきた杉山の息子・三郎は、瀬川が的場組に連れて行かれたことを杏子に伝えた。伸次たちは急いで下山したが、瀬川は袋叩きに遭い道端に転がされていた。伸次に助けられた瀬川は、絶対に警察には通報してはいけないと念を押した。信夫の命は的場の手に握られていた。

屋台的映画館

クロスファイア

  • posted at:2005-05-25
  • written by:砂月(すなつき)
くろすふぁいあ
東宝映画=TBS
配給:東宝
製作年:2000年
公開日:2000年6月10日
監督:金子修介
製作:柴田徹 原田俊明
プロデューサー:瀬田一彦 本間英行 濱名一哉 田上節朗
原作:宮部みゆき
脚本:山田耕大 横谷昌宏 金子修介
音楽:大谷幸
音楽プロデューサー:北原京子
主題歌:「The One Thing」Every Little Thing
美術:三池敏夫
撮影:高間賢治
録音:宮内一男
照明:斉藤薫
編集:冨田功
キャスティング:田中忠雄
助監督:村上秀晃
製作担当者:前田光治
出演:矢田亜希子 伊藤英明 桃井かおり 原田龍二 長澤まさみ
アメリカンビスタ カラー 115分

青木淳子は母の美幸からあなたは他の子と違って大変なことになるのだから、怒ってはダメ、憎んではダメ、泣くのも我慢するようにと教えられてきた。そんな経緯があり、東邦製紙の総務課でOLとして働く現在も感情をなるべく表に出さないようにしていた。その結果、社内では暗いなどと彼女の陰口をたたく者が少なくなかった。

雨が降る日、淳子はポストの前で郵便物を落としてしまったが、それを拾ってくれたのは営業二課の多田一樹だった。濡れた郵便物を体温で乾かそうとする淳子を見た一樹は、熱があるのではないかと心配した。 淳子は念動発火能力=パイロキネシスの能力を持つ家系に生まれた。彼女が操る力はあまりにも強大で、時には制御不能になることもあるため、美幸からの教えを忠実に守って生活してきたのだ。その母も今は亡くなり、困ったときは首から下げたロケットの写真に相談するのだった。 淳子は一樹から社員寮・西山寮で行われる寮祭に招待された。彼は本社勤務となって早々寮祭の実行委員を押し付けられたのだ。初めて人の優しさに触れた淳子は一樹にほのかな想いを寄せた。

寮祭は盛況のうちに終わり、淳子は親しくなった一樹の妹・雪江を自宅まで送ろうとした。巷では連続女子高生殺人事件が横行していたからだ。だが雪江はそこまでしなくていいと断わった。駅で淳子と別れた雪江はタクシーを待っていたが、乗り場で行列が出来ていたため夜道を歩いて帰ることにした。 翌日、雪江は遺体で発見された。その日のうちに警察に密告があり、少年グループが身柄を拘束された。重要参考人として取り調べを受けることになったリーダー格の木暮昌樹だったが、社会評論家で元検事の父・泰三が緊急会見を行ったことで騒ぎは大きくなった。未成年者の昌樹を同席させ、暴力を振るって自白を強要したと警察側の落ち度を強く主張したのだ。一方、警察側は証拠品が押収出来ないことと相手が辣腕弁護士を立てたこと、そして少年法の壁が立ちはだかるという不利な状況が続いていた。 番組の生放送を終えて建物から出てきた昌樹を柱の陰から機会を窺っていた一樹の手には出刃包丁が握られていた。だがそれを思いとどまらせたのは淳子だった。一樹の強い思いを感じ取った淳子は自分の特殊な能力を明らかにし、役に立てるのなら力になりたいと言った。

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