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LIMIT OF LOVE 海猿

  • posted at:2010-06-14
  • written by:砂月(すなつき)

りみっとおぶらぶうみざる
フジテレビジョン=ROBOT=ポニーキャニオン=東宝=小学館=フジネットワーク27社
配給:東宝
製作年:2006年
公開日:2006年5月6日
監督:羽住英一郎
製作総指揮:亀山千広
製作:阿部秀司 尾越浩文 島谷能成 亀井修
プロデューサー:臼井裕詞 安藤親広
アソシエイトプロデューサー:小出真佐樹
ラインプロデューサー:森井輝
原作:佐藤秀峰
原案・取材:小森陽一
脚本:福田靖
撮影:佐光朗 さのてつろう 村埜茂樹
音楽:佐藤直紀
主題歌:「Precious」伊藤由奈
美術:清水剛
照明:水野研一
録音:柳屋文彦
装飾:秋田谷宣博
編集:松尾浩 穂垣順之助
音響効果:柴崎憲治
VFXスーパーバイザー:石井敦雄
ダイビングコーディネーター:金城正則
スクリプター:甲斐哲子
監督補:近藤一彦
製作担当:金子拓也
協賛:サクセス
制作プロダクション:ROBOT
出演:伊藤英明 加藤あい 佐藤隆太 大塚寧々 吹越満
アメリカンビスタ カラー 117分

第十管区鹿児島航空基地に赴任した一等海上保安士・仙崎大輔は、機動救難隊員として海難救助の最前線で働いていた。そんな彼のもとに突然現れたのは、婚約者・伊沢環菜だった。仙崎とは遠距離恋愛を継続しているが、プロポーズもされず婚約指輪も貰っていないことを不安に感じていた。そこで服飾デザイナーの環菜は、自分がデザインしたウェディングドレスで仙崎を驚かせるため、そして彼の本心を確かめるために横浜から車を運転して二十時間掛けて鹿児島にやってきたのだ。苦労したにも関わらず、仙崎は少し時間をくれないかと答えた。

翌日午後一時、鹿児島沖3キロで砂利運搬船がエンジントラブルを起こして漂流し、航路の大型フェリー・くろーばー号と接触した。その影響でフェリーは座礁し、出動命令を受けた仙崎たちは訓練を中止して事故現場に急行した。フェリーの船底には30メートル程の亀裂が生じていた。乗客620人の避難には四時間以上を必要としていたが、船体がそれまで耐えられるとは考えにくかった。傾きが50度を超えれば転覆する危険が増し、船内に残されている195台の車両が大惨事の要因となるからだ。仙崎と二等海上保安士の吉岡哲也は逃げ遅れた人を探すために船内に入ったが、フェリーが暗礁から滑り落ちたことで船体が大きく傾いたため、危険と判断してエントランスに避難した。ところがそこはパニックを起こした人で溢れ返っていた。呆然とする仙崎の目に飛び込んできたのは、どうしようもなくて立ち尽くす環菜の姿だった。仙崎の言葉にショックを受けた環菜は、車を運転するのが面倒になりフェリーに乗り込んだのだ。環菜のそばに駆け寄った仙崎は早く避難するように言ったが、手荷物は持つなというアナウンスが聞こえたにも関わらず彼女はウェディングドレスが入ったトランクを離そうとしなかった。仙崎は早く船を降りろと環菜を促すと怪我をした妊婦の治療に専念した。環菜は仙崎が遠く離れて行くような気がしてならなかった。人のいないレストランで妊婦・本間恵の治療を終えた仙崎は、車両甲板を通った方が出口に近いという彼女の言葉に従った。恵はフェリーの売店で販売員として働いているのだ。二人が階段を降りていると車のエンジンを吹かす音が聞こえ、慌てた仙崎は車に駆け寄って止めさせた。男・海老原真一は高級外車に傷を付けたらただじゃすまんぞと凄んだが、ガソリンの臭いに気付いた仙崎は彼の腕を掴んで走り出した。そのとき船体が大きく傾き、車が次々と横滑りして襲い掛かってきた。そしてフックの付いたチェーンが配電盤を直撃し、そこから火災が発生した。火は車両から流れ出したガソリンに引火し大爆発を起こした。

船内確認が完了し、最後の乗客・乙部志保里がライフジャケットを着けたことで救助活動は終了したかに思えた。ところが機動救難隊隊長・北尾勇は、仙崎からの報告でまだ乗客が残されていることを知った。遭難者の救助に向かい仙崎たちと合流した吉岡だったが、爆発に巻き込まれて目標物を失い現在地がわからなくなってしまった。そこで警備救難部救難課専門官・下川嵓に支持を仰ぎ、目印を探すことになった。配管に68-4Tと書かれた文字を発見したが、浸水は激しくなり室内の温度も上昇していた。第十管区海上保安本部で船内配管図を調べ挙げ、そこが2階の濾過循環室であることがわかった。それは最悪の状態だった。下は完全浸水、上は火災で彼らの逃げ場はなくなっていた。

屋台的映画館

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サイボーグ009

  • posted at:2010-06-08
  • written by:砂月(すなつき)
さいぼーぐぜろぜろないん
東映動画
配給:東映
製作年:1966年
公開日:1966年7月21日 併映「大忍術映画 ワタリ」「なかよし合奏団」
監督:芹川有吾
企画:関政次郎 平沢明 飯島敬 旗野義文
原作:石森章太郎
脚本:飯島敬 芹川有吾
作画監督:木村圭市郎
美術:沼井肇
原画:若林哲弘 高橋信也 椛島義夫 上村栄司 森下圭介 大橋学
動画:桜井勇 平村文男 鹿島恒保 山田一広 岩塚美子 玉沢武 榎本有也 大崎通泰 内田君子
色彩設計:辻忠直
背景:佐々木耕成 篠田洋子 渡辺俊児
トレス:植木知子 市村和子
彩色:赤荻永江 古屋純子
特殊効果:岡田良明 高橋佳子
ゼログラフィー:加藤稔
仕上検査:小椋正豊 西元敦子
撮影:平尾三喜
編集:千蔵豊
録音:小西進
音響効果:大平紀義
記録:中垣禧代
演出助手:宮崎一哉
製作進行:堤四四三
現像:東映化学工業株式会社
音楽:小杉太一郎
主題歌:「サイボーグ009」マイスタージンガー
声の出演:太田博之 ジュディ・オング 藤村有弘 曽我町子 八奈見乗児
シネマスコープ カラー 64分

忌まわしき世界的な戦争が終わった数年後、平和な国で自動車レースが行われていた。連覇を目指す島村ジョーは今日もトップに立っていたが、その先には恐ろしい運命が待ち構えていた。観客席から何者かによって投げ込まれたナイフがジョーの運転するレースカーのタイヤに突き刺さり、自由を失って壁に激突した。炎上したレースカーのもとへ救急車が現れジョーの死体は積み込まれたが、その車は正規のものではなかった。連絡を受けた警官隊は救急車を追跡したが、機銃などの攻撃を受けて壊滅した。救急車は彼らが用意した潜水艦に乗せられると漆黒の海底へ進んで行った。

大洋に浮かぶ無人島。その地下には死の商人ブラックゴースト団の秘密基地があった。ブラックゴースト団はサイボーグ兵器の試作を行っており、世界各国から強制的に集められた8人が既にその手術を受けていた。手術室に横たわったジョーは類稀なる身体能力と肉体を持っていたことから、それらの技術を結集した究極のサイボーグ作成のために命を狙われたのだ。執刀は生体工学が専門のギルモア博士によって行われ、新たな命が吹き込まれたのだった。目覚めた彼は、何故自分が小さな部屋に閉じ込められているのかがわからなかった。その直後、テストを始めるというアナウンスが流れるといきなり天井と壁が崩れ落ち、瓦礫の下敷きになった。だが傷一つなく外へ抜け出すことが出来、不思議に思っていると今度は戦闘機が向かってきた。慌てて逃げ出すと今まで感じたことがないスピードで走ることが出来るばかりでなく、機銃掃射を体に受けても平気であることに驚いた。そこで彼は低空で飛んでくる戦闘機にしがみつき、水平尾翼をもぎ取った。戦闘機は錐揉みをして海中に沈んで行ったが、今度は水の中でも息が苦しくないことに驚いた。海から上がっても疲労を感じていないことに感心していると、ブラックゴースト団が待ち構えていた。エーゼルは満足気味に成功だと叫んだ。

「009」とギルモアに名付けられたジョーの体には人工頭脳が埋め込まれ、人工組織で強化されていた。ギルモアが8人のサイボーグ戦士を紹介しようとしたそのとき、戦士たちの銃は彼らに向けられていた。007は冗談なんてとんでもないと言い、003はあなたたちの恐ろしい道具になるのはお断りだわと言った。抵抗を出来ないエーゼルが苦虫を噛み潰したよう顔をしていると、004は人質としてギルモアを要求した。そして003はこっちにいらっしゃいと009に微笑みかけた。君が正しいこと、平和を愛することを信じるのなら来たまえと001が言うと、002も我々は兄弟みたいなものだから信じるんだなと言った。サイボーグ戦士たちが用意したジェット機に向かおうと背を向けたとき、エーゼルは「裏切り者!」と叫び攻撃命令を出した。すると004は彼らに向けてミサイルを見舞った。この脱出計画は良心に苛まれたギルモアの発案だった。

屋台的映画館

パローレ 甘い囁き

  • posted at:2010-05-20
  • written by:砂月(すなつき)
ぱろーれあまいささやき
ケイズ・ピクチャーズ
配給:K&M
製作年:2004年
公開日:2004年6月5日
監督:前田哲
製作:横山和幸 新田博邦
製作協力:フォワード・グループ
エグゼクティブプロデューサー:大平義之
プロデューサー:亀田裕子 石田和義
原案:Lee Zen-too
脚本:三浦有為子
企画:横山和幸 新田博邦
撮影監督:山本英夫
音楽:吉岡聖治
照明:宮尾康史
装飾:大藤邦康
録音:阿部茂
編集:伊藤伸行
衣装:長町佳奈子
ヘアメイク:宮崎智子
助監督:久保朝洋
製作担当:田嶋啓次
出演:有田哲平 上田晋也 竹田高利 烏丸せつこ 美咲レイラ
アメリカンビスタ カラー 72分

中年男・山田は、結婚相談所で知り合った幸子と付き合い始めてから459日が経過していたが、手すら握ったことがなかった。恋愛経験に乏しかったため、どのように彼女と接していいか未だにわからなかったのだ。結婚相談所に顔を出した山田は、担当者から幸子を今夜デートに誘い、締めくくりにプロポーズをするように言われた。山田は言われたとおりに幸子をデートに誘ったが、彼の口からはいつものようにプロポーズの言葉が出てくることはなかった。怒った幸子は走り去ったが、突然現れた奇妙な女に驚き気絶してしまった。奇妙な女=マリアは、山田が課長に昇進したことや、十五年間一緒に住んでいたチワワが死んだことも知っていた。彼女は山田に水晶球に映る三十年後の姿を見せ、幸子との結婚を逃せば一生独身のまま終わると忠告した。そして「幽霊に取り憑かれなさい。そうすれば何かが変わるから。」と言った。

山田と幸子は、マリアに言われるままに六本木のラテン・クラブへやってきた。ダンスフロアは閑散としていたが、幸子がバーテンから差し出されたカクテルを口にした瞬間、店内は一変した。フロアではフェデリコが女性に囲まれてセクシーに踊っていた。幸子は彼に引っ張り出され、無理矢理踊らされた。しかし山田には幸子が一人で踊っているようにしか見えなかった。山田もバーテンから差し出されたカクテルを飲むと、今まで誰もいなかったカウンターでテキーラを笑いながらラッパ飲みする血まみれの男が見えた。男=石原は山田に「あんた、踊んないの?」と聞いてきた。山田がダンスフロアへ目をやると、そこは踊り狂う人々で溢れかえっていた。このラテン・クラブは幽霊たちの溜まり場だった。

石原はダンスフロアで踊ることができなかった。事件に巻き込まれて殺されたため、この世に未練があったのだ。人が一生を終え幽霊になるとラテンの血が騒ぐのだと言う。しかし未練のあるものは踊ることができなかった。そんな石原を不憫に思った山田はマリアの言葉を思い出し、「僕に取り憑いてください。僕の体を使って恨みを晴らしてください。」と言った。

屋台的映画館

超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか

  • posted at:2010-05-13
  • written by:砂月(すなつき)
ちょうじくうようさいまくろすあいおぼえていますか
ビックウエスト=毎日放送=小学館=竜の子プロダクション
配給:東宝
製作年:1984年
公開日:1984年7月21日 先行公開(大阪・名古屋)7月7日
監督:石黒昇 河森正治
製作:大西良昌 吉田健二
プロデューサー:井上明 岩田弘 榎本恒幸
原作:スタジオぬえ
原作協力:アートランド
脚本:富田祐弘
脚色:河森正治
ストーリー構成:河森正治
キャラクターデザイン:美樹本晴彦
プロダクションデザイン:宮武一貴
作画監督:美樹本晴彦 板野一郎 平野俊弘
撮影監督:橋本和典
音楽:羽田健太郎
主題歌:「愛・おぼえていますか」飯島真理
挿入歌:「天使の絵の具」飯島真理
・・・:「私の彼はパイロット」飯島真理
・・・:「小白竜(シャオ・パイ・ロン)」飯島真理
・・・:「0-G Love(ゼロ・ジー・ラブ)」飯島真理
・・・:「サンセットビーチ」飯島真理
・・・:「シルバームーン・レッドムーン」飯島真理
・・・:「シンデレラ」飯島真理
美術監督:宮前光春
演出:秋山勝仁 笠原達也 五月女有作
声の出演:飯島真理 長谷有洋 土井美加 羽佐間道夫 小原乃梨子
アメリカンビスタ カラー 115分

西暦1999年、突如地球に飛来した飛行物体は全長1200メートルにも及ぶ巨大な宇宙戦艦だった。人類のテクノロジーを遥かに超えるその戦艦からは、異星人の姿こそ発見出来なかったものの地球外生命体の存在と大宇宙を戦場とする闘争があることは明らかだった。のちに起こると予想される戦火に対応するために先進諸国は国家間の利害を越えた地球統合政府樹立と墜落した巨大戦艦の修復を開始した。だが統合政府の樹立は容易なものではなく、激烈な局地戦が世界各地で繰り広げられた。その間も戦艦の修復作業は着々と進められ、やがて長く苦しい統合戦争も終わりを告げると地球は再び平和を取り戻したのだった。そして10年後の2009年、異星の墜落船は「SDF-1 MACROSS(マクロス)」として甦った。2月、太平洋上の南アタリア島ではマクロスの進水式が盛大に行われていたが、地球近辺に異星人ゼントラディー軍の艦隊が出現したことでマクロスのシステムがそれを感知し勝手に砲門を開いたのだ。その結果、月軌道内28万キロ地点にいた戦艦を撃破したことで、後続に配する多数の戦艦が地球への侵攻を開始したのだった。ブルーノ・J・グローバル艦長は敵の攻撃から逃れるために未施行のフォールド航法を試みたが、出現地点は予定ポイントである月の裏側ではなく、それとはかけ離れた冥王星軌道のやや内側だった。さらにフォールドシステムが消滅したことでマクロスは通常エンジンで地球へ帰還しなければならなくなった。

避難民5万8千人を収容したマクロスの広大な艦内には市街地が建設され、人々はそこで地球と同じような生活を送っていた。地球への航海を始めて5カ月、マクロスが土星の衛星タイタン宙域に差し掛かった頃、ゼントラディー軍の戦闘ポッドのリガードやパワードスーツのヌージャデル・ガーが大量に現れたため、スカル、エイセス、アポロの3小隊は迎撃に向かった。そこに大型戦艦が現れたことでオペレーターの早瀬未沙はそれの迎撃を命じたが、この襲撃が囮だとわかったスカル11のパイロット・一条輝は命令を無視してマクロスの援護に目標を変更した。そして被弾箇所から敵部隊が艦内に侵入するとそれを追い掛けた。

ゼントラディーの将兵にとって市街地の様子は恐ろしい光景だった。何故ならマイクローンの男女が一緒に生活しているからだ。そんな文化に興味を持った将兵は一人の少女を捕まえることにしたのだが、マクロスは主砲発射体勢を取るための「トランスフォーメーション」を開始した。ヌージャデル・ガーが少女に手を伸ばした時、輝が乗る可変戦闘機バルキリーが現れて破戒した。ところがその影響で重力制御システムが損傷を受けて作動不能となり少女は艦外へ放り出されそうになったが、輝の活躍によって命を救われた。これが輝と人気アイドル歌手リン・ミンメイとの最初の出会いだった。

屋台的映画館

狼よ落日を斬れ

  • posted at:2010-05-05
  • written by:砂月(すなつき)
おおかみよらくじつをきれ
松竹
配給:松竹
製作年:1974年
公開日:1974年9月21日
監督:三隅研次
製作:三嶋与四治
製作補:猪股堯 小林久三
原作:池波正太郎
脚本:国弘威雄 三隅研次
撮影:小杉正雄
音楽:伊福部昭
美術:梅田千代夫
録音:小林英男
調音:小尾幸魚
調音効果:中丸武雄
照明:三浦礼
編集:杉原よ志
監督助手:増田彬
装置:森勇
装飾:印南昇
進行:福山正幸
衣裳:松竹衣裳
かつら:八木かつら店
風俗考証:柳生悦子
擬斗:足立伶二郎
方言指導:宮田栄
製作助手:中川完治
邦楽:稀音家三一郎
現像:東洋現像所
製作主任:沼尾鈞
出演:高橋英樹 緒形拳 松坂慶子 西郷輝彦 近藤正臣
アメリカンビスタ カラー 159分

新撰組が京都池田屋を襲撃して尊攘過激派を惨殺した元治元年、杉虎之助は諸国放浪の旅を終えて江戸へ戻る際に居合わせた。旗本の嫡男として生まれた虎之助は病弱で、母もすぐに亡くなった。父・平右衛門は加藤清正公にあやかり「虎之助」という強い名前をつけた。十歳のとき平右衛門は峰を妻に迎えたが、彼女は病弱で無口な虎之助のことを忌み嫌った。そして三年後に男子が生まれると、二十歳まで持つかわからない虎之助を廃嫡して我が子を跡取りにせよと平右衛門に詰め寄ったのだ。それを知った虎之助は生きる価値を見出せず大川に身を投げたのだった。虎之助は一人の侍に助けられ一命を取り留めた。事情を知った侍は彼を山口金五郎の家に連れて行こうとしたが、暗闇から現れた五人の輩に行く手を阻まれたのだった。虎之助が物陰から固唾を呑んで見守っていると、侍は瞬く間に五人を斬り捨てたのだった。虎之助は侍の前に土下座し、弟子にしてくださいと言った。虎之助の必死な姿に心打たれた侍=池本茂兵衛は、剣の教えを叩き込むために諸国を旅した。

八年が経ったある日、茂兵衛はお前に教えることは何もなくなったと江戸に帰る許可を出した。突然の別れに虎之助は言葉を失ったが、仕事が一段落したら江戸でのんびり暮らすつもりだという言葉を聞いて安堵した。江戸へ向かう道中で、虎之助は酔った旗本が勤番侍に痛めつけられているところに出くわした。雨中の夜、ぶつかったことで傘が壊れたというのが原因だった。見兼ねた虎之助は三人の侍を峰打ちで伸すと旗本を屋敷まで負ぶって行った。屋敷に着くなり「叔父上、叔母上、お久しゅうございます」と挨拶すると、金五郎と妻は虎之助の変わり様に目を丸くした。事の全てをそばで見ていた伊庭八郎は虎之助の剣捌きに惚れ込み、後日屋敷に招待した。心形刀流の後継者で伊庭道場の剣術師範の伊庭は、無外流を工夫した剣術を高く評価していた。洗練されたその剣術を学ぶために真剣での立会いを願い出たのだった。二人は気が済むまで剣を交え、お互いの剣術の中に秘められた真意を読み取っていた。その頃、道場に金五郎が訪れていた。金五郎は虎之助を吉原へでも連れて行ってやろうと思い家を訪ねたが戸が閉まっていた。裏口を覗くと開いていたため中に入ってみると、血だらけになった僧が苦しんでいたのだ。急いで戻った虎之助が僧に駆け寄ると、彼は御意簡牘(ぎょいかんとく)の札を手渡した。そして品川宿の一軒茶屋に待っている女を京の池本茂兵衛のところへ送り届けよと言い残して死んだ。品川宿にいたのは、男装をした剣士の礼子だった。虎之助は、江戸詰めの薩摩藩士から礼子を守り、無事に茂兵衛のもとへ届ける旅に出た。その頃、京都では新撰組が茂兵衛狩りを行っていた。

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