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どうぶつ宝島

  • posted at:2006-08-08
  • written by:砂月(すなつき)
どうぶつたからじま
東映動画
配給:東映
製作年:1971年
公開日:1971年3月20日 併映「キックの鬼」「タイガーマスク 黒い魔神」「魔法のマコちゃん」「のりものいろいろ」
演出:池田宏
製作:大川博
企画:山梨稔 伊藤企義 飯島敬
原作:ロバート・L・スチーブンソン
脚本:飯島敬 池田宏
作画監督:森康二
美術監督:土田勇
アイデア構成:宮崎駿
原画:小田部羊一 宮崎駿
音楽:山本直純
主題歌:「ちっちゃい船だって」ヤング・フレッシュ
挿入歌:「海賊のうた」メール・ハーモニー
撮影:平尾三喜 藤橋秀行
録音:神原広己
編集:古村均
音響効果:大平紀義
記録:的場節代
制作進行:吉岡修
現像:東映化学
声の出演:松島みのり 天地総子 小池朝雄 八奈見乗児 富田耕生
シネマスコープ カラー 78分

寂れた港町に住む少年・ジムの家は「ベンボー亭」という宿屋だった。その夜は、親友のネズミ・グランと一緒に赤ん坊のバブのお守りをしながらの留守番だったが、あまりにも退屈だったため居眠りをしてしまった。そこへやってきた猫の客は、ジムに金貨を渡すと二階の部屋に泊まった。木でできた小箱を大事に抱えていた猫は、怪しい奴が俺を捜しに来たらすぐに知らせろと言った。窓から見下ろしたジムは物陰に潜む黒マントのブタたちを見つけ、すぐに報告した。すると猫は、何があっても面を出すんじゃねえぞと言って小箱を渡した。やがて宿屋の周りを取り囲んでいた怪しい連中がなだれ込み、ジムは窓から屋根に上って危険が過ぎ去るのを待った。ブタたちは部屋の中のあらゆるところを探し始めたが、諦めて去って行った。部屋の中は荒らされ、そして猫の姿もなかった。憤るジムだったが、預かった小箱の中に何か金目のものが入っているかも知れないと思い直し、開けてみることにした。すると中には、大海賊のフリント船長が隠した宝の在処を記した地図が入っていた。グランは殺し屋たちから命を狙われることを心配したが、楽観的なジムは、そんなことより宝を探しに出掛けようと言った。

翌日、タル船・パイオニア号は宝島へ向けて出航した。やがて前方に船火事を発見したジムたちは興味本位に近づいて行った。ところがその原因が海賊船ポークソテー号による襲撃だとわかると彼らは全速力で逃げた。そして格納した小型砲で相手を攻撃しようとしたが、なんとそこにはバブが隠れていたのだ。結局三人は抵抗も空しく捕まってしまった。ブタのシルバー船長は、ジムとグランを海賊島に着くまで扱き使うことにした。

ジムたちはドクロの形をした海賊島に着くのを今か今かと待っていた。そして船員が目を離した隙に泳いで逃げ出したのだった。作戦は成功したかに見えたが、先回りしていたシルバーに捕まりカバの奴隷商人に金貨一枚で売られてしまった。彼らは牢屋に入れられたが、そこには既に先客がいた。彼女の名前はキャシー、フリントの孫娘だった。キャシーはシルバーがジムから宝島の地図を奪ったことを知ると憤った。シルバーはかつてフリントの手下であり、彼もまた宝を虎視眈々と狙っていたのだ。祖父の宝をシルバーなんかに渡すもんか、キャシーはそう心に誓った。ジムはグランの小さな体を利用して、外で居眠りをする奴隷商人から足枷の鍵を奪うことに成功した。だがキャシーはジムと一緒に逃げようとはしなかった。彼女にとって祖父の宝を狙う者は皆敵だと考えていたからだ。

爆弾を片手に船長会議に乗り込んだジムは、ついに宝島の地図を手にした。ところが彼は背後に忍び寄る影に気付かなかった。そのとき、ジムを助けたのは二丁拳銃のキャシーだった。キャシーは、これで借りは返したわよと言って地図を引っ掴むと姿を消した。

屋台的映画館
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パラサイト・イヴ

  • posted at:2006-07-27
  • written by:砂月(すなつき)
ぱらさいといぶ
フジテレビジョン=角川書店
配給:東宝
製作年:1997年
公開日:1997年2月1日
監督:落合正幸
製作:村上光一 川合多喜夫
製作統括:重村一 久板順一朗 松下千秋 阿部忠道 宍戸健司 阿部秀司
プロデューサー:小牧次郎 大川裕 堀部徹
プロデューサー補:関口大輔
協力プロデューサー:遠藤龍之介 上木則安 内山浩昭 菊池信夫
ラインプロデューサー:安藤親広
原作:瀬名秀明
脚本:君塚良一
撮影:柴崎幸三
音楽:久石譲
美術プロデューサー:杉山廣明
美術:柳川和央
照明:吉角荘介
録音:山方浩
編集:深沢佳文
製作協力:ROBOT
出演:三上博史 葉月里緒菜 中嶋朋子 別所哲也 大村彩子
アメリカンビスタ カラー 121分

大学の薬学部に勤務する生化学者の永島利明は、ヒトの中で生き続けるミトコンドリアの研究をしていた。ヒトの体は細胞が集まって出来ている。細胞の中心には核があり、その中には臓器などを形成するための設計図となる遺伝子=DNAが存在する。細胞の中には核の他にゴルジ体や液胞など様々なものが詰まっているが、核と同様に独自のDNAを持っているのがミトコンドリアである。そのことから利明はミトコンドリアが一つの生命体だと考えていた。通常、ヒトの遺伝子は父親と母親から受け継がれるが、ミトコンドリアは母親からしか受け継がれたいという特異な性質を持っていた。そこで世界中のヒトが持つミトコンドリアのDNAについて大掛かりな調査が行われ、20万年前まで遡った結果、アフリカの女性に辿りついた。アダムとイヴの神話から、彼女は「ミトコンドリア・イヴ」と呼ばれた。ヒトがまだ微生物だった10億年ほどの昔にミトコンドリアは体内に寄生(パラサイト)した。そしてミトコンドリアは寄生よりも共生の道を選び、ヒトが活動するために必要な進化するエネルギーを作り出すという重要な役割を担うことになったのだ。

利明が市民講座を行っている教室にやってきたのは、彼の妻・聖美だった。その日は結婚一周年の記念日だったが、利明にはまだやっておかなければならない実験が残っていたのだ。利明はごめんと謝ったが、それが二人の最後の会話だった。利明は聖美の手術を担当した清水学医師から脳死状態に陥っていることを告げられた。聖美は帰宅の途中で交通事故に遭い、人工呼吸器と薬剤の投与がなければ生きられない状態だった。翌日、利明は清水から脳死判定検査でネガティブだったと聞かされた。彼は聖美の父・茂と肩を落としてロビーのソファーに座っていたが、そこにやってきたのは清水と臓器移植ネットワークの小田切悦子だった。利明は聖美が腎臓のドナー登録をしていることを知っていたが、愛する妻の体が切り刻まれることには反対だった。悦子は臓器移植の大切さを切実に訴えたが、聖美の意思を尊重するという茂の同意は得たものの利明からは良い返事が貰えなかった。悦子は主要組織適合性複合体(HLA)が一致した患者を見つけ出し、移植に向けての活動を始めていた。悦子は改めて利明に接触を試みたが、彼の心は変わらなかった。そこに現れたのは市立中央病院の吉住貴嗣医師だった。彼が担当している12歳の患者・安斎麻里子は二年前に同じ手術を受けたが拒絶反応を起こし、心に深い傷を受けていた。吉住は腎臓をくださいと頭を下げたが、聖美が死んだという現実が受け入れられない利明は、まだ生きているんだと主張した。研究室で聖美と過ごした時間を思い出して泣き明かした利明は、培養器の中に入っている容器に目が釘付けになった。

市立中央病院を訪れた利明は、吉住に移植を承諾すると言った。そしてその条件として腎臓を差し上げる代わりに肝臓が欲しいと付け加えた。それを聞いた吉住は答えを渋ったが、手術を成功させるためにその条件を飲むことにした。摘出手術は成功し、妻の肝臓を手に入れた利明は大学に戻ると研究室に篭り肝細胞の培養を始めた。

屋台的映画館

新書 忍びの者

  • posted at:2006-07-22
  • written by:砂月(すなつき)
しんしょしのびのもの
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1966年
公開日:1966年12月10日 併映「大魔神逆襲」
監督:池広一夫
企画:藤井浩明
脚本:高岩肇
音楽:渡辺岳夫
撮影:田中省三
録音:海原幸夫
照明:加藤博也
美術:太田誠一
編集:菅沼完二
擬斗:楠本栄一
助監督:溝口勝美
製作主任:今村喬
出演:市川雷蔵 安田道代 富士真奈美 伊藤雄之助 石山健二郎
シネマスコープ モノクロ 91分

戦国時代が頂点に達していた頃、甲斐の武田信玄は乱波 (らっぱ)による情報収集と神出鬼没の戦法を駆使して着々と勢力圏を拡大し、京の地に風林火山の旗印を翻すべく虎視眈々とその機会を狙っていた。その行く手に立ちはだかる徳川家康は、織田信長の庇護の下にようやく戦国大名としての第一歩を踏み出した。

二十年前、霞小次郎は人里離れた小屋で火薬の製造を行っていた父・勘兵衛を、火薬を盗みに来た三人の男たちに殺された。その後、流れ忍者に育てられたが、密書を運ぶ乱波を助けられなかったことで力の差を痛感した。復讐の機会を狙う小次郎は更なる腕を磨くために甲斐の黒戸左太夫に弟子入りすることにしたが、まずは佐太夫捜しから始めなければならなかった。京の町に入った小次郎は、研ぎ屋で変わり鎌を目撃した。父を殺した物に似ていると感じた小次郎は、それを受取りに来た遊女千歳の後をつけた。勘兵衛は隠れている小次郎の目の前で片腕を切り落とされ、のた打ち回りながら死んで行った。死骸の傍らに笑いながら立つ男の顔と血に染まった鎖鎌が彼の目の奥に焼き付いて離れなかったのだ。小次郎は千歳を問い詰め、鎌を渡した男は信長につく矢伏の猪十で、姉川に向かったことを知った。

天下統一の執念に燃える信長はその達成を阻むもの全ての抹殺を謀った。それはたとえ妹・お市の方を嫁がせた浅井長政ですら一片の容赦もなく家康との連合軍で討ち果たした。その夜、家康のもとに現れた斑夜叉丸は将軍足利義昭から信玄宛てに信長追討の密書が届けられたことを報告した。その頃、信長のもとへ急ぐ猪十の前に現れたのは先回りした小次郎だった。対決した小次郎は、父が受けた仕打ちと同じように猪十の片腕を斬り落し、最初の復讐を成し終えた。密書を奪い取ろうとした小次郎だったが、受けた傷が悪化して意識を失った。小次郎はある男によって一命を取り留めた。密書を誰に届けるのだと男が問うと、小次郎はこれを手土産にして甲斐の黒戸左太夫様が率いる乱波の勢に加えて貰うのだと答えた。すると男は、黒戸左太夫は私だと言った。

屋台的映画館

新 忍びの者

  • posted at:2006-07-19
  • written by:砂月(すなつき)
しんしのびのもの
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1963年
公開日:1963年12月28日 併映「悪名一番」
監督:森一生
製作:永田雅一
企画:伊藤武郎
原作:村山知義
脚本:高岩肇
撮影:今井ひろし
音楽:渡辺宙明
録音:林土太郎
照明:伊藤貞一
美術:太田誠一
編集:谷口孝司
装置:川口隆
擬斗:楠本栄一
音響効果:倉島暢
助監督:大洲斉
製作主任:田辺満
出演:市川雷蔵 若尾文子 東野英治郎 三島雅夫 成田純一郎
シネマスコープ モノクロ 86分

豊臣秀吉の暗殺に失敗した石川五右衛門は、京三条河原において釜煎りの極刑に処せられた。煮えたぎる油の中から仁王立ちになった五右衛門は、貴様の面は忘れぬぞと役人を睨み付けた。するとその役人は三日三晩熱に犯され、ついに発狂したのだ。その後、五右衛門の首は六角の辻に晒されたが十日経っても人だかりは一向に減らなかった。ある夜、五右衛門の首が何者かによって持ち去られ、すぐ後に役人の家に泥棒が入った。泥棒は供養料として五百両を持ち出し書付を残した。翌日、五百両は無縁仏に供えられていたが、驚いたのは檀家や住職たちだった。その騒動を町人たちは胸の空く思いで語り合った。泥棒の名は石川五右衛門。釜の前に立つ五右衛門の周りに煙幕を張った服部半蔵は、役人たちが慌てる隙を狙って身代わりとすり替えたのだった。誰の手も借りずに秀吉を殺そうと考えていた五右衛門は世間を騒がせながら時を待っていたが、それは徳川家康の策略どおりだった。

明智光秀討伐の戦功を足掛かりにして一挙に天下の覇者となった秀吉は、天下統一を果たした翌年の天正十九年、後継者に指名していた鶴松が病死したことで、甥の秀次を養子に迎えた。そして関白職を譲ると太閤として実権を握った。だが翌々年の文禄二年に側室の淀殿が秀頼を産むと、秀吉は秀頼の方を寵愛するようになった。この事態を知った秀次は動揺を隠せなかった。秀吉は諸大名を参集し秀頼を披露し、何者にも変えがたい余の宝であるねねと秀頼の二人に指一本たりとも指すことは罷りならんと言い放った。そして、日本国内の統一は成り国威は隆盛の一途を辿っているこの機に乗じて民国、朝鮮を制覇すると宣言した。

侍に囲まれ御輿に乗った秀頼の姿を見た五右衛門は、忍者狩りに殺された我が子吾平の姿と重ね合わせていた。そして七度生まれ変わって秀吉を八つ裂きにし豊臣一族を根絶やしにしてやる、そう心に誓った。その頃秀吉は、秀次に国内の政を任せて朝鮮に出陣しようとしていた。五右衛門が京の町を荒らし回ったのは秀吉への果たし状だったが、相手は全く気付いていなかったのだ。そこで五右衛門は忍者狩りから逃れた名張の犬八とともに秀頼強奪を実行した。

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続 忍びの者

  • posted at:2006-07-15
  • written by:砂月(すなつき)
ぞくしのびのもの
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1963年
公開日:1963年8月10日 併映「座頭市兇状旅」
監督:山本薩夫
製作:永田雅一
企画:伊藤武郎
原作:村山知義
脚本:高岩肇
撮影:武田千吉郎
音楽:渡辺宙明
録音:大角正夫
照明:山下礼二郎
美術:内藤昭
編集:宮田味津三
装置:川口隆
擬斗:楠本栄一
音響効果:倉島暢
助監督:鍋井敏宏
製作主任:小沢宏
出演:市川雷蔵 山村聡 藤村志保 坪内ミキ子 城健三朗
シネマスコープ モノクロ 93分

天正九年九月、織田信長は大軍を率いて伊賀を奇襲し、忍者の組織は壊滅した。天正十年、忍者の恐ろしさを知る信長は守り本尊である敢國神社を封じ込めて息の根を止めようとしたが、先回りをしていた伊賀忍者の残党たちに襲われた。織田信雄らの活躍で逃げ延びた信長は、城下に忍者の死体を磔にして晒した。そして在処を知らせた者には賞金を出すと通達した。

百地三太夫に操られた挙句、信長の追っ手から命を狙われることになった石川五右衛門は山奥で妻マキと静かに暮らしていたが、忍者狩りに居場所を嗅ぎ付けられ愛児吾平を失った。悲しみに暮れる五右衛門は、マキの故郷である紀州雑賀に妻と逃れ、百姓として身を隠した。そして鈴木孫一を頭とする雑賀党に参加し、党員たちに忍術を伝授した。孫一は、打倒信長に燃える五右衛門を機会は必ず来ると言って抑え続けた。海運が古くから行われている雑賀の里は種子島との間でも取引が行われていた。そしてついに梵天丸が到着し、港に鉄砲が運ばれて来たのだった。

里を散歩する五右衛門の前に突如現れたのは、徳川家康の隠密服部半蔵だった。伊賀を捨てて家康に仕官した者の話など聞きたくはないと五右衛門は吐き捨てたが、半蔵は構わずに話し始めた。信長は武田軍を滅ぼし、残党が逃げ込んだ恵林寺を取り囲んだ。快川和尚が他の僧と山門に逃げ込んだことを知った信長は火を掛けよと命じたのだ。それを聞いた明智光秀は寛大な計らいをと願い出たが、それが信長の逆鱗に触れた。光秀は追放され、恵林寺は快川和尚とともに火に包まれたのだった。信長を仕留める手立てはあるのかと五右衛門が聞くと、半蔵はあると頷いた。光秀は文武に優れ誠実一途だが、口下手で世辞追従など言える人物ではなかった。気紛れで天性の我侭者である信長とはうまく行くはずがなく、その二人の食い違いに拍車を掛けたのが羽柴秀吉だった。秀吉は常に信長の心中を読み取り先手を取って動き回った。いくら温厚冷静な光秀でも内心にはただならぬ波風が騒いでいるに相違ないと考えた半蔵は、その波風を嵐にまで掻き立てればいいと五右衛門に提案した。そうすれば自らの手を汚さずに目的を果たすことが出来るからだ。半蔵は既にくの一のタマメを安土城内に入り込ませていた。信長は甲州からの凱旋の際、駿河に立ち寄ることになっていたが、それは家康に己の威風を誇示するためであることは明白だった。最後まで話を聞いた五右衛門は静かに考え込んだ。

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