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若親分出獄

  • posted at:2007-02-27
  • written by:砂月(すなつき)
わかおやぶんしゅつごく
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1965年
公開日:1965年8月14日 併映「続・兵隊やくざ」
監督:池広一夫
企画:奥田久司
脚本:浅井昭三郎 篠原吉之助
撮影:本多省三
音楽:鏑木創
録音:海原幸夫
照明:美間博
美術:西岡善信
編集:谷口登司夫
装置:伊藤万治郎
擬斗:宮内昌平
音響効果:倉嶋暢
助監督:黒田義之
製作主任:吉岡徹
現像:東洋現像所
出演:市川雷蔵 朝丘雪路 坪内ミキ子 山田吾一 戸田皓久
シネマスコープ カラー 87分

大正初期、太田黒伊蔵を斬った罪で福嶋監獄に入れられた南条武は、改悛の情が特に顕著であるという理由で大赦の恩典を受けた。釈放通知は幼馴染みの中津京子宛てに出したと看守部長は言っていたが、六年ぶりに出獄した彼を出迎えるものはいなかった。だが大浜駅の前で待ち構えていたのは中新門組のヤクザたちだった。放免祝いを兼ねてご挨拶の杯を差し上げたいという誘いに、帰ってきたばかりで皆目検討もつかないから、いずれこちらから出向くと武は柔らかく断わった。

九州から流れて来た中新門勇吉は三年前に大浜に根を下ろした。だが堅気の衆を脅かし、南条一家の縄張りにまで手を出すなど中新門組の行動には目に余るものがあった。堪忍袋の緒が切れた直次郎は単身で乗り込んで行き、命を落としたのだ。武の突然の出獄に南条一家は歓びに湧き、明日にでも仇を討つと三吉たちは気勢をあげたが、監獄の中で後悔に苦しんだ武は本来の任侠とはそのようなものではないと皆を諭した。弔い合戦を行わないという言葉を聞いた仙之助たちは反対したが、手伝いとして働く直次郎の妹・お芳が切った張ったはもう嫌だと言ったことで怒りを腹に収めるしかなかった。

料亭・花菱で行われている会合に出向いた武に、勇吉は我々の渡世はもう盆の上で勝負する時代ではないと切り出した。そして大浜地方振興会を設立するから参加してみてはどうかと提案すると、武は人々に利益になるのなら喜んで応じると言った。政界の実力者である堀越伝三郎の庇護を受けた勇吉は横暴の限りを尽くし、占有した土地を縄張りとした。白昼、道路のど真ん中に杭を立て住民を困らせる白土寅太郎の姿を見ていた武は、南条組は今日限り渡世上の付き合いは御免被ると啖呵を切って出て行った。その姿に気付いた京子は後を追おうとしたが、勇吉がそれを止めた。釈放通知は彼が握っていた。

資金繰りに困った京子だったが母親の遺した花菱だけは手放したくなかった。そこで紳士的に振舞う伝三郎に金を借りたのだが、気付いたときにはもう自分の体を投げ出すしか生きる道のないところまで追い込まれていた。再会を果たし京子の話を聞いた武は、お互いこれからどう生きて行くかが大切だと言った。京子と別れた武が夜道を歩いていると、中新門の連中が行く手を遮った。渡世の掟を知っているだろうと言ってドスを抜く鈴木源吉に、俺は俺の信念でやるぞと武は身構えた。

屋台的映画館
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憲兵とバラバラ死美人

  • posted at:2007-02-09
  • written by:砂月(すなつき)
けんぺいとばらばらしびじん
新東宝
配給:新東宝
製作年:1957年
公開日:1957年8月6日
監督:並木鏡太郎
製作:大蔵貢
企画:岡本良介
原作:小坂慶助
脚本:杉本彰
音楽:米山正夫
撮影:山中晋
照明:秋山清幸
録音:鈴木勇
美術:宮沢計次
編集:笠間秀敏
助監督:勝俣眞喜治
製作主任:山本喜八郎
出演:中山昭二 江畑絢子 天知茂 細川俊夫 松浦浪路
スタンダード モノクロ 74分

昭和12年4月、仙台歩兵四連隊は満州に出動した。その6ヵ月後、留守を預かる兵士たちは、炊事場付近にある井戸の中から首と手足がない死体を発見した。検死の結果、それは死後6ヶ月程経った20代前半で妊娠5ヶ月の女性であることがわかった。通常は白骨化する死体も、井戸が深く水が冷たかったことから腐敗が遅れたのだ。切断面は鋭利な刃物が使われていた。前代未聞の不祥事に憲兵隊は動揺を隠せなかった。新聞社は挙って報道する中、仙台署は捜査を願い出たが坂本憲兵大尉は部隊内での警察権の行使は断わると頑なに拒んだ。軍事警察としてのプライドが許さなかったのだ。萩山憲兵曹長はチームを組み独自に捜査を行ったが、犯人と被害者に関する情報は何一つ得られなかった。ひと月後、事態を重く見た井部憲兵隊長は独断で東京の司令部に応援を要請した。東京から派遣されてきたのは、腕利きとして名高い小坂徳助曹長だったが、それは仙台憲兵にとっての恥辱だと皆考えていた。

小坂はともにやって来た高山忠吉憲兵伍長と着任早々、本部への挨拶を後回しにして事件現場を視察した。さらに憲兵隊が用意した宿舎を断わって友人宅に泊まることにしていたことから白い目で見られるようになった。連隊内での強い風当たりを警戒した小坂は、知人がいると嘘を言ったのだ。小坂は高山の知り合いである小料理屋に厄介になることにした。仙台署を訪れた小坂が署長に協力を願い出ると快く引き受けてくれた。その様子を遠くから苦々しく見ていたのは萩山だった。

連隊が満州に出動する頃に井戸へ物を投げ込む音を聞いたという人物が萩山の前に現れた。午後11時頃、連隊中がごったがえしていたことが原因で目を覚ました田中下士官は何気なく窓の外を見た。すると筵に包んだ何かを持った憲兵が井戸の近くに立っていたのだ。何も考えずに寝床へ戻ったのだが、そのときに大きな水の音を聞いた。しばらくすると廊下を歩く靴の音が聞こえ、再び目を覚ました田中は部屋の中に入ってきたのが恒吉軍曹であることを確認した。恒吉は「女が離さなかったんだ。誰にも言うなよ」と土産を手渡した。彼は男前で女の出入りが激しかった。そこで萩山は炊事班長を当時務めていた恒吉を調べることにした。その結果、馴染みにしていた店の文子という女中が行方不明になっていることがわかった。その頃、小坂は東北帝大を訪ね七、8貫ある死体を一人で担いで回ることが困難なこと、非常に鋭利な刃物でも素人では切断に1時間は掛かることを知った。

屋台的映画館

四月怪談

  • posted at:2007-02-04
  • written by:砂月(すなつき)
しがつかいだん
日本ビクター
配給:ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画
製作年:1988年
公開日:1988年3月19日
監督:小中和哉
製作:久野義治 小澤俊晴 小林紘
プロデューサー:牛山真一
原作:大島弓子
脚本:関顕嗣 小中和哉
撮影:志賀葉一
音楽監督:中谷靖
美術:近藤成之
照明:吉角荘介
録音:杉崎喬
編集:冨宅理一
助監督:山本英史
製作担当:古沢敏文
アニメーター:板野一郎
出演:中嶋朋子 柳葉敏郎 角田英介 原彩子 新井昌和
スタンダード カラー 99分

国下初子は、どこからか聞こえる母親の声で目覚めた。そこは白い靄に包まれ、目の前には白い門が聳え立っていた。彼女がその門をくぐろうとすると、後ろから呼び止める男の声が聞こえた。男=弦之丞は、天国へ続くその門をくぐりぬけると二度と地上へは戻れないと言った。今すぐ肉体に戻れば元の生活に戻れると初子を説得したが、彼女はこれがリアルな夢だと信じて疑わなかった。あきれた弦之丞は、初子とともに下界へと降りていった。

病室には頭に包帯をした少女がベッドに横たわっていた。初子はそれが自分であり、彼女を取り囲んでいるのが母親と親類であることを確認した。しかしどうしても自分の死を認めたくない初子に、弦之丞は昨日起きた一日の出来事を思い出すように言った。

その日、初子は日直の仕事で遅くなり、いつも一緒に帰る友達はすでにいなかった。一人ぼっちの彼女は、帰り道で誰かが呼んでいるような気がした。それは子犬の鳴き声で、その声が聞こえる廃工場の中へと入って行った。その時、突然上から鉄骨が落ちてきて頭に直撃した。と、彼女は思っていたが、実は足がすくんでいたため直撃は免れていた。一緒に振ってきた工場で働いていた従業員の忘れ物と思われる空の弁当箱が頭に当たり、自分の思い込みで死んだのだった。
初子は、自分が他人から見ることのできない幽体であることを理解すると、早速憧れの学級委員・津田沼宏の部屋に忍び込んだ。

屋台的映画館

黄泉がえり

  • posted at:2007-01-28
  • written by:砂月(すなつき)
よみがえり
「黄泉がえり」製作委員会(TBS=電通=東宝=アイ・エム・ジェイ=毎日新聞社=カルチャ・パブリシャーズ=WOWOW=日本出版販売=イマジカ=ツインズジャパン)
配給:東宝
製作年:2003年
公開日:2003年1月18日
監督:塩田明彦
製作:児玉守弘
企画:濱名一哉 神野智
プロデューサー:平野隆
アソシエイトプロデューサー:下田淳行 久保田修
原作:梶尾真治
脚本:犬童一心 斉藤ひろし 塩田明彦
撮影:喜久村徳章
音楽:千住明
主題歌:「月のしずく」RUI
挿入歌:「風の果て」RUI
・・・:「泪月-oboro-」RUI
美術:新田隆之
照明:金沢正夫
録音:細井正次
ビジュアルエフェクト:浅野秀二
編集:菊地純一
スクリプター:柳沼由加里
助監督:毛利安孝
製作担当:斉藤玉恵
ラインプロデューサー:藤原恵美子
宣伝プロデューサー:伴田雄輔
アシスタントプロデューサー:岡田有正 原公男
出演:草彅剛 竹内結子 石田ゆり子 哀川翔 山本圭壱
アメリカンビスタ カラー 126分

九州・阿蘇地方で、戦時中に失踪した少年が当時の姿のまま現れるという出来事が起きた。86歳の内藤サキはその少年の姿を見てすぐに息子の勝男だとわかった。その後、熊本県と医科大との合同調査が行われ、サキが保管していたへその緒と少年のDNA鑑定が一致していることがわかった。ありえないことだが、二人は同一人物である可能性が非常に高いのだ。謎の現象を探るために厚生労働省から派遣された川田平太は、空港で県職員の梶原とサキの親戚でもある医科大の神崎教授から出迎えを受けた。

北阿蘇町役場に勤務する橘葵は今でも死んだ俊介のことを忘れられずにいた。数年前、彼が大好きな海で命を落としたことから、皆と相談し俊介の望みどおり遺骨を海に撒くことになった。葵はそれが気持ちの整理に繋がると思っていたが、愛する人を失った悲しみは予想以上に大きかった。そんな葵は前向きに生きることが出来ずにいたが、斉藤医師と出会うことで人生が変わった。彼女は斉藤のカウンセリングを受けることで本来の自分を取り戻して行った。その日も仕事が終わると診療所でへ行き、捨てられずにいる俊介が大事に育てていたライティアの鉢植えの話をした。このままじゃいけないという葵の言葉を聞いた斉藤は、そう思うってことはそれなりに進歩しているって事じゃないですかと静かに言った。彼の言葉で気持ちが軽くなった葵はバス停でバスを待っていたが、そこを通りかかったサーフィン仲間の車で自宅まで送ってもらうことになった。

その夜、アパートに戻った葵はドアの前で彼女の帰りを待つ平太の姿を見て驚いた。平太と葵は幼なじみで、俊介の葬式以来の再会だった。葵に出張の内容を聞かれた平太は、58年前に阿蘇の森で消えた少年が戻ってきた話をした。すると彼女の顔色が変わった。ある男性から死んだ奥さんが生き返ったので死亡届を取り消して欲しいという依頼が町役場にあったばかりだったのだ。翌日、葵は平太と梶原とともに依頼者宅へ向かった。妻・嘉子を亡くしたことで生きがいを失った津田春雄は老いと死のことばかり考えて生活していた。先週の朝、鉢植えの手入れをしていると後ろに嘉子が立っていたが、春雄はてっきりお迎えが来たのだろうと思っていた。ところが彼女の口から出たのは、ただいまという言葉だった。一方、嘉子には病院で看取られる記憶しかなく、気が付くと庭先に立っていたというのだ。平太たちには二人が嘘をついているようには見えなかった。そこで改めて勝男を再調査することにした。

いじめを苦にして自殺した中学生・山田克典は、自分の葬儀に顔を出し会場にいた親族や関係者たちをパニックに陥れた。当時、彼は心肺停止状態で病院に運び込まれ、胸部切開して直接心臓マッサージを行ったが意識を取り戻すことはなかった。克典はその病院で改めて診察を受けたが、ロープを首に掛けたときに出来た傷や切開の痕は何処にも見当たらなかった。その話を聞いた梶原は、生き返ったというより黄泉がえりだと言った。

屋台的映画館

OL忠臣蔵

  • posted at:2007-01-24
  • written by:砂月(すなつき)
おーえるちゅうしんぐら
光和インターナショナル
配給:松竹=松竹富士
製作年:1997年
公開日:1997年9月13日
監督:原隆仁
製作:鈴木光
プロデューサー:青木勝彦 山本勉 三沢和子
脚本:神山由美子 長崎行男 真崎慎 原隆仁
企画:鈴木光
撮影:浜田毅
音楽:大島ミチル
音楽プロデューサー:伊藤圭一
主題歌:「それなりの明日」平松愛理
美術:今村力
照明:渡辺三雄
録音:林大輔
編集:川島章正
スクリプター:高橋タツ子
キャスティング:名須川伸吾
助監督:鳥井邦男
製作主任:橋本靖
製作担当:氏家英樹
出演:坂井真紀 南果歩 細川直美 中島ひろ子 吉野公佳
アメリカンビスタ カラー 112分

通販会社オレンジハウスの商品企画部に所属する入社4年目の佐倉ふぶきは、彼女がデザインしたバッグが不評であることを理由にクレーム処理専門のカスタマーサービス課に転属を命じられた。社員食堂で同僚に愚痴っていたところにやってきたのは、全米第一位の通販会社JJドリームの代表取締役・朝吹季里子だった。季里子は落ち込むふぶきにクレーム処理はマイナスをプラスに変えるビジネスチャンスだとアドバイスした。ユーザーの生の声はデザインをする上でとても役に立つという話に感銘を受けたふぶきは、物事を前向きに考えるようになった。

JJドリームはオレンジハウスに季里子を派遣し業務提携の話を持ちかけた。この降って沸いたような話に社長・塩嶋秀次郎は驚いたが、彼女の説明に納得した。自分が創業した会社が世界へ進出するチャンスだと考えた塩嶋は、役員会議を招集すると全員の了承を得た。こうしてオレンジハウスは世界への第一歩を踏み出した。ところが業務提携を発表した翌日、JJドリームは倒産した。オレンジハウスの株価は大暴落し、その責任を問われた塩嶋は辞任に追い込まれた。そして役員会議で新社長に選任されたのは、栗林重吉専務だった。栗林は臨時会議を開き、管理職を集めた。困難な状況を打開するには大規模な改革を行う必要があると説明し、新たに経営企画室を設け、その責任者に季里子を指名した。季里子が打ち出した改革とは、大規模なリストラだった。女子社員とパートタイマーのほとんどが解雇通告をされ、塩嶋の息がかかった管理職は子会社へ出向を命じられた。アメリカのM&A企業に乗っ取られたオレンジハウスは、解体へ動き出した。

理不尽な扱いを受けたふぶきは、季里子のやり方に疑念を抱いていた。そこで彼女は同志を募り、ノウハウ本「サルでもわかる労基法」を武器に立ち上がった。

屋台的映画館

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