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女吸血鬼

  • posted at:2008-12-04
  • written by:砂月(すなつき)
おんなきゅうけつき
新東宝
配給:新東宝
製作年:1959年
公開日:1959年3月7日
監督:中川信夫
製作:大蔵貢
原作:橘外男
脚本:中沢信 仲津勝義
企画:津田勝二
撮影:平野好美
音楽:井内久
美術:黒沢治安
照明:関川次郎
録音:泉田正雄
助監督:石川義寛
編集:後藤敏男
製作主任:藤岡治郎
出演:天知茂 和田桂之助 三原葉子 池内淳子 中村虎彦
シネマスコープ モノクロ 78分

東洋タイムスの記者・大木民夫を乗せた車はパーティー会場に向かっていた。その日は彼の婚約者である松村伊都子の誕生日だったため、遅れるわけには行かなかった。民夫は運転手にもっとスピードを出すように言ったが、運転手は道路を横切る女性に気付くのが遅れ撥ねてしまった。二人は女性を助けようと車外に飛び出したが、何処にも彼女の姿は無く車にも損傷はなかった。
時間になっても民夫は現れず、友人たちにせつかれた伊都子はパーティーを始めることにした。蝋燭の火を吹き消しケーキに入刀した伊都子だったが、ナイフで指を切ってしまった。その様子を見ていた彼女の父・重勝は、二十年前のことを思い出していた。松村邸に到着した民夫は遅刻を詫びた。それからまもなく部屋は停電し、二階の開かずの間から家政婦を呼ぶブザーの音が聞こえた。奇妙に感じた執事は重勝に耳打ちすると、かつて妻が暮らしていた部屋に二人で入った。ソファーに横たわっていたのは、昔のままの若さを保った妻・美和子だった。

美和子を診察した榊原博士は、内臓器官、皮膚細胞、筋肉組織のどれをとっても20歳の肉体だと言った。伊都子は帰ろうとした民夫を引き止め、この家で起きた不可解な出来事を新聞に書かないようにと釘を刺した。母親のことで気疲れしている伊都子を心配した民夫は、上野で開かれている二期会展に誘った。展覧会の目玉は無名の新人が描いて特選に選ばれた作品だったが、二人はその絵を見て驚いた。そこに描かれていた女性は美和子そっくりだったのだ。民夫は受付に行き、絵についての詳細を聞き出そうとしたが、絵の作者が祖父江四郎というペンネームであること以外わからなかった。伊都子が絵の前に立ち止まっていると、黒いサングラスの男が声を掛けてきた。男が余程この絵がお気に入りのようですねと言うと、彼女は何だか母親に似ているような気がすると答えた。男は深く頷くと小男を従えて去って行った。

その夜、ホテルに泊まっていた男はカーテンから漏れる月光を浴びたことでもだえ苦しみ始めた。部屋の前を通りかかった女性従業員はただならぬ事態であることを察知し中に入った。男はカッと目を見開くと従業員に襲い掛かった。死体の首には血を吸われた跡があった。

屋台的映画館
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宇宙怪獣ガメラ

  • posted at:2008-12-01
  • written by:砂月(すなつき)
うちゅうかいじゅうがめら
大映配給
配給:大映配給
製作年:1980年
公開日:1980年3月20日 併映「鉄腕アトム 地球防衛隊」
監督:湯浅憲明
企画:徳山雅也
製作:大葉博一
プロデューサー:徳山雅也 篠原茂
脚本:高橋二三
音楽:菊池俊輔
主題歌:「愛は未来へ・・・」マッハ文朱
撮影:喜多崎晃
録音:飛田喜美雄
照明:島田忠昭
美術:横島恒雄
編集:田賀保
助監督:村石宏實
製作主任:久里耕介
操演:中島徹郎
装飾:岩田信尚
メイク:土屋千恵
記録:小林みどり
スチール:野上哲夫
擬闘:松尾悟
特殊撮影:東通ecgシステム
造形:ヒルマモデルクラフト エキスプロ
劇画:開田裕治
視覚効果:石田徹
タイトル:デン・フィルム・エフェクト
効果:P.A.G 赤塚不二夫 藤田信夫
衣裳:京都衣裳
録音所:にっかつスタジオセンター
現像:東京現像所
特撮フィルム
 撮影:築地米三郎 藤井和文 金子友三
 操演:恵利川秀雄 金子芳夫 関谷治雄 田中実
 美術:井上章 山口熙 矢野友久 石原章隆
 照明:石坂守 熊木直生 石森七郎 藤野慎一
 録音:渡辺利一 奥村幸雄 清水保太郎 奥山秀夫
 音響効果:小倉信義 小島明
出演:マッハ文朱 小島八重子 小松蓉子 工藤啓子 前田晃一
スタンダード カラー 109分

ペットショップ・モントウトウを営むキララは突然異変を感じ、マツダのショールームで働くマーシャと福田幼稚園の保育士・ミータンを急遽招集した。三人は地球の平和を守るために平和星M88から派遣された宇宙人だった。その後、宇宙海賊船ザノン号から地球にいる平和星人に向けて警告が発せられたが、それは我々に対する抵抗は許さないという内容だった。余計な手出しをすれば地球人を抹殺するというのだ。キララたちは地球を守る使命を確認し合った。広大な宇宙で略奪と殺戮を繰り返すザノン号。その次の攻撃目標は地球だった。ザノン号のキャプテンは地球上に存在する邪魔者を排除するために暗殺者・ギルゲを送った。東京に降り立ったギルゲは日本人の姿に変身して街に潜伏した。

亀が大好きな小学生・木下圭一は、キララの店に来ては水槽に入っているゼニガメを眺めていた。熱心に観察する圭一にキララが一匹あげると言うと、圭一は心の声で話ができるというお気に入りのゼニガメを選んだ。再び異変を感じたキララは圭一を家に帰してその時を待ったが、火山活動が活発になった富士山がついに噴火した。それに伴い日本各地にある活火山でも噴火が発生した。政府は調査団を富士山へ派遣したが、河口湖付近の山中から放たれた超音波でヘリコプターが切断され、墜落した。そして出動要請をうけた自衛隊機も怪現象によって次々と墜落して行った。

圭一は、母親から本当に動物を可愛がるのであれば狭い水槽ではなく大自然に放した方がいいのではないかと言われ、亀に尋ねてみることにした。すると亀はウインクをした。それが亀にとって幸せなことだと考えた圭一は、寂しかったが川へ放すことにした。その夜、ヘリコプターが墜落した地点に超音波怪獣ギャオスが現れた。空へ飛び立ったギャオスは名古屋へ向かい、市街地で破壊の限りを尽くした。その頃、キララはミータンとともにマーシャが到着するのを待っていた。だが彼女は渋滞にはまり身動きが取れなくなっていたのだ。変身したマーシャは特殊能力で車ごと瞬間移動させたが、それをギルゲの探知トレーサーがキャッチした。ギルゲはキャプテンに平和星人が一人いることを報告すると、ザノン号は攻撃を開始した。光線が当たり車は消滅したが、マーシャは辛うじて逃げ出し無事だった。キララたちは地球人から宇宙人の姿に変身すると分子構造が変化するが、ザノンの科学技術はそれをキャッチ出来るほど水準が高かった。三人は戦いたくても名古屋を救えない立場を悔しがった。

翌日、ペットショップを訪れた圭一は亀を川に帰したことをキララに詫び、その理由を話した。彼は成長した亀がガメラとなってギャオスと戦って欲しいと願っていたのだ。地球にガメラという巨大な亀がいることを知ったキララは死を覚悟して他の二人と変身した。そして念力を使ってガメラを眠りから目覚めさせようとしたのだ。しばらくすると咆哮が轟きガメラが現れた。ガメラは決戦の舞台である名古屋へ飛んで行った。

屋台的映画館

CASSHERN キャシャーン

  • posted at:2008-11-27
  • written by:砂月(すなつき)
きゃしゃーん
「CASSHERN」パートナーズ(松竹=プログレッシブ ピクチャーズ=エレクトリック・ゴースト=衛星劇場=テレビ朝日=朝日放送=タカラ=伊藤忠商事=TOKYO FM=イーソリューションズ=菱和ライフクリエイト=ビッグショット) 
配給:松竹
製作年:2004年
公開日:2004年4月24日
監督:紀里谷和明
プロデュース:宮島秀司 小澤俊晴
プロデューサー:若林利明
企画:紀里谷和明 若林利明
製作:久松猛朗
製作総指揮:迫本淳一
原作:竜の子プロダクション「新造人間キャシャーン」
脚本:紀里谷和明 菅正太郎 佐藤大
プロダクションデザイナー:林田裕至
VFXスーパーバイザー:木村俊幸 野崎宏二
CGスーパーバイザー:庄野晴彦
ヘアアンドメイクアップアーティスト:稲垣亮弐
衣裳:北村道子
アートプロデュース:赤塚佳仁
撮影監督:紀里谷和明
撮影:紀里谷和明 森下彰三
照明:渡部嘉
録音:矢野正人
バトルシーンコンテ:樋口真嗣
アクションディレクター:諸鍛冶裕太
音楽プロデューサー:高石真美
音楽:鷺巣詩郎
テーマソング:「誰かの願いが叶うころ」宇多田ヒカル
コンセプチャルデザイン:木村俊幸 林田裕至 庄野晴彦 DK
アソシエイトプロデューサー:野地千秋 田中誠 姉川佳弘
助監督(1st.):野間詳令
スクリプター:梛川泰子
演技事務:小島都
ラインプロデューサー:椋樹弘尚
編集:紀里谷和明
出演:伊勢谷友介 麻生久美子 寺尾聰 樋口可南子 小日向文世
シネマスコープ カラー 141分

50年にも及ぶ長い戦争は、大亜細亜連邦共和国がヨーロッパ連合に勝利することで終結した。大亜細亜連邦はユーラシア大陸のほぼ全域を手中に収め、民族優位主義を掲げた政府は先住民族へ差別と弾圧を行った。その後、各地では抵抗勢力が出現。彼らは破壊活動を繰り返した。中でも第七管区での戦いは苛烈を極めた。軍部はこの状況を打破するために兵力の大幅な増強を決定した。その犠牲となったのは多くの若者だった。

戦争がもたらしたもの、それは放射能、産業廃棄物、病原菌で汚染された大地だった。その影響で発生した公害病は、既に人体に突然変異が起こる状況にまで発展していた。遺伝子工学の権威である東博士は、不可能と言われた治療方法に一筋の光が射し込んだことを国会で発表した。彼は長年行った研究で、ある少数部族の中に「新造細胞」という特殊な細胞を有する者が存在することを突き止めたのだ。それはどんな細胞にも変身することができるという人間の全細胞の源だった。あらゆる臓器、皮膚、骨、神経、爪や毛髪に至るまでこの細胞を培養し操作すれば、必要なときに必要な量を製造ことが出来るのだ。移植による拒絶反応が一切ないこの技術を使えば、寿命を長らえさせることも可能だった。博士は研究の援助を訴えたが、その夢のような科学技術は理論の一つでしかないという理由で認められなかった。落胆する博士に近づく者がいた。彼の名は内藤薫、日興ハイラル社という軍部との太い繋がりを持つ貿易会社の社員だった。軍部は博士の論文をとても気に入り、既に研究施設まで用意していたのだ。内藤は難病で苦しむ博士の妻・ミドリの話を持ち出し、一緒に実現してみませんかと言った。

東博士の一人息子・鉄也は、研究に没頭し家庭を顧みない父親に対し反抗を続けていた。彼は博士とともに研究を続ける上月博士の娘・ルナと婚約していたが、今やるべきこととして友人が待つ戦場に向かう道を選んだ。それから一年後、ミドリの病状が悪化したことで博士は焦っていたが、陸軍本部で行われている研究は完成に程遠かった。絶対に間に合わせてみせる、そう心に誓う博士に電話が掛かった。それは哲也が前線で命を落としたという知らせだった。そのとき、培養室に異常が発生し、研究所に「稲妻」が落ちたのだ。研究用のプールに突き刺さった「稲妻」は「新造細胞」を活性化させ、「新造人間」を次々と生み出した。警備に当たっていた軍人たちは銃を乱射して「新造人間」を射殺したが、そのうちの一人は排水溝を通って逃げ出したのだった。博士の論理では「人工器官」を作り出すことは不可能だった。博士の計画が成功すると確信していた軍は、戦場で傷付いた人々を復活させるための死体をプールに放り込んでいたが、彼らが再生することはありえなかったのだ。だが「稲妻」が活性化させた細胞を、逃げた「新造人間」が死体置き場に持ち込んだことで事態は変わった。命を得た「新造人間」たちは「生きる」ために逃げ出したのだ。

哲也の亡骸が入った棺は陸軍兵士によって広場に運ばれ、葬儀が執り行われることになっていたが、「新造人間」の脱走でそれどころではなくなっていた。施設から逃げ出したうちの四人は葬儀に向かっていた車を奪って逃走したのだ。その車にミドリが乗っていたことを知った博士は、愛する妻を取り戻すために棺を開けた。

屋台的映画館

スカイハイ 劇場版

  • posted at:2008-11-22
  • written by:砂月(すなつき)
すかいはいげきじょうばん
アミューズ=東映=テレビ朝日=朝日放送
配給:東映
製作年:2003年
公開日:2003年11月8日
監督:北村龍平
製作指揮:大里洋吉 早河洋
企画:宮下昌幸 遠藤茂行 岩永恵 和田省一
エクゼクティブプロデューサー:河井信哉 木村純一
プロデューサー:遠藤日登思 出目宏 横地郁英
アソシエイトプロデューサー:橘田寿宏 福吉健 株柳真司
プロダクション統括:佐藤和之
アシスタントプロデューサー:進啓士郎
原作:高橋ツトム
脚本:桐山勲
音楽:森野宣彦 矢野大介
主題歌:「HORISON」HYDE
撮影:古谷巧
照明:高坂俊秀
美術:花谷秀文
装飾:花谷秀文
録音:高野泰雄
VE:高瀬尚一
編集:掛須秀一
サウンドエフェクト:柴崎憲治
整音:室薗剛
記録:山下千鶴
助監督:斎藤博士
製作主任:平増邦秀
製作担当:松田康史
宣伝プロデューサー:里登志幸
出演:釈由美子 大沢たかお 谷原章介 戸田菜穂 岡本綾
アメリカンビスタ カラー 122分

都内で女性の死体が発見された。その死体は心臓を抉り取られ、ロープで宙吊りにされていたのだ。ここ最近、同様の猟奇殺人事件が各地で発生し、彼女は3人目の犠牲者だった。だが、目撃証言や物的証拠が乏しく捜査は難航していた。事件を担当することになった刑事・神崎耕平は、自分の結婚式の当日であるにも係わらず捜査に没頭し式のギリギリまで仕事をしていたが、その彼を待っていたのは想像を絶する悲劇だった。式が始まり扉が開くと、婚約者の斉木美奈はヴァージンロードゆっくりと歩いてきた。だが彼女の胸からは鮮血が滴り落ちていたのだ。ウェディングドレスは真っ赤に染まっていた。耕平は、崩れ落ちる美奈の体を受け止めることしかできなかった。人生最高の日は血に染まった。

美奈は殺人鬼の四番目の被害者となって死んだことを知らずに「恨みの門」の前に立っていた。「恨みの門」、それは不慮の事故や殺された人たちが魂となって来る場所だった。門番のイズコから三つの行き先のうち一つを選ぶことが出来ると言われた。一、死を受け入れて天国へ行き、再生を準備する。二、魂のまま永遠に現世をさまよい続ける。三、現世の人間を一人、呪い殺す。但し、呪い殺せばその魂は地獄へ落ち、終わりのない苦痛が永遠に続く。その話を聞いても自分の死を受け入れられない美奈は、魂の選択の猶予期間である12日間だけ現世へ降りることを許された。だが、その姿を生きている者たちが見ることはできなかった。検死室には、耕平の他に彼の先輩の城嶋刑事、検死医・青山響子、そして死んで横たわる自分がいた。美奈は3件と同じ手口で心臓を持ち去られた。たった数分間で・・・。城嶋は耕平を気遣って捜査から外したが、冷静さを失った耕平は犯人に復讐することばかり考えていた。美奈は何故自分が殺されたのかという理由が知りたかった。そこでイズコは、彼女の願いを叶えるために恨みの記憶を辿らせることにした。

3丁の銃を手に入れた耕平は、美奈が命を落とした教会へ行き、当時の記憶を甦らせようと努めた。その結果、教会に駆け込む寸前に女を見掛けたことを思い出したのだった。彼は城嶋にこのことを報告し、女の顔の画像をパソコンで作成した。城嶋は、捜査のことは任せるように言ったが耕平は聞く耳を持たなかった。耕平は響子から呼び出され、奇妙な写真を撮ったというカメラマン・岸一雄と会った。その写真は雑誌の取材時に撮られたもので、雑誌編集者の遠山小百合が写っていた。彼女の胸の部分には、心臓を鷲づかみにする手の影が写っていたのだ。一雄は以前、手の影が旅客機を鷲づかみする写真を撮影し、空港関係者に話したが誰も取り合おうとはしなかった。その後、旅客機は墜落し炎上したのだった。だが耕平は、こんなものは事件に何の関係もないと吐き捨てた。一雄は二枚の写真を取り出して、いや、あるんだと言った。耕平の前に差し出されたその写真は、遺伝子工学の権威で工藤ジェネティックのオーナー・工藤達也、そしてもう一枚は彼が見た女・工藤の秘書=レイだった。部屋の片隅にいた美奈は近寄って工藤の写真を見た。すると事件当時の記憶が次々と甦ってきたのだった。

屋台的映画館

風速七十五米

  • posted at:2008-11-16
  • written by:砂月(すなつき)
ふうそくななじゅうごめーとる
大映(東京撮影所)
配給:大映
製作年:1963年
公開日:1963年7月13日 併映「雑兵物語」
監督:田中重雄
企画:原田光夫
脚本:高岩肇 田口耕三
撮影:高橋通夫
音楽:木下忠司
録音:西井憲一
照明:田熊源太郎
美術:柴田篤二
編集:中静達治
助監督:瀬川正雄
製作主任:大岡弘光
特殊撮影
撮影:築地米三郎
照明:木村辰五郎
美術:三上陸男
助監督:中村大十郎
進行:川村清
出演:田宮二郎 叶順子 宇津井健 高松英郎 北原義郎
シネマスコープ モノクロ 88分

東海地方の取材先で風速50メートル級の台風に遭った新聞記者の田村信一郎はその恐ろしさを身を持って体験した。もしそれを上回る規模の台風が東京を直撃することになれば、高層ビルの屋上に無秩序に張り出すネオンや広告塔は忽ち狂気と化して人々に降りかかって来ることだろう。熱弁を振るったことで、田村はデスクから取材の許可を得た。

栄養剤バイタリンを主力商品とする東西製薬は、創業30周年を記念して銀座にネオン塔を建設した。その工事に携わったのは、田村の同級生・丸山照子の父・高造が経営する丸高組だった。田村は照子と高造に挨拶するために落成式へ顔を出したが、何かと言えば広告物を非難する「台風記者」を歓迎する者は二人以外には見当たらなかった。式典後、設計士の山口と現場監督の浅沼は小料理屋に出掛けた。酒が入って上機嫌になった山口は、帰り際にもう一度見たくなったと言って浅沼をネオンの眺めがいいところへ連れて行った。ところがネオンは爆破され、暗闇から出て来た男と揉み合いになった山口は拳銃で左腕を撃たれたのだった。ネオン塔の構築入札は東京の丸高組と名古屋の遠道興行が最後まで争った。遠道興行の社長は満州帰りのヤクザで、あくどい利便工作を行ったが実らなかった。丸高組が今回の仕事で名を上げたことは事実であり、それを妬んだ遠道が破壊工作を行ったのではないかというのが記者たちの専らの噂だった。翌日、犯人が乗り捨てた車が甲府駅付近で発見され、浅間温泉で逮捕された。だが田村は、それは「トカゲの尻尾切り」だと考えていた。

丸高組は一年間の保証をしており、期日までに壊れたネオン塔の修繕をしなければならなかった。その費用は5千万とも言われ、高造は会社を倒産させる覚悟で再建を始めたのだった。それを快く思っていないのは遠道だった。東京へ進出する足掛かりを丸高組にことごとく邪魔され、時には合併話を持ち掛けたがそれも反故にされた。手段を選ばない遠道は部下に命じてネオン塔を破壊させたがそれでも丸高組の息の根を止めることは出来なかったのだ。そこで遠道は次なる手段に出た。照子は大学時代の親友である木谷と7年ぶりの再会を果たした。昔話に花を咲かせるうちに二人の間は急速に近付いて行ったが、木谷が常務を務める暁産業は、遠道が強引に乗っ取った会社だった。

屋台的映画館

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