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必殺仕掛人

  • posted at:2013-11-17
  • written by:砂月(すなつき)
ひっさつしかけにん
松竹(大船撮影所)
配給:松竹
製作年:1973年
公開日:1973年6月9日 併映「喜劇 男の泣きどころ」
監督:渡邊祐介
製作:織田明
原作:池波正太郎
脚本:安倍徹郎 渡邊祐介
撮影:小杉正雄
美術:森田郷平 佐藤之俊
音楽:鏑木創
録音:中村寛
調音:小尾幸魚
照明:佐久間丈彦
編集:寺田昭光
監督助手:白木慶二
装置:小島勝男
装飾:宗田八郎
進行:柴田忠
衣裳:松竹衣裳
現像:東映化学
製作主任:峰順一
主題曲:「荒野の果てに」(作曲:平尾昌晃)
タイトル協力:光潮社「絵金」より
かつら:八木かつら店
刺青:北島一男
擬斗:湯浅謙太郎
出演:田宮二郎 高橋幸治 津坂匡章 川地民夫 山村聡
アメリカンビスタ カラー 87分

ある男が口入屋・音羽屋半右衛門を訪ねた。その男は前金二十五両と引き換えに女殺しの依頼したのだった。半右衛門の裏の稼業は、仕掛人の元締だった。的が女であることから半右衛門はこの仕事を鍼医者の藤枝梅安に任せることにした。梅安は、鍼に関しては自ら日本一だと豪語するほどの腕の持ち主だが、女好きなのが玉に瑕だった。その夜、彼は助っ人の徳次郎とともに日本橋の蝋燭問屋へ忍び込み下見を始めた。天井の隙間から女の容姿を覗き見た梅安は「あんないい女を殺すのかねぇ、もったいねぇ」と思わず漏らした。その女こそ蝋燭問屋主人・辻屋文吉の後添いで今回の的であるお照だった。お照は駿府にいた音蔵という盗人の娘で、盗人の手引役として辻屋に潜り込んでいた。元々辻屋に目をつけていたのは音蔵だったが、父親が殺されたことをいいことに後妻として入り込んで身代を狙っていたのがお照だった。それがおもしろくなかったのは、今まで組んで悪事を重ねていた御座松の孫八だった。文吉はお照と連れ立って花見に出掛けた。人々がごった返す中、ひょっとこの面を被った徳次郎が酔ったふりをして騒ぎ始めると、辺りは騒然となった。梅安は気を取られているお照に近付くと背中側に回り込み、首筋に鉄針を突き刺した。そして何事もなかったようにその場を離れた。数日後、残りの二十五両を支払いに来たのは文吉だった。お照の死因が心臓の発作として片付けられ、彼は辻屋ののれんに傷がつかずに済んだと高笑いするのだった。

血の匂いを消すため、梅安は徳次郎を連れて甲州へ旅立った。温泉につかって疲れを癒す梅安に、音蔵を殺したのは自分だと徳次郎は言った。勤めのためなら女子供でも殺すという荒っぽいやり方に、腹に据えかねた徳次郎は仲間と二人で手に掛けたのだ。「何の巡り会わせか、その娘の仕掛けまでこの俺が手伝ったわけだなあ」。その言葉を聞いた梅安も自分の身の上を語り始めた。梅安が七歳のとき、鍛冶屋の父親がぽっくりと死んだ。まだ線香のにおいも消えないどしゃぶりのある日、母親は前から出来合っていた間男と、妹を連れて駆け落ちした。藤枝の家で置いてけぼりをくった梅安には握り飯ひとつが渡されただけだった。妹は一体どこで何をやっているのか。お照のような女になっていなければいいが。夜が深まった頃、梅安は徳次郎の部屋から逃げ出す孫八を目撃した。慌てて部屋に駆け込むと、彼は血の海の中に倒れていた。徳次郎は、やっぱり仕掛人は長生き出来ねぇなと言い残して死んだ。

屋台的映画館
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科学忍者隊ガッチャマン(1978年)

  • posted at:2013-11-07
  • written by:砂月(すなつき)
かがくにんじゃたいがっちゃまん
竜の子プロ
配給:松竹=富士映画
製作年:1978年
公開日:1978年7月15日
監督:鳥海永行
製作:吉田健二
企画:竜の子プロ企画室
プロデューサー:九里一平 上野捷己
原作:吉田竜夫
脚本:鳥海尽三 陶山智 鳥海永行
構成:鳥プロ
SF考証:小隅黎
総指揮:岡本喜八
音楽:すぎやまこういち
演奏:NHK交響楽団
音楽プロデューサー:木村英俊
キャラクターデザイン:吉田竜夫 九里一平 天野嘉孝
メカニックデザイン:中村光毅 大河原邦男
作画監督:宮本貞雄
美術監督:中村光毅
原画:須田正己 二宮常雄 湖川滋 高橋資祐 野部駿夫
動画:江村豊秋 南家講二 加藤茂 奥野芳久 井口忠一 杉井興治 中村孝 沢田早苗 阿部純子 
色彩設定:岡嶋国敏
特殊効果:朝沼清良
背景:明石貞一 宮本清司
トレス:村田美知子 小野静子 柴田文子
検査:石川富美子 長岡恵 深沢弓
彩色:市川あさ子 小野愛子 塩谷多満子 国武睦子 石合美登里 栗原ミヨ子 溝口弘子
撮影:平山昭夫 小西一広 橋本和典
編集:谷口肇
録音:ザックプロモーション(水本完) 4chフェニックスサウンド 東京テレビセンター 新坂スタジオ
効果:アニメサウンド(加藤昭二)
製作担当:柴田勝 永井昌嗣 小林正典
協力:読売広告社
現像:東洋現像所
声の出演:森功至 ささきいさお 杉山佳寿子 塩谷翼 兼本新吾
スタンダードサイズ カラー 110分

地球は公害やエネルギー不足、人口増加など様々な問題を抱えていた。世界の首脳たちは諸問題を解決するために国際科学技術開発機構(ISO)を設立し、国際科学技術庁本部をアメガポリスに置いて対策を打ち出した。アンダーソン長官のもとに集められた世界中の優秀な科学者たちは、地底深く掘削して地球内部にあるマントルをエネルギー源とし、その過程で得られたガスや鉱物をも利用しようとする「マントル計画」を提唱した。壮大な計画は実行に移され成果が見え始めたその矢先、国際原子力センターが怪獣メカに襲われウランが盗まれた。それは世界制服を企むギャラクターの宣戦布告だった。ISOが諜報機関を使っても一団の正体を掴めない中、南部孝三郎博士は恐るべき科学力を持つギャラクターがいずれ動き出すことを事前に調査してその日のために準備していたのだ。

ある時は五つ、ある時は一つ、実体を見せずに忍び寄る白い影、その名は科学忍者隊。バードスタイルに変身したリーダーのガッチャマンこと大鷲の健、コンドルのジョー、白鳥のジュン、つばくろの甚平、みみずくの竜の五人は最新鋭機ゴッドフェニックスでタートルキングを追いつめた。内部に入った健とジュンは進入口を開けて誰にも発見されずにゴッドフェニックスを誘導したが、それは罠だった。戦闘員たちに囲まれた五人は軽い身のこなしで銃弾を掻い潜り次々と蹴散らしたが、隊長はその隙に頭部ロケットで脱出し時限爆弾で科学忍者隊を抹殺しようとしたのだ。左翼を扉に挟まれて逃げ場を失ったゴッドフェニックス。健は最後の賭けである科学忍法火の鳥を選択した。恐るべき重圧が五人を包み、機体は唸り声をあげた。そして出力計の針がレッドゾーンに達したとき、タートルキングは大爆発を起こした。立ち上る煙の中から抜け出したゴッドフェニックスはまさに炎から生まれた火の鳥だった。火の鳥は逃げるロケットを飲み込み、南部が育て上げた科学忍者隊の最初の戦いは大勝利に終わった。その頃、ギャラクターの首領・ベルクカッツェは、ギャラクターの真の支配者で彼の生みの親である総裁Xに叱責されていた。三十年数前、遠い宇宙の彼方からペン型ロケットでやってきた総裁Xはヒマラヤの雪深い山脈に到着した。そして特殊な力を使い男女の双子の体から作り出した一人のミュータントがベルクカッツェだった。長い期間を掛けて練り上げた計画が実行可能であることをベルクカッツェが告げると、総裁Xは絶対に失敗するなと命じた。

科学忍者隊の初陣から数日後、ホントワール共和国の科学者と名乗る老紳士がISO本部の南部を訪ね、ギャラクターが進めているV2計画が既に完成し、実験を行うのみとなっていることを伝えた。V2計画とは、特殊ミサイルを爆発させることで地球を取り巻くバン・アレン帯を降下させ、放射能で人類を死滅させるというものだった。それを聞いた南部が批判をすると、老人は条件によっては止めてもいいと言った。その条件とは、世界がギャラクターとホントワールに降伏することだった。老紳士の正体は変装したベルクカッツェで、彼は一週間待つかわりに降伏か計画の実行か選択せよと言い残して姿を消した。ホントワールは警戒厳重な軍事国家でギャラクターとは密接な関係を築いていた。南部の命を受けたレッド・インパルス隊長は、部隊と健を率いてホントワールに潜入した。

屋台的映画館

恐怖のヤッちゃん

  • posted at:2013-10-26
  • written by:砂月(すなつき)
きょうふのやっちゃん
東映
配給:東映洋画
製作年:1987年
公開日:1987年7月4日 併映「新宿純愛物語」
監督:金子修介
企画:佐藤雅夫
プロデューサー:豊島泉 厨子稔雄
原作:「恐怖のヤッちゃん」
脚本:一色伸幸
音楽:梅林茂
主題歌:恐怖のヤッちゃん~愛と抗争の日々」土田由美withヤッちゃんズ
挿入歌:「夢で出会った少年」渡辺典子
挿入歌:「仕返しロングシュート」渡辺典子
撮影:北坂清
美術:佐藤義和
照明:安藤清人
録音:芝氏章
整音:伊藤宏一
編集:玉木濬夫
助監督:比嘉一郎
記録:中野保子
進行主任:宇治本進
企画協力:ニッポン放送 アミューズ・シネマ・シティ
製作協力:サンダンス・カンパニー
出演:山本陽一 松田洋治 南渕一輝 土田由美 三宅裕司
アメリカンビスタ カラー 90分

日本中にはびこるヤッちゃん。ちょっと気の弱い高校生の井上鉄はそのヤッちゃんに苦い思いをさせられた。ある金曜日の夜、燃えないゴミの日に古新聞の束を出そうとする男を注意をしたのが運の尽きだった。その男はパンチパーマ、刺青、首から下げたお守り、そして左手には小指がないという正真正銘のヤッちゃんだった。「やっぱり燃えるか?」。新聞を突きつけられ怖気づいた鉄は思わず、最近は新聞って燃えないんですよと答えてしまった。それを聞いたヤッちゃんは鉄に新聞の束を背負わせると火をつけたのだ。その出来事がきっかけで彼は家族とともに桜町へ引っ越したのだった。

バカはいるけどヤッちゃんはいない平和な千葉県桜町に謎のぬいぐるみ劇団がやってきた。彼らの正体は羊の皮を被った狼ならぬぬいぐるみに身を隠した陣内組だった。桜町のコミュニティーセンターが管理費だけで入居出来ることを聞きつけた陣内組は劇団沈丁花を装って申し込み、面接にまでこぎつけたのだ。ぬいぐるみ演劇で子供たちの上層教育の役に立ちたいという殺し文句に心を動かされたセンター長は、文化団体であれば問題ないだろうと結論づけ入居を許可した。その頃、鉄は偶然通り掛った駅の近くでヤッちゃんたちが話す陰謀を聞いてしまった。驚いた彼はセンターに通報しに行こうとしたのだが、その途中で美少女に呼び止められ心を奪われた。そして桜町高校は何処かと聞かれると通報のことなどすっかり忘れて高校まで送り届けたのだった。その頃、契約を終えた幹部が広場に向けて大きく丸印のサインを送ると辺りは一変した。ぬいぐるみから出てきたのは、体中に彫り物をこさえた強面ばかりで、街はパニックに陥ったのだ。そこに到着した鉄はあまりの恐ろしさに腰を抜かしてしまった。

ヤッちゃんたちの巧妙な手口に次々と騙される住民たち。それは鉄や友人も例外ではなかった。鉄は1万円のヒヨコを買わされ、田中春樹はパンチパーマ、小山明夫は1パック4800円のたこ焼きを買わされたのだった。翌日、学校で愚痴りながらそのたこ焼きを食べた三人は、廊下で鉄が学校まで案内したあの美少女と出会った。会議室から出て来た担任の服部さち子が転校生の陣内くるみだと紹介すると、鉄は同じクラスになったことで心をときめかせた。放課後、くるみと親しげに話す鉄の姿に明夫と春樹は嫉妬したが、さち子の話に青ざめた。くるみは陣内組組長の娘なのだ。さち子は鉄の小指を守ってあげてと懇願したが、意地の悪い二人は逆にくっつけてやろうと企んだ。

屋台的映画館

金環蝕

  • posted at:2013-10-15
  • written by:砂月(すなつき)
きんかんしょく
大映映画
配給:東宝
製作年:1975年
公開日:1975年9月6日
監督:山本薩夫
製作:徳間康快 伊藤武郎
企画:武田敦
原作:石川達三
脚本:田坂啓
音楽:佐藤勝
撮影:小林節雄
美術:間野重雄 今井高司
録音:信岡長治
照明:渡辺長治
編集:鍋島惇
助監督:後藤俊夫
製作主任:遠藤雅也
配役担当:宮古とく子
アシスタントプロデューサー:高橋正名
出演:仲代達矢 宇野重吉 三国連太郎 西村晃 高橋悦史
スタンダード カラー 155分

昭和三十九年五月十二日、第十四回民政党臨時大会において総裁選挙が行われた。党内最大の派閥を背景にした酒井和明と現総理大臣の寺田政臣との一騎打ちとなったこの選挙は、党を二分した。開票の結果、総数487票のうち248票を集めた寺田が辛勝し再選を果たしたが、記者たちの間では寺田が17億円、酒井が20億円を使ったという噂が流れていた。二十九日に内閣の一部を改造した第三次寺田内閣は三十日に宮中で認証式を終えた。副総理として入閣したのは、寺田の総裁当選に決定的な力となった広野大悟だった。数日後、星野康雄官房長官の秘書・西尾貞一郎が石原商事を訪れた。金融王と呼ばれる社長の石原参吉に返済期限を一年として極秘裏に二億円を用立てて欲しいと願い出たのだった。石原は利息や担保など具体的な話をしようとしたが、西尾は詳細な条件を知らされておらず、答えることが出来なかったため断わった。その日の朝刊には官房長官就任のニュースが一面で扱われており、仮に金を貸したとしてもそれがまともに使われるはずがないと石原は考えていた。彼は社員の荒井と脇田を呼ぶと星野の身辺調査を命じた。石原は荒井たちだけでなく、料亭・春友で下足番を務める小坂老人にも調査を頼み、得られた情報は石原の妾である赤坂芸者の荻乃を通じて受け取ることになっていた。二つの情報を照らし合わせた結果、日時と場所は離れているが、いずれも電力開発株式会社と青山組の幹部が同席していることがわかった。「福竜川ダムか」と石原は呟いた。

電力開発は、北海道から九州の主な川筋に巨大なダムと発電所を建設し、そこで作られたエネルギーを民間会社に売ることによって成り立っている。この資本の95%は政府の出資で、年間400億円の補助金が通産省の予算から支出されている。この国民の血税で成り立っている電力開発総裁の椅子を財部賢三は九月の任期満了を以って明け渡すつもりでいた。その最後の仕事として、懸案となっている九州・福竜川ダムの問題を片付けておこうと考えていた財部は、お膳立てを自分の手でやりたいと役員会で熱く語った。だが資料や見積書など関係する書類が一切用意されておらず、残り三ヶ月の任期ではとても無理だと理事たちから批判された。そんな中、副総裁の若松圭吉は無理であろうとなかろうと総裁はこの事業を悲願として我々に協力を求めているのだから案を業者に提示すべきだと言った。指名願の出ている業者は11社でその中から5社を指名するが、財部は計画通り頼むと担当の中村理事に言った。

石原邸に集まった荒井と脇田は、星野官房長官が二日前の晩に行われた中沢証券主催の赤坂の料亭での宴会に出たあと、ハイヤーで葉山にある別荘に真っ直ぐ乗りつけたという情報を公開した。星野が別荘を手に入れたのが前年の暮れ。時価4000万円と評価されるその別荘の名義は山瀬ミツという66歳の女だった。脇田が横須賀の法務局で調べたところ、昨年までの持ち主は日東電工の原本社長で贈与税はミツの名前で納められていた。日東電工の親会社は竹田建設であることから、石原はミツと星野との関係と星野が誰と会うために別荘へ行ったかを調べるように命じた。「きっと何か出てくるぞ」。石原はにやりとわらった。

屋台的映画館

闇を横切れ

  • posted at:2013-10-03
  • written by:砂月(すなつき)
やみをよこぎれ
大映(東京撮影所)
配給:大映
製作年:1959年
公開日:1959年12月1日
監督:増村保造
製作:武田一義
企画:藤井浩明
脚本:菊島隆三 増村保造
音楽:池野成
撮影:村井博
録音:渡辺利一
照明:泉正蔵
美術:渡辺竹三郎
色彩技術:渡辺徹
装置:大塚武雄
音響効果:小倉信義
編集:中静達治
助監督:井上芳夫
製作主任:川本武男
現像:東京現像所
出演:川口浩 叶順子 山村總 高松英郎 三宅川和子
シネマスコープ カラー 102分

玄海市では現市長で保守党候補の首藤真五郎と革新党の新人候補の落合正英による市長選挙が1週間後に迫っていた。その夜、ワシントンホテルの一室で女の絞殺死体が発見されたが、その側に泥酔して倒れていたのは選挙に出馬している落合だった。連行され取り調べを受けた落合は、ストリッパーのアキコから選挙に有利な情報があると持ち掛けられたが、人目につくと殺されるという彼女の意見を尊重してホテルで会ったと供述した。アキコから話を聞き出す前に誰かに殴られたという証言を聞いた担当の生田刑事は、それが本当なら顔や右手の甲についたみみず腫れとアキコの爪から出て来た皮膚の説明がつかないと追及した。すると落合は何も覚えていないと言った。生田は落合が過去に起こした酒が絡む不祥事を持ち出して酒乱の傾向があることを指摘し、係官に酔いが醒めたあと何も覚えていないと伝えたことを確認した。落合は認めたが、その日はウイスキーを2杯しか飲んでいないと弁解した。だが彼の体からは何故か多量のアルコール分が検出されていた。

ワシントンホテルでの騒動が一段落し交番に戻ってきた片山巡査は一服しようとしたが、タバコの箱は空だった。そのとき、脇からタバコを差し出したのは、西部新聞社会部の若手記者・石塚邦夫だった。石塚は疑問に思っていたことを片山に次々と浴びせた。3ヵ月後に定年を迎える片山巡査は、40代の会社社長と20代の女事務員が駆け落ちして心中する恐れがあるという通報を受け、二人が宿泊しそうなホテルを見回っていた。片山がワシントンホテルに立ち寄ったところ、2階の12号室に同じ年頃の客が休憩していることがわかった。女中が声を掛けに行ったがいつまで経っても帰って来ないため、痺れを切らした片山は直接会いに行くことにした。階段の途中ですれ違った顔に傷のある男にタバコの火を貸し、再び階段を上ろうとしたとき女中が慌てて駆けて来て部屋の方を指差した。「死んでます」。彼女はいくら呼んでも返事がなかったことからドアを合い鍵で開けたところ、ベッドに二人が横たわっていたのだ。片山は急いで部屋に入り検分した。

石塚は、話の中に不審な人物が一人しか出てこないことから、顔に傷のあるその男が殺し屋であると確信した。そして社に戻ると編集局長の高沢渉に掛け合い、男の調査の許可を得たのだった。高沢は石塚が最も尊敬し目標とする人物で、仲間を鼓舞し真実第一で紙面を作り上げる人柄に惚れ込んでいた。西部新聞を地方の一流紙に仕立て上げたのは一重に彼の功績だった。一方、高沢もバイタリティーに富む石塚の姿に若き日の自分を重ね合わせていた。翌日、玄海警察署を訪れた石塚は、顔に傷のある男の身元は割れたのかと生田に尋ねた。だがあの後もう一度片山から電話が掛かり、あれは見間違いだったと訂正したと言うのだ。本人に確認するため交番へ行ったが片山はおらず、代わりに来ていた別の巡査から休暇中だと知らされた。納得行かない石塚が片山の家を訪ねると、病弱な彼の妻はマッサージ師に体を揉んでもらっていた。片山が行き当たりばったりの旅行に朝早く出掛けたと聞き、機転を利かせた石塚は新聞の新しい特集にご主人が選ばれたから写真が欲しいと伝えると、妻は喜んで奥に取りに行った。その隙に大事なものが隠してあると思われる枕を持ち上げると電報が見つかった。一通り目を通して記事のネタになると考えた石塚は、もう用はないと姿を消した。

屋台的映画館

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