忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

東京の暴れん坊

  • posted at:2008-06-06
  • written by:砂月(すなつき)
とうきょうのあばれんぼう
日活
配給:日活
製作年:1960年
公開日:1960年7月29日 併映「野郎!地獄へ行け」
監督:斎藤武市
原作:松浦健郎
脚本:石郷岡豪
企画:岩井金男
撮影:高村倉太郎
音楽:小杉太一郎
主題歌:「東京の暴れん坊」小林旭
・・・:「東京かっぽれ」小林旭
・・・:「ノーチヨサン節」小林旭
美術:中村公彦
照明:大西美津男
録音:米津次男
編集:近藤光雄
助監督:神代辰巳
色彩計測:幸田守雄
現像:東洋現像所
製作主任:栗橋正敏
技斗:高瀬将敏
出演:小林旭 浅丘ルリ子 近藤宏 小川虎之助 小園蓉子
シネマスコープ カラー 79分

学者になることが夢でパリへ留学をした清水次郎は、そこで出会った本場の料理に惚れ込んだ。大学を卒業して帰国をしたが、結局はコックの修行をしたようなものだった。今では銀座の洋食屋「キッチンジロウ」の未来の主人として代々続く洋食屋を切り盛りしていた。

都内の大学でレスリングの練習を終えた次郎は、幼なじみの松田秀子からある相談を持ちかけられた。縁談話が持ち上がっているというのだ。銭湯・松の湯の看板娘である秀子は次郎の幼なじみだった。彼女は次郎のことが好きで好きでたまらなかったため、当然反対してくれるに違いないと思っていた。ところが次郎はその話を頭から信用していなかった。そのころ、「キッチンジロウ」では騒動が起きていた。元総理大臣・一本槍鬼左衛門を乗せた車が店に飛び込んでいたのだ。運転手が猫を避けようとしてハンドル操作を誤ったのが事故の原因だった。知らせを聞いて慌てて帰ってきた次郎は、店の周囲が野次馬やマスコミでごった返しているのを見て驚いた。次郎は、過密なスケジュールを理由にその場を立ち去ろうとした鬼左衛門に立腹し、謝らせようとした。しかし講和会議でも頭を下げなかった男・鬼左衛門の方も一歩も譲らなかった。

翌日、銀座を仕切る愚連隊・台風クラブが一本槍邸を訪れ、事件をネタに揺すろうとしたていた。そこへやってきた次郎は、連中とは無関係であることを鬼左衛門に説明すると片っ端から投げ飛ばし、撃退した。この一件で気を良くした鬼左衛門は「キッチンジロウ」の改装に尽力した。一方、次郎も世話になりっぱなしでは申し訳ないと事故車の修理を買って出たのだった。

屋台的映画館
PR

帰ってきたウルトラマン 竜巻怪獣の恐怖

  • posted at:2008-06-02
  • written by:砂月(すなつき)
かえってきたうるとらまんたつまきかいじゅうのきょうふ
円谷プロダクション=TBS
配給:東宝
製作年:1971年
公開日:1971年12月12日 併映「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 地球最大の決戦」「いなかっぺ大将 当るも当らぬも時の運だス」「みなしごハッチ 忘れな草に願いをこめて」「マッチ売りの少女」
監督:冨田義治
プロデューサー:円谷一 斉藤進
脚本:上原正三
音楽:冬木透
主題歌:すぎやまこういち
撮影:鈴木清
照明:森本正邦
美術:栗山吉三
助監督:東條昭平
特殊技術:佐川和夫
撮影:佐藤貞夫
照明:小池一三
美術:高橋昭彦
助監督:吉村善之
光学撮影:中野稔
光学作画:飯塚定雄
操演:塚本貞重
記録:植村よし子 水野佐知子
製作:高山篤
編集:柳川義博
効果:東宝効果集団
録音:キヌタラボラトリー
現像:東京現像所
出演:団次郎 塚本信夫 小林昭二 岸田森 榊原るみ
スタンダード カラー 48分

オパールやサファイヤの原石3トンを積んだ海神丸はオーストラリアを出港し、世界宝石展が開催される東京に向けて航行していた。赤道を通過しフィリピンの海峡に差し掛かった満月の夜、海神丸は突如謎の霧に包まれた。そして激しい衝撃を受けたことで船体に亀裂が生じ、そこから大量の海水が流れ込んで行った。窓の外で起きた発光現象を目撃した高村船長は、そこにいた巨大な生物の姿を見て思わず「シーモンス」と呟いた。

MAT(Monster Attack Team)の郷秀樹隊員と上野一平隊員が漂流する救命ボートを発見したのは遭難してから10日後だった。ボートに乗った三人のうち船員二人は比較的元気な様子だったが、高村は横になったままうわごとのように「シーモンス」という言葉を繰り返した。高村は娘の陽子が看護師として勤める南海病院に入院することになったが、病室には事故の責任を追究する保険会社調査員やマスコミが多数押し掛け、大破して座礁した海神丸の事故原因を聞き出そうと質問責めにした。しかし高村が受けたショックは大きく、とても受け答えの出来る状態ではなかった。そこで陽子は子供の頃に聞かされたシーモンスの話を父親の代わりにすることにした。彼女はシーモンスが西イリアン諸島近海に棲む四足歩行のメスの怪獣だと言ったが、誰も信じようとはしなかった。それは怪獣退治の専門家であるMATの隊員ですら聞いたことのない話だったからだ。陽子は落胆したが、事故の原因がその怪獣のせいだと信じて疑わなかった。

病室を出た郷と上野のもとへ救助された船員の一人が歩み寄り、小型のテープレコーダーを渡した。それは事故の直前に行われた宴会で録音された高村の歌声だった。昭和19年、高村はニューギニア戦線へ兵隊を運ぶ輸送船に乗っていたが魚雷攻撃を受けて船は沈没した。何とか浜辺に泳ぎ着いた高村は島民に助けられ、その際にこの歌を覚えたのだ。カセットテープをMAT基地の言語分析機で解読した結果、シーモンスのことが歌われていることがわかった。「シーモンスは島の守り神。シーモンスは気立ての優しい怪獣。だがシーモンスが海を渡る時は気をつけろ。恐ろしいことが起こる」。しかしシーモンスが実在するという確証がなければMATは動くことが出来なかった。

翌日、八丈島で巨大な生物が目撃されたという情報を受けたことでMATはシーモンスについての本格的な調査に入った。シーモンスの歌には続きがあることがわかり、高村の歌を聴いて育った陽子に歌ってもらうことになった。「シーモンスをいじめるな。シーモンスをいじめると角光る。角光ればシーゴラスも怒り、海も怒る」。そのとき東京湾B海域に怪獣が出現したという緊急情報が入り、郷たちは直ちに出動した。加藤勝一郎隊長はマットアローによる攻撃でシーモンスを東京への上陸を阻止しようとしたが叶わなかった。そこで新たな攻撃を加えたが、角が光るのを目撃した郷は歌の一節を思い出し加藤に攻撃中止の進言をした。攻撃を中止したことでシーモンスはおとなしくなったが、セメント工場にとっては大迷惑だった。敷地に居座り続ける怪獣が石灰石を貪り食っていたことで操業が出来なくなっていたのだ。東京に甚大な被害が及ぶことを恐れた加藤はしばらく様子を見るつもりでいたが、納得出来ない工場の社長は自衛隊に出動を要請した。自衛隊はシーモンスを退治する決断を下し、周囲に爆薬を仕掛けると爆破した。炎に包まれるシーモンスが悲鳴を上げると、その声を聞きつけたもう一体の怪獣が伊豆沖に姿を現した。それは二足歩行でオスのシーゴラスだった。シーゴラスの起こした大きな津波は漁村を飲み込んでしまった。連絡を受けた加藤たちは東京湾へ向かうシーゴラスを食い止めるためにマットアローで出撃した。一方、郷はシーモンスが父親から聞いたとおりの怪獣かどうか確かめに行った陽子を捜しに行った。シーゴラスを攻撃するMATに激怒したシーモンスは角を光らせると東京湾に巨大な津波を発生させた。陽子を発見した郷は彼女を守るためにウルトラマンに変身し、ウルトラバーリヤを使って津波を弾き返すことに成功した。しかしそのためにウルトラマンは著しくエネルギーを消耗し、シーモンスとの戦いに敗れた。

屋台的映画館

亡国のイージス

  • posted at:2008-05-28
  • written by:砂月(すなつき)
ぼうこくのいーじす
AEGIS ASSOCIATES(日本ヘラルド映画=松竹=電通=バンダイビジュアル=ジェネオン エンタテインメント=IMAGICA=TOKYO FM=産経新聞社=デスティニー)
配給:日本ヘラルド映画=松竹
製作年:2005年
公開日:2005年7月30日
監督:阪本順治
製作:坂上直行 久松猛朗 千野毅彦 住田良能
企画:小滝祥平 遠谷信幸
エグゼクティブプロデューサー:伊達寛 川城和実 長瀬文男 北川淳一 佐倉寛二郎
プロデューサー:古川一博 河野聡 伊東森人 内藤和也 椎井友紀子
アソシエイトプロデューサー:森谷晁育 加藤悦弘 井川浩哉 鈴木尚 山本淳子
原作:福井晴敏
脚本:長谷川康夫 飯田健三郎
音楽:トレヴァー・ジョーンズ
音楽プロデューサー:高橋良一
撮影:笠松則通
美術:原田満生
録音監督:橋本文雄
照明:石田健司
整音:クリス・デイヴィッド テリー・ロッドマン
録音:阿部茂
編集:ウィリアム・アンダーソン
スクリプター:今村治子
助監督:中川裕介
俳優担当:豊山有紀
プロダクションマネージャー:小林誠一郎
製作担当:秋枝正幸
出演:真田広之 中井貴一 寺尾聰 佐藤浩市 勝地涼
シネマスコープ カラー 127分

太平洋での訓練航海を行う海上自衛隊イージス護衛艦・いそかぜには海上訓練指導隊(FTG)の隊員が14人乗り込み、荷物が置かれた倉庫には見張りが立つ程の態勢が取られていた。その様子に皆不安を感じていたが、仙石恒史先任伍長はそれだけ厳しく審査するんだろうとさして気にも止めなかった。だが事件の予兆は魚雷訓練中に発生した。切れるはずのない魚雷を繋いだロープが切れ、その下にいた菊政克美二等海士が下敷きになって即死したのだ。事故が発生したにも関わらず、いそかぜは東京湾に向かうことになった。杉浦丈司三等海佐から重要な訓練だから変更は出来ないと言われ、その判断に納得行かなかったのは仙石だった。入港して遺体を引き渡すことを優先するのが当然だと考えていた仙石は、宮津弘隆副艦長と話をつけようとした。小競り合いをする二人のもとに現れた宮津は、事実を知ることはその重さを我々と共有することだが覚悟はあるかと静かに言った。すると仙石は、専任伍長として船で起こっている全てを知る義務があると答えた。

宮津の代理として山崎謙二二等海尉が現状を仙石に説明した。今回乗船した集団はFTGではなく、防衛庁情報局(DAIS)という非公開情報組織だった。いそかぜには特殊工作員が潜入しているという情報が既に入っていたため、彼らは身分を偽って乗り込んだのだった。工作員はアメリカ軍が開発し嘉手納基地からの移送中に奪われたGUSOH(グソー)と呼ばれる神経ガスを持ち込んでいた。1リットルで東京が潰滅する程の威力を持つ化学兵器を持ち込んだのは、仙石が親しくしていた如月行一等海士だった。首謀者は某国対日工作の指導教官だったホ・ヨンファで、少年時代に拘束された如月は彼によって工作員としての教育を受けたのだ。現在、ヨンファたちは潜水艇で接近し、如月の行動開始とともにいそかぜを占拠する計画を立てていた。GUSOHの奪還とヨンファの拘束を同時に行うためには、寄港せず待つしか方法がなかったのだ。話を聞き終えた仙石は、わからないと言った。任務はどうあれ菊政を放っておくことは出来ないのだ。すると宮津は、彼の死は事故ではないと言った。宮津の隣にいた溝口哲也三等海佐は、一人の防衛大生が殺されていると言いながらアタッシェケースから論文を取り出した。その論文のタイトルは「亡国の楯(イージス)」だった。その思想に興味を持ったヨンファは防衛大生に近付こうとしたが溝口たちの動きを察知し、事故に見せかけて殺害すると姿を消したのだった。仙石は衣笠秀明艦長がこのことを知っているのかと宮津に聞いたが、彼は口を噤んだ。艦長は既に殺されていたのだ。

如月はいそかぜの艦内を爆破し10分以内に機関を停止して総員が離艦しなければ船を沈めるという声明を出した。扉に爆薬が仕掛けられたことで艦内を自由に移動することが出来なくなっていたが、如月を説得することに自信を持っていた仙石は点検のために増設されたハッチを使って内部に侵入した。如月の前に丸腰で立った仙石は、宮津や溝口から聞いたことを彼に話し、おとなしく投降せよと説得を始めた。ところが如月は、溝口が首謀者のヨンファであり、宮津やDAISは工作員の仲間だと言った。彼こそが宮津たちの叛乱を阻止するために派遣されたDAISの二曹だった。GUSOHが搭載されたミサイルの照準は、東京首都圏内に設定されていた。

屋台的映画館
おどるだいそうさせんざむーびーつーれいんぼーぶりっじをふうさせよ
フジテレビジョン=INP
配給:東宝
製作年:2003年
公開日:2003年7月19日
監督:本広克行
製作:村上光一
企画:宮内正喜 永田芳男
エグゼクティブプロデューサー:亀山千広
プロデューサー:臼井裕詞 堀部徹 安藤親広 石原隆 高井一郎
脚本:君塚良一
音楽:松本晃彦
主題歌:織田裕二 「Love Somebody[CINEMA Version Ⅱ]」
撮影:藤石修
照明:加瀬弘行
録音:芦原邦雄
美術製作:河井實之助
美術監督:梅田正則
美術デザイナー:青木陽次
編集:田口拓也
キャスティングプロデューサー:東海林秀文
ラインプロデューサー:羽田文彦 村上公一
監督補:長瀬邦弘
助監督:河合勇人
制作担当:松岡利光 曳地克之
出演:織田裕二 柳葉敏郎 深津絵里 水野美紀 ユースケ・サンタマリア
シネマスコープ カラー 138分

警視庁副総監誘拐事件から5年が経った2003年。かつては空き地が広がっていた台場も再開発で一大観光名所に姿を変えた。その一角にある湾岸署は観光案内や交通整理など多忙を極めていた。そんな中、港湾地区では客船・ふじ丸がテロリストに乗っ取られた。という想定で警視庁の公開訓練が行われ、犯人役には湾岸署の署員が抜擢された。今回の訓練は実弾を使用しないこと以外、本番と同条件で行われることになっていたが、SAT(Special Assault Team=警視庁特殊部隊)中隊長・草壁の高圧的な言動に、恩田すみれ巡査部長は頭に来ていた。そして和久平八郎指導員の「思いっきり抵抗してやりゃあいいじゃねえか」という言葉に触発された青島俊作巡査部長は、SAT攻略作戦を決行した。内に突入したSATの隊員たちは青島の作戦にはまり、次々と捕獲されて行った。その一方で草壁はテロリストグループの巣窟に乗り込み閃光音響手榴弾を使用した。閃光と煙幕、そして音響が室内を覆い犯人たちを制圧した。ところが煙の中から青島が現れ、草壁のこめかみに銃を突きつけたのだった。今回の訓練は犯人側が勝利で終了した。この結果に立腹した副総監は、湾岸署の全署員に対して減俸を言い渡したのだった。

青島は体の奥から燃えたぎるような事件に飢えていた。ある朝、婦女暴行事件があったことを聞いてやってきた青島は、被害者の女子高生から事情を聞いた。犯人は彼女を後から押し倒し、首筋に噛み付いたのだ。そこには吸血鬼の牙が刺さったような痕が残っていた。その後、犯人は何もせずに逃げて行ったが、同様の事件が多発していたのだ。これは自分の事件ではないと感じた青島はその場を離れた。すると今度はすみれが力を貸して欲しいと彼を引っ張って行った。盗犯係では連続スリ事件を扱っていたが、その犯人グループは絵に描いたようなアットホームな家族だというのだ。これも自分の事件ではないと感じた青島は、走って出掛けた暴力犯係について行った。湾岸署管内で発生した殺人事件、それは蜘蛛の巣のように張り巡らされた赤いロープに遺体が縛られるという猟奇的な事件だった。

湾岸署に特別合同捜査本部が設置された。特捜本部長には初の女性キャリア・沖田仁美警視正が任命され室井慎次警視正は彼女のサポートに回ることになった。室井は刑事課の入り口に立っていた青島を沖田に紹介した。すると彼女は、「事件は現場で起きているんじゃないのよ。事件は会議室で起きているの。勘違いしないで」と言った。

屋台的映画館

GO

  • posted at:2008-05-15
  • written by:砂月(すなつき)
ごー
「GO」製作委員会(東映=STARMAX=テレビ東京=東映ビデオ=TOKYO FM)
配給:東映
製作年:2001年
公開日:2001年10月20日
監督:行定勲
製作:佐藤雅夫 黒澤満
企画:遠藤茂行
プロデューサー:天野和人 國松達也 出目宏
「GO」製作委員会 製作委員:金民基 木綿克己 青山悌三
「GO」製作委員会 プロデューサー:趙裕哲 古川一博 趙裕燦
原作:金城一紀
脚本:宮藤官九郎
音楽:めいなCo.
音楽プロデューサー:津島玄一
主題歌:「幸せのありか -theme of GO-」The Kaleidoscope
撮影:柳島克己
照明:高屋齋
美術:和田洋
録音:柴山申広
編集:今井剛
スクリプター:工藤みずほ
装飾:大庭信正
擬斗:二家本辰巳
俳優担当:河合啓一
助監督:中村隆彦
製作担当:望月政雄 岩下真司
宣伝プロデューサー:桝林宏明
出演:窪塚洋介 柴咲コウ 山崎努 大竹しのぶ 山本太郎
アメリカンビスタ カラー 122分

高校三年生の杉原はコリアンジャパニーズだったが、日本で生まれ育ったことから本人は他の日本人となんら変わりないと思っている。だが周囲の人たちは皆、彼を「在日」と嘲った。そんなとき、キレた。

三年前、中学生だった杉原は「スーパー・グレート・チキン・レース」を行うことになった。その肝試しとは地下鉄の駅のホームから飛び降りて電車の前を走るというものだった。近づく列車の前に飛び出した杉原は、見届け人である二人目の成功者のタワケ先輩と、同級生のウォンスの前を駆け抜けて行ったのだ。朝鮮民族学校史上三人目の成功者となった杉原が興奮状態が抑えられないまま地上へ出ると、道路ではウォンスが原チャリを吹かして待っていた。三人乗りの原チャリは公道を疾走していたが、すぐさまパトカーに見つかってしまった。空き地に追い詰められ、杉原とウォンスは警察に連行されたが、タワケは持ち前の俊足を生かして逃げてしまった。
警察に呼び出された杉原の父・秀吉は、つかつかと息子に近寄ると顔面にパンチを見舞った。さらに何度もパンチを浴びせると彼は血まみれになり、そんな二人の姿を見てうろたえた警官はすぐに解放した。部屋を出た秀吉は、「今回も家裁にいかなくて済んだろ」と杉原に言った。

秀吉は元ボクサーで、日本ランキング7位という実績を持っていた。その夜、テレビでハワイ特集を見ていた彼は、家族に「ハワイに行ってくる」と呟いた。そして旅行のために国籍を「朝鮮」から「韓国」に変更した。その後、杉原家の玄関にはハワイでの記念写真が飾られ、両親を「パパ」、「ママ」と呼ぶことが義務付けられた。ある日、秀吉は「広い世界を見ろ。そして自分で決めろ」と杉原に言った。「韓国籍」or「朝鮮籍」、選ぶ権利は自分あることに気付いた彼は、初めて人間として扱われた気がした。そして決めた。広い世界を見るために韓国人となり、タバコとケンカを辞めて日本の高校を受験することにした。その話を聞いた秀吉は、好きにしろと言った。

高校のバスケ部に入部した杉原だったが、対外試合で相手選手に侮辱され、キレた。この一件で彼はバスケ部をクビになったが、校内に名前が知れ渡ったことでチャレンジャーたちが次々と勝負を挑んで来た。殴るのは嫌だけど殴られるのはもっと嫌だと考えていた杉原は、マルコムXの「私は自衛のための暴力を暴力と呼ばない」という言葉に感銘を受け、革命を起こすことにしたのだ。初めての挑戦者は加藤で、広域暴力団の幹部の息子だった。家に招かれたときは肝を冷やしたが今では日本人唯一の友達となっていた。加藤の18歳を祝う誕生パーティーに招待された杉原は、クラブで踊り狂う人たちを尻目に携帯音楽プレーヤーで落語を聞きながら読書していた。すると少女が隣に座り、話しかけてきたのだ。彼女の不思議な魅力に杉原は心を奪われた。

屋台的映画館

プロフィール

HN:
砂月(すなつき)
性別:
非公開
自己紹介:
ブログ主はインドア派大分トリニータサポーター

 

フリーエリア

 

P R