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人間の証明

  • posted at:2013-03-09
  • written by:砂月(すなつき)
にんげんのしょうめい
角川春樹事務所
配給:東映洋画
製作年:1977年
公開日:1977年10月8日
監督:佐藤純彌
製作:角川春樹
プロデューサー:吉田達 サイモン・ツェー
原作:森村誠一
脚本:松山善三
撮影:姫田真左久
音楽監督:大野雄二
主題歌:「人間の証明のテーマ」ジョー山中
美術:中村修一郎
照明:熊谷秀夫
録音:紅谷愃一
編集:鍋島惇
衣裳デザイン:春日潤子
スチール:加藤光男
助監督:葛井克亮
製作担当:武田英治
出演:岡田茉莉子 松田優作 ジョージ・ケネディ 岩城滉一 鶴田浩二
アメリカンビスタ カラー 132分

ニューヨークの銀行で大金を受け取った黒人青年は、古い衣服を脱ぎ捨て高級なスーツに身を包んだ。アパートに荷物を取りに戻った青年の姿を見た管理人のマリオは、あまりの変わりように驚いた表情を見せた。何処へ行くんだいと彼女が声を掛けると、青年は「キスミーへ行くんだ」とうれしそうに言った。

東京ロイヤルホテルの42階では人気絶頂のデザイナー・八杉恭子のファッションショーが行われていたが、会場へ向かうエレベーターの中で黒人青年が死んだ。彼の胸にはナイフが刺さっており、足下には西條八十詩集が落ちていた。麹町署は緊急配備を敷いて捜査を行い、パスポートから彼がジョニー・ヘイワードという名のアメリカ人で、死因は胸部内出血による窒息死であることがわかった。恭子やモデルからは有力な情報を得ることは出来なかったが、エレベーターガールは青年が発したストウハという言葉を覚えていた。警察犬による捜査で屋外に血痕が発見されたことから、そこが犯行現場だと判断し遺留品の捜索を行った。その結果、現場近くにある清水谷公園の茂みの中から麦藁帽子が発見された。棟居刑事はストウハがストローハット=麦藁帽子ではないかと推察したが、横渡刑事は疑問を口にした。この事件はどのような展開を見せるのだろうか。一同が空を仰ぎ見たとき、ホテルの電飾が麦藁帽子を象っていた。

ファッションショーに出席した東洋技研の新見部長は、妻と偽って同伴したホステスのなおみを会社の車で送った。本降りの雨だったため新見は家まで行くと言ったが、誰かに見られて騒ぎになることを恐れたなおみは途中で下車した。電話ボックスで雨宿りしていたが埒が明かず、濡れることを選んだなおみは道路を横切った。そのとき、暴走するマスタングが交差点を曲がって来た。何かを感じた新見がなおみと別れた場所に戻ると、もう彼女の姿はなかった。だが道路には血のついた時計が転がっていた。青ざめた郡恭平とガールフレンドの朝枝路子は雨の中に立ち尽くしていた。相談した二人はなおみの遺体を車内に担ぎ込みその場を去ったのだ。路子がそのときに落とした時計は、恭平が母・恭子から買ってもらった大切なものだった。

ニューヨーク市警のケン・シュフタン刑事は、警視庁からの要請を受けたICPO(国際刑事警察機構)の依頼でジョニーの身元調査を行うことになった。マリオに事情を話してジョニーの部屋を調べたシュフタンは、五番街に住むライオネル・アダムスという人物の名を記したメモを見つけた。アダムスのもとを訪れたシュフタンは、数カ月前に車にぶつかって来た男がいることを知った。その老人はウィルシャー・ヘイワードという黒人で、頭が痛いと言って値を吊り上げ息子のジョニーに6000ドルを支払ったのだ。その頃、日本では小山田武夫が妻・なおみの行方を捜していた。

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暴風圏

  • posted at:2013-03-02
  • written by:砂月(すなつき)
ぼうふうけん
大映(東京撮影所)
配給:大映
製作年:1959年
公開日:1959年7月26日 併映「まぐろ」
監督:渡邊邦男
製作:武田一義
企画:中代冨士男
原案:手塚邦夫
脚本:松浦健郎 渡邊邦男
撮影:渡邊孝
音楽:山田栄一
録音:西井憲一
照明:米山勇
美術:高橋康一
編集:宮田味津三
助監督:石田潔
製作主任:奈良橋義雄
特殊撮影:的場徹
出演:菅原謙二 叶順子 田宮二郎 金田一敦子 小野道子
シネマスコープ モノクロ 98分

新島運輸の会議室では社長の後任人事の話し合いが行われていた。突然の交通事故で社長の新島英介を失ったのだ。外部から優秀な人材を招くことが考えられたが、事故が影響して株価が下落していることと、経営面に不安な部分を公にされることは好ましくないため今回は見送られることになった。時岡経理部長は浦野重役が順番から行くと最適任だと言って推したが、当人は前社長と比較されては困ると言って断わった。決定を見ない会議をいつまでも繰り返すことは無駄だと考えた山口専務は、前社長が独占的に経営を行っていたのだから令嬢の美沙子に任せてみてはどうかと提案した。大学院を卒業したばかりの経営の素人には到底無理だという意見が大半を占めたが、運送業の女社長となれば世間受けがいいし、週刊誌にでも取り上げられれば広告費を掛けなくても宣伝になる。ロボットとして自分たちが操作すればいいし、仮にしくじったとしても前社長の忘れ形見が起こした不祥事として片付ければいい。山口が一通り説明すると皆納得した。美沙子には自分に白羽の矢が立った理由がわかっていた。そこで彼女は社長業を引き受ける代わりに重役たちに三つの条件を出した。一つ目は全力を尽くしてサポートすること、二つ目は月給を払うこと、そして三つ目は社内で一番頭が良くて度胸があって風采の悪くない秘書を付けることだった。強情ではあるが意志がしっかりし、前社長からの経緯を知っている田代隆司が適任だと時岡重役が推薦すると、物足りないと感じたものの美沙子は承諾することにした。従業員の前で挨拶を終えた美沙子は運転手や整備士たちと話し合いの場を持ち、待遇改善の約束をする代わりに安全運転を徹底させた。もし飲酒運転等で約束を破ることがあれば馘首し、優秀な社員には規定の許す限り昇給や特別賞与を実行すると宣言した。

帰宅した美沙子は新島家の財産を目録で確認していたが、相続を担当した弁護士が思ったよりも少ないと話していたことを伯母のトキから聞き、父親に愛人がいたのではないかと勘繰った。社長の就任が決まった美沙子は父親に報告するために墓地へと向かったが、そこで見知らぬ女性が涙を流しながら手を合わせていたからだ。翌日、美沙子は社長室で田代が落とした写真を拾った。そこに写っていたのが墓地にいたあの女性だったことから、田代を呼び出すと質問攻めにした。写真の女性は彼の姉・静江だった。田代は真実を知るために藤沢の静江を訪ね、苦労を掛けて大学に進学したことを詫びた。田代と和解した美沙子は、山口から提案された話をした。岡田建設が請け負う川の建設事業で新島運輸は提携しているが、車輌の破損や運転手の疲労に問題があるため解消をした方がいいというのだ。それを聞いた田代は猛烈に反対した。ただでさえ資金繰りが悪化しているのに、そんなことをしようものなら会社は倒産してしまうからだ。美沙子は田代の助言に従って会社を運営することにした。そんな二人を不愉快に思っていたのは山口だった。彼の背後には会社乗っ取りを企む藤川の存在があった。藤川は交通運輸とともに美沙子をも手に入れようと考えていた。

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温泉ポン引女中

  • posted at:2013-02-27
  • written by:砂月(すなつき)
おんせんぽんびきじょちゅう
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1969年
公開日:1969年6月27日 併映「やくざ刑罰史 私刑」
監督:荒井美三雄
企画:岡田茂 天尾完次
脚本:松本功 鳥居元宏
撮影:吉田貞次
照明:北口光三郎
録音:荒川輝彦
美術:鈴木孝俊
音楽:八木正生
編集:神田忠男
助監督:清水彰
記録:塚越恵江
装置:谷内喜造
装飾:宮川俊夫
美粧:久斗敏厚
結髪:横田三佳代
衣裳:豊中健
擬斗:土井淳之祐
進行主任:武久芳三
協力:南紀白浜温泉 ホテルニュー白浜
主題歌:「女ひとりのブルース」津島波子
出演:橘ますみ 岡田真澄 葵三津子 林真一郎 片山由美子
アメリカンビスタ カラー 87分

南紀白浜の温泉旅館「望海楼」にオスマン白井商事の社員を乗せた送迎バスが到着した。女中頭の川崎イク代はお抱えのポン引き女中をうまく回して対応した。望海楼にはヌードスタジオの併設やブルーフィルムの実演もしており、彼女はその後の対応もしっかりと管理していたことから、ルポライターの山之辺太一は週刊誌の「全国穴場温泉めぐり」で強く推していた。それは16歳でこの旅館にきたイク代を女将の高橋はるが徹底的に仕込んだからだった。評判は上々で客足はうなぎ上りだったが、その状況に渋い顔をしていたのは温泉組合だった。組合長はこの地を新婚旅行のメッカとしてのイメージアップに努めてきたが、望海楼のおかげで「桃色温泉」の印象の方が強くなってきたことで自粛を求めてきたのだ。組合は売春防止法を尊重するが、大きなホテルが進出してくる中、老舗の小さな温泉旅館が対抗するにはお色気路線しかなかったのだ。はるの夫・徳造は組合の理事をしており、会合での話を黙って持って帰ってきたことにはるは怒り心頭だった。それを聞いたイク代は、新婚さんはともかくとして温泉場へくる客はアレが楽しみできているのだから、ちゃんと楽しませて返すことが何故いけないのかと意見した。そして女の子たちが喜んでお小遣いが稼げてお店が繁盛するなんてこんないいことはないと言い、はるも同意すると徳造は口をつぐんだ。

繁華街にキャバレー・ニューナポリが開店してから望海楼の泊り客はそっちへ流れて行った。そこの経営者は関東昇龍会の若月三郎で、客の中には太一の姿を見つけると接待漬けにした。三郎は彼を奥の座敷へ連れて行くと一戦交える姿を中継し、さらにそれをブルーフィルムの上映として温泉客から搾り取った。組の資金源に困った関東昇龍会は温泉場に目をつけ、頂上作戦で収監された会長たちが戻ってくるまでに立て直そうとしたのだ。翌日、砂浜で太一といちゃつくニューナポリのホステスを見つけたイク代は、流れ者のくせに大きな顔をするんじゃないよと啖呵を切った。そこへやってきた昇龍会のヤクザたちはイク代を担ぎ上げて海に放り込もうとしたが、それを止めたのはイク代の妹・美智子だった。中学生のときに飛び出したきり音信不通となっていた妹との再会に喜ぶイク代だったが、三郎の情婦になっていたことを知ると女将さんになんて説明すればいいんだいと嘆いた。母が亡くなった後、ふたりの面倒を見たのははるだったからだ。だが美智子の考えは違っていた。朝から晩までこき使われたせいで毎日中学を遅刻していたからだった。旅館を飛び出し東京へ向かった彼女はあることを悟った。それは貧乏人が頼れるのは自分の体だけだと。そのおかげで誰が父親かわからない子供を授かったが、自分の子に間違いなのだから立派に育ててみせると心に誓った。ひろこを育てるためだったら姉ちゃん相手だって負けないよと美智子が言うと、イク代も負けじと望海楼のお客を取り戻すついでにニューナポリのお客もごっそりといただくわと言った。

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陰日向に咲く

  • posted at:2013-02-22
  • written by:砂月(すなつき)
かげひなたにさく
「陰日向に咲く」製作委員会(東宝=日本テレビ放送網=幻冬舎=ジェイ・ストーム=讀賣テレビ放送=太田プロダクション=日本出版販売=博報堂DYメディアパートナーズ)
配給:東宝
製作年:2008
公開日:2008年1月26日
監督:平川雄一朗
製作:島谷能成 小杉善信 見城徹 藤島ジュリーK. 西垣慎一郎 磯野久美子 古屋文明 安永義郎
エグゼクティブプロデューサー:市川南 奥田誠治 塚田泰浩
企画・プロデュース:川村元気 佐藤貴博
プロデューサー:樋口優香
協力プロデューサー:神蔵克 小玉圭太 原藤一輝
原作:劇団ひとり
脚本:金子ありさ
音楽:澤野弘之
主題歌:「出会いのかけら」ケツメイシ
挿入歌:「ふりむキッス」武田みやこ
撮影:中山光一
照明:中須岳士
編集:宮島竜治
特機:横山聖 赤澤大介
ビデオエンジニア:石上正治
VFXスーパーバイザー:小坂一順
美術:磯田典宏
装飾:松木良二
衣裳:高橋さやか
ヘアメイク:染矢誠
録音:深田晃
スクリプター:鈴木一美
編集:今井剛
助監督:井上雄介
製作担当:阿久根裕行 山本礼二
製作主任:岡田拓也
ラインプロデューサー:鈴木嘉弘
製作プロダクション:東宝映像製作部
東宝・日本テレビ放送網提携作品
出演:岡田准一 宮﨑あおい 伊藤淳史 平山あや 緒川たまき
アメリカンビスタ カラー 129分

都心を巡る観光バスの運転手・沢渡伸也(シンヤ)は重度のギャンブル依存症だった。バス会社の所長・富田は、多額の借金を背負うシンヤに400万円を貸すことにしたが、その条件として誓約書(ギャンブルをしない。借金をしない。毎月、貸金業者に返金する。仕事を一生懸命、頑張る。)を書かせ、もらった給料の流れがわかるように小遣い帳をつけさせた。

8月6日、月曜日晴れ。立ち直ろうと努力するシンヤは、その日も懸命に働いた。その日は借金の返済日でもあり、仕事を終えたシンヤは富田に小遣い帳とお金の入った封筒を差し出した。一通りページに目を通した富田は、パチンコの未練はないという彼の言葉を信じ、小遣い帳と封筒を手渡した。家路を急ぐシンヤの視界に入ったのはパチンコ店の幟だった。店の前に立ち止まった彼はしばらく考えた後、中に入った。久しぶりの音響、久しぶりの明滅するネオン、そして久しぶりのツキ。神がかりのような大当たりの連続でドル箱は忽ち積み上がって行った。だが引き際を間違え、有り玉は全て台に飲み込まれた。さらに封筒や財布の中にあった札も消えて行った。我に返ったシンヤはサラ金に駆け込んだが、ブラックリストに載った者に金を貸すはずがなかった。落ち込んで帰る彼の目に止まったのは、浅草ゴールデンホールの客引きに半ば強引に店内へ誘い込まれる一人の女性の姿だった。その女性には見覚えがあった。確か浅草で休憩を取っていたときに、転がってきた100円玉を拾ってあげたのだ。シンヤは慌てて駆け寄り、知り合いを装って彼女と中に入った。彼女は池田寿子といい、ある人物を捜していた。寿子の母・鳴子はかつて相方の雷太とコンビを組み、芸人としてこのステージに立っていたのだ。35年前にこの場所で撮ったという写真にシンヤは目を奪われた。母と娘は瓜二つだった。

寿子が捜していたのは鳴子ではなく雷太の方だった。亡くなった母の荷物を整理していたときに、ふと日記を読んだ寿子は衝撃を受けた。寿子の知らない鳴子の別の一面が赤裸々に綴られていたのだ。昭和47年4月。鳥取製薬の研修旅行で浅草を訪れた鳴子は、お土産の「開運の小槌」を買うと大事そうにそれを見ながら時間を過ごしていた。するとそこに一人の男が現れ、「屁をすると金を貰う犬は?プードル!」と言った。それが雷太との初めての出会いだった。呆気にとられる鳴子。だがそれに構わず雷太は続けた。「プードル!」。彼は駆け出しの芸人で、お笑いのネタを試したのだった。「屁」をテーマにしたネタを次々と披露したが、わざと無反応を貫く鳴子に頭を抱え、これが本当のガス欠だと彼女の顔に尻を近づけたのだった。その嫌がらせに近くにいた男はいち早く反応し、雷太を力でねじ伏せた。だがそれでも懲りずにネタを続ける彼の一途さに思わず笑った鳴子は、駆け寄ってハンカチで鼻血を拭いてあげた。そして鼻の頭にキスをしたのだった。その後、上京した鳴子は雷太の姿を求めて劇場を訪ね歩いた。そしてついに浅草ゴールデンホールにたどり着いたのだった。ステージを終えて下がる雷太に、鳴子は「お笑いのコンビになってぐしない」と告白した。こうして日本一の笑いを目指すコンビ「ゴールデン鳴子・雷太」が誕生した。だがそれも長くは続かず二人は離ればなれになった。寿子は雷太を見つけ出し、届かなかった母の思いを代わりに届けようと考えていた。その話にシンヤは感銘を受け、手伝うことにした。

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チーム・バチスタの栄光

  • posted at:2013-02-17
  • written by:砂月(すなつき)
ちーむばちすたのえいこう
TBS=東宝=「このミス大賞」連合=MBS=CBC=RKB=HBC=S・D・P=朝日新聞社=TCエンタテインメント=クロスメディア
配給:東宝
製作年:2008年
公開日:2008年2月9日
監督:中村義洋
製作:加藤嘉一 島谷能成 劒重徹 當麻佳成 細野義朗 林尚樹 松田英紀 溝口博史 後藤尚雄 仲尾雅至
エグゼクティブプロデューサー:間瀬泰宏
企画:市川南
プロデューサー:佐倉寛二郎 山内章弘
ラインプロデューサー:橋口一成
原作:海堂尊
脚本:斉藤ひろし 蒔田光治
撮影:佐々木原保志
音楽:佐藤直紀
主題歌:「You’re my sunshine」EXILE
照明:祷宮信
録音:小野寺修
美術:部谷京子
編集:阿部亙英
キャスティング:空閑由美子
装飾:小池直実
スクリプター:柳沼由加里
助監督:高野敏幸
制作担当:畑山佳津子
出演:竹内結子 阿部寛 吉川晃司 池内博之 玉山鉄二
アメリカンビスタ カラー 118分

心臓移植が困難な拡張型心筋症の患者には、難易度の高いバチスタ手術が行われる。バチスタ手術とは拡張した左心室の心筋を切り取り、形を整えた後に縫い縮める方法である。一般的な成功率が6割程だったが、東城大学付属病院の外科医・桐生恭一は着任して一年の間に26回の手術を連続で成功させた。評判は全国に知れ渡り患者が各地から集まって来たが、桐生率いる「チーム・バチスタ」は何故かその後、三例の失敗を重ねた。事態を重く見た桐生が病院長の高階権太に相談をした結果、内部調査が行われることになった。高階は有働喜三郎神経内科学教室教授に調査を依頼したが、彼は私用を理由に職務を心療内科不定愁訴外来医(愚痴外来と呼ばれることが多い)の田口公子に押し付けたのだった。本来、このような調査はリスクマネジメント委員会が担当するのだが、事を大袈裟にしたくない高階は公子に調査を一任した。専門知識がない者を起用したことは、物事を客観的に捉えることが出来るからだった。

「チーム・バチスタ」はリーダーで執刀医の桐生の他に、彼の右腕と呼ばれる第一助手の垣谷雄次、第二助手の酒井利樹、麻酔医の氷室貢一郎、人工心肺を操作する臨床工学技士の羽場貴之、看護師の星野響子、病理医の鳴海涼の七人で構成されている。27回目以降の手術のうち、ケース27、29、30でいずれも成人の患者が死亡したが、何故かケース28の子供の患者だけ成功していた。公子は個別に聞き取り調査を行い、寿退職した響子に替わって入った大友直美が手術の流れに微妙な狂いを生じさせているという証言を垣谷から得た。彼女が加わったのはケース27からだったが、酒井の見解は違った。器械出しが替わったからといって手術が失敗するはずがなく、桐生のペースに付いて行けない垣谷の方に問題があると言うのだ。垣谷は次期助教授の呼び声が高かったが、アメリカから桐生が来たことでその立場が危うくなった。つまり手術の失敗を一番喜んでいるのは垣谷だと酒井は言った。一方で垣谷と同じ考え方をする者もいた。それは自分の未熟さを責める直美だった。彼女は響子との力量差がチームのリズムを狂わせ、患者を死に追い込んだのだと思い悩んでいた。公子は羽場にも直美のことを尋ねてみたが、人工心肺装置の操作に夢中でわからないという答えが返って来た。

ドクターヘリでアガピ・アルノイドという西アフリカの少年兵が急患として運ばれて来た。政府軍に撃たれ重傷を負った少年は国境なき医療団によって一命を取り留めたが、重い拡張型の心筋症が見つかった。反政府ゲリラということでアメリカが治療を拒否したことで「チーム・バチスタ」に白羽の矢が立ったのだ。そんな中、公子は忙しい氷室を捉まえ、術死が起きる前と後で何か違いがないかと尋ねた。氷室は思い当たることは何もないと答えたが、次は子供だから大丈夫じゃないかなと付け加えた。万が一の場合、国際問題に発展することも考えられたが、桐生は子供への手術で失敗をしたことがなかったからだ。切除した心筋から一部を切り取って凍らせ、薄切した部位を顕微鏡で見て確認を行うのが病理医・鳴海の仕事だ。公子は失敗した三例について尋ねたが、鳴海はナッシングでパーフェクトだと答えた。彼の右腕には大きな切り傷があり、それを不思議そうに眺める公子に気付いた鳴海は、外科医時代の不注意で出来たことを話し始めた。鳴海は桐生の義理の弟で、アメリカにいたときからチームを組んでいたが、細かい作業が困難になったことを理由に病理医へ転身したのだ。鳴海は三例の術死を殺人だと考えていた。

桐生の直属の上司で臓器統御外科の黒崎誠一郎教授が立ち会う中、ケース31は行われた。手術は困難を極めたが無事に終わり、公子はホッと胸を撫で下ろした。問題は何も見つからなかったという内容の報告書を提出し、いつもの日々に戻った公子のもとへ現れたのは、厚生労働省大臣官房付・白鳥圭輔だった。高階とは古くからの付き合いだという白鳥は、一連の術死は医療事故に見せかけた殺人だと断言した。

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