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吸血髑髏船

  • posted at:2005-10-26
  • written by:砂月(すなつき)
きゅうけつどくろせん
松竹
配給:松竹
製作年:1968年
公開日:1968年11月9日 併映「昆虫大戦争」
監督:松野宏軌
製作:猪股尭
脚本:下飯坂菊馬 小林久三
撮影:加藤正幸
音楽:西山登
美術:森田郷平
照明:佐久間丈彦
録音:小林英男
調音:佐藤広文
編集:太田和夫
撮影助手:赤松隆司
調音助手:立仙雅己
進行:池田義徳
現像:東洋現像所
製作主任:川邊一外
協力:日本特撮映画株式会社 川上景司 福田太郎
出演:松岡きっこ 入川保則 西村晃 岡田眞澄 金子信雄
シネマスコープ モノクロ 80分

太平洋を航海中の龍王丸が、首謀者の田沼と船員の末次、辻、小野、江尻に乗っ取られた。彼らの目的は、積荷として乗せられた時価数億円の金塊だった。船長や船員、乗客たちは足を鎖で繋がれ一ヶ所に集められた。その中には新婚旅行を兼ねて乗船していた船医の西里も含まれていた。船長は説得を試みるが、田沼たちは耳を貸そうとはしなかった。銃撃された船長を介抱していた西里の目に飛び込んできたのは部屋に匿っていたはずの妻・依子の姿だった。事態を重く見た依子は犯行グループの中に飛び込み、やめてと涙ながらに訴えたのだ。ところが依子は江尻から銃を突きつけられると暴行を受けた。西里は隙を見て小野から銃を奪おうとしたが、抵抗も空しく銃弾に倒れた。依子は夫を助けて欲しいと田沼にすがりついたが、銃撃され絶命した。そして乗員たちもみな自動小銃で掃射された。

事件から三年後、依子の双子の妹・冴子は湘南の教会で神父・明石の助手をしていた。冴子は明石から休暇を貰い、恋人の望月とモーターボートで沖に出かけた。ダイビングを楽しむ二人だったが、突如現れた光景に固唾を呑んだ。足を鎖でつながれた無数の骸骨が海中に揺らめいていたのだ。驚いた冴子たちは急いでボートに戻った。冴子と依子は、小さい頃からうれしいこと、悲しいことなどお互いの思いが不思議なくらいよくわかった。横浜港を出航した龍王丸は台風で沈没したが、あの骸骨を見てから冴子にその思いが再び甦ってきたのだ。冴子はまだ姉が生きているような気がしてならなかった。汽笛が鳴り冴子が窓の外に目を向けると、霧に包まれた海上には一隻の貨物船が漂っていた。船へ行くのよと叫び何かに取り憑かれたように船着場へ走って行く冴子を心配した望月は、彼女が操縦するモーターボートに飛び乗った。ボートは船名が見えるところまで近づいたが、高波を受け転覆してしまった。貨物船には龍王丸と書かれていた。

梯子を使って導かれるように船内に入った冴子は、船長室に辿りついた。そこには航海日誌があり、謀叛に至るまでの不穏な出来事が事細かに記されていた。冴子がそれに目を通していたとき女のすすり泣く声が聞こえ、彼女は声のする方へ歩いて行った。ドアを開けろうそくの明かりで部屋を照らすと、そこには冷たい表情で立つ依子がいた。

屋台的映画館
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死びとの恋わずらい

  • posted at:2005-10-22
  • written by:砂月(すなつき)
しびとのこいわずらい
松下エージェンシー映像製作部=アートポート=テレビ東京メディアネット
配給:アートポート=アースライズ
製作年:2001年
公開日:2001年3月24日
監督:渋谷和行
製作:松下順一 柳沢隆行
プロデューサー:米山紳 伊藤直克
原作:伊藤潤二
脚本:友松直之
企画:加藤東司 並木俊治
撮影:喜久村徳章
音楽:遠藤浩二
エンディングテーマ:「海のしずく ~ALL of me~」Adya
美術:丸尾知行
録音:湯脇房雄
照明:才木勝
編集:菊池純一
効果:柴崎憲治 北田雅也
スクリプター:高橋たつ子
助監督:小貫英樹
製作担当:堀井健一
出演:後藤理沙 松田龍平 秋吉久美子 三輪明日美 三輪ひとみ
アメリカンビスタ カラー 95分

墓地の裏手にあるケヤキの木のそばのお堂。そこはみんなが辻占をするときに使う場所だった。お堂の脇に立ち初めて通り掛かった人に占ってもらった。私の恋は実るでしょうか、と。夕方にその場所に立っていると、辺りが薄暗くなり始めた頃に黒い服の男が近づいてきた。恐怖が彼女を襲い、うなされるといつものように目を覚ました。高校生2年生の深田みどりは子供の頃から何度も同じ夢を見ていた。

幼いころに住んでいた街に母・和子と戻ってきたみどりは新しい学校に通うことになったが、登校途中にある光景を目撃して足が止まった。それは夢で見たケヤキの木のそばにあるお堂だった。一瞬夢のことが頭をよぎり、全身から力が抜けたみどりはその場に座り込んだ。すると偶然居合わせた田中鈴枝が気遣って話し掛けてきたのだ。二人が同じクラスになることがわかるとみどりはこの道を通らずに学校へ行く手段はないかと尋ねた。その場合は遠回りになり確実に遅刻することになるが、鈴枝は彼女の気持ちを汲んでつき合うことにした。

授業が終わり昼休みに入ると、みどりは教室を出て行った男子生徒を追い掛けた。何故なら幼い時に一緒に遊んだ柴山龍介ではないかと思ったからだ。屋上にいる彼に声を掛けると龍介は微笑み、君がこの街に帰ってくるのをずっと待ってたんだよと言った。

クラスの女子の間では恋占いが流行っていた。鈴木珠代は同じクラスの手島光太郎に片思いをしていたが、友人にタロット占いをしてもらったところ成就しないと言われた。異端者によって妨害されるという結果に、それがみどりではないかと考えた珠代は嫉妬心を燃やした。鈴枝は席が隣ということもあって光太郎とよく話すが、彼女はそれを恋愛だと思っていた。だが光太郎にとっては友達でしかなく、心は一目惚れしたみどりの方に向いていた。

学校が終わると鈴枝の家にクラスメイトが集まったが、遅くなると母が心配すると言ってみどりは先に帰ろうとした。すると帰る方向が同じだからと光太郎も一緒に帰ることにした。その様子に嫉妬した珠代は、辻占を行うと二人がいなくなってから仲間たちに打ち明けた。変な人にいい加減なことを言われたらどうするのよと友人は止めたが、鈴枝は由緒ある占いだからそれもいいんじゃないと言った。彼女がお堂の謂れを話すと珠代は怖くなり決心が鈍った。

翌朝、また辻占の夢にうなされて起きたみどりは、昨夜遅くに体調を崩した和子を心配して家の中を捜した。すると何かに取り憑かれたように風呂場の壁に出来たカビを落とそうとしていた。

屋台的映画館

大忍術映画 ワタリ

  • posted at:2005-10-14
  • written by:砂月(すなつき)
だいにんじゅつえいがわたり
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1966年
公開日:1966年7月21日 併映「サイボーグ009」「なかよし合奏団」
監督:船床定男
制作:大川博
企画:岡田茂 秋元隆夫 新海竹介
原作:白土三平
脚本:伊上勝 西村俊一
撮影:国定玖仁男
照明:長谷川武夫
録音:荒川輝彦
美術:矢田精治
音楽:小川寛興
合成:松本春吉
編集:神田忠男
助監督:本田達男
記録:矢部はつ子
装置:矢守好弘
装飾:笠井伴夫
美粧:堤野正道
結髪:橋本明子
衣裳:三上剛
擬斗:谷明憲
舞踊指導:長宗我部はま子
進行主任:中川卓磨
特殊撮影班・撮影:赤塚滋
特殊撮影班・照明:若木得二
特殊撮影班・録音:中川茂二
特殊撮影班・美術:石原昭
特殊撮影班・助監督:清水彰
特殊撮影班・記録:勝原繁子
特撮監督:倉田準二
協力:東映動画 森康二 菊池貞雄 羽根章悦
現像:東映化学工業
主題歌:「ワタリ」佐々木新一
・・・:「ワタリまーち」佐々木新一
出演:金子吉延 本間千代子 村井国夫 牧冬吉 天津敏
シネマスコープ カラー 82分

時は天正年間。忍者の国伊賀の里では百地三太夫を頭とする百地党と藤林長門を首領とする藤林組が多数の下忍を従えて勢力を争っていた。忍者界には身分制度があり、下忍たちは捨て駒として命が軽視されていた。ただ命ぜられるままに働き、目的のためなら己の顔さえ切り刻んで死ぬ。それが「死の掟」だった。

百地党では三太夫の言いつけにより雲組の下忍カンネが仲間たちによって殺された。それは彼が掟を破ったためだが、理由を知る者は誰もいなかった。大頭である音羽の城戸でさえ理由は知らず、だが何か掟の秘密を知ったのであれば記した物を残したのではないかと考えた。そこで彼はカンパチたちに自分が味方であることを示し掟の秘密を探るよう命じた。すると何処からともなく笛の音が聞こえ、その方へ歩みを進めたカンパチは大きな石の上で篠笛を吹く少年の姿を見つけた。彼は病気の爺を助けてもらうために三太夫の下忍になったワタリだった。少年が自分たちを密かに見張っているのではないかと考えたカンパチは始末しようと企んだが、ワタリは変身の術で巧みにかわして姿を消した。

爺の薬草を探しに出掛けたワタリは多々良山にある二面地蔵付近で四つ葉のカタバミを見つけた。すると空が一瞬のうちに掻き曇り黒猫の集団に取り囲まれたのだった。ワタリは携行する斧と忍術を駆使して首領の猫を倒し難を逃れたが、それは彼の能力を見るために仕掛けた三太夫と城戸による試験だった。ワタリが見せた技は伊賀流でも甲賀流でもなかったことから、腕前を隠して百地砦に近づいたのではないかと三太夫は考えた。だがそれよりも先にやらねばならないことがあった。伊賀の秘密を知ったカンネが書き残した物が未だに見つかっていなかった。何もない可能性もあるが、そうでなければ既に雲組の誰かの手に渡っているはずだ。そこで三太夫は城戸に雲組の抹殺を命じたのだった。その頃、家に戻ったワタリはカンネが捕らわれる寸前に投げた人形を爺に手渡した。人形の中には忍文字を使った手紙が入っており、そこには恐るべき事実が書かれてあった。

雲組一同を呼び出した城戸は、頭領の命令として武田軍の重要拠点となる五月雨城へ忍ぶ通達を出した。だが五月雨城の警備は厳重であり藤林組の腕利きたちが全滅したという噂が流れていたことで小頭たちは及び腰だった。そこでこれを立派に成し遂げれば頭領は満足し無事に戻ってきた時には悪いようにはしないと城戸が言うと、シブタレは前向きに捉えるようにした。訳のわからない掟で虫けらのように殺されるのはまっぴらだと雲組は団結し任務を遂行しようとしたが、森の中に浮かぶ発行体によって皆絶命した。翌朝、川に浮かぶ小頭たちの死体を見つけたワタリと爺は城戸の仕業に違いないと考えたが、そこに現れた城戸はそれを真っ向から否定し武田軍の乱破によるものだと言った。下忍の命が軽視されている理由。それは他国からさらってきた幼い子を下忍養成所で一人前に育て上げて次々と排出するからだ。そこでワタリは単身で養成所に乗り込みどんな所か自分の目で確かめてみることにした。

屋台的映画館

南国土佐を後にして

  • posted at:2005-10-11
  • written by:砂月(すなつき)
なんごくとさをあとにして
日活
配給:日活
製作年:1959年
公開日:1959年8月2日 併映「事件記者 真昼の恐怖」
監督:斎藤武市
原作:川内康範
脚本:川内康範 斎藤武市
企画:茂木了次
撮影:高村倉太郎
音楽:小杉太一郎
主題歌:「南国土佐を後にして」ペギー葉山
美術:佐谷晃能
照明:大西美津男
録音:米津次男
編集:近藤光雄
助監督:神代辰巳
色彩計測:幸田守雄
現像:東洋現像所
製作主任:林本博佳
協力:高知県 高知市
出演:小林旭 浅丘ルリ子 ペギー葉山 南田洋子 中原早苗
シネマスコープ カラー 78分

刑期を満了した原田譲司は母・のぶが待つ故郷の高知に帰ることにした。彼が足を踏み入れた高知市内はよさこい祭りで賑わっていた。服役中に開かれた慰問コンサートで、譲司はペギー葉山が歌う「南国土佐を後にして」を聴いた。その歌には民謡「よさこい節」の一節が使用されているが、それが彼の故郷への想いを呼び覚ました。譲司の兄・義之は特攻隊員として戦火に散ったが、兄の許嫁だったはま子は「よさこい節」が好きでよく口ずさんでいたのだ。そのことから刑務所を出たら東京の住居を引き払って母と一緒に暮らそうと兄に誓ったのだった。のぶは帰ってきた譲司の顔を見てとても喜んだが、東京で犯した罪について聞こうとはしなかった。

譲司は恋人の春江に会いに行ったが、彼女は父親の借金の形にヤクザのボス・北村定男と結婚することになっていた。さらに悪いことは続いた。前科が仇となって就職口は断わられ、職にありついても北村の子分たちから陰湿な嫌がらせを受けた。しかし二度と暴力を振るわないと誓った譲司は無抵抗を貫いた。譲司は海岸で荒波を見ながら東京へ帰った方がいいのではないかと考えていたが、そこへ北村の目を盗んで逃げ出した春江が現れた。春江は本心を聞いて欲しいと駆け寄ったが、譲司はもう遅いよと言った。その様子を眺めていた北村は子分たちをけしかけた。譲司がその中の一人を殴り倒したそのとき、彼の脳裏に過去の記憶が甦った。譲司は賭場でイカサマを働いた客を殴り、殺人容疑で逮捕されたのだ。途端に譲司の体から力が抜け、彼はサンドバッグのように殴られ続けた。そして北村が手下に譲司の指を詰めるように命じたそのとき、一発の銃声が鳴り響いた。危機を救ったのは東京から彼を追ってやってきたかつての仲間たち、会津とベレーの寛だった。会津たちから逃れたい譲司は東京へ行く決心を固め、さっき言ったことが本当なら俺が迎えに来るまで待っていて欲しいと春江に伝えた。

はま子のもとで下宿することになった譲司は面接会場をはしごしたが、何処からも良い返事を貰えなかった。落ち込む譲司の姿を見たはま子の妹・麻子は彼を元気付けようとキャバレーに連れて行った。ところが店の奥にいる会津たちに気付き、譲司は店から逃げるようにして出てきた。そこで彼はペギーと再会した。ペギーに励まされた譲司は気持ちを切り換えて職を探した。数日後、ついに朝日商事から採用通知を受け取った。ところが出社当日、採用担当者から不採用を言い渡された。他企業からも次々と採用取り消され、譲司は落ち込んだ。履歴書に賞罰なしと偽りを記入した譲司の責任だったが、それを企業に連絡したのはベレーだった。ところがはま子のコネで就職した理解ある社長が経営する大川証券でさえも彼をクビにした。それは春江との仲を妬んだ麻子の仕業だった。その夜、譲司は北村から逃れてきた春江と再会した。二人が下宿から出てくるところを待っていた北村は、春江の父親がした借金の百万円を今すぐに返せと言い出したのだ。そうすれば黙って春江を渡してやると言う北村に、譲司は金さえできれば文句ねえんだろうと啖呵を切った。そして会津とベレーを呼んだ譲司は、一晩限りという約束で封印していたダイスを振ることにした。

屋台的映画館

妖怪百物語

  • posted at:2005-10-06
  • written by:砂月(すなつき)
ようかいひゃくものがたり
大映
配給:大映
製作年:1968年
公開日:1968年3月20日 併映「ガメラ対宇宙怪獣バイラス」
監督:安田公義
脚本:吉田哲郎
企画:八尋大和
撮影:竹村康和
特撮監督:黒田義之
音楽:渡辺宙明
美術:西岡善信
録音:大角正夫
照明:伊藤貞一
音響効果:倉嶋暢
編集:菅沼完二
擬斗:楠本栄一
助監督:太田昭和
製作主任:西沢 治
現像:東洋現像所
出演:藤巻潤 高田美和 平泉征 坪内ミキ子 ルーキー新一
シネマスコープ カラー 79分

甚兵衛長屋の隣にある社の宮守・伍平は、突然現れた但馬屋の番頭・藤兵衛や重助から立ち退くように言われ憤慨した。豪商・但馬屋利右衛門は社を取り壊してそこに岡場所を作るというのだ。すでに寺社奉行からは取り壊しの許しを受けており、社と長屋の土地は全て但馬屋のものになっていた。伍平は、あの長屋の土地は甚兵衛さんの持ち家じゃないかと食い下がったが、藤兵衛は当人がうんと言えば文句ないだろうと言った。その言葉に心を痛めたのは甚兵衛の娘・おきくだった。

長屋の住人は甚兵衛の屋敷に集まり、藤兵衛が言った言葉の真偽を確かめた。すると甚兵衛はすまないと頭を下げた。彼は誰にも相談せずに長屋を抵当にして利右衛門から三十両を借りたのだ。甚兵衛の死んだ女房は病気で長い間寝込んでいたが、そこに付け込んだ利右衛門がオランダ渡りのいい薬があると勧めて来た。甚兵衛はその企みあっての親切に甘えたが、借金は積もり積もって行き、利息を払うことで手一杯の状況で借金の全額返済を迫ってきたのだ。その話を聞いて憤る太吉たちに、甚兵衛はもう一度猶予を頼んでみるから事を荒立てないようにと釘を差した。そこに駆け込んできたおきくは、伍平が死んだと言った。伍平は但馬屋の人足たちに抵抗し、殴られて死んだのだ。太吉は但馬屋へ敵討ちに行こうとしたが、それを押し止めたのは同じ長屋に住む浪人・安太郎だった。安太郎は、犠牲を出すだけだからやめとけと太吉に言って屋敷を出て行った。

利右衛門は岡場所建設に関わった人たちを呼び寄せて宴席を設け、百物語という変わった趣向を用意した。これは噺家が百の怪談を語り、一つ済むごとに蝋燭の一つを消すというものだった。最後の火が消えたとき、しきたりとして憑き物落しのまじないをすることになっていたが、利右衛門は妖怪が出るというのは下々の者が言う迷信だといって拒否した。噺家は、謂れがあって昔から伝えられてきたものだからおろそかには出来ないと言ったが、利右衛門は私なりの憑き物落しをするつもりだと言って聞かなかった。利右衛門は、世の中にはこれに勝るお守りはないと言って来客に小判を振舞った。その客の中に安太郎が紛れ込んでいた。

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