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夜の診察室

  • posted at:2005-11-15
  • written by:砂月(すなつき)
よるのしんさつしつ
大映
配給:ダイニチ映配
製作年:1971年
公開日:1971年9月4日 併映「遊び」
監督:帯盛廸彦
脚本:長谷川公之
企画:林万夫
撮影:中川芳久
音楽:伊部晴美
美術:山口煕
録音:高橋温生
照明:上原正一
編集:中静達治
助監督:伊藤昌洋
現像:東洋現像所
製作主任:井上信彦
出演:松坂慶子 峰岸隆之介 高橋昌也 藤村有弘 真山知子 
シネマスコープ カラー 85分

平和な1970年代の娯楽の一つである商品化されたセックスは、末梢神経に呼びかける情報の氾濫により人々に楽しみよりも苦しみ、喜びよりもむしろ悩みを与えることが多い。そのようないわゆる夜の生活のための診察をするのが麻生診察室である。マンションの6階にあるこの診察室では、精神分析の大家・麻生周造医学博士とアルバイトの石川弘医学士が診察と治療を担当している。リクライニングシートが据えられた診察室の壁にはテレビカメラとマイク組み込まれ、患者の苦しみと悩みはそれらを通して一人一本のビデオテープに記録される。機器の操作は、受付兼記録係で麻生の一人娘の梢が行っているが、そのテープの数は彼女の予想を遥かに超えていた。

常連の患者である柳田民代は予約している時間に診察室を訪れたが、梢から室長の不在を伝えられるとせっかく来たのにこのままでは帰れないと言って駄々をこねた。そこで大学で心理学を専攻している梢が代わりに彼女の話を聞くことになった。民代は毎日イライラのしどおしで夜もろくに眠れない状態が続いていた。その理由を聞くと、民代は主人の浩司が2、3ヶ月ご無沙汰だと言った。献立をスタミナ料理に変えてみたが、今度は鼻血を出して寝込んでしまったというのだ。セックス経験のない梢はそれが夫婦間の性的交渉が実行されていないことだとわかったが、毎日の焦燥感や不眠症は奥様の性的衝動が処理されないところから来る欲求不満が原因ではないかと考えていた。そして結婚から7年目が統計的にも一番危険な時期だと言うと民代もそれを疑い、私立探偵を雇って夫の足取りを調査させたが何もやましいことがなかったのだ。そこで新築した家の寝室にさまざまな工夫を凝らしてみたものの結果は出なかった。悲観したまま診察室を後にした民代は、街角で一枚のビラを受け取った。そこには「倦怠期に悩む奥様のためのチャームスクール開講!!」と大きく書かれていた。早速スクールに足を運んだ民代は講師の言葉を一つひとつ頭の中に入れた。男性と女性では性的興奮への必要条件が違うため、音楽や照明による雰囲気よりも女体に男は魅かれると講師は言った。むしろチラリズムが効果的だと知った民代は、自宅で夫が帰るのを待った。そして帰ってきた浩司が風呂に入るというので彼女は背中を流そうと風呂場に入ったが、浴衣の胸元がはだけているのはみっともないと指摘され第一の作戦は失敗した。そこで今度は夫の目の前で色っぽく着替えをすると、浩司は民代を抱きかかえて寝室に飛び込んだ。ところが途中で止めてしまい、また今度にしましょうと言って寝入ってしまった。

翌日、麻生から欲望は年齢とともに純化されて高まると聞いた民代は、夫が今の家に引っ越してから変わったことを話し始めた。以前は狭い家に住んでいたが、そこには彼女の妹が同居していた。声が聞こえるんじゃないかと心配しながら生活していたため新居には寝室を作ったが、妹は急に嫁いで出て行ってしまったのだ。結果的に二人は理想的な生活を手に入れたが、麻生は妹に気兼ねしなくなったことで刺激が無くなったのが原因ではないかと指摘した。記録室で民代の話を聞いていた好奇心旺盛の梢は、建設会社の設計部長である浩司の調査に乗り出すことにした。

屋台的映画館
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探偵事務所23 くたばれ悪党ども

  • posted at:2005-11-07
  • written by:砂月(すなつき)
たんていじむしょつーすりーくたばれあくとうども
日活
配給:日活
製作年:1963年
公開日:1963年1月27日 併映「38年大相撲初場所 前半戦」
監督:鈴木清順
企画:芦田正蔵
原作:大藪春彦
脚本:山崎巌
音楽:伊部晴美
・・・:「六三年のダンデイ」星ナオミ
・・・:「バカとリコウ」吉村アキ
撮影:峰重義
照明:吉田協佐
録音:八木多木之助
美術:坂口武玄
編集:鈴木晄
助監督:樋口弘美
色彩計測:森勝
特殊技術:金田啓治
現像:東洋現像所
製作主任:野村耕祐
振付:漆沢政子
技斗:高瀬将敏
出演:宍戸錠 笹森礼子 星ナオミ 楠侑子 金子信雄
シネマスコープ カラー 89分

深夜の武蔵街道基地付近で武器弾薬の取引をしていた立川桜組と新宿大槻興業のヤクザ十数名が突如現れた男たちによって射殺された。特別捜査本部を設置した武蔵署は、明け方近くに現場付近をうろついていた真辺公一を重要参考人として連行した。そのニュースを聞き、金になると踏んだ私立探偵の田島英雄は早速、武蔵野署に乗り込んで一課の熊谷警部と会った。最近、都内で良からぬ取引の最中に暴力団が襲われるという事件が頻繁に起きていた。被害者が警察に通報できないことを利用した、悪党よりも一枚上手な一味の仕業だった。真辺の面通しを許された田島は熊谷と駆け引きをした。真辺を釈放して泳がせるには、相手に感付かれずにうまく尾行する必要がある。そこで田島は、ヤクザに顔を知られていなくて警察より鼻が利き、腕っ節が立ち、頭の巡りがいい囮が必要だと自分を売り込んだのだ。警察署の周囲には真辺の釈放を待って復讐しようと企む立川組と大槻工業の連中が今か今かと待っていた。警察は解散を命じたが、彼らは銃砲所持許可書を掲げて猟場に行く待ち合わせに車を停めて何が悪いと居座っていたのだ。真辺の拘束期間は午後10時まで。熊谷は、ワシが手こずっているのに民間人の君が捌ける道理はないと言った。

腹を立てた田島が事務所に戻ると、熊谷が先回りしてソファーに座っていた。囮捜査に関することは警察の上層部と一部の関係者にしか知らされず、署内での熊谷の行動も芝居だった。熊谷は、正当防衛以外でぶっ放すなよと念を押して銃と偽の免許証を渡した。田中一郎として事件に関わることになった田島は、助手の堀内にミキサー車を盗むように言った。

午後10時、真辺は付き添いの警官とともに現れた。警察署の前を歩く真辺は銃口の的となっていた。そしてついに警官が離れたとき、男は顔を明らかにした。それと同時に警官隊がヤクザたちを殺人未遂の容疑で包囲した。騙されたことに気付いたヤクザたちは警官隊に発砲した。熊谷はその騒動に乗じて裏口から真辺を逃がし、田島に後を託したのだ。田島と真辺を乗せた白いMGAは警察車両とヤクザたちのトラックに追い掛けられたが、堀内との連携プレイで捲くと夜の街道を走り去った。

屋台的映画館

時をかける少女(1983年)

  • posted at:2005-11-03
  • written by:砂月(すなつき)
ときをかけるしょうじょ
角川春樹事務所
配給:東映洋画
製作年:1983年
公開日:1983年7月16日 併映「探偵物語」
監督:大林宣彦
製作:角川春樹
プロデューサー:山田順彦 大林恭子
原作:筒井康隆
脚本:剣持亘
潤色:大林宣彦
撮影監督:阪本善尚
音楽監督:松任谷正隆
音楽プロデューサー:高桑忠男 石川光
主題歌:「時をかける少女」原田知世
挿入歌:「愛のためいき」
美術デザイン:薩谷和夫
音響デザイン:林昌平
照明:渡辺昭夫
録音:稲村和巳
音楽録音:堀真慈
記録:黒岩美穂子
編集:大林宣彦
助監督:内藤忠司
製作担当:坂本至徳
出演:原田知世 高柳良一 尾美としのり 津田ゆかり 岸部一徳
アメリカンビスタ カラー 104分

4月16日土曜日の放課後。掃除当番の芳山和子はクラスメイトの深町一夫、堀川吾朗とともに理科室の掃除をしていた。二人がごみ捨てに行っている間に和子は室内の後片付けをしていたが、誰もいるはずのない実験室で物音がしたためドアの鍵を開けた。実験室には元々鍵はなかったが、様々な薬品がなくなる事件が起きたことから防犯のために付けられたのだ。和子は二人のいたずらだと考え恐るおそる覗いてみたが、そこには誰もいなかった。そのときフラスコが床に落ち、白い煙が室内に立ちこめた。和子は不思議な香りに包まれ意識を失った。保健室で意識を取り戻した和子は、担任の福島利男たちとともに実験室へ様子を見に行くが、何事もなかったようにきれいなままだった。ここで起きた出来事を誰も信じてくれなかったが、彼女は気を失うときに嗅いだラベンダーの香りをはっきりと覚えていた。この事件をきっかけに和子は奇妙な体験をすることになる。翌日、昨日のことが頭から離れない和子は散歩に出掛けた。気晴らしも兼ねて借りたハンカチを返しに吾朗の家へ行ったのだ。和子は素直な気持ちを吾朗に伝えようとしたが、店の手伝いが忙しくて取り合ってもらえなかった。吾朗は代々伝わる醤油屋を引き継ぐつもりでいたが、彼の母親は大学へ行かせようと考えていた。

4月18日月曜日。和子はいつもどおり登校したが、一日中気分が優れなかった。自宅に戻った彼女は漢詩の授業でわからなかった箇所を復習していたが、突然の地震に驚き家族とともに庭へ避難した。近所で消防車のサイレンが鳴り響いているのを聞いた和子が辺りを見回すと、吾朗の家の付近が燃えていることがわかった。居ても立ってもいられなくなった和子は、家族が止めるのも聞かずに現場へ向かった。幸い火元は醤油屋ではなかったため、心配になって来ていた一夫と帰ることにした。植物採集のために明日学校を休むと言う一夫と別れた和子は、暗闇で何者かに襲われた。

4月19日火曜日。ベッドで目覚めた和子は寝坊をした事がわかり、慌てて支度をして学校へと急いだ。途中で吾朗に追いついた和子は異変を感じた。突然お堂の屋根瓦が滑り落ち、彼女は吾朗をかばった。大きな悲鳴をあげたとき、和子はベッドで目を覚ました。いつものように登校する和子は目を疑った。崩れ落ちたはずのお堂の屋根瓦が何事もなかったように整然と並んでいたのだ。福島は昨日と同じネクタイをしているし、学級委員長の神谷真理子は今日は16日だと言い張るのだ。吾朗に地震と火事のことを話しても知らないと言うし、植物採集へ行くと言っていた一夫も教室にいる。さらにおかしなことは続いた。漢詩の授業では前日と同じ問題が出題され、復習したはずのノートには何の記述も残されていなかったのだ。クラブ活動を抜け出して雨の中を帰宅する和子を呼び止めたのは一夫だった。一夫が雨宿りするように言うと、和子は幼なじみにも関わらず一度も来たことがない家に上がった。和子はためらいながらもこれまでに起こった出来事を一夫に話すと、彼はデジャビュー(既視感)ではないかと答えた。しかし丸一日が同じように繰り返されることはどう考えてもありえなかった。そこで彼女は自分の部屋で地震が来るのを待った。午後8時、やはり地震は発生した。

屋台的映画館

吸血髑髏船

  • posted at:2005-10-26
  • written by:砂月(すなつき)
きゅうけつどくろせん
松竹
配給:松竹
製作年:1968年
公開日:1968年11月9日 併映「昆虫大戦争」
監督:松野宏軌
製作:猪股尭
脚本:下飯坂菊馬 小林久三
撮影:加藤正幸
音楽:西山登
美術:森田郷平
照明:佐久間丈彦
録音:小林英男
調音:佐藤広文
編集:太田和夫
撮影助手:赤松隆司
調音助手:立仙雅己
進行:池田義徳
現像:東洋現像所
製作主任:川邊一外
協力:日本特撮映画株式会社 川上景司 福田太郎
出演:松岡きっこ 入川保則 西村晃 岡田眞澄 金子信雄
シネマスコープ モノクロ 80分

太平洋を航海中の龍王丸が、首謀者の田沼と船員の末次、辻、小野、江尻に乗っ取られた。彼らの目的は、積荷として乗せられた時価数億円の金塊だった。船長や船員、乗客たちは足を鎖で繋がれ一ヶ所に集められた。その中には新婚旅行を兼ねて乗船していた船医の西里も含まれていた。船長は説得を試みるが、田沼たちは耳を貸そうとはしなかった。銃撃された船長を介抱していた西里の目に飛び込んできたのは部屋に匿っていたはずの妻・依子の姿だった。事態を重く見た依子は犯行グループの中に飛び込み、やめてと涙ながらに訴えたのだ。ところが依子は江尻から銃を突きつけられると暴行を受けた。西里は隙を見て小野から銃を奪おうとしたが、抵抗も空しく銃弾に倒れた。依子は夫を助けて欲しいと田沼にすがりついたが、銃撃され絶命した。そして乗員たちもみな自動小銃で掃射された。

事件から三年後、依子の双子の妹・冴子は湘南の教会で神父・明石の助手をしていた。冴子は明石から休暇を貰い、恋人の望月とモーターボートで沖に出かけた。ダイビングを楽しむ二人だったが、突如現れた光景に固唾を呑んだ。足を鎖でつながれた無数の骸骨が海中に揺らめいていたのだ。驚いた冴子たちは急いでボートに戻った。冴子と依子は、小さい頃からうれしいこと、悲しいことなどお互いの思いが不思議なくらいよくわかった。横浜港を出航した龍王丸は台風で沈没したが、あの骸骨を見てから冴子にその思いが再び甦ってきたのだ。冴子はまだ姉が生きているような気がしてならなかった。汽笛が鳴り冴子が窓の外に目を向けると、霧に包まれた海上には一隻の貨物船が漂っていた。船へ行くのよと叫び何かに取り憑かれたように船着場へ走って行く冴子を心配した望月は、彼女が操縦するモーターボートに飛び乗った。ボートは船名が見えるところまで近づいたが、高波を受け転覆してしまった。貨物船には龍王丸と書かれていた。

梯子を使って導かれるように船内に入った冴子は、船長室に辿りついた。そこには航海日誌があり、謀叛に至るまでの不穏な出来事が事細かに記されていた。冴子がそれに目を通していたとき女のすすり泣く声が聞こえ、彼女は声のする方へ歩いて行った。ドアを開けろうそくの明かりで部屋を照らすと、そこには冷たい表情で立つ依子がいた。

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死びとの恋わずらい

  • posted at:2005-10-22
  • written by:砂月(すなつき)
しびとのこいわずらい
松下エージェンシー映像製作部=アートポート=テレビ東京メディアネット
配給:アートポート=アースライズ
製作年:2001年
公開日:2001年3月24日
監督:渋谷和行
製作:松下順一 柳沢隆行
プロデューサー:米山紳 伊藤直克
原作:伊藤潤二
脚本:友松直之
企画:加藤東司 並木俊治
撮影:喜久村徳章
音楽:遠藤浩二
エンディングテーマ:「海のしずく ~ALL of me~」Adya
美術:丸尾知行
録音:湯脇房雄
照明:才木勝
編集:菊池純一
効果:柴崎憲治 北田雅也
スクリプター:高橋たつ子
助監督:小貫英樹
製作担当:堀井健一
出演:後藤理沙 松田龍平 秋吉久美子 三輪明日美 三輪ひとみ
アメリカンビスタ カラー 95分

墓地の裏手にあるケヤキの木のそばのお堂。そこはみんなが辻占をするときに使う場所だった。お堂の脇に立ち初めて通り掛かった人に占ってもらった。私の恋は実るでしょうか、と。夕方にその場所に立っていると、辺りが薄暗くなり始めた頃に黒い服の男が近づいてきた。恐怖が彼女を襲い、うなされるといつものように目を覚ました。高校生2年生の深田みどりは子供の頃から何度も同じ夢を見ていた。

幼いころに住んでいた街に母・和子と戻ってきたみどりは新しい学校に通うことになったが、登校途中にある光景を目撃して足が止まった。それは夢で見たケヤキの木のそばにあるお堂だった。一瞬夢のことが頭をよぎり、全身から力が抜けたみどりはその場に座り込んだ。すると偶然居合わせた田中鈴枝が気遣って話し掛けてきたのだ。二人が同じクラスになることがわかるとみどりはこの道を通らずに学校へ行く手段はないかと尋ねた。その場合は遠回りになり確実に遅刻することになるが、鈴枝は彼女の気持ちを汲んでつき合うことにした。

授業が終わり昼休みに入ると、みどりは教室を出て行った男子生徒を追い掛けた。何故なら幼い時に一緒に遊んだ柴山龍介ではないかと思ったからだ。屋上にいる彼に声を掛けると龍介は微笑み、君がこの街に帰ってくるのをずっと待ってたんだよと言った。

クラスの女子の間では恋占いが流行っていた。鈴木珠代は同じクラスの手島光太郎に片思いをしていたが、友人にタロット占いをしてもらったところ成就しないと言われた。異端者によって妨害されるという結果に、それがみどりではないかと考えた珠代は嫉妬心を燃やした。鈴枝は席が隣ということもあって光太郎とよく話すが、彼女はそれを恋愛だと思っていた。だが光太郎にとっては友達でしかなく、心は一目惚れしたみどりの方に向いていた。

学校が終わると鈴枝の家にクラスメイトが集まったが、遅くなると母が心配すると言ってみどりは先に帰ろうとした。すると帰る方向が同じだからと光太郎も一緒に帰ることにした。その様子に嫉妬した珠代は、辻占を行うと二人がいなくなってから仲間たちに打ち明けた。変な人にいい加減なことを言われたらどうするのよと友人は止めたが、鈴枝は由緒ある占いだからそれもいいんじゃないと言った。彼女がお堂の謂れを話すと珠代は怖くなり決心が鈍った。

翌朝、また辻占の夢にうなされて起きたみどりは、昨夜遅くに体調を崩した和子を心配して家の中を捜した。すると何かに取り憑かれたように風呂場の壁に出来たカビを落とそうとしていた。

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