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秘密(1999年)

  • posted at:2012-03-06
  • written by:砂月(すなつき)
ひみつ
TBS
配給:東宝
製作年:1999年
公開日:1999年9月25日
監督:滝田洋二郎
製作:児玉守弘
エクゼクティブプロデューサー:間瀬泰宏
プロデューサー:田上節朗 進藤淳一
協力プロデューサー:濱名一哉
企画:原田俊明
原作:東野圭吾
脚本:斉藤ひろし
VFXスーパーバイザー:曽利文彦
ラインプロデューサー:福島聡司
撮影:栢野直樹
音楽:宇崎竜童
主題歌:「天使のため息」 竹内まりや
音楽スーパーバイザー:石川光
編曲:和田薫
美術:金田克美
照明:長田達也
録音:林大輔
編集:冨田功
助監督:足立公良
俳優担当:名須川伸吾
製作担当:宿崎恵造
製作協力:フィルムフェイス
出演:広末涼子 小林薫 岸本加世子 金子賢 石田ゆり子
アメリカンビスタ カラー 119分

タキガワ食品に勤務する杉田平介は、法事のために実家の長野に帰ることになった妻の直子と娘の藻奈美を笑顔で見送った。高校生の藻奈美は父親と留守番の予定だったが、スキーが出来ることがわかったため春休みを利用してついて行くことにしたのだ。翌日、遅い朝食を取りながらテレビを見ていた平介は、スキーバス転落事故に巻き込まれた母子の苗字が「杉田」であることを知り唖然とした。急遽、長野県白馬村の信濃姫川病院に駆けつけた平介だったが、担当の医師から二人が厳しい状態にあることを知らされ肩を落とした。そして直子の容態が急変し、彼女は息を引き取った。それと同時に藻奈美は意識を取り戻した。彼女は隣のベッドで横たわる直子の姿を見て「私、死んだの?」とつぶやいた。

直子は、藻奈美の姿をしているだけで心は直子だと説明したが、平介は藻奈美が母親の真似をしてからかっているのだと思い込んでいた。そこで直美は初めてデートしたときのことや初めて泊まりに来たときのことを話した。平介は必死に現実を受け入れようと努力し、図書館に通って憑依について調べることにした。過去に起こった現象がまとめられた一冊には、二年間を経た後に少女の本当の人格が戻ったと書かれていた。藻奈美の人格を押しのけて体の中に入り込んでしまったことを直子は悔やんでいた。娘が戻ってくるのならばどんな治療でも受ける覚悟でいたが、誰にも真実を知られずに生活をするが困難であることは明白だった。学校の制服を着て姿見の前に立った直子は、藻奈美の人生の空白を埋めるために娘になりきって生きていく決心をした。しかし彼女が気がかりだったのは、人間関係や世代間のギャップ、そして授業についていけるかだった。そこで平介は、藻奈美が受けた事故のショックは甚大で多くの記憶を失ったと担任の教師・橋本多恵子に話した。

帰宅の途中で多恵子と会った平介は、彼女から藻奈美が医学部志望に進路を変更したことを聞かされた。そのことについて直子は自分の置かれている状況を解明するために脳医学の勉強をしたいと平介に打ち明けた。もう一度人生をやり直せるチャンスを無駄にしたくないというのだ。直子は勉強が苦手だが、藻奈美の脳に形成された得意分野を生かせばできると考えていた。そして合格発表の日、私が受からなきゃ受かる人なんていないという直子の自信どおり関東医科大学に合格した。大学生活は直子にとって刺激的な毎日で、授業にサークルにコンパにと大忙しだった。ある日、ヨット部の先輩である相馬春樹からの電話を受けて以来、直子の気持ちが離れていくことを危惧した平介は電話機に盗聴器を仕掛けた。

屋台的映画館
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緋牡丹博徒 一宿一飯

  • posted at:2012-02-24
  • written by:砂月(すなつき)
ひぼたんばくといっしゅくいっぱん
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1968年
公開日:1968年11月22日
監督:鈴木則文
企画:俊藤浩滋 日下部五朗
脚本:野上龍雄 鈴木則文
撮影:古谷伸
音楽:渡辺岳夫
主題歌:「緋牡丹しぐれ」藤純子
美術:石原昭
照明:増田悦章
録音:溝口正義
編集:堀池幸三
助監督:本田達男
記録:国定淑子
装置:米沢勝
装飾:松原邦四郎
美粧:鳥居清一
結髪:妹尾茂子
衣裳:松田孝
擬斗:谷明憲
舞踊振付:藤間勘真次
進行主任:渡辺操
出演:藤純子 若山富三郎 待田京介 城野ゆき 鶴田浩二
アメリカンビスタ カラー 95分

明治の中頃、上州・富岡では秋祭りが行われていたが、その会場で高利貸の倉持儀助が襲われた。警察の介入により大事には至らなかったが、農民たちの怒りは頂点に達していた。彼らは倉持に半年で額が倍になるという法外な利息の借金をしていたが、ここ三年、霜害で桑が育たず養蚕農家は打撃を受けていた。戸賀崎一家は生糸を運ぶ事業を行う傍ら農家を取り仕切っていたが、親分の戸賀崎栄助は農民たちが訴える窮状に、今は辛抱して欲しいとなだめるしかなかった。その頃、笠松一家の賭場では、背中に弁天の刺青を入れたおれんが荒稼ぎしていた。栄助の舎弟・笠松弥一郎は戸賀崎一家に草鞋を脱いでいた緋牡丹のお竜こと矢野竜子に加勢を頼んだのだった。竜子が手本引きの胴を務めることがわかるとおれんは勝負に出た。だが表情ひとつ変えない竜子におれんは敢え無く敗れ去った。

倉持は周辺の村を訪ね歩き、高利貸たちから証文を買い集めて回った。その証文は全て養蚕農家のものだったが、裏で手引きしていたのは笠松だった。笠松は倉持と結託して会社を設立しようと企んでいた。上州一帯の生糸産業を牛耳り、借金を抱えた農民をただ働きさせようとしていたのだ。竜子は戸賀崎から預かった一通の手紙を四国道後に一家を構える熊坂虎吉に届けた。岩津一家との一件で竜子を一目惚れし、その後兄弟分の盃を交した虎吉は、矢野組再興に尽力することを心に誓っていた。竜子が虎吉と浜を散歩していると、虎吉の妹・清子が息を切らせて駆け寄ってきた。戸賀崎一家が農民を守るために倉持を襲ったというのだ。小旅行が自分への配慮だったことを知った竜子は上州へ戻ることにした。

製糸工場を興した笠松は、農家から娘たちばかり集めると朝から晩まで働かせた。そして逃げ出す者があれば乾分が追い掛け、捉えると暴力を振るった。笠松一家は生糸に関わる事業をことごとく手に入れたが、郵便馬車の権利だけは戸賀崎の娘・まちの抵抗で出来なかった。竜子が戸賀崎の家に入ると中は静まり返っていた。倉持に殴り込みを掛けた戸賀崎たちは事前に情報を掴んでいた警官に射殺された。全ては笠松による罠で、一家に残ったのは戸賀崎が跡目として見込んだ菊地勇吉だけだった。数々の妨害で怒りが頂点に達していた勇吉は単身で笠松一家に乗り込んだが、用心棒・白石には敵わず深手を負った。刃が勇吉の心臓を貫こうとしたそのとき、助けに現れたのは拳銃を手にした竜子だった。

屋台的映画館

軍神山本元帥と連合艦隊

  • posted at:2012-02-16
  • written by:砂月(すなつき)
ぐんしんやまもとげんすいとれんごうかんたい
新東宝
配給:新東宝
製作年:1956年
公開日:1956年10月31日
監督:志村敏夫
製作:大蔵貢
脚本:館岡謙之助
企画:野坂和馬
撮影:山中晋
音楽:鈴木静一
美術:朝生治男
録音:片岡造
照明:矢口明
編集:金子半三郎
助監督:土居通芳
特殊技術:新東宝特殊技術
製作主任:前田晃利
出演:佐分利信 田崎潤 細川俊夫 宇津井健 中村彰
スタンダード モノクロ 101分

昭和5年に行われたロンドン海軍軍縮会議において、日本政府はアメリカとイギリスの提案を受け入れ調印した。海軍軍縮問題は大正10年に締結されたワシントン海軍軍縮条約で戦艦、空母等の保有制限が決められたが、巡洋艦以下の補助艦艇については制限がなかったことで各国は競って条約型巡洋艦を建造した。ところが補助艦の性能が著しく向上したことから昭和2年にジュネーブ海軍軍縮会議が召集されたが、アメリカとイギリスの主張は平行線を辿り決裂した。仕切り直しとなったロンドン海軍軍縮会議で再び補助艦制限の討議が行われ、日本は米英の6割を保有することで決着した。

昭和6年秋、山本五十六少将は第一航空戦隊司令官として海の若鷲の育成に携わっていた。武力差の劣勢を補うための訓練はとても厳しいものだったが、演習が終わると山本はざっくばらんに部下と接した。藤田少佐たちが議会で問題になっている満州事変や統帥権干犯問題を話題にしても、軍人は政治に関与しないのが海軍の伝統だと言って軽く往なした。そして、火遊びは火事の元、喧嘩は命取りの元だと戒めた。

昭和7年、前年の柳条湖事件を契機に抗日運動が激しさを増す中、中国人による日本人僧侶襲撃事件が発端となって上海事変が勃発した。日本国内では五・一五事件により犬養毅内閣総理大臣が暗殺され、ドイツではヒトラーが台頭していた。昭和8年、リットン調査団による報告書で満州国建国に対する採択の結果に不服を持った日本は国際連盟を脱退し孤立した。翌年、親友である軍務局長の堀内少将に推挙されて第二次軍縮会議の予備交渉に行くことになった山本だったが、ロンドン条約の維持を主張する米英と、世界軍備の大幅削減と軍備平等化を主張する日本とが真っ向から対立した。その後、山本は妥協案を提示したが米英は態度を変えず会議は長期休会となった。

山本が帰京すると、堀内は物別れとなった会議の責任を負わされ勇退させられていた。痛憤した山本は退役を決意して故郷・長岡に戻ることにした。山本は兄の家でくつろいでいたが、そこへやってきたのは堀内だった。彼はのんびりと暮らすつもりでいる山本の決心を止めさせるために来たというのだ。堀内は、軍縮条約が破棄され野放しになる軍備拡張の難局に対処できる人間は貴様しかいないと言い放った。国家は山本を必要とし、彼を横須賀海軍航空隊の航空本部長に任命した。山本の使命は、将来の海戦における航空戦力を築き上げることだった。

屋台的映画館

犯人に告ぐ

  • posted at:2012-02-09
  • written by:砂月(すなつき)
はんにんにつぐ
「犯人に告ぐ」製作委員会(WOWOW=ショウゲート)
配給:ショウゲート
製作年:2007年
公開日:2007年10月27日
監督:瀧本智行
製作:和崎信哉 春名慶
プロデューサー:青木竹彦 佐藤善宏
共同プロデューサー:宮下史之
原作:雫井脩介
脚本:福田靖
音楽:池頼広
撮影:柴主高秀
照明:蒔苗友一郎
美術:若松孝市
録音:三澤武徳
編集:高橋信之
記録:長坂由起子
助監督:山本亮
制作担当:谷正光 角田隆
出演:豊川悦司 石橋凌 小澤征悦 笹野高史 片岡礼子
アメリカンビスタ カラー 117分

2000年12月31日。新宿に現れた少年の母・桜川麻美は小田急百貨店の前を歩いていた。川崎で発生した桜川健児少年誘拐事件は、犯人が身代金3000万円の受け渡し場所を新宿に指定したことで、巻島史彦警視を筆頭とする神奈川県警の刑事たちは警視庁の指揮の下で張り込むことになった。指定の時間である午後3時を1時間程過ぎた頃、麻美は紙袋の底に付けられたメッセージに気付いた。そこには次の指定場所である横浜展示場公園へ行けと書かれていた。警視監・曾根要介にとって管轄で起きたこの事件を警視庁の手柄にさせることだけは避けたかった。そしてもうすぐ親となる巻島も手柄が欲しかったのだ。彼は合同で捜査をしてきた後藤に手を引いて欲しい言った。その頃、巻島の妻・園子は危険な状態に陥っていた。元々彼女は心臓が悪く、出産が長引いたことで胎児と母体が危ないと判断した医師は帝王切開をすることに決めた。妹の藤沢歩美は生死の瀬戸際にいる義姉を隣で見守って欲しいと電話を掛けたが、巻島は仕事が終わったら行くと言って切った。午後11時の公園はカウントダウン・イベントでごった返していた。21世紀の幕開けとなるカウントダウンが始まり、新年を知らせる盛大な花火とともに歓声が上がる場内を警戒していた巻島は、新宿で見掛けた服装と同じ不審な人物を目撃した。捜査員から二十代前半の若い男が麻美に接触しているという連絡が入り、巻島は人混みを掻き分けて進んだが、捜査員たちに取り押さえられたその男はナンパ目的の別人だった。その隙に不審な男は雑踏に消えてしまった。病院に駆けつけた巻島を待っていたのは昏睡状態に陥った園子だった。落胆する彼に同僚から悪い知らせが飛び込んできた。空き地で健児の遺体が発見され、ズボンのポケットから警察を嘲笑する年賀状が見つかったのだ。事件がこじれた責任を曾根に押し付けられた巻島は記者会見を開くことになったが、ミスを一切認めるな、家族への謝罪はするなと釘を刺されていたため、最善を尽くしたとありきたりな返答をするしかなかった。苛立つ報道陣に対し巻島は会見を打ち切ったが、そこへ歩美から電話が掛かった。動揺した巻島は抑えていた感情を一気に爆発させた。

6年後。足柄署へ異動させられた巻島は、一命を取りとめた園子、6歳になる息子・一平とともに穏やかな日々を過ごしていた。だがあの日の事件が脳裏から離れることはなかった。ある日、巻島は神奈川県警本部長から呼び出しを受けたが、そこで待っていたのは北海道へ飛ばされたが本部長に出世して戻ってきた曾根だった。曾根は巻島を半年前に起きた川崎連続児童殺害事件=BADMAN事件の捜査責任者に任命した。昨年の8月と9月に起きた3件の殺人事件のうち、3件目の事件が発覚する前にミヤコテレビ「ニュースナイトアイズ」のキャスター・早津名奈が番組内で犯人を最低な人間だと批判した。感情的になった犯人はBADMANと名乗り彼女に対して被害者と同世代の息子の命を狙うという脅迫文を送りつけたのだ。今までに3000件以上の情報が寄せられているが収穫はなかった。そこで現役捜査官である巻島を「ニュースナイトアイズ」に出演させることで視聴者に直接訴え掛け、有力な情報を得ることが目的だった。曾根は、成功すれば本部へ戻してやると言った。

屋台的映画館

緋牡丹博徒

  • posted at:2012-01-30
  • written by:砂月(すなつき)
ひぼたんばくと
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1968年
公開日:1968年9月14日
監督:山下耕作
企画:俊藤浩滋 日下部五朗 佐藤雅夫
脚本:鈴木則文
撮影:古谷伸
音楽:渡辺岳夫
美術:雨森義允
照明:和多田弘
録音:溝口正義
編集:宮本信太郎
助監督:本田達男
記録:矢部はつ子
装置:温井弘司
装飾:宮川俊夫
美粧:中野進明
結髪:妹尾茂子
衣裳:森護
擬斗:谷明憲
古武道:中島正義
進行主任:西村哲男
出演:藤純子 若山富三郎 高倉健 大木実 待田京介
シネマスコープ カラー 98分

時は明治の中頃、岩国の武花一家の賭場は不死身の富士松が胴師・蛇政の札に細工があると因縁を付けたことで騒動が起きていた。しかし証拠は見つからず、富士松は落とし前を付ける事になったが、そこに口を挟んだのは熊本人吉で一家を構える矢野仙蔵の一人娘・竜子だった。蛇政の仕掛けを見抜いた竜子は、証拠を差し出すと渡世のしきたり通りきっぱり形を付けて貰いましょうと言った。引っ込みが付かなくなった組長の武井花太郎は、蛇政に小指を詰めさせその場を収めた。 四国道後温泉に一家を構える熊坂虎吉の身内である富士松は、親分の使いで下関へ行った帰りに騒動に巻き込まれた。彼は命を助けてくれたお礼がしたいから道後に寄って欲しいと頭を下げたが、竜子は流れ流れの一人旅が性に合っているからと丁重に断わった。富士松と別れてしばらく経った夕方、竜子を取り囲んだのは蛇政とその一派だった。さっきの礼をさせて貰うぜと短刀を抜いた蛇政たちは竜子に斬り掛かり、彼女は手傷を負った。そのとき助けに入ったのは駆け出しの渡世人・片桐直治だった。竜子の傷の手当を終えた片桐は、彼女の懐から落ちた財布を拾い上げると顔色が変わった。その様子に気付いた竜子が持ち主に心当たりがあるのですかと尋ねると片桐は口ごもった。そこで彼女は、財布の経緯を話すのであなたも知っていることを話してくださいと言った。

仙蔵は妻の遺言に従い、竜子を堅気の家へ嫁に出してもおかしくないように育てた。そして望みどおり堅気の呉服問屋との縁組が整ったある日、仙蔵は辻斬りに遭って命を落とした。この騒動に怖気付いた先方は縁談を断わってきたのだった。乾分たちに渡世は男稼業だから女には任せられないと言われた竜子は矢野組を畳む決心をし、父親の敵討ちの旅に出たのだった。あの日、号泣する竜子は父親の亡骸に落ちていた財布を拾った。それが犯人のものに間違いないと確信した彼女は全国の賭場を尋ね歩き、五年の歳月が流れた。竜子はどうしても財布の持ち主が知りたいと言ったが、片桐は何も知らないと白を切った。そこへ再び蛇政たちがやってくると彼は竜子を匿い、一派の後を追って行った。片桐の人柄に惹かれる竜子だったが、懐の財布が無いことに気付き唇を噛んだ。

熊虎一家に草鞋を脱いだ矢野組のフグ新が酒の上でのいざこざを起こし、岩津一家と熊虎一家の間で騒動になっていた。フグ新は火種である自分が命を差し出せば事が丸く収まると考えていたが、虎吉は富士松が竜子に助けられたことから義理を義理で返すのが侠客の筋だと言って行かせようとはしなかった。そこへやってきたのは噂を聞きつけた竜子だった。虎吉は竜子に一目惚れした。フグ新は仙蔵が殺害されたときの唯一の目撃者だった。竜子から堅気になるように言われたフグ新は、女の細腕で一家の金看板を守り抜こうと苦労する彼女の姿に感銘を受け三年前に修行の旅に出た。彼は世話になった熊虎一家に迷惑を掛けたことを反省していた。そこで竜子は、私はフグ新という子分を持った矢野組二代目矢野竜子、私に任せて置きなさいと力強い言葉を掛けた。

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