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鋼鉄の巨人 スーパージャイアンツ

  • posted at:2005-04-03
  • written by:砂月(すなつき)
すーぱーじゃいあんつ
新東宝
配給:新東宝
製作年:1957年
公開日:1957年7月30日 併映「白蝋城の妖鬼」
監督:石井輝男
製作:大蔵貢
原案:根岸伸介
脚本:宮川一郎
企画:笠根壮介
撮影:渡邊孝
音楽:渡邊宙明
美術:加藤雅俊
録音:澤田一郎
照明:傍士延雄
助監督:三輪彰
編集:鹿島秀男
特殊技術:新東宝特殊技術
製作主任:川口倫二
出演:宇津井健 池内淳子 中山昭二 高田稔 岩下亮
スタンダード モノクロ 49分

地球上では度重なる原水爆の実験が行われ、全世界の人々は核の放射能による恐怖に震えていた。だが放射能の被害は地球上に止まらず、他の星に住む人々にも影響を与えていた。星世界では、地球から発生する放射能の影響で多数の病人が発生する事態に陥っていたことから、各星の代表者はエメラルド彗星に集まり宇宙人会議を開いて話し合うことになった。長い討議の結果、エメラルド彗星から一人の代表が地球へ原水爆実験の停止を訴えに行くことになり、その使者には地球計という発明品が与えられた。腕時計型をしたその地球計には様々な機能があり、右横についているボタンを押すと自由に空を飛ぶことが出来た。そして左横のボタンにはガイガー計数機のような役目を果たした。使者に選ばれたのは、このエメラルド彗星で最も優秀なスーパージャイアンツだった。スーパージャイアンツは弾丸を跳ね返す鋼鉄の体の持ち主で、決意を胸に秘めた彼は、地球へ向けて飛び立った。

スーパージャイアンツの地球計が異変を感知したのは、まさに地球に到着した直後だった。嵐の中を飛ぶ旅客機は操縦不能に陥り、無電も故障していたため空港へ着陸することすら困難になっていた。そこに現れたスーパージャイアンツは尾翼に降り立つと動かなくなった方向陀を調整したことで旅客機は機能を取り戻し、雷雲から抜け出すことに成功した。機内から漏れる歓声を聞いた彼は安堵したが、再び地球計のアラームがなったことで気を引き締めた。

旅客機が空港に着陸し乗客がタラップから乗客が降り始めると、背広姿に変身し一足先に地上に降りていたスーパージャイアンツはソフト帽の男を尾行した。男=M6が仲間が用意した車の後部座席に乗り込むと、スーパージャイアンツは反対のドアからすかさず乗り込んだのだった。拳銃を突きつけたものの厳重な警備が敷かれたこの場所で撃てば警官に簡単に捕まってしまう。M6は仕方なく運転手=M5に車を出せと命じた。スーパージャイアンツが鞄の引き渡しを要求すると、M6はいくら金が欲しいのかと言った。その鞄にはX14ウラニウムが入っており、それが組織に渡れば世界の破滅は疎か他の惑星まで影響が及んでしまうのだ。スーパージャイアンツは自分が地球と星世界の平和を守るためにやってきた使者であることを説明すると、M5は車を人気のない空き地に乗り入れた。そして二人はスーパージャイアンツの体に銃弾を浴びせたのだった。

屋台的映画館
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海から来た流れ者

  • posted at:2005-03-29
  • written by:砂月(すなつき)
うみからきたながれもの
日活
配給:日活
製作年:1960年
公開日:1960年2月28日
監督:山崎徳次郎
原作:原健三郎
脚本:山崎巌 大川久男
企画:児井英生
撮影:姫田真佐久
音楽:大森盛太郎
主題歌:「ダンチョネ節」小林旭
挿入歌:「ピンクレディー」西田佐智子
美術:中村公彦
編集:鈴木晄
録音:沼倉範夫
照明:岩木保夫
助監督:中島義次
色彩計測:佐藤重明
現像:東洋現像所
製作主任:林本博佳
協賛:東海汽船株式会社
技斗:高瀬将敏
出演:小林旭 葉山良二 川地民夫 浅丘ルリ子 筑波久子
シネマスコープ カラー 84分

東京で商談を済ませた藤田建設の社員・三浦修は、大島へ向かう連絡船のデッキでギターを爪弾いていた。藤田建設は大島で温泉開発のための掘削事業を行っていたが、社長の藤田徳太郎が作業を円滑に進めるために機械を導入することに決めたことで修が買い付けに行くことになったのだ。「3の弦が少し高いようだぜ」。そう言って近づいてきた男は修のギターを取り上げると鮮やかな早弾きを披露した。男の腕に惚れ込んだ修が島へ行く理由を尋ねると、彼はこう答えた。「ただ、何となくってやつさ」。

徳太郎は資産家の神戸昭三から多額の借金をしていたが、彼はそれを口実にして温泉が出る見通しがついた土地を乗っ取ろうとしていた。藤田建設に関わる人たちは神戸一味から度々嫌がらせを受け、工事現場ではゴロツキが作業を妨害した。事務所を破壊されたことに激怒し神戸が経営するキャバレーに殴り込んだ修だったが一人では敵うはずがなかった。そこに現れたのは連絡船で彼にギターを教えた野村浩次だった。一触即発の騒ぎとなったが、そこに横槍を入れたのは用心棒の前岡達也だった。スペードのエースのカードを投げ渡した達也は、俺の前でデカい口を叩くとその占いのようにろくなことがないぞと脅した。すると浩次は、俺は自分の占いだけしか信用しない性質だと言い返した。拳で片を付けようとする達也を止めた神戸は謝罪したが、浩次が修を連れて店を出ると後をつけるように言った。

以前会ったときに「島の発展に役立つことならいつでも相談に乗る」と発言した津久田興行の社長・津久田恭平のことを思い出した徳太郎の娘・礼子は、徳太郎に内緒で会いに行くことにした。礼子は事業資金として5千万円を貸して欲しいと率直に言った。1年前に島へ渡ってきてキャバレーを開いた神戸に徳次郎は2500万円の借金をしていたが、その返済期限が2週間後に迫っていた。父親が島の発展を考えてこの仕事に従事していることを伝えると、津久田は事業家の目で仕事場を見た上で判断すると約束した。

東京から帰ってきた礼子は、嫌がらせを受けた修が浩次に助けられたことを知りお礼を言った。のんびりとしていられないという彼のジャケットに破れを見つけた礼子は繕うのでお脱ぎになってと言った。彼女がミシンの前に座るとポケットからシガレットケースが転がり落ちた。それは礼子が兄・五郎にプレゼントしたものと同じ柄だった。五郎は2年前に島を飛び出して以来、消息がつかめなくなっていたことから、浩次が何か知っているのではないかと考えた。

屋台的映画館

女競輪王

  • posted at:2005-03-24
  • written by:砂月(すなつき)
おんなけいりんおう
新東宝
配給:新東宝
製作年:1956年
公開日:1956年11月21日
監督:小森白
製作:島村達芳
原作:竹森一男
脚本:杉本彰
撮影:鈴木博
音楽:飯田信夫
美術:加藤雅俊
照明:関川次郎
録音:村山絢二
編集:後藤敏男
助監督:土屋啓之助
製作主任:永野裕司
協賛:自転車振興会連合会 東京都自転車振興会 東京競輪選手会 立川競輪場 後楽園競輪場
出演:前田通子 江畑絢子 遠山幸子 沼田曜一 阿部寿美子
スタンダード モノクロ 88分

魚屋「魚誠」の長女・椎野美樹は銀行に勤める五十嵐健一の許嫁だったが、ある日健一に結婚を待って欲しいと言った。父親がいない美樹の家は生活が苦しく、弟が中学校を卒業するまで自分が面倒を見るつもりでいた。そのためには資金が必要だったが、美樹は悲観していなかった。彼女は毎朝、自転車で魚市場と店の間を往復していたこともあり、体力では人に負けない自信があった。そこで自慢の脚力を生かし、競輪選手となって資金を稼ごうと考えていたのだ。しかしその夢を叶えるには自転車などを購入する費用の15万円が必要だった。美樹は健一の父・源造に借金を願い出、源造は渋々ながらも了承した。美樹は知らなかったが、源造が経営する五十嵐農園の資金繰りは悪化していた。

母親や周囲の人たちの心配をよそに、美樹は日本競輪学校に入学した。美樹たちは毎日猛特訓の日々を送っていたが、教務課の計らいで生のレースを観戦する機会を得た。そのレースで憧れの渋井三枝子選手が優勝し、美樹は日本一になる気持ちを一層高めた。卒業の日、美樹は仲良しの小西好子、原慧子といつか何処かの競輪場で対決することを約束して別れた。そしてその足で三枝子の家に押しかけ、弟子にして欲しいと頼み込んだのだ。だが三枝子は教えることはないと言ってその申し出を断わった。常にトップの座であり続けたい彼女にとって美樹の存在は脅威だった。美樹の素質を見抜いていた三枝子は、人に頼らずに自分で考え練習するだけだとアドバイスした。

美樹の最初のレースは大津びわこ競輪場に決まった。列車の中で再会した好子と慧子とともに開催地の旅館・青葉荘に泊まった美樹は「河野の姉さん」に呼び出された。河野の姉さんこと河野菊は古参の競輪選手だった。

屋台的映画館

OUT

  • posted at:2005-03-18
  • written by:砂月(すなつき)
あうと
OUT製作委員会(ムービーテレビジョン=テレビ東京メディアネット=衛星劇場=毎日放送=エムズ・シンジケーション)
配給:20世紀フォックス(極東)映画会社
製作年:2002年
公開日:2002年10月19日
監督:平山秀幸
製作:古澤利夫 木村典代
製作総指揮:諸橋健一
プロデューサー:中條秀勝 藤田義則 福島聡司
原作:桐野夏生
脚本:鄭義信
撮影:柴崎幸三
照明:上田なりゆき
美術:中澤克巳
録音:田中靖志
編集:川島章正
音楽:安川午朗
企画:サンダンス・カンパニー
出演:原田美枝子 倍賞美津子 室井滋 西田尚美 香川照之
アメリカンビスタ カラー 119分

東京郊外にある弁当工場では、パート労働者が明け方まで流れ作業を続けていた。その中の香取雅子(42歳)、吾妻ヨシエ(51歳)、城之内邦子(40歳)、山本弥生(30歳)の4人は家庭にそれぞれの事情を抱えていた。失業した夫と身勝手な息子を抱えた雅子。ヨシエは寝たきりの姑の介護。邦子は衝動買いでカード破産。そして身重の弥生はギャンブル狂の亭主から暴力を受けていた。深夜の弁当工場は、彼女たちがいつもの生活から一時的に解放される場所だった。

早朝、いつものようにギャンブルで大金を巻き上げられて帰ってきた弥生の夫の健司は、疲れて眠り込んだ彼女に対しいつものように鬱憤を暴行と言う形で晴らした。一旦落ち着いたものの弥生が思わず死んじゃえと漏らしたことが健司の逆鱗に触れた。そして暴力はエスカレートして行き、彼女の腹を蹴るとガキはいらねえからなと言った。自分だけならず子供への命の危険を感じた弥生は、健司が脱ぎ散らかしたズボンからベルトを抜き取るとソファーで寝込んだ夫の後ろに回り込んで首を絞めた。もがき苦しむ健司。だが全体重を掛ける弥生の力には勝てずあっけなく事切れた。我に返った彼女はことの重大さに気付き蘇生を試みるが後の祭りだった。動揺する彼女は雅子に電話を掛けたが、夫を殺したと言ってもいつもの愚痴だと思い込んで信用しなかった。

冗談にしては度が過ぎると思った雅子は弥生の家を訪ねたが、本当に健司がソファーで動かなくなっていたことで呆然とした。雅子はちょっと懲らしめてやるだけで悪気はなかったという弥生を警察に連れて行こうと説得したが、泣きじゃくるだけで埒が明かなかった。すると突然弥生はいいことを思いついたと言った。健司は何もかも嫌になり家族を捨てて蒸発した、と。雅子は何を言い出したのか理解出来なかったが、死体を何処かへ隠すという真意がわかると断った。自分が事件に巻き込まれるのは嫌だったからだ。だが彼女のお腹にいる子供のことを考えると無下にも出来ず、結局シートに包んだ健司を自分の車のトランクに積むことにした。何事もなかったように振る舞うために雅子はいつも通りに出勤したが弥生は来なかった。慌てて電話をすると、弥生は疲れが出たので休むと言う。夜食の後そのまま寝るという呑気な彼女に死体はどうするのよと声を荒げた。翌朝に一緒に捨てる約束をしていたからだ。ところがあきれ返る返事に血が沸騰した。「雅子さんに任せちゃダメですか?」。自分が嵌められたことに気付いた雅子は仕事が終わると誰もいない自宅へ戻ると風呂場に寝そべった。そして次に職場のリーダーであるヨシエの家へ行き、事の成り行きと今後の計画を打ち明けた。日本の警察を舐めちゃいけないよとヨシエは反対したが、雅子からしている借金の話を持ち出されると断ることが出来なかった。

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盲獣

  • posted at:2005-03-14
  • written by:砂月(すなつき)
もうじゅう
大映(東京撮影所)
配給:大映
製作年:1969年
公開日:1969年1月25日 併映「秘録おんな寺」
監督:増村保造
企画:仲野和正
原作:江戸川乱歩
脚本:白坂依志夫
撮影:小林節雄
音楽:林光
録音:須田武雄
照明:渡辺長治
美術:間野重雄
編集:中静達治
助監督:佐々木行夫
製作主任:薮本和男
写真提供:ノーベル書房
現像:東京現像所
出演:船越英二 緑魔子 千石規子
アメリカンビスタ カラー 84分

無名のファッションモデル・島アキは、野心的な写真家・山名の芸術的な意欲に共鳴し進んで仕事を受けた。その写真の個展はかなりの評判を呼んだ。ある朝、山名と次の仕事を打ち合わせるために個展の会場へ足を運んだアキは、そこで奇妙な光景を目撃した。時間が早かったため客はたった一人しかいなかったが、男は壁の写真など見向きもせず、会場の中央に飾った彫刻を両手で撫で回していたのだった。その彫刻は山名の友人がアキをモデルにして作ったものだったが、彼女はまるで自分の体を触られているような感覚に陥った。背筋の凍る思いをしたアキは急いで会場から逃げ出したのだった。数日後、早朝からの仕事でくたくたになったアキは、部屋にマッサージ師を呼んだ。だが来たのはいつもとは違う男だった。アキのことを良く知るその男が彼女の体を揉み始めると、あのときの感覚が甦ってきた。その指は確か、あの彫刻を撫でていた指とそっくりだった。石膏の肌では満足出来ないで生身の体を探りに来たのか、そう思うともうだめだった。アキは金を支払って早く追い返そうとしてバッグの中をかき回した。それを察した男はポケットからビニール袋を取り出し、クロロホルムを染み込ませたガーゼを彼女の顔に押し当てたのだった。アキは抵抗を続けたが、しだいに意識が遠退いていった。

アキは闇の中で目覚めたが、辺りを見回しても何も見えなかった。困惑していると、やっと気が付きましたねと言う声が室内に響いた。男がライトで照らすと部屋の全貌が明らかになった。そこは彼が彫刻のアトリエとして使っている倉庫で、壁には目や口など人間のパーツの造形物が一面に並んでいたのだ。生まれつき目が見えない蘇父道夫は、世の中に溢れる素晴らしいものを想像することしか出来ない自分に憤り、両親を恨んだ。だがいくら恨んでもどうにもならないことに気付いた道夫は、音、匂い、味、触覚の中から楽しみを得ようとした。音は吹きすぎる風のようで物足りず、犬のように鋭くない匂いも駄目だった。食べ物はむやみに腹が膨れるばかり。そう考えると触覚だけが残されたたった一つの楽しみだとわかった。それ以来、彼は手に触れるものを手当たり次第に撫でた。温かくてやわらかい、生きものの手触りが一番楽しかったが、犬も猫も女の体には遠く及ばなかった。マッサージ師になったのは金のためではなく、女の客の体に触りたかったからだった。その頃、死んだ父親が遺した畑が高速道路に引っ掛かり、莫大な資金を得た。それを使って倉庫を手に入れ彫刻を始めたのだった。過去に触った女の体から気に入った部分を選び出して彫刻にした。いつでも撫でて楽しめるように。アトリエを作るのに6年掛かったが、完成した時はうれしくて毎日閉じ篭っていた。だがこのアトリエで満足出来なくなった頃、アキの噂を聞いた。個展に出掛けて自分の手で調べ、彼女が頼むマッサージ屋に入って本当の体に触ったが、評判通りだった。まともに頼んでも来てくれる筈がないと考えた道夫は、母・しのの協力を得てアキを誘拐したのだった。盲目でなければわからない触角の芸術を作りたいと道夫は意気込みを語ったが、アキは頑なに拒んだ。

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