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億万長者(1954年)

  • posted at:2008-01-16
  • written by:砂月(すなつき)
おくまんちょうじゃ
青年俳優クラブ
配給:新東宝
製作年:1954年
公開日:1954年11月22日 併映「最後の女達」
監督:市川崑
企画:本田延三郎
脚本:市川崑
脚本協力:安部公房 横山泰三 長谷部慶次 和田夏十
音楽:団伊玖磨
撮影:伊藤武夫
美術:平川透徹
録音:安恵重遠
照明:平田光治
編集:河野秋和
助監督:小林大平
製作主任:浅野正孝
出演:木村功 久我美子 山田五十鈴 伊藤雄之助 信欣三
スタンダード モノクロ 83分

日本の新名所・数寄屋橋付近の交差点では、少女・鏡すてがか弱き平和を守るためには原爆を作らなければならないと民衆に訴えていた。その頃、小菅刑務所の牢屋の中では、汚職事件で逮捕された与党議員・団海老蔵が新聞に名前が載ることの意義を同罪で捕まった同僚や野党議員に向かって高らかに語っていた。同じ頃、赤坂料亭では芸者・花熊が他の芸者集の前で心得を長々と説いていた。一方、羽田飛行場では海外視察という名目で3ヶ月間の観光旅行を行うアルマイト会社社長・東太賀吉が家族や社員たちに見送られていた。銀座にある日本一正確な時計台の時計はまもなく25時を指そうとしていた。白昼であるにも関わらず。時計が狂っているのだろうか。それとも人間の方が狂っているのだろうか。

K区税務署徴収課に勤務する正直で無口で小心者の舘香六は、鶴亀葬儀社の二階に間借りしている。毎日同じように電車に揺られて出勤する舘は、いつものように税金の徴収に出掛けた。彼が向かった先は、通夜が行われているアルマイト工場だった。社長の東太賀吉が乗った旅客機は欧州に向かって飛行していたが、ヒマラヤ山脈に衝突し墜落したのだ。航空会社の社員が危険な遭難現場から持ち帰ったひしゃげたスプーンを妻・山子は遺骨代わりにして大切にした。それは東が見本として持ち歩いていたスプーンだった。舘は霊前に手を合わせると、山子に昨年度の税金が納められていないから困っていると切り出した。すると山子は困っているのはこっちだと反論した。派手好きの社長は万事宣伝の世の中だと言って借金してまで旅行を計画した。傷害保険がもらえることになっていたが、借金返済や十八人の子供の生活費、そして工場を運営するには到底足りないと主張した。舘は、それでは僕が困るし署長も困ると言った。彼は税金が使われる仕組みを山子にゆっくりと説明した。

舘が次に向かった先は国会議事堂の近くにある贋家だった。妻・はんは舘から受け取った名刺を見るなり大声で笑った。ここでも税金を徴収することが無理だとわかった舘は、自宅から持ってきた手弁当を食べながら夫婦の話を聞くことにした。主の贋十二は三年前まで写真所を経営していたが、その収入だけでは十八人の子供を養うことは出来なくなった。そこで店を手放して収入の多い仕事を手当たり次第に始めたがうまく行かなかった。贋家には家族の他に下宿人の鏡すてが住んでいた。二階を間借りしてるすては一年半程前から家賃を払っていなかったが、かわいそうな境遇に置かれていたことを知っていたため追い出すことが出来なかった。彼女は材料や薬品を持ち込んでは研究に没頭していた。はんは、それが原爆であることを舘に話すと、驚いた彼は放射能の及ばないとされる東京から123.5キロ離れた沼津まで走って逃げた。

屋台的映画館
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変態家族 兄貴の嫁さん

  • posted at:2008-01-12
  • written by:砂月(すなつき)
へんたいかぞくあにきのよめさん
国映
配給:新東宝
製作年:1984年
公開日:1984年6月
監督:周防正行
脚本:周防正行
企画:朝倉大介
撮影:長田勇市 滝彰志
音楽:周防義和
演奏:TOJA2
音楽録音:大坂正雄
美術:種田陽平 矢島周平
録音:ニューメグロスタジオ
効果:小針誠一
照明:長田達也 豊見山明長
編集:菊池純一
監督助手:井上潔 富樫森
タイトル:斎藤浩一
現像:東映化学
製作担当:磯村一路
出演:風かおる 山地美貴 麻生うさぎ 大杉漣 下元史朗 
アメリカンビスタ カラー 62分

長男・幸一の結婚式が終わり、新妻の百合子が加わった間宮家では新たな生活が始まろうとしていた。満足げな父・周吉は、いつものようにスナックちゃばんへ出かけていった。周吉はちゃばんのママが亡き妻に似ているという理由で通い詰めていたのだ。兄の結婚式に出席した秋子は、結婚に対する不安を弟の和夫にぶつけた。「このまましばらくOLやって、誰かいい人みつけて結婚したらそれでおしまいなんて、悲しいじゃない、なんだかとっても悲しいじゃない」。

春の穏やかな土手を百合子と周吉は散歩した。百合子は周吉から「あいつの母親にそっくりじゃ」と言われたことがとてもうれしかった。幸一が帰宅すると早速その話をしたが、いちいち真に受けていたら大変だと言われ、悲しい表情をした。百合子は幸一の胸元から覗く無数の傷や火傷に気付いた。「かわいそうに」百合子はそう言ってシャツを脱がすと、傷にキスをした。

今後の生き方に疑問を感じていた秋子はOLを辞め、ソープランド嬢に転身した。しかも最初の客が兄の幸一だったのだ。その幸一はというと、百合子に隠れてちゃばんに通っていた。閉店後はママと二人でSMプレイに明け暮れていたのだ。周吉が度々ママが母親に似ている言っていたことから、秋子は幸一を誘ってちゃばんへ行った。それ以来、幸一はママの虜になっていた。

幸一が家に帰らなくなってから一週間が経った頃、受験に失敗したストレスから和夫が万引きをした。警察署に呼び出された百合子は、和夫を連れ帰ると理由を尋ねた。「なんだかムシャクシャして、スカッとしたくて」。その返答を聞いた百合子は「スカッとしましょ」と誘った。

屋台的映画館

シュート!

  • posted at:2008-01-05
  • written by:砂月(すなつき)
しゅーと
松竹
配給:松竹
製作年:1994年
公開日:1994年3月12日
監督:大森一樹
製作:櫻井洋三 ジャニー喜多川
プロデューサー:田沢連二 椿宜和
原作:大島司
脚本:橋本以蔵
撮影監督:高間賢治
音楽:土方隆行
エンディングテーマ:「泣きたい気持ち」SMAP
挿入歌:「心の鏡」SMAP
挿入歌:「真夜中のMERRY-GO-ROUND」SMAP
挿入歌:「負けるなBaby!~Never give up」SMAP
挿入歌:「Hey Hey おおきに毎度あり」SMAP
挿入歌:「MR.LONELY」木村拓哉
録音:橋本泰夫
照明:上保正道
美術:金田克美
編集:池田美千子
助監督:藤嘉行 田村浩太朗
スペシャル・サッカーアドバイザー:ラモス瑠偉
製作協力:ジャニーズ事務所
出演:中居正広 木村拓哉 稲垣吾郎 草彅剛 香取慎吾
アメリカンビスタ カラー 104分

掛川高校一年の田仲俊彦=トシは、東京に転勤が決まった両親に逆らって静岡に残り、サッカーを続ける道を選んだ。彼は中学時代、白石健二、平松和広との掛西中トリオで全国大会のベスト4に勝ち残った。そんな彼らが掛川高校に進学した理由は、久保嘉晴という存在があったからだ。彼らの憧れの先輩である久保は中学時代をドイツで過ごした。帰国後、新設校の掛川高校に進学した久保はキャプテンとして一年生ばかりのチームを引っ張り、静岡県大会で準々決勝に進むという快挙を成し遂げた。この試合を観たトシたちは、久保のレベルの高い技術に魅了された。

期待に胸を膨らませてサッカー部に入ったトシたちだったが、新入部員は雑用ばかりでサッカーの練習をさせてもらえなかった。そのころ憧れの久保は体の不調を訴えて入院し、サッカーへの情熱を失った白石と平松はそれぞれの道を選んだ。ある日、トシが放った右足のシュートに魅せられた同級生の遠藤一美が部室に押しかけ、無理矢理マネージャーに納まった。毎日雑用を押し付けられ不満を漏らす一年生部員に業を煮やした一美は、トシの名で部室の壁に貼り紙をした。それは、インターハイのレギュラーの座とトシの退部を賭けた上級生との試合の挑戦状だった。一美の企みは成功し、日曜日に試合が行われることになったが、一番驚いたのはトシだった。副キャプテンの神谷篤司が率いる二年生チームは、県大会でベスト4の実力を持っていた。試合が始まり、序盤は幸先良く一年生チームが先制した。ところが試合が進むにつれ実力の差は明確になっていった。トシの退部を心配した一美は、白石と平松を呼びに行ったが二人の居場所はわからなかった。がっかりして戻ってきた一美は、グラウンドの様子がおかしいことに気付いた。試合の噂を聞いて心配になった二人が駆けつけてきたのだ。白石と平松は、神谷に入部すると告げるとすぐに試合に参加した。勢いを取り戻した一年生は1点差まで詰め寄ったが、3-4で惜敗した。しかしトシたちの力を認めた神谷は、インターハイのレギュラーを一年生からも選ぶことを約束した。

試合の翌日、ついに久保が戻ってきた。彼は実践をしながらチームメイトの欠点を見抜き、アドバイスしていった。久保はトシが左足でシュートを打つときに軸足が開くことを指摘した。そして弱点を克服出来れば、掛高のエースストライカーはお前だ、と言った。トシはあまりのうれしさに言葉を失った。去ろうとした久保は、振り返って聞いた。「トシ、サッカー好きか?」。

屋台的映画館

霧笛が俺を呼んでいる

  • posted at:2007-12-29
  • written by:砂月(すなつき)
むてきがおれをよんでいる
日活
配給:日活
製作年:1960年
公開日:1960年7月9日
監督:山崎徳次郎
脚本:熊井啓
企画:水の江滝子
撮影:姫田真佐久
音楽:山本直純
主題歌:「霧笛が俺を呼んでいる」赤木圭一郎
美術:木村威夫
照明:岩木保夫
録音:橋本文雄
編集:鈴木晄
助監督:鍛冶昇
色彩計測:安藤庄平
現像:東洋現像所
製作主任:亀井欽一
技斗:峰三平
出演:赤木圭一郎 芦川いづみ 葉山良二 西村晃 吉永小百合
シネマスコープ カラー 80分

横浜港に停泊しているすずらん丸がエンジンの故障で出航を一週間延期したため、二等航海士の杉敬一は陸へ上ることにした。通りがかったトラックを停めた敬一は、運転手から船乗り相手に商売をするバー・35ノットという店を紹介された。おとなしく飲んでいた敬一だったが、店のマダム・サリーを巡って始まった乱闘騒ぎに巻き込まれてしまった。彼らは駆けつけた警官に取り押さえられ、警察に連行された。事情聴取を受けた敬一が氏名と保証人の名前を告げると、立ち会っていた刑事の態度が変わった。その様子に気付いた敬一は何か知っているのではないかと尋ねたが、彼は話を逸らした。

この街には敬一の保証人で友人でもある浜崎守雄が住んでいるはずだったが、最近になって手紙を出しても戻って来るようになった。新しい住所へ越した可能性があることから、彼は寄港したついでにその友人を探そうと考えていた。翌日、横浜荘を訪ねた敬一は管理人から守雄が半年ほど前に自殺したと聞かされてショックを受けた。警察が発表した死因は神経衰弱による自殺だった。敬一は、守雄が浮いていたという東防波堤の端へ行ってみることにした。防波堤で物思いに耽る敬一のところへやってきたのは、守雄の妻・美也子だった。守雄が死んだ突堤に行って若い男に会ってみるようにという電話が宿泊しているホテルに掛かり、美也子は不審に思いながらも指示に従ったのだ。電話の主はわからなかったが、美也子は誰かに追われている気がしていた。

美也子の話で守雄の妹・ゆき子が横浜の病院に入院していることを知った敬一は、早速見舞うことにした。ゆき子は兄の死についてどうしても腑に落ちないことがあると敬一に言った。守雄は死ぬ二日前に見舞いに来たが、経過が良好だからあと二週間くらいで立てるだろうという話を担当の医師から聞くと涙を流して喜んだ。その兄が黙って死ぬはずがなく、誰かに殺されたのではないかとゆき子は言った。

屋台的映画館
ごっどすぴーどゆーぶらっくえんぺらー
プロダクション群狼
配給:東映
製作年:1976年
公開日:1976年7月1日 併映「暴走の季節」「暴力教室」
製作:柳町光男
スタッフ:明石太郎 秋山洋 荒武建至 安西志麻 井上秀司 岩永章 岩永勝敏 宇内四郎 梅林一夫 浦田和治 大島ともよ 興松良昌 菊地進平 志満順一 杉浦誠 関正良 高橋登 塚本公雄 弦巻裕 永田鉄男 藤ヶ崎容子 南正人 宮下雅則 柳町光男 山田伸顕 横山吉文 吉田栄子
協力:プロダクション未来 不二技術研究所 日映美術
出演:BLACK EMPEROR
スタンダード モノクロ 91分

関東の広域暴走族「ブラックエンペラー」の一員であるデッコは、単車の腕は誰にも負けないと自負していた。夜は仲間たちと集団で暴走し、対立する組織等に暴行や破壊行為を行った。昨年の五月、「ブラックエンペラー」はタクシーを破壊する事件を起こし、デッコは事件に関与していないにも関わらず警察に逮捕された。事件当日、彼は別の場所で仲間と走っていたが、現場に一度集まったことが凶器準備集合罪とみなされたのだ。家庭裁断所で判決が下される前日、デッコは当然母親が付き添いとして来てくれるものだと思っていた。いつも自分のことをかばってくれるからだ。ところが母親はもうあんなところに行きたくないと拒んだ。デッコは一生懸命説得を続け、承認を取り付けるとまた夜の街へ出かけていった。父親はその様子を背中で聞いていた。

デッコは二人の仲間とともに四谷警察署の警官に補導された。それは仲間の一人がシンナーの入った袋を持っていたからだ。デッコは当然家族が迎えに来るだろうと思っていたが、その日に限って誰も来なかった。留置場に泊まったデッコは家族をぶっ殺してやろうと考えるほど怒っていた。その日は母親が不幸事で家にいなかった。代わりに電話を受けた父親は、息子が何をやったのかと警官に尋ねた。すると警官は仲間たちとともにシンナーを吸っていたと答えた。その後、デッコは直接的ではなかったなどと曖昧な答弁をする警官に不審を持った父親は、現場を押さえたのなら納得できるように説明するように言った。そして家族が迎えに行く必要がなければ直ちに釈放するように言った。翌日、警察へ行った父親は、デッコがシンナーを携帯していたという話を警官から聞かされ激怒した。使用している現場を押さえたわけではないのに勾留した理由を追求すると、警官は高圧的な態度を一転させて軟化した。父親はデッコが窃盗やシンナーの吸引をしていることを知っていた。それだけに警察として毅然とした態度を取って欲しかったのだ。

屋台的映画館

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